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2017年で最もアクセス数が多かったブログ記事10選!

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新年明けましておめでとうございます。昨年は当ブログをご愛顧いただき、誠にありがとうございました。2018年もよろしくお願いいたします!

というわけで本日は、2017年にアクセス数が多かった記事の中から特に反響の大きかったものを10本選び、内容をざっくりと振り返ってみましたよ。



●【ネタバレ解説】『シン・ゴジラ』のラストの尻尾の意味は?

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2016年に公開され、日本中で大ヒットを記録した『シン・ゴジラ』が地上波初放送!その影響で、過去に書いた当ブログの記事にも大量のアクセスが集まりました。ありがとうございます!

それにしても放送開始直後からツイッターのトレンドが『シン・ゴジラ』関連のワードで占められるなど、実況もかなり盛り上がってたし、相変わらず『シン・ゴジラ』の人気ぶりは凄いですねえ。

【ネタバレ解説】『シン・ゴジラ』のラストの尻尾の意味は?


●ネタバレ解説!『アナと雪の女王』に関する7つの疑問を検証してみた

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こちらも『シン・ゴジラ』と同じく、大ヒットを記録したディズニー映画『アナと雪の女王』が3月4日に地上波初放送され、過去記事の閲覧数が増えたパターンです。ただ一つ『シン・ゴジラ』と違うのは、エンディングに一般視聴者や芸能人、局アナらが歌う映像を流したこと。

これはフジテレビが独自に考えた「みんなで歌おう♪アナ雪キャンペーン」という企画だったのですが、「完全ノーカット放送」を謳いながらオリジナル映像をカットし、素人が歌う「レット・イット・ゴー」をぶっ込んだことに批判が殺到!かなりネットは荒れてましたね(^_^;)

ネタバレ解説!『アナと雪の女王』に関する7つの疑問を検証してみた


●伝説のアニメーター、金田伊功について語る

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金田伊功(かなだよしのり)さんという、2009年に亡くなった凄腕アニメーターについて書いた記事です。『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』など、初期の宮崎アニメでその優れた才能をいかんなく発揮し、宮崎駿監督からも一目置かれる存在だったとのこと。かなりマニアックな記事にもかかわらず、大勢の人に読んでもらえたようでありがたい限りです(^_^)

伝説のアニメーター、金田伊功について語る


●『シン・ゴジラ』へ至るまでに庵野秀明と樋口真嗣が辿った30年

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『シン・ゴジラ』といえば、何かにつけて「庵野秀明」の名前が取り上げられがちですが、監督は樋口真嗣なんですよね。では、庵野さんと樋口さんはいつ、どんな風に知り合って、今までどういう時間を一緒に過ごしてきたのか?過去の作品を調べてみたら、意外と多くの作品で互いに協力し合っていたことが分かりました。その貴重なエピソードをいくつかご紹介(^_^)

『シン・ゴジラ』へ至るまでに庵野秀明と樋口真嗣が辿った30年


●漫画やアニメの実写映画版に一番よく出ている俳優は誰だ?

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昨年も漫画やアニメの実写化映画がたくさん公開されましたが、「あれ?またあの俳優が出演してるぞ?」みたいなことが気になったので、実際に調べてみた記事です。意外な人が意外な映画に出ていることが分かって結構面白かったんですけど、数が多くて調べるのが大変でした(^_^;)

漫画やアニメの実写映画版に一番よく出ている俳優は誰だ?


●公開1周年!庵野秀明はいかにして『シン・ゴジラ』を撮ったのか?

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『シン・ゴジラ』の公開からちょうど1年経ったので、豪華本『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』からインタビューの一部を取り上げ、壮絶な映画制作の裏側について書いた記事です。庵野さんに対するスタッフの証言がアレすぎてもう…(苦笑)。

公開1周年!庵野秀明はいかにして『シン・ゴジラ』を撮ったのか?


●個人的にオススメ!漫画・アニメの実写化映画10選

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「何でもかんでも実写化するんじゃねえ!」「実写版は全てクソだ!」という批判が吹き荒れる中、「いやいや、ダメな映画ばかりじゃないですよ〜」と肯定的な目線で書いた記事です。意外といい作品もありますよね(^_^)

個人的にオススメ!漫画・アニメの実写化映画10選


●宮崎駿がいきなり乱入?『思い出のマーニー』映画制作裏話

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金曜ロードSHOW!で『思い出のマーニー』が放送された際に書いた記事です。『借りぐらしのアリエッティ』を作った米林宏昌監督の長編第2作目なんですが、途中で宮崎駿監督が口を挟んで来てスタッフは大迷惑したという(笑)。さすが宮崎さんやでw

宮崎駿がいきなり乱入?『思い出のマーニー』映画制作裏話


●なぜ『君の名は。』ばかり批判されるのか?

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日本中で大ヒットした『君の名は。』ですが、絶賛の声がある一方で批判も多く、しかもそれが映画監督や漫画家や小説家など、なぜか”クリエイター側”からの批判ばかり…という点に引っ掛かって書いた記事です。あの批判は何だったんでしょうねえ(^_^;)

なぜ『君の名は。』ばかり批判されるのか?


●こまけえこたぁいいんだよ!燃えるバカ映画ベストテン

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金曜ロードSHOW!で『バトルシップ』が放送された際に書いた記事で、僕の中では『バトルシップ』はバカ映画のカテゴリーに入っています(笑)。にしても、ツイッターの盛り上がりが凄かったなあ(^_^;)

こまけえこたぁいいんだよ!燃えるバカ映画ベストテン


というわけで、昨年(2017年)にアクセス数の多かった記事をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?もし気になった記事がありましたら、ぜひご覧になってください。それではまた(^.^)


『魔女の宅急便』の監督は宮崎駿じゃなかった?

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、金曜ロードSHOW!で名作アニメ『魔女の宅急便』が放送されますが、実は「当初、この映画の監督は宮崎駿さんじゃなかった」ということをご存知でしょうか?ではいったい、誰が監督をしていたのかというと、『この世界の片隅に』の片渕須直さんなのです。

もともと『魔女の宅急便』はスタジオジブリの企画ではなく、とある実写映画の制作会社が角野栄子さんから原作の映画化権を取得し、電通を通じてジブリに持ち込まれたものでした。

しかし、当時は『となりのトトロ』と『火垂るの墓』の制作が始まったばかりで、宮崎監督に余裕はありません。そこで、『リトル・ニモ』の演出助手や『名探偵ホームズ』の脚本を手掛けた片渕須直さんに声がかかったらしい。

ある日、月刊アニメージュの副編集長だった鈴木敏夫さんから自宅へ電話が入り、新宿の某喫茶店に呼び出された片渕さん。そして鈴木さんは「いや〜、ここは宮さんが『ラピュタ』の脚本を書いた場所なんだよ」などと話しながら原作を取り出し、「これを監督してもらえないだろうか?」と依頼したそうです。

なお、脚本は『私をスキーに連れてって』や『病院へ行こう』などの一色伸幸さんに決まっていたのですが、一色さんの書いたシナリオに宮崎監督が納得できず、結局、宮崎さんが自分で書くことになりました。

そんなこんなで、宮崎さんは『となりのトトロ』の作業が終わった直後から『魔女の宅急便』のシナリオ執筆をスタートさせ、片渕さんは作画や美術のスタッフを集めるなど、アニメ制作の準備を開始。

さらに片渕さんは、キャラクターデザイン&作画監督の近藤勝也さんたちと共に、スウェーデンのストックホルムやゴトランド島ヴィスビーへロケハンに出かけるなど、着々と段取りを整えていったそうです。

ところが、いよいよ本格的な制作に取り掛かろうとしていた時、アクシデントが勃発!当初、『魔女の宅急便』は80分程度の中編を想定していたにも関わらず、宮崎さんの書いた脚本が長くなりすぎて100分以上の規模に膨れ上がってしまったのですよ。

最初の計画では『となりのトトロ』と『火垂るの墓』みたいな「2本立て上映」の予定だったのに、「この長さでは2本立てに出来ないぞ」と(スケジュールにも支障が出る)。

ちなみに『魔女の宅急便』と抱き合わせられるもう1本には、宮崎監督の発案で「女子バレーボールを題材にした実写青春映画」を予定していたらしい(どんな映画や!?w)。

さらに、片渕監督が某大手スポンサー企業へジブリのスタッフと共に挨拶に行ったら、「当方としては宮崎駿監督を希望する。それ以外の映画に出資するつもりはない」と真顔で言われて大弱り。

結局、このスポンサーに降りられると映画が作れなくなるため、ジブリ内で協議した結果、片渕監督が降板し、代わりに宮崎監督が『となりのトトロ』に引き続いて指揮をとるという苦渋の決断を余儀なくされました。

しかし、監督交代が決まった後も片渕さんは演出補佐として『魔女の宅急便』に関わり、最後まで映画の制作に付き合ったそうです。

それから27年後、『アリーテ姫』や『マイマイ新子と千年の魔法』などのアニメーション作品を監督した片渕須直さんは、苦労の末にようやく念願の『この世界の片隅に』を完成させたのですよ。

ご存じの通り、『この世界の片隅に』はロングランヒットを記録し、非常に高い評価を得たわけですが、『魔女の宅急便』の監督降板を経て辿り着いた結果と考えれば、色々と感慨深いものがありますねえ(^_^)


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2017年に反響が多かったツイートベスト10!

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

正月休みもそろそろ終わりを迎えていると思いますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて、僕はブログの他にツイッターもやってるんですけど、最近リツイートしてもらえる機会が増えまして、「ちょwお前のツイート伸びすぎww」「通知が止まらんwww」みたいなお約束のやり取りもボチボチとやっております(笑)。

そんなわけで、本日は昨年(2017年)に反響の多かったツイートをいくつかご紹介してみようかなと。なお、内容は主に映画に関することなんですが、全然映画と関係ないこともつぶやいているので悪しからずご了承ください(^_^)



●1位:『シン・ゴジラ』のビル崩壊シーン

テレビで『シン・ゴジラ』が放送されている時につぶやいたものです。ネタ元は『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』というメイキング本に載っていた記事なんですが、タイミング的に丁度ツイッターで盛り上がっていたこともあり、メッチャ拡散されました。やはり『シン・ゴジラ』の人気は凄いですねえ(^_^)


●2位:1987年の漫画にスマホが登場!?

全く映画に関係ないんですけど(笑)、久しぶりに士郎正宗さんのSF漫画『アップルシード』を読んでいたら、登場人物がスマホを使っている場面を見つけて「おや?」と。この漫画が描かれた1987年は、スマホどころかガラケーすら普及していないのに、こういうアイテムを思い付ける発想力がすごい!


●3位:東出昌大の笑顔が怖い

テレビで何となく東出昌大さんの顔を見ていたら「あれ…?なんか違和感あるなあ…」と思って色々調べてみたところ、実は芸能界で「東出昌大の笑顔は怖い」という事実が知れ渡っていたという(笑)。


●4位:『アナと雪の女王』、TV初放送でクレーム殺到!

『アナと雪の女王』が地上波初放送された際、エンディングに一般視聴者や芸能人、局アナらが歌う「レット・イット・ゴー」の映像を流したら、当然のごとくフジテレビに批判が殺到!ツイッターでも炎上してましたね(^_^;)


●5位:クリストファー・ノーラン監督の実物主義がすごい

クリストファー・ノーラン監督は『ダンケルク』を撮影する時、極力CGを使わず、可能な限り本物の戦闘機や船を使ってるんですが、「CGが当り前の今の時代、誰も本物だとは思わないんだろうなあ」とつぶやいたら結構リツイートされました。やっぱ皆もそう思ってるのかな?


●6位:『楽園追放』は最強の尻アニメだ!

『楽園追放』はフルCGの劇場アニメなんですが、「女の子の尻」に異常なこだわりを持っているらしく、やたらと尻を映したアングルが多いのです。実に素晴らしい(^_^)


●7位:『聖戦士ダンバイン』のエンディングに衝撃!

これ、僕は知らなかったんですけど、「『聖戦士ダンバイン』のエンディングの歌詞にはそういう意味がある」って話を最近聞いて驚いた、というツイートです。真相はいまだに分かりません(^_^;)


●8位:『聖戦士ダンバイン』のデザイナーに怒られた

もう一つダンバインネタを。当時、スタジオぬえのデザイナーの宮武一貴さんは非常に忙しく、勝手に仕事を引き受けた高千穂遙さんに激ギレしたそうです。なお高千穂さん曰く、「だって宮武の仕事の状況なんて知らないもん」とのこと(笑)。


●9位:『ルパン三世 カリオストロの城』はネタバレしまくり!

近年は、ちょっと映画の内容をつぶやいただけで「ネタバレすんな!」と怒られるような状況ですが、『カリオストロの城』が公開された当時は、宣伝チラシにほぼラストまでストーリーが書いてあってビックリ!昔はネタバレを気にする人なんていなかったのかな?


●10位:『変態仮面』のせいで引退?

昨年の2月に突然、芸能界を引退して「幸福の科学」に出家した女優の清水富美加さん。後に引退理由をこのように発表したんですけど、「人道的でない仕事」ってどの作品のことなんだ?と物議を醸しました(笑)。いや、『変態仮面』かどうかは分かりませんが(^_^;)


押井守と宮崎吾朗が『ゲド戦記』について対談した

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、金曜ロードSHOW!で宮崎吾朗監督の『ゲド戦記』が放送されます。公開時は「あの宮崎駿の息子が長編アニメを初監督!」みたいな感じで注目を集め、かなりの話題になりました。

しかも当時、月刊『サイゾー』2006年8月号に「ゲド戦記公開記念!」と題して押井守と宮崎吾朗の対談記事が掲載されたのです。

読んでみたら押井監督の鋭いツッコミが炸裂していて非常に面白く、まるで父親(宮崎駿)に対する長年の恨み辛みを息子で晴らそうとしているかのようでした(笑)。

というわけで本日は、押井守と宮崎吾朗の会話の中から一部を抜粋してご紹介しますよ(^_^)

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押井守:「今回の『ゲド戦記』って”息子が父親を殺す話”でしょ?こんなアコギなことをいったい誰が企んだの?」

宮崎吾朗:「“吾朗君、やっぱり父親を殺さなきゃ!”って悪魔のように耳元でそそのかす某プロデューサーがいたんです(笑)」

押井:「なるほど(笑)。実生活でさ、自分の父親を殺したいって思ったことある?」

宮崎:「いや、ないですね」

押井:「1回も?」

宮崎:「ええ、ないです」

押井:「僕なんか、宮さんを殺したいと思ったこと、何度もあるけどね(笑)」

宮崎:「(苦笑)」

押井:「ところで今回、吾郎君が作った『ゲド戦記』のドラマの本質って何?」

宮崎:「う〜ん、なんだったんだろう……。正直に言えば、今はまだ自分が何を作ったのか、良く分からないんです。理屈として考えたことは確かにあったはずだけど、振り返ると訳がわからない。“一体僕は何を作っちゃったんだろう?”っていうのが正直な心境ですね」

押井:「1本目なんて、それが普通だよ。僕は『うる星やつら オンリー・ユー』っていう映画だったんだけど、前任の監督が逃亡しちゃった結果の、間に合わせのピンチヒッターだったのね。だから、覚悟も準備もする暇なんてなかった。演出家と2人で完成したゼロ号試写を観た時、大ショックを受けたよ。“ひでえ!これは全然映画になってない!”って。もうヤケクソになって、そのまま吉祥寺の飲み屋で朝まで飲みまくり。翌日の初号試写に大遅刻したんだよ。しかも試写室に行ったらもう始まってるわけ。監督がいないのに、なぜやるんだと(笑)。そんな頃に初めて宮さんに出会って、思いっきりボロクソに言われたんだよね(笑)」

宮崎:「僕は、押井さんよりは幸せな状況で、準備期間が2年近くあったので、初号試写はそれを確認する作業だけだと思っていたんですが……当日、来ちゃったんですよ」

押井:「宮さんが?」

宮崎:「ええ…。いきなり現場は異様な緊張状態になっちゃって、頭は真っ白で放心状態です」

押井:「それはキツイなあ(笑)」

宮崎:「いつ席を立つのかと思ってたら、アレンが“僕は父を殺したんだ!”と告白するシーンでいきなり立ち上がって…」

押井:「出て行っちゃった?」

宮崎:「…って思ったら、また戻ってきた」

押井:「それは逃げたんだよ(笑)」

この「『ゲド戦記』の初号試写を観ていた宮崎駿が突然席を立って出て行った」というエピソードは本当の話で、本人は「タバコが吸いたくなったんだ」と言ってロビーでタバコを1本吸い、すぐまた席へ戻って行ったらしい。

実は、この辺の状況は以前NHKの番組内で詳しく紹介されていて、『ゲド戦記』を観た宮崎駿さんが感想を聞かれた際、「僕は自分の子供を見てたよ」「大人になってない」「(感想は)それだけ」と憮然とした表情で答えていました。

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さらに、息子の吾朗さんがアニメ監督になったことについても「次はもうないよ。まあ1本作れたからいいじゃんね。それでもう、やめた方がいい」と非常に厳しい評価を下しています。う〜む…(^_^;)

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というわけで、色んなことを話し合った二人ですが、対談の最後は押井監督から吾朗さんへの「温かい(?)お言葉」で締めくくられていました。

押井:「僕が吾朗君に送れるエールがあるとしたら、“宮さんに引導を渡せ”ってこと。それは僕らの役目ではなく、やっぱり息子である吾朗君の役目であり、義務なんだよ。あのオヤジに引導を渡すっていうのは僕の長年のテーマでもあったわけだから、吾朗君には是非とも頑張ってもらいたいなと(笑)」

結果的に『ゲド戦記』は興行収入77億円の大ヒットを記録し、宮崎吾朗さんはアニメーション監督として2作目となる『コクリコ坂から』を制作、さらにNHKのテレビアニメ『山賊のむすめローニャ』を制作しました。

そして、『ゲド戦記』公開から12年経った現在、スタジオジブリでは宮崎駿さんと宮崎吾朗さんの新作を2本同時に制作しているという。

1本は、宮崎駿監督による手描きアニメ『君たちはどう生きるか』で、もう1本は息子の宮崎吾朗監督が手掛けるフルCGアニメ(タイトル未定)だそうです。ついに初の”親子同時制作”が実現!果たしてどんな映画になるのでしょうか?

なお、『コクリコ坂から』の時にも初号試写に宮崎駿さんが観に来たんですが、観終わった後はやっぱり憮然とした表情で「少しはこっちを脅かしてみろ!」と言い捨て、一方の吾朗さんも「ちくしょう、見てろよクソ親父!」と反発。海原雄山と山岡士郎みたいな親子だなあ(笑)。


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小室哲哉さんが関わった映画音楽まとめ

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

先日、あの小室哲哉さんが突然の引退を発表しました。

小室哲哉さんといえば、ロックグループ「TM NETWORK」のリーダーとして活躍し、多数のヒット曲を生み出した超有名ミュージシャンです。

僕の学生時代はまさにTM NETWORKの全盛で、「Get Wild」の爆発的な大ヒットにより小室サウンドが日本の音楽シーンを席巻し、さらに90年代以降は「TRF」「H Jungle with t」「globe」など個性的なユニットを次々と立ち上げ、それらが”小室ファミリー”と呼ばれるほどの一大ムーブメントを巻き起こしました。

また、渡辺美里さん(「My Revolution」)や鈴木亜美さん(「BE TOGETHER」)や華原朋美さん(「I'm proud」)など、様々なアーティストに優れた楽曲を提供したことでも知られています。

特に、安室奈美恵さんが歌った「CAN YOU CELEBRATE?」は、シングル売り上げ枚数229.6万枚というダブルミリオンを記録し、多くのファンを獲得しました。

この歌は安室さんの歴代ランキングでもナンバーワンの成績を叩き出し、いまだに結婚式の定番ソングとして歌い継がれるほどの名曲となっています。


そんな小室哲哉さんが引退してしまうということで、本日は「過去に小室哲哉さんが関わった映画音楽」をいくつか取り上げてみたいと思います。


●『吸血鬼ハンターD』(1985年)

 主題歌「YOUR SONG ("D"Mix)」

元々はOVAとして作られたものの後に劇場公開され、海外で大ヒットしたアニメーション作品です(本作で、当時26歳の小室哲哉さんが初めて映画音楽を担当したらしい)。

●『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)

 主題歌「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)」

因縁のライバル同士であったアムロ・レイとシャア・アズナブルの長き戦いにピリオドが打たれた初代『機動戦士ガンダム』シリーズの完結編。

当時、映画館へ観に行って、帰りに「BEYOND THE TIME」のレコード(CDではない)を買って毎日聞いていたような記憶が…(^_^;)

いや〜、今聞いてもいい曲ですねえ。歴代ガンダム主題歌の中でも人気が高いらしく、僕なんかもいまだにカラオケで歌ってますよw

●『ぼくらの七日間戦争』(1988年)

 主題歌「SEVEN DAYS WAR」

宗田理の同名小説を、宮沢りえ主演で映画化した青春ドラマ。主題歌「SEVEN DAYS WAR」はTM NETWORKの14枚目のシングルとしてオリコン3位のヒットを記録しました。これまた名曲!

●『天と地と』(1990年)

 主題歌「天と地と〜HEAVEN AND EARTH〜」

角川春樹監督が莫大な製作費を注ぎ込んで製作した超大作歴史ドラマです。日本国内に最適なロケ場所が見つからず、カナダまで行って撮影したのですが、ロケの費用だけで20億円もかかったらしい。

さらに合戦シーンでは馬を約1000頭揃え、甲冑を着けたエキストラを3300人用意するなど、前代未聞の撮影に挑んでいたようです(公開後は興収100億円を超える大ヒットを記録したものの、製作費がかかりすぎて赤字になった)。

なお、主題歌の「天と地と〜HEAVEN AND EARTH〜」は作詞・作曲:小室哲哉で、歌も小室さん自身が歌っています。

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●『ストリートファイター? MOVIE』(1994年)

 挿入歌「恋しさと せつなさと 心強さと」

格闘ゲーム『スーパーストリートファイターIIX』を原作としたオリジナル・アニメーション映画です(なお監督の杉井ギサブローさんは、『銀河鉄道の夜』や『タッチ 背番号のないエース』などを作ったベテラン)。

篠原涼子さんが歌った「恋しさと せつなさと 心強さと」は202万枚を超えるメガヒットを記録し、当時「映画タイアップ曲のCDシングル売上」で歴代1位の成績を収めました。

●『エルマーの冒険』(1997年)

 オープニンング曲「dragons' dance」

1940年代にアメリカの作家ルース・スタイルス・ガネットによって出版された児童文学作品『エルマーのぼうけん』をアニメ化した劇場用作品です。

主人公のエルマーの声をTRFのメインボーカルのYU-KIが務め、主題歌「dragons' dance」もYU-KIが歌うなど、当時の小室ファミリーの勢いを感じさせますね(笑)。なお、エンディングは宇都宮隆さんの「if you wish...」です。

●『スピード2』(1997年)

 テーマ曲「SPEED TK RE-MIX」

キアヌ・リーブス主演で大ヒットしたアクション映画の続編ですが、キアヌ・リーブスが降板したためヒロインのサンドラ・ブロックを主役に繰り上げたら大コケ、という残念な映画です(^_^;)

アメリカではラジー賞の最低続編賞を受賞するほど酷評されましたが、日本では小室さんがテーマ曲のリミックスを行ったことで話題となり、興収40億円ほどの大ヒットを記録しました。

なお、映画のプロモーション用のビデオに小室さんも出演してるんですけど、「ヘリが飛び、車が走り回り、周囲で大爆発が起きている中を平然と歩く小室哲哉」という謎の演出に「『スピード2』よりもこっちの方が面白そうだ」との声が多数寄せられたそうです(笑)。

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というわけで「過去に小室哲哉さんが関わった映画音楽」をいくつか取り上げてみたんですが、抜けがあるかもしれないので、「あの映画にも小室さんの楽曲が使われていますよ」という情報がもしあったら教えてください(^_^)

『ゲド戦記』の原作者、アニメ版に激怒?

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

1月22日、米国の女性作家アーシュラ・K・ル・グウィンさんがオレゴン州ポートランドの自宅で死去したことを、ル・グウィンさんの家族がツイッターで公表したそうです(享年88歳)。

1962年に小説家としてデビューしたル・グウィンさんは、SF長編『闇の左手』や、ファンタジー作品『ゲド戦記』などで広く知られるようになりました。

特に『ゲド戦記』は世界中に大勢のファンがいるほどの人気作で、過去に宮崎駿さんがアニメ化を申し出たものの断られ、数年後に息子の宮崎吾朗さんの手によって映画化されています。


※詳しい経緯はコチラの記事をどうぞ→『ゲド戦記』製作秘話


そんなアニメ版『ゲド戦記』ですが、実は原作者のアーシュラ・K・ル・グウィンさんはあまり良く思っていなかった…というより、「かなり否定的」だったらしいのですよ。

映画が完成した際、ル・グウィンさんは日本に来られなかったので、宮崎吾朗監督がル・グウィンさんの地元まで行って特別に試写会を開きました。

そして、上映終了後に吾朗監督から感想を聞かれたル・グウィンさんは「いい映画ですね」と簡単にコメントしたのですが、それを吾朗監督が自分のブログに書いたことで事態はややこしくなったらしい。

ル・グウィンさんの感想は「It is not my book.It is your film.It is a good film.」という短いもので、「私の本ではなく、あなたの映画です。いい映画ですね」みたいな意味ですが、吾朗監督はこれを肯定的に受け止めてしまったのです。

そのことを知ったル・グウィンさんは、「あのコメントはあくまでも宮崎吾朗監督だけに申し上げたもの。個人的質問に対する個人的返答を公にして欲しくなかった」と不快感をあらわにし、なんとアニメ版『ゲド戦記』に対する彼女の”本音”を公式サイトに公開したのです。


ジブリ映画「ゲド戦記」に対する原作者のコメント全文


これを読むと、「全体としては美しいが、急いで作られたこのアニメでは多くの細部がカットされ、『トトロ』の緻密な正確さもなければ、『千と千尋』の素晴らしく豊かなディテールも斬新さもない」など、かなり厳しい意見が並んでいます。

しかも、相当な長文で書かれていることから、「言いたいことがたくさんあったんだろうな…」という心情も推測できますね(言葉は丁寧だけど、かなり細かくダメ出ししているのでw)。

まあ、人気小説が映画化されても、必ずしも全ての原作者が満足しているとは限りません。中には「原作者の意向にそぐわないパターン」もあるわけで、そういう意味では「当然の反応」なのかも(笑)。

ちなみに「原作者が激怒した映画」として有名なのは、やはりスティーブン・キング原作、スタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』でしょう。

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普通、自分の小説が映画化されたら、多少気に入らない部分があったとしても気を遣って発言するものですが、スティーブン・キングは「美しいけれどエンジンがない車のようだ」「思い違いだらけで腹立たしい期待はずれの映画」などと『シャイニング』に不満を爆発させているのです。よっぽど頭に来たんだろうなあ(^_^;)


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『ジャスティス・リーグ』ブルーレイ&DVD発売決定!

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

さて昨年11月に公開され、日本でも大ヒットしたヒーロー映画『ジャスティス・リーグ』が、早くもブルーレイ&DVD化されることになりました。

本作の内容をもの凄く雑に説明すると、前作『バットマン VS スーパーマン』でスーパーマンが死亡し、残されたバットマンとワンダーウーマンが「エラいこっちゃ!」と他の仲間を捜し、水を操るアクアマン、超高速で移動するフラッシュ、機械の半身と頭脳を持つサイボーグが集結。

その間に、敵(ステッペンウルフ)が地球を支配するために3つの”箱”を奪い、「うわあああ!このままじゃ地球が大ピンチだあああ!」となったので、死んだスーパーマンを蘇らせようとするものの逆に大変な事態が勃発…という感じです、確か。

最終的にはヒーローたちが一致団結して悪を倒すという王道的な展開になるわけですが、『マン・オブ・スチール』や『B VS S』のザック・スナイダー監督が途中で降板し、『アベンジャーズ』シリーズのジョス・ウェドン監督が後を引き継いだため、前作までとは少し雰囲気が変化してるんですよね。

ザック・スナイダー監督のシリアスで重厚なトーンが好きな人には、『アベンジャーズ』っぽくなった本作は「やや物足りないのかな?」という気がしなくもないですが、まあその辺は好みの問題でしょう。あとは、出演者が豪華な点も見どころかなと。

『ワンダーウーマン』で一躍世界にその名を轟かせたガル・ガドット、『ファンタスティック・ビーズト』のエズラ・ミラーや舞台出身のレイ・フィッシャー等の若手スターに加え、ベン・アフレック、ジェイソン・モモア、ジェレミー・アイアンズ、ダイアン・レイン、J.Kシモンズ等ベテランキャストも勢揃いし、超ゴージャスな俳優たちの競演が実現しました。

なお、『アベンジャーズ』の日本語吹替えが有名芸能人やタレントを起用したことで批判殺到だったのに対し、『ジャスティス・リーグ』は普通に声優さんを起用している点も好感度が高いです(^_^)

<キャスト>(声の出演)

バットマン:ベン・アフレック(小原雅人)

ワンダーウーマン:ガル・ガドット(甲斐田裕子)

フラッシュ:エズラ・ミラー(細谷佳正)

アクアマン:ジェイソン・モモア(安元洋貴)

サイボーグ:レイ・フィッシャー(諏訪部順一)

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「好きな映画はなんですか?」と聞かれた時の正しい答え方

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

先日、以下のブログ記事が話題になっていたので読んでみました。


映画好きが一生され続ける質問TOP10


内容を要約すると、「映画好きに対する質問の中で特に回答に困りがちな10個の質問」を取り上げ、一つ一つ解説しながら筆者がひたすら答えていく、というものです。

もうね、読んでみたら「あ〜、あるある!」と納得しまくりなんですよ(笑)。例えば「一番好きな映画はなんですか?」という質問。これ、普通の人には何てことないシンプルな問い掛けでしょうけど、映画好きにとっては超難問!

今まで観てきた無数の映画の中から”ベストオブベストの1本”を選ばねばならないというプレッシャーに耐え切れず「うわあああ選べねええええ!」とパニックになること間違いなしの、まさに禁断のクエスチョンなんですよ。

いや、もちろん普通に「自分の好きな映画はこれ!」って答えようと思えば答えられますけどね。ただ、チョイスした作品によっては相手からバカにされるんじゃないか?…という不安を拭い切れず、判断に迷いが生じてしまうのです。

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そんなわけで本日は、映画好きを悩ませるこれらの質問から代表的な3つを取り上げ、何と答えるのが最適なのか、自分なりの解答を考えてみました(すいません、完全に便乗ネタですw)。


?好きな映画はなんですか?

この質問は本当に多い。マジで多い。もう、今まで何度聞かれたか分かりません。そして、今まで数え切れないぐらい失敗を繰り返して来ました。「そんなことを気軽に聞かないでいただきたい!」と怒りすら覚えるほどです。

さて、「じゃあどんな映画を挙げればいいの?」って話なんですが、この手の質問に答える前に、まず”シチュエーション”を設定しなければなりません。なぜなら、「質問した相手」によって選ぶ映画が異なるからです。

例えば、親しい友人から聞かれた場合は、気を遣う必要が全くないので、素直に自分の好きな映画を答えればいいと思うんですよ(知人が改めてこんなことを聞いてくる状況はほぼ無いでしょうけどw)。

また、自分と同じような映画好きから聞かれた場合、相手は「どれぐらいのレベルなんだ?」とこっちの技量を推し量ろうとしているので、ありったけの知識を総動員して「これぞ!」という作品を挙げなければなりません。

しかし、この場合も「相手が映画に詳しい」という前提ならば、少々マニアックな作品を挙げても対応してもらえるため、割と気楽に答えることが出来るはずです(例:映画オタク同士の飲み会など)。

厄介なのは「あまり映画に詳しくない&初対面の人」から聞かれたパターンですね。この場合、質問している当人は映画にそれほど関心がなく、単に「会話を広げるきっかけ」として訊ねているだけだったりするんですよ(例:合コンなど)。

そうなると、こちらとしてもなるべく「会話が広がりそうな映画」をチョイスする必要に迫られるため、「ううう〜…」と長考に入らざるを得なくなるわけでして。とは言うものの、質問自体はかなりアバウトなんですよね。

だから、『レインマン』『ゴッドファーザー』『天使にラブソングを』『フォレスト・ガンプ』『スタンド・バイ・ミー』『レイダース』『ロード・オブ・ザ・リング』『未知との遭遇』『シザーハンズ』など、広範囲に網を張っておけばどれかに引っ掛かるんじゃないかなと(笑)。

もちろん洋画の定番作品だけでなく、邦画やアニメを入れてもいいでしょう。また、最近はリメイクや続編ものが流行りなので、『スター・ウォーズ』や『ブレードランナー』など昔のSF映画を取り上げても、意外と話が盛り上がるかもしれません。

ちなみに僕自身の経験で言えば、ジブリ映画を挙げると大体ウケが良かったです(笑)。ディズニーアニメもいいんですが、強いのはやっぱりジブリ!老若男女を問わず、どこへ行ってもジブリアニメは人気がありますね〜。

なお、合コンの際は(僕の経験上)あまりマニアックな映画やアクションものはなるべく避けた方が無難だと思います。あと、映画の鑑賞回数を聞かれても「年に300本以上は観てますね〜!」などと正直に答えたらドン引きされるので(これも経験上w)、出来るだけ控え目に申告する方が良いでしょう。


?いちばん好きな映画はなんですか?

さあ質問の難易度が一気に上がりました(笑)。これを聞かれたらもう、色んなジャンルの作品を満遍なく挙げる「数撃ちゃ当たる戦法」が使えません。真面目な映画ファンならフリーズ間違いなしの超難問。なので、この問いに対する正解はズバリこれしかない!

『ショーシャンクの空に』

映画にそれほど興味がない人でもタイトルぐらいは知っているであろう知名度の高さ、ベタではあるものの不特定多数の人に共感してもらえる優れた汎用性、さらに「名作」としての評価がすでに確立している抜群の安心感。

あらゆる条件を考慮し、最終的に辿り着いた結論がこの作品です。相手によっては「あ〜…」という反応をされる可能性も無きにしも非ずですが、大きくスベることはまずないでしょう。まさに「完全なる安パイ」です(笑)。

まあ無難っちゃ無難ですけど、本当に答えに詰まったら取り合えず「『ショーシャンクの空に』です」って言っとけば間違いない!と思う(『ニュー・シネマ・パラダイス』という手もあるが、さすがにベタすぎるかなw)。

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?おすすめ映画はなんですか?

うう恐ろしい…、なんて恐ろしい質問なんだ…。コレ、うっかり「好きな映画」と同じに考えてしまう人がいるかもしれませんが、大間違いです。「自分の好きな映画」じゃなくて、「相手が気に入りそうな映画」をオススメしなければならないのですよ。

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↑なので、調子に乗って自分の好きな映画を薦めまくったら確実にこうなりますのでご注意ください(経験済み)。「じゃあ、どうすりゃいいの?」って話なんですけど、この場合に必要なのは”提案力”なんですね(笑)。

”提案力”、つまり会話の内容から相手の趣味や嗜好を推測し、「最も好まれそうな映画を提案するスキル」が求められるのです。うおおお〜、難しい!難しすぎる!でも、何とかしてこの難題をクリアーしなければ…。

具体的な方法で言うと、例えば相手の女性が「『ハリーポッター』観たことあります!」と言った場合、ファンタジー系の作品や同じ俳優が出演している作品など、共通の要素を持った映画がいくつか思い浮かぶでしょう。

その中から、「スネイプ先生役で出ていたアラン・リックマンが『ラブ・アクチュアリー』という映画にも出演していて、なかなか良かったですよ」みたいな感じで薦めればいいんじゃないかと(ちなみにアラン・リックマン繋がりなら『ギャラクシー・クエスト』もオススメです)。

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というわけで、「好きな映画を聞かれた時の答え方」を色々検証してみたんですが、我ながら「非常に面倒くせえヤツだな」という感じしかしませんね(苦笑)。

まあ、”映画好き”に限らず、”本好き”でも”音楽好き”でも、「一番好きな作品はなんですか?」と初対面の人に聞かれたら、結構みんな悩んでしまうのではないでしょうか?

ただ結局のところ、この手の質問をする人は”作品名”そのものよりも”コミュニケーション”を求めている場合が多いので、しっかり場の空気を読み、「その時の状況に応じたベストな回答」を提示することが大事だと思います(^_^)


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【これはひどい】映画監督にエラい目に遭わされた13人の女優

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

先日、ニューヨーク・タイムズ紙に「ハリウッド女優のユマ・サーマンが映画監督のクエンティン・タランティーノから酷い目に遭わされていた」という記事が掲載され、ファンの間で話題になりました。

ユマ・サーマン、「タランティーノ監督からスタントを強要された」と告白

その内容は、『キル・ビル』(2003年)の撮影時にタランティーノ監督から車の運転を強要されたユマ・サーマンが、操作を誤り木に激突して大ケガした、というものです(後にユマと監督は和解した模様)。

まあ実際問題、映画の現場ではこういう事例が少なくないようで、「黒澤明監督が三船敏郎に向かって本物の矢を射させた(『蜘蛛巣城』)」とか、「役者にそんなヒドいことを?」と驚くような話はいくらでもあります。

もちろん、いくら撮影のためとはいえ、そういう行為はパワハラにもなりかねないのですが、「いい作品を作りたい」という監督の情熱が暴走し、結果的に俳優やスタッフに無理を強いてしまう、という事態は決して珍しくありません。

というわけで本日は、「妥協を嫌い完璧を求めた監督のこだわりによってエラい目に遭わされた女優さんたち」のエピソードを、いくつかご紹介したいと思います。



●『シャイニング』

「役者をエラい目に遭わせる映画監督」と言えば、完璧主義のスタンリー・キューブリックが有名でしょう。自分が気に入るまで何十回も同じ演技を繰り返させ、あまりのリテイク数の多さに「やってられるか!」とキレて降板した俳優もいるぐらいですから。

中でも『シャイニング』で主人公の妻を演じたシェリー・デュバルは、なんと35週間にも渡ってキューブリックから容赦ないダメ出しを受け続けたというのですから「正直キツイ」と言わざるを得ません。

しかもキューブリックはシェリーに対してリテイクを重ねるだけではなく、彼女の演技を徹底的に批判し、意図的に「彼女が現場で孤立するような雰囲気」まで作り出していたそうです(ヒドすぎる…)。

その結果、見事に彼女の壊れそうな感情を引き出し、数々の衝撃シーンをカメラに収めることに成功しました。しかし、撮影が終わる頃にはシェリー・デュバルは心身ともにボロボロに成り果て、疲弊し切っていたらしい。うわあああ…

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●『悪魔のいけにえ』

本作は、人気キャラクター「レザーフェイス」を生み出したトビー・フーパー監督の有名ホラー映画です。後に続編やリメイク作品が作られるほどヒットしましたが、1作目は超低予算だったため、機材のレンタル費をケチって27時間ぶっ通しで撮影を続けるなど、役者やスタッフは大変な苦労を強いられたらしい。

当然のごとく現場では、本物の刃物を使用してケガ人が出たり、予算がないので俳優の顔に接着剤を塗って特殊メイクを施したらメイクが貼り付いて取れなくなったり、様々なアクシデントが頻発した模様。

特に女優たちの扱いは最悪で、主役のマリリン・バーンズは固いホウキで殴られて顔中アザだらけ。さらに雑巾を口に押し込まれ、激しい乱闘シーンを何度も繰り返し演じさせられ発狂寸前になったという。

また、パムを演じたテリー・マクミンは肉カギに吊るされるシーンでワイヤーが彼女の体に食い込み、激痛を訴えたらしい(劇中で泣き叫ぶ姿は演技じゃなくマジだった!?)。


●『エクソシスト』

『フレンチ・コネクション』や『恐怖の報酬』で知られるウィリアム・フリードキンも、「平気で無茶なことを要求する監督」として業界中にその名を轟かせています。中でも『エクソシスト』における傍若無人ぶりは今もなお語り草になるほど凄かった!

「悪魔のパワーによって吐く息が白くなる」というシーンを撮るため、セットに16台の大型冷却装置を取り付け、室温が0度の極寒の中、監督やスタッフたちが防寒着を着ているのに、ベッドのリンダ・ブレアは薄いパジャマだけで長時間の撮影に耐えたとか。

また、母親役のエレン・バースティンに対してはリアルな演技を求めすぎ、「娘に殴り倒されるシーン」の迫力の無さにイラついた監督は、エレンの体にワイヤーを付けて引っ張ることにしました。

ところが、打ち合わせでは軽く倒れるだけだったのに、いざ本番が始まる直前、操演係に「死ぬ気であの女を引き倒せ!」と命じ、その結果エレンは猛烈な勢いで転倒して背骨を強打。しばらく病院へ通うはめになってしまったのです。


●『ロング・キス・グッドナイト』

『ダイ・ハード2』や『クリフハンガー』のレニー・ハーリン監督が、自分の奥さん(ジーナ・デイビス)を主役に撮った超大作アクション映画です。

3階の窓からガラスを突き破って飛び降りるシーンでは、クレーンに吊るされたジーナ・デイビスが15メートル下のエアバッグへ落下したり、地上30メートルのシャフト上で格闘するなど、あらゆるアクションを本人がこなしているのだから凄すぎる!

その他、駅構内における壮絶なガンアクション、巨大な石油運搬車とヘリコプターのチェイス、さらには横転した運搬車上をサーファーのように疾走するジーナの姿など、数々の驚愕スタントがカメラに収められました。

近年、アンジェリーナ・ジョリーやシャーリーズ・セロンなど、激しいアクションを演じる女優が増えていますが、ここまで危険なシーンに挑戦した例は少ないでしょう(自分の嫁だから遠慮しなかったのかなあw)。なお、これらの撮影について共演したサミュエル・L・ジャクソンは次のように語っています。

ジーナと湖に飛び込むシーンで、実際に自分がそれをやるんだって知らされた時は、本当に信じられなかったよ。あのシーンは今までの撮影の中で、いや、これまでの人生において最も辛いことだった。気温マイナス9度の日に、氷が張った冷たい湖の水に頭まで浸かった時には、1ガロンのアイスクリームを一気に食べたように頭がガンガンしたよ。しかもテイク3まで撮ったんだからね!

ちなみに、この映画が公開された後、ジーナ・デイビスはレニー・ハーリン監督と離婚。「二度とレニーの映画には出演しないわ!」と言い放ったらしい。


●『鳥』

「サスペンス映画の神様」と称されたアルフレッド・ヒッチコック監督も、女優をエラい目に遭わせたことがありました。犠牲者(?)は名作『鳥』で主人公メラニーを演じたティッピ・ヘドレン。

追い詰められた女性の恐怖を完璧に表現するため、なんとヒッチコックは彼女に凶暴な鳥と5日間の共同生活を命じたのです。

さらに、クライマックスの部屋に閉じ込められるシーンでは撮影に一週間も費やし、鳥を彼女に括り付けてリアルな恐怖を引き出そうとしたらしい。

その結果、ティッピ・ヘドレンは撮影後に疲労と怪我で8日間も入院するはめになってしまいました。なお、彼女はこの時の状況を「人生で最悪の一週間だった」と語っているそうです。

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●『バロン』

テリー・ギリアム監督といえば、『バンデッドQ』や『未来世紀ブラジル』など数々の問題作を撮ったことと、毎回何らかのトラブルを巻き起こしていることでも有名です。

ファンタジー映画『バロン』の場合は、当初予定されていた予算が2350万ドルだったのに、大幅にオーバーして4663万ドル(約52億円)に膨れ上がってしまいました。当然、現場は大パニック!

さらに予算の問題だけでなく、撮影中に次々とアクシデントに見舞われ大混乱を極めた作品でもあり、出演時に9歳だったサラ・ポーリーは、後のインタビューで当時の心境を以下のように語ったそうです。

とにかく、非常に危険な撮影だったんです。私のすぐそばで多くの大爆発が起こりました。子供だった私は、トラウマになるくらい怖かったです。物理的にとても危険で、少なくとも幾つかの傷は残りました。冷たい水の中で長時間震えたり、延々と撮影が続いたり......。とにかく酷い撮影でしたね。

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●『グランド・イリュージョン』

ジェシー・アイゼンバーグが扮するマジシャンたちの活躍を描いた本作で、ヘンリー役を演じたアイラ・フィッシャーは「チェーンで縛られた状態で水槽に入れられ脱出する」という危険なシーンをスタントなしでやらされました。

ところがその撮影中、彼女の体にチェーンが絡まってしまうというアクシデントが勃発!しかしスタッフたちは「焦ってもがいている”演技”」だと思いこみ、救出のタイミングが遅れたらしい。

最終的に自力で緊急脱出用のスイッチへたどり着き、近くにいたスタントマンによって何とか救出されましが、後にアイラ・フィッシャーは以下のように語っています。

チェーンが取れなくて本当に焦っていたのに、皆は私が張り切って演技していると思っていたのよ。誰1人として実際に溺れているなんて思わなかったみたい。もうダメかと思ったわ。


●『ロアーズ』

本作は、ライオンや虎やヒョウやジャガーなど、150匹以上の野生動物と暮らす家族の姿を描いたファミリー・ドラマです。が、その撮影現場は修羅場そのもの!

今なら当然CGを使うのでしょうが、全てが本物の動物ですからねえ。そのため、常に現場ではアクシデントが起きまくり、70人以上のスタッフや俳優が撮影中にケガをしたそうです。

なんせ相手は訓練されていない動物たちなので、何が起きるか分かりません。当時、19歳だったメラニー・グリフィスは突然ライオンに襲われ、顔を50針も縫う重傷を負ったらしい。

さらに、キアヌ・リーブス主演の『スピード』で監督デビューしたヤン・デ・ボンは本作のカメラマンを務めていましたが、ライオンに頭の皮を剥がされ200針も縫ったという。怖ッ!

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●『黒星風雲(THE STORY OF THE GUN)』

本作は1992年の香港アクション映画です(日本未公開)。1980年から90年代前半ぐらいまで香港映画界では女性を主役にしたアクション映画が流行っていました。

ミシェル・ヨー、ムーン・リー、シベール・フー、シンシア・カーン、ブリジット・リン、ジョイス・コウ、シンシア・ラスター(大島由加里)など、強くて美しいヒロインが人気を集めていたのです。

そんな中で、アジア人以外の白人女性アクションスターとして注目されたのがシンシア・ロスロック。そしてもう一人が、後にハリウッド版『パワーレンジャー』でピンクを演じることになるソフィア・クロフォードです。

しかし、アクションスターを目指して欧米から香港にやって来たソフィアでしたが、想像を絶する香港映画の撮影スタイルに衝撃を受けたという。

ある日、撮影中に足を骨折したソフィアは病院で手当てを受け、その日の撮影は中断されるものと思っていました。ところが再び現場へ呼び戻され、なんと監督から「撮影を続ける」と告げられたのです。

ビックリした彼女が「え?足の骨が折れてるんですけど…」と訴えたところ、「シナリオを書き直すから大丈夫だ」と言われたらしい(ウソでしょ!?)。

驚くソフィアを無視してギプスをしている足に無理やりズボンをはかせ、その上から血糊で傷のメイクをするスタッフたち。なんと「足を銃で撃たれて負傷した」というストーリーに変えてしまったのですよ!

その後、彼女は骨折した足を引きずりながら、殴られたり蹴られたり、窓ガラスを突き破って地面に落ちたり、激しいアクションを必死で演じたという(今なら大問題になるだろうなあ…)。

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●『群狼大戦』

ムーン・リーとシベール・フーという、80〜90年代の香港映画界を代表する2大アクション女優が自らスタントに挑んだこの映画、悲劇はラストに起こりました。

彼女たちが窓から飛び降りようとした瞬間、すぐ後ろで大爆発!どうやら爆破のタイミングが早すぎたらしく、二人は炎に包まれてしまったのです。

この事故でムーン・リーとシベール・フーは全身に大火傷を負い、当然ながら撮影は中止に。ところが、監督は無理やり映画を完成させ、なんと事故の映像をそのまま本編に使うという暴挙に出たのです。

しかもエンディングに「二人は映画芸術の真実性を高めるため、自ら危険なシーンに挑戦し、重傷を負った。彼女たちの勇気とプロ精神に心から敬意を表したい」などとテロップまで流す鬼畜ぶり!これは本当にヒドいですよねえ(なお、幸いなことに二人とも命は助かったそうです)。


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ジブリアニメが有名になったのは金曜ロードショーのおかげ?

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

さて、現在「金曜ロードSHOW!」の公式サイトで”観たい映画のリクエスト”を募集していることをご存じでしょうか?

「みたい映画アンケート」と題されたこの企画は、視聴者がそれぞれ放送してもらいたい映画を投票し、寄せられた意見を参考にして次に放送する映画を選定する…という方式だそうです。

これ、個人的には「おお!」って感じなんですよね。なんせ僕の中では金ローって「ハリーポッターとジブリをローテーションしている番組」というイメージしかなく、「どんだけジブリを再放送すんねん!」と不満に思っていたので(笑)。

そしたら、同じ意見の人が割と大勢いたらしく(笑)、皆さん自分が観たい映画をどしどしリクエストしているようですね(今のところ『コマンドー』が圧倒的に多い模様w)。

ただ、念のために言っておきたいんですけど、僕は別に「金ローでジブリ映画を一切放送して欲しくない」などと思っているわけではありません。

いや、それどころかむしろ「金曜ロードショーがあったからこそ、ジブリ映画はここまで絶大な人気を得ることが出来た」と思っているのですよ。いったいなぜか?

実は、今でこそ誰もが知っている宮崎アニメですが、1989年以前はそれほど有名ではありませんでした。『ルパン三世 カリオストロの城』は劇場公開時に大コケし、『天空の城ラピュタ』や『となりのトトロ』も興行成績的には惨敗しているのですよ。

特に『天空の城ラピュタ』は歴代ジブリ作品の中で史上最低記録を叩き出し、宮崎駿監督を大いに落胆させました(かなり気合を入れて作った映画だったこともあり、余計にガッカリしたらしい)。後に宮崎監督は、『ラピュタ』がヒットしなかった理由を以下のように自己分析しています。

たくさんの夢を抱きながら戦う少年を主人公にした冒険物語を作りたかったんです。ただ、実際に作ってみると、お客さんはそういう類の映画を観に来てはくれないようだ、ということが判明したんですよ。しばらく時間が経ってから、「ラピュタが大好きです!」と言ってくれる人はいましたが、公開当時はまったくお客さんが入りませんでした。


女性の場合はそこにいるだけでキャラクターとして成り立つんですが、男性のキャラクターを成立させるためには社会的な立場や地位、もしくは何らかの”宿命”を背負っているといった、「目に見えない何か」が必要なんです。だから、パズーのような普通の労働少年を主人公にした映画で、劇場まで足を運んでもらうというのはかなりキツかった。

このように初期の宮崎アニメは新作を発表する毎に成績を落とし続け、長編5作目の『魔女の宅急便』を制作する頃には、業界関係者の間で「宮崎駿はもうダメだな」「次もコケたら二度と映画を作ることは出来ないだろう」と言われていたそうです。

そんな逆境の中、プロデューサーの鈴木敏夫さんは「何としてでもヒットさせなければ…!」と必死に考え、日本テレビに宣伝協力を求めました。

当時の日本テレビはジブリの映画作りに関わっていなかったものの、1985年に『風の谷のナウシカ』を初放送した時、プレゼントの応募総数が100万通を超えるという大反響を経験していたこともあり、宣伝の協力とジブリ映画への出資を快諾。

こうして、日本テレビの多くの番組で『魔女の宅急便』が紹介され、映画をPRする特別番組も作られ、スポットCMも次々とオンエアされました。その結果、『魔女の宅急便』は日本中で大ヒットを記録!

さらにこれ以降、金曜ロードショーでは定期的に宮崎アニメを放送し、宮崎監督以外の新作が公開される際にもPRとして過去の宮崎アニメやジブリ作品を再放送するなど、長年に渡ってジブリをバックアップし続けました。

すると、劇場公開時には全くヒットしなかった『ルパン三世 カリオストロの城』や『天空の城ラピュタ』や『となりのトトロ』なども、次第に認知度が上がっていったのです。

つまり、現在ジブリ作品が「国民的アニメ」と呼ばれるようになったのは、何度も繰り返しジブリの映画を放送し続けた金曜ロードショーのおかげでもあるのですよ。

そういう意味では「金曜ロードショーの果たした役割は非常に大きい」と言えるんですが……しかし、もうそろそろいいんじゃないの?と。もう大抵の日本人がジブリを知ってるでしょ?と(笑)。

そんなわけで、今まであまり金ローで放送されていない映画や過去の名作、みんなで盛り上がれる映画など、テレビでオンエアして欲しい作品をこの機会にリクエストしてみてはいかがでしょうか(^_^)

金曜ロードSHOW!公式サイト



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『キングスマン:ゴールデン・サークル』ネタバレ感想

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

公開からだいぶ時間が経ってしまいましたが、本日は『キングスマン ゴールデン・サークル』の感想を書いてみたいと思います(以下ネタバレあり)。


■あらすじ『世界的な麻薬組織「ゴールデン・サークル」の攻撃により壊滅したキングスマン。残されたエグジーとマーリンは、アメリカのスパイ機関「ステイツマン」と合流、そこで死んだはずのハリーと再会する。一方、麻薬組織の女ボス:ポピーは、世界中の麻薬使用者を人質にした恐るべき陰謀を始動させていた。果たしてエグジーたちは敵の計画を阻止することは出来るのか?』


前作の『キングスマン』は、「古典的なスパイもの」と「現代的なギミック」の融合、「派手に血しぶきが飛び散るバイオレンス・アクション」、さらに「不謹慎なブラックユーモア」などを組み合わせた独特の世界観がウケて大ヒットしました。

続編となる本作も当然その流れを受け継いでいるんですが、どうも前作のファンにはいまいち評判が良くない模様。いったいなぜか?

「R15で残虐描写全開だった1作目に比べ、レーティングに配慮した本作には迫力が足りない」という理由もあるでしょうけど、それだけではありません。

まずキャラクターを見てみると、今回は「ステイツマン」という新メンバーが合流するんですが、人数が多い割にはどうにもこうにも魅力が薄く、イマイチ印象に残らないのですよ。

特にチャニング・テイタム演じるテキーラは、開始早々に戦線を離脱して「後はほとんど寝てるだけ」という酷い有様(噂によると、本来はもっと活躍する予定だったのに、別作品の仕事が忙しすぎて出番を減らされたらしい)。

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他にもハル・ベリーやジェフ・ブリッジズなど有名な俳優が多数出演しているにもかかわらず、目立つようなシーンが少ない点も残念でした。

そして今回の敵として悪事を働くポピー(ジュリアン・ムーア)も、前作のサミュエル・L・ジャクソンに比べると今一つインパクトに欠けるというか、死に方とかあっさりしすぎですよねえ(苦笑)。

また、前作でボスの部下として登場していた両足がブレードの女:ガゼル(ソフィア・ブテラ)が非常に魅力的だったのに対し、今回は片腕が義手のチャーリーになってて、これまた魅力が足りません。

逆に良かったキャラは、前作から引き続き登場しているマーリン(マーク・ストロング)と、新キャラのウィスキー(ペドロ・パスカル)、そしてエルトン・ジョン役のエルトン・ジョン(笑)。

特にエルトン・ジョンは「何でこんなに出番が多いの?」と困惑するぐらい活躍シーンが満載です。つーかエルトン・ジョン目立ちすぎです(完全にゲスト出演のレベルを超えてるよw)。

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あと、主人公のエグジー(タロン・エガートン)とハリー(コリン・ファース)に関しては、キャラに不満はないんですけど、劇中の描かれ方がちょっと…特にハリーの扱いが微妙でしたね。

前作のストーリーをざっくり言うと、「不良少年だったエグジーがある日ハリーにスカウトされ、スパイ養成学校での厳しい訓練を経験し、最終的に一人前のスパイとして活躍する」という姿を描いた”成長物語”でした。

それに対して本作は、「前作で死んだと思われていたハリーが再登場し、エグジーと共に様々な苦難を乗り越え再び一流スパイとして活躍する」という姿を描いた”復活物語”になっています。

しかしながら、ハリーの復活を上手く描けていない(記憶喪失から回復する過程や、ハリーの身体能力が元に戻る描写が不足している)ため、どうにも終盤の展開にノレないんですよねえ。

まず「ハリーが生きていた」という状況自体が登場人物にとって大変なサプライズなわけですから、そこをしっかり描かないとダメでしょう(「ステイツマンの驚異的な科学力によって助かりました」って、いくらなんでも設定が雑すぎるw)。

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そもそもハリーの復活を効果的に描くなら、記憶が戻るタイミングをもう少し遅らせた方が良かったんじゃないかなあと思うんですよ。例えば、敵の本拠地に潜入したエグジーが捕まってしまい、絶体絶命の大ピンチに陥る、と。

ヤバい!このままではやられてしまうぞ!と。そんなハラハラドキドキの状況で(何かをきっかけに)ハリーの記憶がよみがえり、間一髪でエグジーを救出!


「ハリー、記憶が戻ったんだね…!?」

「ああ、待たせたな、エグジー!」


短い会話の後で繰り広げられるハリーとエグジーの大銃撃戦!周りを取り囲む大勢の敵を、たった二人で次々と倒していく壮絶なガンアクションシーンが炸裂!

……とまあ、こういう流れだったら「ハリーの復活」をもっと劇的かつエモーショナルに描けたんじゃないかなーと思うんですよね(非常にベタですけどw)。

他にも細かいツッコミどころは色々あるんですが(ハリーはウィスキーの裏切りをなぜ気付いた?とか、ポピーのメカ犬は二匹もいらんやろとか)、結局のところハリーの扱いが上手くいっているかどうかに尽きると思います。

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とは言うものの(世間の酷評に比べれば)個人的には結構楽しめましたけどね。一番グッときたのは、マーリンが「カントリーロード」を熱唱するシーン。敵を引きつけるために朗々と歌い上げ、全部歌い切った後に爆死するという、実に印象的な名場面でした。

実はあのシーン、最初に編集したバージョンではマーリンが死んでないんですよ。地雷で吹き飛ばされた後、両足を失い瀕死の重傷を負ったマーリンをステイツマンが救出&治療し、ラストの結婚式にも義足を付けて出席してるんです。

ところが、テスト試写を行ったら評判が悪かったらしい。要は、ハリーとエグジーを助けるために自己犠牲で死んだと思って観客は泣いていたのに、その後「実は生きてました〜」って言われたら「感動が台無しだ!」と苦情が出たとか(笑)。

それで急遽、エグジーの結婚式のシーンに映っていたマーリンをCGで消して「死んだこと」にしたようですが、監督は不本意だったみたいですね。でも僕はあの「カントリーロード」の場面を観て結構グッと来たので、良かったと思います(どうせパート3で生き返るだろうしw)。

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あとは、ハリーとエグジーの連携アクションを観れたのも良かったなあ。前回は別々の場所で戦っていたから、二人の共闘シーンがなかったんですよね。だから今回「これぞ『キングスマン』だ!」という見事なコンビバトルが堪能できて非常に満足です。

まあ総合評価的に見れば1作目よりも劣るけど、「続編」なら(『キック・アス』の続編も微妙だったしw)こんなもんかな〜って感じで、個人的には割と楽しめましたよ(^_^)


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衝撃の実話!『ハクソー・リッジ』ネタバレ映画感想/評価

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

昨日、WOWOWシネマでアンドリュー・ガーフィールド主演の戦争映画『ハクソー・リッジ』が放送されました。本作を撮ったのはメル・ギブソンで、『アポカリプト』以来10年ぶりの監督作になります。

※以下、ネタバレしているので未見の人はご注意ください!

■あらすじ『厳格なクリスチャンの家庭に育ったデズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、子供の頃の出来事をきっかけに「汝、殺すことなかれ」という教えを守ろうと心に誓った。やがて成長したデズモンドは看護師のドロシー(テリーサ・パーマー)と出会い、恋に落ちる。そんな中、激化する戦争に「自分も国のために何かしなければ…」と考え、陸軍に志願。しかし銃の訓練を拒否したことで軍法会議にかけられるデズモンド。果たして彼の運命は…』


さて、この『ハクソー・リッジ』は実話ベース、つまり太平洋戦争時に実在したデズモンド・T・ドスという兵士の活躍を描いた”戦争映画”なんですが、最大の特徴は「主人公が全く人を殺さない」という点なんですよ。

通常、”戦争映画”といえば大規模な戦闘シーンが見どころであり、敵味方が入り乱れて激しい戦いを繰り広げる中、主人公がどんな行動をとるか…などのドラマが描かれていました。

過去には『プライベート・ライアン』や『プラトーン』、日本でも岡本喜八監督の『激動の昭和史 沖縄決戦』など、古今東西様々な戦争映画が作られてきたのです。

しかし、「戦場のド真ん中にいるのに一切銃を撃たない主人公」は珍しいというか、かなり特殊なパターンなのではないでしょうか?

なぜそんな状況になったのかと言えば、デズモンドが敬虔なクリスチャンで、「汝、殺す無かれ」という「モーセの十戒」における戒律を忠実に守っているからです。

そのため、「銃の訓練は人殺しに繋がるから嫌だ!」と拒否したわけですが、自ら志願して陸軍へ入ったにもかかわらず「銃には触れません」などと言い放つデズモンドを見て、「お前は何しに軍隊へ来たんだ?」と上官は呆れ返ります(そりゃそうだw)。

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当然ながら軍曹や大尉からは「我々の命令に逆らうのか?」と厳しく叱責され、仲間からも「臆病者!」とバカにされ、激しいイジメや暴力まで振るわれますが、それでも銃を取ることを拒み続けるデズモンド。

そしてとうとう軍法会議にかけられ、「命令違反の罪を認めて除隊に応じなければ刑務所行き」という絶望的な状況にまで追い込まれてしまいました。

この段階になると、厳しく非難していた上官(サム・ワーシントン)もさすがにデズモンドのことが憐れになったのか、「戦争は俺たちがやるから、お前は除隊して国へ帰れ」と優しい言葉で説得し始めます。

また、結婚の約束をしたドロシーも「あなたはもう十分に頑張ったわ」と何とか諦めさせようとしますが、それでもデズモンドの意思は固く、一切主張を変えようとしません。

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「信念を曲げたら僕は生きていけない」

欅坂46の『不協和音』の歌詞みたいなセリフをつぶやき、頑なに軍部の命令を拒否するデズモンド。そう、この物語の主題は「最後まで信念を貫き通す主人公のブレない姿勢の素晴らしさ」なんですね。

結局、軍法会議の途中で入って来た父(ヒューゴ・ウィーヴィング)の直訴のおかげで刑務所行きを免れたデズモンドは、衛生兵として戦争に参加することになりました。

そして1945年5月、彼が配属された部隊は沖縄に到着。先発部隊が6回登って6回撃退された難攻不落の激戦地「ハクソー・リッジ」を前にして青ざめる兵士たち。

高さ150メートルの断崖絶壁を登ると、そこはまさに阿鼻叫喚の地獄絵図!見渡す限り死体の山という、百戦錬磨の鬼軍曹ですら目を背ける凄惨な光景が広がっていました。

そんな恐ろしい戦場に足を踏み入れた兵士たちは、歩き出した途端に四方八方から猛攻撃を受けてバタバタと倒れていきます。その映像の凄まじいこと!

戦争映画における残酷描写は『プライベート・ライアン』以降どんどん激しさを増していますが、本作では顔面を半分吹き飛ばされたり、手足が千切れたり、内臓がはみ出るなど、グロシーンも大幅にパワーアップ!

中でもビックリしたのが、地面に転がっている兵士の死体を拾って”盾”のように使う場面ですね。もうアーノルド・シュワルツェネッガーの『トータル・リコール』以来の衝撃シーンでした(笑)。

しかも、下半身が千切れて半分しかないから、”ちょうど持ちやすい大きさ”になってるんですよ(さすがにこれはフィクションだろうなあw)。

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あと、爆破シーンの激しさにも驚きましたね。普通、映画で爆発場面を撮る時は、安全性を考えて人間から離れた場所に爆発物を設置するのが基本じゃないですか?

ところがこの映画では、兵士のすぐ側でもの凄い大爆発が起きてるんですよ。なんと、その距離わずか60センチ!あり得ないほどの近さです。なぜこんな撮影が可能だったのか?

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特殊効果担当者曰く、「容器に入った爆発物を埋めずに地面に置いて、中に入っている破片が高速で飛び散る様子を映している。だから大爆発のように見えるが、実際は近くに立っていても安全なんだ」とのこと。

しかし映像を見ると、爆破の炎に包まれる瞬間がはっきりと映っていて、「本当にスタントマンは大丈夫なの?」と心配せずにはいられません。この件に関してメル・ギブソンは「問題ないよ。まあ多少は熱いが…」とコメント。やっぱり熱いんかい!(笑)。

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そんな地獄みたいな戦場で、デズモンドは一人だけ武器も持たずに仲間を助けていくわけです。ただ、いくら助けても次から次へと負傷者が出るんですよ、あまりにも戦闘が激しすぎて。

そして、とうとう日本軍の攻撃に耐え切れなくなったアメリカ軍は退却を始めます。しかし、戦場にはまだ大勢の負傷兵が残っている。自分の無力さを痛感し、「主よ、僕はどうすれば…?」と悩むデズモンド。

その時、遠くの方から「助けてくれ!」と叫ぶ声が。それを聞いた瞬間、「神様、分かりました!」とつぶやき、爆音が鳴り響く危険な戦場へ、たった一人で戻っていくのです。

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しかし彼は武器を持っていないため、いつ敵にやられるか分かりません。そんな危機感しかない状況の中でも、降り注ぐ銃弾をかいくぐり、負傷者を見つけては治療&救助し、崖の下へ降ろしていく。

大変な労力ですが、デズモンドはこれを何度も何度も繰り返し、体力が尽きて挫けそうになると「主よ、お願いです。あともう一人だけ助けさせてください」と天に祈り、ボロボロの体を引きずって再び負傷者を捜すために戦場へ戻っていくのです。

銃を持たない彼が唯一持っているのは、”勇気”と”揺るぎない信仰心”だけ。それだけを武器に、たった一人で70人以上の仲間の命を救ったのです。

これはもう、完全にヒーロー映画ですよ。上官や仲間たちから「臆病者」とバカにされ、誰にも認められなかった主人公がクライマックスで大活躍し、最終的に「あいつは凄いヤツだ!」と皆から賞賛されるという、まさにヒーロー映画の王道的な展開です。

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普通、「戦場における評価の基準」っていうのは「どれだけ多くの敵を倒したか?」で決まり、今までの戦争映画でもそういう人が”英雄扱い”されていました。でも本作の場合は「どれだけ多くの人を救ったか?」という部分で評価されてるんですね。

そういう意味では、もの凄く分かりやすいヒーロー映画であると同時に、恐ろしく残虐な戦争映画でもあるという、歪なバランスで構成された娯楽作品と言えるでしょう。

まあ正直、「主人公に弾が当たらなすぎだろ」とか、「一人で70人以上も助けた?そんなリアリティのない話があるか!」と思わなくもないんですが(笑)、実話なので文句は言えません(^_^;)

ちなみに、”飛んで来た手榴弾をデズモンドが華麗に蹴り落とす”というシーンを観て、「カッコいいけどさすがに脚色しすぎじゃないの?」と思っていたら、なんとこれも実話だそうです。

その他にも、映画では描かれていない凄いエピソードがたくさんあったにもかかわらず、「あまりにも現実離れしすぎて観客は誰も信じないだろう」との判断で全部カットされたらしい。う〜む、まさに”事実は小説よりも奇なり”ですなあ(笑)。


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角川学芸出版 (2012-04-25)

実際のハクソー・リッジでの戦いを体験した人たちによる壮絶な体験記!

映画『ワンダーウーマン』はダメウーマン?ネタバレ感想

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

ちょっと最近バタバタと忙しいこともあり、更新が滞りがちになっててすみません(^_^;)

ただ、なかなか映画館に行けないから映画を観る頻度が減ってしまった…かと思いきや、DVDやAmazonプライム・ビデオやNetflixでしっかり観ているので意外と減ってなかったりします(むしろ映画の鑑賞回数自体は増えてるような…w)。

僕自身は映画館で観るのが好きなんですけど、「映画館へ行けない」 → 「ストレスが溜まる」 → 「家で観ることでそのストレスを解消する」っていう、変なスパイラルにはまってしまったのかもしれませんねえ(^_^;)

というわけで本日は、久々に友人の江須田くん(仮名)が登場しますよ(笑)。皆さん、完全に忘れてるかもしれませんが、映画に対して常に辛口な意見ばかりを言っている”面倒くさい映画マニア”の江須田くんです。そして本日のお題は『ワンダーウーマン』!


※以下ネタバレしてます


■あらすじ『かつて軍神アレスと戦ったアマゾン族が暮らしている孤島セミッシラ。この島で女王ヒッポリタ(コニー・ニールセン)の一人娘として育ったダイアナは、ある日島の近くで溺れていたスティーブ・トレバー(クリス・パイン)を助ける。彼から悲惨な戦争が起きていることを知らされたダイアナは、人々を救うためにロンドンへ向かった。しかしワンダーウーマン(ガル・ガドット)となって悪と戦うことを決意したダイアナに、軍神アレスの魔の手が迫る…!』


管理人:やあ江須田くん、久しぶり!

江須田:久しぶり…でもないだろ。割としょっちゅう会ってるじゃん。

管理人:まあ、このブログでは久しぶりなわけで(笑)。今日は『ワンダーウーマン』の話だけど、観てどうだった?

江須田:どうと言われても…特別に「面白い!」って感じではなかったなあ。

管理人:え〜?世界中で大ヒットしてトータルの興収は8億ドルを超え、ファンの評価も上々で「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)の中で最高の出来栄えだ!」って絶賛されてたのに…。

江須田:そりゃ今までのDCEU作品がボロボロだったからだよ!

管理人:身も蓋もない言い方やな(笑)。

江須田:実際そうなんだからしょうがない。だから、「『スーサイド・スクワッド』よりはマシだった」という意見には同意できるけど、『ワンダーウーマン』自体が最高か?と言われれば、やっぱ大したことないと思うよ。

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管理人:具体的にはどの辺が?

江須田:まず、ワンダーウーマンが活躍するまでの前フリが長いよね。

管理人:前フリ?

江須田:この映画って、セミッシラ島で暮らすダイアナの幼少期から物語が始まるじゃない?小さなダイアナが徐々に成長していって、やがて美人のガル・ガドットになって日々の戦闘訓練に明け暮れて…という様子を丁寧に描いてるんだけど、ちょっと長すぎるよ。

管理人:う〜ん、そうかな〜?

江須田:僕らが観たいのはワンダーウーマンがカッコ良く活躍する姿であって、「ワンダーウーマンの生い立ち」みたいな状況説明は最小限にとどめて欲しいわけよ。もちろん説明シーンは必要だけど、ダイアナが島を出てロンドンに行くまで50分近くもかかって、その間ほとんどドラマが進展しないのはいくらなんでもダルすぎる。

管理人:その50分の間にダイアナの背景を語ったり、大切な人(スティーブ)との出会いを描いてるわけだから、かなり重要なシーンだと思うけど。

江須田:この映画が本当に面白くなるのは西部戦線に到着して、英仏連合軍とドイツ軍に挟まれた無人地帯(ノーマンズ・ランド)をワンダーウーマンがたった一人で突破するシーンからじゃん?確かに、あのシーンを観た時は「うおおお〜!」って興奮したけどさ、そこに至るまでが退屈でどうしようもなかったよ。

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管理人:「アクション映画なのに最初の見せ場まで50分もかかる」と言われれば、確かにそうかもしれないね。でも、セミッシラ島でアマゾン族とドイツ軍の戦闘シーンがあったじゃん。

江須田:あれもなあ(苦笑)。かつて軍神アレスと戦ったアマゾン族の戦士たちが、銃を持ったただの人間に苦戦するってどうなのよ?「『ジャスティス・リーグ』でステッペンウルフと戦った時は結構強かったのに、何でこんなに弱いんだ?」ってガッカリしたわ。

管理人:まあ、ステッペンウルフの時もそんなに強くなかったけどね(笑)。

江須田:そもそも、ダイアナがセミッシラ島を出て戦争に参加しようと決意した”動機”がいまいち釈然としないんだよなあ。

管理人:動機とは?

江須田:「世界では戦争が起きて大変なことになっている」という話を聞いた途端、「きっとアレスの仕業よ!」と強引に推測して島を出ようとするじゃん。周囲の人から「それは考えすぎ」と否定されても「アレスのせいに違いない!」とか言い張って全然話を聞かないしさ。言っちゃ悪いけど、ダイアナってちょっと妄想癖があるんじゃないの?頭おかしいよ。

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管理人:頭おかしいって…言いすぎだよ、それは(苦笑)。

江須田:「主人公の”戦う動機”」って物語を進める上でもの凄く重要なポイントだろ?それを、いい加減な理由だけで押し切ろうとしても納得できるわけないじゃんか。『仮面ライダーBLACK』の南光太郎も怪事件に遭遇するたびに「これはきっとゴルゴムの仕業だ!」って何の根拠もなく断定してたけど、それと一緒だよ!

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管理人:いや、『仮面ライダーBLACK』の場合は実際にゴルゴムの仕業だろ(笑)。

江須田:まあ、百歩譲って前半の退屈さには目をつぶるとしても、全体的な満足度の低さは看過できない。後半になっても全然盛り上がらないんだもんな〜。

管理人:なんで?ルーデンドルフ総監(ダニー・ヒューストン)との対決とかラスボス戦とか、盛り上がるシーンはいっぱいあっただろ?

江須田:盛り上がるどころか拍子抜けしたわ。ルーデンドルフ総監なんてビックリするほどあっけなく殺されてるしさ。だいたい、ガスを吸っただけであんなに強くなるなら、あのガスを量産して兵士に吸わせれば戦争に勝てるだろ。

管理人:確かに(笑)。

江須田:あと、ワンダーウーマンはルーデンドルフ総監を「アレスだ」と決め付けて刺し殺しちゃってるじゃんか。でも実際は間違いだったわけでしょ?それって普通に人殺しだよね?

管理人:え〜?戦争をやってるんだよ?戦場で人を殺すのは当り前じゃない。

江須田:いや、そもそも彼女の目的は「このまま戦争が続いたら何万人もの人が死んでしまう」「だから早くアレスを倒して戦争を終わらせなければ!」ってことだったはずなのに、ドイツ兵を容赦なくぶっ殺しているのは矛盾してないか?って話。結局、ダイアナの視点はあくまでもイギリス側から見た正義であって、”絶対的な正義”じゃないんだよ。もちろんそれが”戦争”ってもんだけど、だったら「人間を救うために戦う」というダイアナの主張はどうなるんだ?ドイツ兵は人間じゃないのかよ?

管理人:いやいや、実際はそんなに殺してないでしょ。

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江須田:まあ、基本的にアメコミのヒーローって、そんなに人間を殺さないもんだけどね、デッドプール以外は(笑)。

管理人:X-MENは結構殺してたような…。

江須田:X-MENは人間と対立してたからね。でも、ワンダーウーマンは「今の人間たちはアレスに操られている」「私がアレスを倒せばドイツ兵も善人に戻るはずだ」と言いながらドイツ兵をバンバン殺してる。それは理屈としておかしいんじゃないの?と言いたいわけよ。

管理人:だからそんなに殺してないってば!

江須田:いや、確かに直接人を殺してる描写はルーデンドルフ総監だけなんだが、そういうことじゃなくて…。例えば、スーパーマンが敵と戦う時は基本的に素手だから、人間を殴ったとしても「本気で殴れば死ぬだろうから、手加減して殴ってるんだろう」と解釈できるわな。でも、ワンダーウーマンは”剣(ゴッドキラー)”という武器を持っていて、これで人間を斬ってるんだよ。しかも西洋の剣だから日本刀みたいに峰打ちはできない。とすれば、斬られた方は死んでいる…ってことじゃないの?

管理人:必ず死んでるとは限らないし、そもそもワンダーウーマンの武器は剣だけじゃないよ。光るロープ(真実の投げ縄)を使って相手の攻撃をかわしたり、投げ飛ばしたりしてる。あと、接近戦では”盾”で相手をぶん殴ったり、盾を相手にぶつけたりして戦ってるよ。キャプテン・アメリカみたいにね(笑)。

江須田:それでも剣でドイツ兵をぶった斬るシーンは何度もあっただろ。やっぱバットマンやスーパーマンなど他のヒーローと比べても、ワンダーウーマンは人間を殺しすぎだと思う。

管理人:う〜ん…。

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江須田:それから、屋上でルーデンドルフ総監に剣を刺したワンダーウーマンはそのまま下に降りて来るじゃん?その後、パトリック卿(デヴィッド・シューリス)がアレスだと判明して戦おうとするんだけど、剣がないことに気付いて一旦屋上まで取りに行くんだよね。あのシーン、要る?要らねえだろ!

管理人:細かいところを観てるなあ(笑)。

江須田:あと、気になったのはスティーブの自爆シーン。

管理人:ああ、毒ガスを積んだ飛行機に乗り込んで、自らの命を犠牲にして大勢の人を救おうとする感動的なシーンだったよねえ。

江須田:この映画で一番クソみたいなシーンだったわ。

管理人:えええええ〜!?

江須田:そもそも「娯楽映画における自己犠牲の場面」っていうのが元々嫌いなんだけど、やるならもっと説得力のある見せ方してくれよと。あれ、スティーブが飛行機を適当なところまで飛ばして、その後パラシュートで脱出すれば死ななくても済んだんじゃないの?なんであの状況で死ななきゃいけないんだよ!

管理人:それはやっぱり、彼の死をきっかけとしてワンダーウーマンが覚醒するために…。

江須田:だろ?それがダメなんだよ!単に”主人公を真のパワーに目覚めさせるためのトリガー”としてスティーブを殺してるだけだから、ストーリー上の必然が全くないんだよ。キャラクターが死ぬ時っていうのは…特に誰かを助けるために死ぬ時は、「どう考えても他に選択の余地がない」という状況を作った上で話を展開させないと、”人の死”ってものが物凄く安易に見えちゃうんだよ。この監督はその辺が全然わかってない!

管理人:う〜ん、まあ「スティーブの死」はもうちょっと上手い描き方があったような気がするよね。ただ、僕は死ぬ直前の「僕は今日を救う。君は世界を救え」というセリフにグッときたのでOKです(笑)。

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江須田:最後のラスボスの”アレス戦”も、CGをバリバリ使った大味なアクションで全然ワクワクしなかったし。「愚かな人間どもに見切りをつけて、俺の仲間になれ」 → 「私は愛を信じる」 → 「ならば死ぬがいい!」というやり取りもテンプレすぎて目新しさが全く無いしさあ…。

管理人:あの辺はもう、アメコミヒーロー映画のお約束だよ(笑)。むしろ、今時あそこまで堂々と「愛」を全面に押し出した演出は逆に天晴れだと思った(笑)。

江須田:結局、この映画は「ガル・ガドットの演じるワンダーウーマンが強くて美しくてサイコー!」ってだけなんだよ。それだけは本当に素晴らしいと思うけど、それ以外はツッコミどころだらけの標準的なアメコミ映画で、特筆すべき点は何もない。

管理人:久しぶりに出て来ても、相変わらず辛辣な評価だねえ…(苦笑)。

江須田:あ、あともう一つ思い出した。

管理人:まだ何かあるの?

江須田:後半、ワンダーウーマンが舞踏会に潜入する時、ドイツ人のおばさんの青い服を盗んで着てたじゃん?服を取られたあのおばさんはどうなったんだろ?もしかして素っ裸で放置されてるのかなあ?だとしたら可哀そう…

管理人:知らんがな!

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押井守監督作品『スカイ・クロラ』ネタバレ解説

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

今晩22時からWOWOWで「闘う押井守」と題し、『ガルム・ウォーズ』『スカイ・クロラ』『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』『イノセンス』『機動警察パトレイバー 劇場版』『機動警察パトレイバー2 the Movie』『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット』が連続放映されます。

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「いったいWOWOWは何故こんなに押井守をフィーチャーするんだ?」と思わざるを得ませんが(笑)、ファンにとっては嬉しい状況と言えるでしょう(でも、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』が入ってないのは残念だなあ)。

というわけで本日は『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』について書いてみたいと思います(『イノセンス』『ガルム・ウォーズ』『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』については過去記事をご覧ください。『パト1』『パト2』についてはそのうち記事を書くかもしれませんw)。


■あらすじ『ヨーロッパの前線基地、兎離洲(ウリス)に配属された戦闘機パイロットのカンナミ・ユーイチ(加瀬亮)。彼にはこの基地に赴任する前の記憶がなく、分かっているのは自分が思春期の姿のまま、空で死なない限り生き続ける“キルドレ”であることと、戦闘機の操縦法だけだった。そしてユーイチは、ミステリアスな女性司令官クサナギ・スイト(菊地凛子)に惹かれていく。果たして彼女は何者なのか?そしてキルドレたちが背負った、悲しく切ない宿命とは?全ての謎が解き明かされた時、ユーイチは自分たちに課せられた残酷な真実を知ることになる…!』


原作はベストセラー作家・森博嗣による同名人気シリーズで、見世物としての“戦争”が行われている世界を舞台に、思春期の姿のまま戦闘機のパイロットとして永遠に生き続ける“キルドレ”と呼ばれる者たちの姿を、叙情的な世界観で綴ったSFスカイ・アクションです。

僕は公開時に劇場で鑑賞したんですが、『スカイ・クロラ』を観てまず感じたことは「従来の押井守のスタイルからかなり変化してるな〜」ってことでした。特に顕著なのは、アニメ作品には珍しい「長回し」を多用している点でしょう。つまりワンカットが異常に長いんですよ。

通常の劇場用長編アニメーションでは、2時間の作品でカット数がだいたい1500〜2000カットぐらいなのに対し、『スカイ・クロラ』は(カット割りの多い空戦シーンを含めても)わずか840カットしかありません。

「カット数が少ない」ということは「ワンカットにかかる時間が長い」ということで、アニメの平均的な秒数がワンカットあたり5〜10秒程度とされる中、なんと「150秒」という常識では考えられないような長いカットまで存在しているのですよ!

また、本作はこれまでの押井作品と比較して、極端に台詞が少ないことも大きな特徴でしょう。なんせ「押井守といえば長ゼリフ」と言われるぐらい、毎回長ゼリフを多用していることで有名ですからね(笑)。

そんな”長ゼリフ大好き監督”の作品なのに、キャラクターが一言二言会話した後、数十秒にも渡って沈黙が画面を支配するカットもあったり、全編に渡って恐ろしいぐらいの”間”を取っているのです。

これまで、長大で難解な長ゼリフを駆使してひたすら時間と空間を埋めてきた独特の”押井節”を、今回は文字通り封印しているのですよ(「セリフの少ない押井守作品」ってかなり珍しいんじゃないかなw)。

しかし、おそらくは日本のアニメーション史上初めての困難な演出的試みに挑戦することとなったアニメーターたちは、想像を絶する苦労を強いられたそうです。

この難問に立ち向かったのが、キャラクターデザイナーを兼ねた作画監督の西尾鉄也さんでした。作画監督とは、手分けして作業される原画を全てチェックし、キャラの表情やカットの繋がり等を考えて取りまとめる、いわば”作画面の最高責任者”です。

ただし、劇場クラスの作品では、その膨大な作画枚数をこなすために、複数の作画監督を立てることが多いのですが、『スカイ・クロラ』では西尾さんがたった一人で全カットを担当。なぜそんなことになったのでしょう?

実は押井監督の作品って、他の劇場用映画と比較しても驚くほど作画枚数が少ないんですよ。これは、レイアウトを重視する演出法により、キャラクターが止まった状態(トメ)で独自の表現を確立してきたからです。

押井監督自身も、「僕の映画の凄いところは、気が付くと絵が止まっていることだ」と堂々と述べているぐらいですから、当初は西尾さんも「まあ、押井さんの映画は作画枚数が少ないし、自分一人でも何とかなるだろう」と余裕をぶっこいていたらしい。

ところが、『スカイ・クロラ』において押井監督は、電話を取る微妙な動き、タバコを取り出して火をつけるまでのたっぷりとした間、犬と戯れる少女の無邪気な走りなど、徹底してキャラに「演技」させることを要求しました。

映画の中に「時間」を発生させ、キルドレたちの抱く「気分」や「雰囲気」をセリフに頼らずに伝えるために、繊細な動きが必要だったからです。しかし、そのせいで『スカイ・クロラ』の作画枚数は、過去の押井作品中でも異例の分量に達することになりました。

おまけに押井監督の要求は日を追う毎にエスカレートし、「キャラが止まっている時にも無意識の演技をさせろ」などの意味不明な指示まで飛び出す始末(西尾さんは「止まっているのに動かせってどういうこと?まるで禅問答だ」と困惑したらしい)。

これは、「実際の人間は”完全に止まっている状態”というのは有り得ない。呼吸もするし、まばたきもする。止まっているように見えても、必ず体のどこかが動いているんだ。それを表現したいんだよ」という意味だったようです。

確かに、映画を注意深く見てみると、キャラは止まっていても微妙に肩の部分が動いていたり、髪の毛が僅かに揺れていたり、常に何かが動いていることがわかります。しかし、これを実際に描かねばならないアニメーターたちの苦労たるや尋常ではありません。

押井監督の要望に応えるために集められた原画マンは50人にも及び、各々が業界を代表するベテラン揃いでしたが、作業が始まった途端「どうやってキャラクターに演技をさせればいいのか解らない!」などの苦情が殺到した模様。

当然ながらそのしわ寄せは全て作監の西尾さんに降りかかり、作画枚数の増加に伴って制作スケジュールは遅れに遅れ、描いても描いても終わらない無間地獄に突入!

製作現場は空前絶後の修羅場と化し、2008年3月(最終仕上げ段階)に至っては、スタッフ全員丸2週間スタジオに泊り込み、24時間不眠不休の突貫作業を余儀なくされたそうです(西尾さん曰く、「死ぬかと思った」とのこと)。

最終的に『スカイ・クロラ』の総作画枚数は5万枚近くに達したものの、それだけの苦労をかけた成果は何か?といえば、「キャラが止まっているように見えて実は微妙に動いている」という、恐ろしく地味な画面だけだったのです、トホホ。

加えて、動きを優先させる為にわざとキャラの線を減らし単純化しているので、”二重の意味でビジュアルが地味”という問題が発生しており、今まで以上に爆睡必至の状況となってしまいました(困ったもんだw)。

その一方、レシプロ機同士が織り成す見事なドッグファイトは全て3DCGで描かれており、実写と見紛うばかりのリアルな描写が圧倒的なド迫力を生み出しています。

さらに、ジョージ・ルーカス率いる世界最高峰の音響スタジオ「スカイ・ウォーカー・サウンド」で制作された素晴らしい効果音と相まって、とてつもない臨場感を醸し出すことに成功。

すなわちこの映画は、「地上のシーンで睡魔に襲われ、空中戦のシーンで眼が覚める」という、極端から極端へ走るようなシチュエーションの連続で構成されているのですよ(疲れるなあw)。

おまけに、キャラクターを演じる声優陣にも若干問題が…。元々、押井監督は声優の技術を高く評価していて、これまでの作品でも(サブキャラクター以外は)プロの声優を使っていました。

押井さん曰く「制限された尺の中で、ぴったりセリフを合わせることができる日本の声優は、世界的に見ても非常にスキルが高い」と絶賛し、一貫して声優を使う事にこだわってきたのです。

ところがなんと、『スカイ・クロラ』ではメイン・キャラのほとんどを役者が演じることになりました(宮崎駿監督もプロの声優の”芝居がかった喋り方”が嫌いで主に役者を起用していますが、宮崎監督と同じやり方を試したのかな?)。

まあ、それは別に構わないんだけど、せめてセリフをちゃんと喋れる人をキャスティングしてもらいたいんですよ。いや、菊池凛子さんのことなんですが(笑)。彼女の”女優”としてのスキルはともかく、”声優”としてはどう考えても適任とは思えず、非常に残念でした。

ちなみに、他の役者さんはどうか?といえば、まず函南優一を演じた加瀬亮さんは(好みが別れるかもしれませんが)、ぼそぼそ〜っと喋る独特のテンポが個人的には良かったと思います。

それから、土岐野尚史役の谷原章介さんも、すでに『ベクシル』などで声優経験があるためか非常に安定しており、キャラにもぴったりでした。

でも一番驚いたのは、栗山千明さんですね。声優初挑戦にもかかわらず、メチャクチャに上手い!最初はプロの声優が演じているのかと思ったほどで、意外な才能を発揮していますよ(ちなみに、本人は重度のアニメオタクらしいw)。

一方、可哀想なのは『パト2』や『イノセンス』など押井作品の常連と化している竹中直人さん。4年ぶりの押井守作品ということではりきってスタジオ入りしたのに、演じるマスターの出番はわずか2シーンのみ(セリフはたったの一言)。台本を受け取るやいなや、「監督!俺のセリフ、これだけですか!?」と押井さんに詰め寄ったそうです(笑)。

さて最後に総合評価なんですが、実はこの『スカイ・クロラ』って「若者向けの映画」なんですね。今回、押井守監督はハッキリ「今の若い人たちに観てもらうためにこの映画を作った」と公言しているんです。

そのため、森博嗣のヒット小説を原作とし、脚本を『世界の中心で愛をさけぶ』の伊藤ちひろに依頼し、『バベル』でアカデミー賞にノミネートされた菊池凛子を起用するなど、完璧な布陣で制作。

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さらにアクションシーンを増やして、自らの武器である”長ゼリフ”まで封印するなど、最大限エンターテイメントに徹するという”大幅なスタイル変更”で本作に挑みました。そこまでして押井守監督が若者たちに伝えたかったものは何か?っていうと、”人生”なんですよ。

『スカイ・クロラ』に出て来るキルドレたちは、自分たちが何のために生まれて何のために戦っているのか分からないまま、同じような毎日を生きている。それは、「まさに今の若者たちの間に蔓延している空気そのものじゃないのか?」と。

そして、主人公の函南優一は「いつも通る道は同じかもしれないけれど、見える景色は違うはずだ」と言って、最強の敵である”ティーチャー”に戦いを挑み、最後は死んでしまいます。しかし、エンディングの後に再び帰って来るんですよね。

つまり、「人生とは同じことの繰り返しで退屈に思えるかもしれないけれど、生まれて来た意味や戦う意味が分からなくても、自分で意味を見出すことは出来るんじゃないの?」「大事なのは、自分の意思で何かを成し遂げること」「負けてもまたやり直せばいいんだよ」ってことらしい。

結果的に『スカイ・クロラ』は、押井守監督が一番観て欲しかった若い人たちにはあまり観てもらえなかったようですが、作品自体は「今のところ自分にとってピークであり、間違いなく一番上手くできた映画だ」と満足しているそうです。世間の評価は……まあ、色々アレですけどね(^_^;)


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高畑勲監督について

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

先日、「アニメーション監督の高畑勲さん死去」のニュースが流れ、日本のみならず世界中で大きな話題となりました。

高畑勲監督といえば、『アルプスの少女ハイジ』や『火垂るの墓』など、数々の優れた作品を生み出し、宮崎駿監督と並んでスタジオジブリで活躍した巨匠です。

当ブログでも過去に何度か高畑勲作品を取り上げていますが、個人的には「アニメ作りに取り組む高畑監督の姿勢」にすごく興味があるのですよ。

例えば、初の長編映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』の場合は、高畑監督のこだわりが強すぎて(というか東映動画の労働組合の問題もあったりして)、製作スケジュールが延びまくり&予算も増えまくり、なんと完成まで3年もかかってしまいました。

当然、制作中は東映動画の偉い人たちから「映画を1本作るのにいつまでかかってるんだ!」「早く仕上げろ!」と厳しく責められていたようですが、高畑監督は最後まで初志を貫き、でもやっと完成したのに全くヒットせず、最終的には会社を辞めるハメに…。

しかし、アニメーション映画としての評価は非常に高く、「楽しくて分かりやすい子供向けのファンタジー・アニメ」からの脱却を図ろうという高畑監督の意図が全編に反映され、宮崎駿、大塚康生、小田部羊一、森康二など凄腕アニメーターを集結して作り上げた本作は、今観ても色褪せない迫力を感じさせます。

また、『アルプスの少女ハイジ』を作る時は、プロデューサーに対して「アニメを週に1本作るのは無謀すぎる」「作品の完成度を維持するために、もっとスケジュールを確保してくれ」などと激しい議論を繰り広げていたそうです。

その様子を見ていた宮崎さんは「もう製作が始まって現場が動いてるのに議論しているのが信じられない。そんな暇があるなら早くこっちに絵コンテをくれよ!と言いたくなった」と非常に頭に来たそうです(笑)。

さらに『火垂るの墓』を作る際は、戦時中の状況を徹底的に調べ上げ、街の様子や爆撃機の飛んで来る方向に至るまで、ちょっとでも事実と違っている個所は全てリテイク。なんと、背景に生えている草の種類まで丁寧に描き分けていたそうです。

しかし、あまりにも完璧を求め過ぎた結果、とうとう映画の公開日までに間に合わせることが出来ず、一部を未完成のまま公開するはめになってしまったのですよ(ソフト化の時点で修正されましたが)。

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このような高畑監督の「アニメ作りに対する姿勢」を見ていると、”商業映画監督”とは思えないんですよね。決められた期限内に完成させることよりも、作品のクオリティを何よりも優先するその姿勢は、明らかに”芸術家”の考え方です。

だから、鈴木敏夫さんの「良い芸術作品を作るためにはパトロンが必要」というコメントは非常に的確だと思うし、高畑勲の制作スタイルは、もはやそれでなければ成立しない次元にまで到達していたのでしょう。

そういう貴重なアニメーション作家がいなくなったのはアニメ業界にとっても大きな損失であり、今後、高畑監督の新作を観られないのは非常に残念と言わざるを得ません。ご冥福をお祈りいたします。


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『パシフィック・リム:アップライジング』ネタバレ感想

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

先日、『パシフィック・リム:アップライジング』を観て来ました。

そう、「巨大ロボと巨大怪獣が壮絶な戦いを繰り広げる」という、ロボットアニメで良くあるストーリーを実写で再現した破天荒すぎるSFアクション映画『パシフィック・リム』の続編です。

何を隠そう(何も隠しませんが)僕は前作の『パシフィック・リム』が大好きで、本作も公開前からとても楽しみにしてたんですよ。

ところが…

『パシフィック・リム:アップライジング』が完成するまで、様々な困難と紆余曲折があったみたいなんですよねえ。まず、続編の制作が決定するまでが非常に長かったとか。

計画自体は早い段階から立ち上がっていたようですが、1作目が製作費1億9000万ドルに対してアメリカとカナダの興行収入が合わせて9700万ドルという微妙な結果だったため、「再検討した方がいいのでは?」となったらしい(全米興収だけなら完全に赤字だもんね)。

幸いにも、中国で大ヒットしたことで何とか制作は決まったものの、映画会社のレジェンダリー・ピクチャーズが中国の大手企業に買収されたり、脚本が大きく手直しされたり、予算を減らされたりした挙句、とうとうギレルモ・デル・トロ監督が降板してしまいました。

降板理由は「GOサインが出るまでに時間がかかり、スケジュールが延び延びになって『シェイプ・オブ・ウォーター』の撮影時期と重なってしまったから」とのことですが、この時点で十分不穏な空気が漂ってますよねえ(苦笑)。

その後も、監督がスティーヴン・S・デナイトに変わったり、レジェンダリーとユニバーサルの対立によって撮影が中断されたり、前作で主演を務めたチャーリー・ハナムが降板したり、公開予定日を3回も延期したり、次から次へとトラブルが勃発。

そんな感じでやっと完成した『パシフィック・リム:アップライジング』は、本国アメリカの成績が全然振るわず前作を下回る残念な結果となってしまいました(元々アメリカではヒットしてなかったので当然と言えば当然かもしれませんが…)。

さらに観客の評価もいまいちパッとしてないようで、前作を高く評価していたファンですら「俺たちが期待していた『パシフィック・リム』の続編はこんなんじゃない!」と批判している有様。

まあ、事前の情報があまりにもネガティブなものばかりで、逆にハードルが思い切り下がった状態で鑑賞できたから、僕はそんなにガッカリしなかったんですけどね(笑)。

とうわけで、以下ネタバレありで感想を書かせていただきます。


■あらすじ『人類とKAIJUUの死闘から10年が経過し、平穏な日々を取り戻していた地球。しかし、進化を遂げたKAIJUUが再び姿を現したことで、新たな戦いが勃発した。10年前に壮絶な死を遂げたスタッカー司令官の息子:ジェイク・ペントコスト(ジョン・ボイエガ)も新型イェーガーに乗り込み、人類のために立ち上がる。集結した若きパイロットたちは迫り来る危機を乗り越えることが出来るのか!?』


まず最初に結論から言ってしまうと、「続編映画としてはそれなりの完成度で、可もなく不可もなく」って感じでした(要は「良い部分もあれば悪い部分もある」という、極めて普通の感想w)。

ただし、色々言いたいことはありまして…

皆さんも心当たりがあると思いますが、基本的に「ヒットした映画の続編」って微妙な仕上がりのものが多いじゃないですか?では、どのような理由で微妙になってしまうのか?以下に「続編映画あるある」をいくつか書き出し、検証してみたいと思います。


1:主人公が変わった

普通、続編の主人公は前作の主人公がそのまま続投するパターンが多いですよね(『ダイ・ハード』シリーズの主人公は常にジョン・マクレーンだし、『ロッキー』シリーズの主人公はロッキーだし)。

そもそも観客は「前作の主人公の活躍をもう一度見たい」と思うからこそ続編の制作を望むわけで、その主人公を”変える”という選択は(基本的には)あり得ないはずなんです。

にもかかわらず、世の中には「諸事情で主人公が変えられてしまう」というパターンが割と存在するんですよ。そして(個人的な感覚ですが)そういう続編映画は前作に比べて面白さがダウンしている…ような気がします。

具体例を挙げると、大ヒットアクション映画『スピード』の続編は、前作の主人公だったキアヌ・リーブスが出演を断ったため、”同僚の警察官”という設定のアレックス(ジェイソン・パトリック)が主役になって大コケしました(コケた原因は諸説あり)。

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また最近では、『インデペンデンス・デイ』で主役を演じたウィル・スミスが『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』に出演しなかったため、彼のキャラ(スティーヴン・ヒラー)は死んだことにされてしまい、前作のファンもガッカリした模様。

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もちろん、主人公が変わっても面白い続編はありますけどね。ただ「ストーリー上、特に理由もなく主人公が変わるような映画」は、本編自体に”何らかの不具合”が発生しているケースが少なくありません。

そして『パシフィック・リム:アップライジング』も、前作であんなに活躍していたローリー・ベケット(チャーリー・ハナム)が一切登場せず、まるで”最初からいなかった”かの如くスルーされているのですよ。

いやいや、10年前に地球を救った英雄の一人なのに全く触れられないってのは、いくら何でも不自然でしょう?チャーリー・ハナムがスケジュールの都合で出演できなかったのは仕方がないとしても、「10年の間に死亡していた」とか、何らかの形で彼のその後を伝えることは出来たと思うんですが…。

まあジョン・ボイエガが演じた新主人公(ジェイク・ペントコスト)は悪くなかったです。キャラも魅力的だし、ノーテンキな言動で映画の雰囲気も前作より明るくなっていました。しかし、前作のヒーローをないがしろにし過ぎている点は看過できないなあ(^_^;)


2:前作のキャラの扱いがひどい

「主人公の変更」にも通じるんですが、「前作のキャラが続編でどのように扱われるか?」に関してはファンなら気になるところでしょう。なんせ好きな映画のキャラクターにもう一度会えるわけですから。

しかし、前作で活躍したキャラが続編で不当な扱いを受けたとしたら…。内容によってはイヤ〜な気持ちになるんじゃないでしょうか?

例えば、デヴィッド・フィンチャー監督の『エイリアン3』の場合は、前作で生き残ったキャラクター(ヒックスとニュート)が映画の序盤でいきなり死亡したり、『キングスマン:ゴールデンサークル』でも同様の状況になったことで、「前作のキャラの扱いがひどい!」との批判が殺到しました。

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そして『パシフィック・リム:アップライジング』も、前作で人類の危機を救った優秀なパイロットの森マコ(菊地凛子)が、大して活躍もしないうちに序盤であっさり死亡するなど、ファンの期待を裏切る展開が続出。

特に、ハーマン・ゴットリーブ博士(バーン・ゴーマン)とコンビを組んで怪獣の生態を解き明かしたニュートン・ガイズラー博士(チャーリー・デイ)が、今回は怪獣に操られて主人公たちを苦しめてるんですよね。

いや、そういう展開自体は悪くないと思うんですよ。「前作で味方だった人が続編では敵になっていた」という意外性が物語に変化をもたらせているし、「1作目と同じことをやってもしょうがない」という製作側の意図も理解できます。

ただ、そういう展開にするならキャラを最後まできちんと描いて欲しかった。前作との”キャラの繋がり”を重視するのであれば、ニュートンに善の心が残っていて怪獣と人類の狭間で悩み苦しむとか、ハーマンの友情溢れる活躍でニュートンが正気を取り戻すとか。そういう姿を見たかったなと。

しかし本作では、怪獣に意識を乗っ取られたニュートンはラスボスとの戦闘終了後もそのままの状態で、何も救われることなく映画が終わってしまうのです。これはちょっとあんまりではないかと。

せめてハーマンが「必ず君を助けてみせる。待っていろ!」とカッコいいセリフを言い放って締めくくっていれば、次回作(があるかどうか分かりませんけど)に期待を持たせることも出来たと思うんですが…。


3:監督が別の人になった

「1作目を撮った人とは違う監督が2作目を撮る」というのは割と良くあるパターンで、続編映画としては珍しくありません。ただ、「え〜、大丈夫かな〜?」と不安を感じるファンもいるでしょう。

例えば、『ターミネーター』『ターミネーター2』のジェームズ・キャメロン監督に代わって『ターミネーター3』の監督に抜擢されたジョナサン・モストウは、『T3』公開後に大変なバッシングを受けたそうです。

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個人的には『T3』ってそんなに酷い映画とは思わないんですが、世間一般の評価として「ああ〜、ジェームズ・キャメロンが監督していればなあ…」みたいなガッカリ感を生じさせたことは否定できません。

それと同じように、「ああ〜、『パシフィック・リム:アップライジング』もギレルモ・デル・トロが監督していればなあ…」と思った観客が(僕を含めて)多数いたことは間違いないでしょう。


4:映像は凄いけど内容が残念

これはもう、典型的な「続編映画あるある」ですね(笑)。そもそも「続編を作る意義」っていうのは「観客に前作以上の驚きを与える」ってことですから、映像効果等をパワーアップするのは続編映画の方向性として完全に正しいわけです。

さらに「観客が求めているもの」もある程度わかっているので、「前作のストーリーを踏襲しつつ予算を増やして豪華な映画」を作ればヒットするのは自明の理…のはずなんですけど、なぜこうなってしまうのか(苦笑)。

僕が『パシフィック・リム:アップライジング』を観て一番ガッカリしたのも内容の部分で、特に前作で非常に盛り上がった”熱いドラマ展開”が控え目になっている点が残念でした。

『パシフィック・リム』を良く知らない人と話をすると、「パシリムって要するに巨大ロボと巨大怪獣が殴り合ってるだけの映画でしょ?」とか言われるんですが、いやいや!それだけじゃないんだよ!

過去の戦闘でボロボロに成り果てた主人公が再びパイロットとして立ち直る姿や、幼い頃のトラウマを克服して成長するヒロインや、自らの命と引き換えに怪獣を倒すスタッカー司令官など、胸が熱くなる見どころはいっぱいあるんだよ!

特に「切り札の核爆弾を失った主人公が、最後の手段として自分が操縦している巨大ロボの動力を爆破する」というクライマックスは、『トップをねらえ!』の最終話で「ブラックホール爆弾を起爆できなくなった主人公が、自分が操縦しているガンバスターの動力を使って爆破するシーン」を彷彿させる名場面でした。

その他、『マジンガーZ』や『エヴァンゲリオン』や『ジャイアント・ロボ』や『パトレイバー』や『ゲッターロボ』や『鋼鉄ジーグ』など、ロボット・アニメからの引用が至る所に見受けられたのですよ。

そんな熱すぎる1作目に対して、2作目は割と正攻法で作られ、日本のロボアニメ的なノリや”勢い”みたいなものがあまり感じられなかったのが残念でなりません(日本を舞台にしたり、明るい場所での戦闘シーンが多かったのは嬉しいんですけどねえ…)。

これはやっぱり、ギレルモ・デル・トロ監督の”フェチ”が圧倒的だったからでしょう。デル・トロ監督が自身のオタク魂を存分に炸裂させ、細かい部分までフェティシズムに満ち溢れていたからこそ、前作の『パシフィック・リム』はあれほどオタクの心に響いたんですよ。

スティーヴン・S・デナイト監督が作った続編にもロボット・アニメに対するリスペクトは感じられるんですが、いかんせんデル・トロ監督に比べると”フェチ”が足りない(苦笑)。その差が大きいと思います。

というわけで、「微妙な続編映画にありがちな要素」を4つ取り上げて検証してみました。まあ、大抵の続編映画にはこれらの要素が必ず1つや2つ入っているものです。でも『パシフィック・リム:アップライジング』の場合は4つ全部入ってるんですよね。それはさすがにマズいんじゃないかと(笑)。

ちなみに、本作を批判している人の意見で、「中国企業の女社長(ジン・ティエン)が目立ちすぎだろ!」っていうのがあったんですが、そもそも『パシフィック・リム』はアメリカよりも中国で大ヒットした映画なので、中国向けにアピールするのは”自然な流れ”と言えるでしょう(ロケも中国でしてるし)。

まあ確かに、クライマックスで女社長が自らロボットを操縦している姿には僕も度肝を抜かれましたけどね。あのシーンを観た瞬間、「えええ〜!ウソでしょ!?」「なぜ社長がそんなことを!?」と思わず声が出そうになりましたから(笑)。

あと、イェーガーの片腕にロケットを溶接して宇宙まで飛んで行き、そのまま富士山を登っている怪獣目がけて特攻する攻撃方法も爆笑しました(こんなバカバカしい倒し方見たことないw)。

そういう意味では「前作以上にバカ映画としての完成度が上がっている」とも言えるわけで、「これぞ『パシフィック・リム』の正統な続編だ!」と評価すべきなのかもしれません(^_^)


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『パシフィック・リム』ネタバレ映画感想


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オススメすべきかどうかちょっと微妙な映画10選

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

ゴールデンウィーク中に、世界中で大ヒットしているアレとかアレとか超大作映画を観まして、そっちの方はいずれ感想を書く予定なんですが、それ以外にも色々レンタルして映画を観てたんですよ。

ただ、観たのはいいんですが、「敢えてオススメするほどでもない。けど、ちょっとだけ言いたいことがある」みたいな映画が多かったんですよね。

そういう映画は過去にもたくさんあって適当にスルーしていたものの、「どうも気持ちがスッキリしないな〜」と。そこで、1作品だけなら短いけれど、そういう映画をまとめて書けばそこそこ長い記事になるんじゃないか…と。

そんなわけで本日は、「オススメすべきかどうかちょっと微妙な映画」をいくつかまとめてご紹介したいと思います。いや、別に悪い映画じゃないんですよ。それなりに見どころはあるんです。

要は「これちょっと観てみない?え?う〜ん…、メチャクチャ面白い!ってわけじゃないんだよね。でも、なんか捨て難い魅力があるっていうか…もしかしたら気に入るかもしれないよ?」ぐらいのテンションだと思って下さい(^_^;)


●『ザ・ウォール』

予告編 → https://youtu.be/8zwcA5AOLQE

監督は『ボーン・アイデンティティー』など優れたアクション映画で有名なダグ・リーマン。主演は『キック・アス』の主人公を演じたアーロン・テイラー=ジョンソン。

イラクの砂漠地帯で敵のスナイパーが仕掛けた罠にはまった主人公が、絶望的な状況の中、必死に反撃を試みる…というストーリーで、設定も内容もものすごくシンプルな映画です。

なにしろ登場人物はたったの二人。しかもそのうち一人は敵に撃たれてずっと地面に倒れたままなので、実質、画面に映るのは一人だけ。

つまり、一人のアメリカ兵が(彼らの無線に勝手に割り込んで来る)見えない敵スナイパーの声を聞きながら、少しずつ情報を集めて絶体絶命の危機を脱する、という一種の「密室劇」になっているのですよ。

これ、非常に面白い映画でオススメしたい気持ちはあるんですが、いかんせん画面が地味なんですよね(笑)。あと、決定的に「う〜ん…」と思ったのがラスト。オチの付け方がイマイチ納得できなかったので、そこだけは「惜しいなあ」って感じでした。

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●『クリミナル 2人の記憶を持つ男』

予告編 → https://youtu.be/s3BABCkfvTo

名優ケヴィン・コスナーを筆頭に、『デッドプール』のライアン・レイノルズ、『ワンダーウーマン』のガル・ガドット、さらにゲイリー・オールドマンやトミー・リー・ジョーンズ、スコット・アドキンスなど豪華な出演者が集結した本作。

「任務中に死亡したCIAエージェントの記憶を凶悪犯罪者の脳に移植する」という破天荒なストーリーや、激しいアクションシーンなど見どころはたくさんあるんですが、なぜかあまり印象に残りませんでした。なぜだろう?


●『アフターマス』

予告編 → https://youtu.be/PUPEmteg8jo

「謎の旅客機墜落事故で娘を失ったアーノルド・シュワルツェネッガーが、元特殊部隊隊員のスキルを活かして事件の真相を突き止める」という話では全然なく、実話を基にしたヒューマン・ドラマです。

いや、悪くはないんですけどね。でも、これってシュワちゃんが主人公である必要があまりないような…。後味も良くないし、ちょっとオススメし辛いかなあ(^_^;)


●『フェイク 我は神なり』

予告編 → https://youtu.be/X4JEXwRvk_Y

感動系ゾンビ映画という新ジャンルを生み出した『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督。サンホ監督は元々アニメーション作家で、97年頃から短編アニメを作り続け、長編2作目がこの『我は神なり』なのです。

「宗教にのめり込む村人たちから金を巻き上げる詐欺集団」の姿を描いた本作は、内容的には非常に高く評価されてるんですが、問題は「登場人物に全く共感できない」ってこと。

まず、主人公のキャラがひどい。自分の娘が必死で貯めていた学費を全部バクチに使っちゃうし、酒を飲んだら酔っ払って暴力を振るうし、口を開けば人の悪口しか言わないし、もう清々しいぐらい「人間のクズ」なんですよ(笑)。

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そして、詐欺師の集団も当然「人間のクズ」だし、真面目そうな牧師さんも最終的には人を殺すし、村人はみんな詐欺師の言うことを信じて”お布施”を払ってるし、共感できるキャラが一切出て来ないんですよ、この映画には!

なので、主人公と詐欺師集団が対決する場面も、普通なら「負けるな、頑張れ!」って応援したくなるはずですが、主人公があまりにもクズすぎて1ミリも応援する気が起きません(笑)。

そんな映画が面白いのか?という疑問が当然出るでしょうけど、不思議なことに面白い!

「俺はいわゆる”クズ人間”のレッテルを貼られていて、ケンカの相手を必要以上にブチのめしたり、メシを食って料金を払わねーなんてのはしょっちゅうよ!」「だがこんな俺にも、吐き気のする”悪”はわかるッ!」

的なことを言いながら(言いませんが)悪人どもをボコボコに殴りまくるシーンは、主人公が殴られても悪人が殴られても、「どっちでもいい」「もっとやれ!」という謎のカタルシスが発生します(両方死んで欲しいのでw)。

そういう意味ではオススメしたい映画ではあるんですけど、最後まで観ても幸せな気持ちには全くなれないので、鑑賞する場合は自己責任でどうぞ(^_^;)


●『ダイ・ファイティング』

予告編 → https://youtu.be/XzAnjrDN2BA

たぶん、今回取り上げた作品の中で一番オススメし難い映画がこれですね(笑)。「奥さんを誘拐された主人公が、犯人から無茶な要求を受け続ける」という内容も微妙だし、全体の雰囲気がとにかく安っぽい。

ただ、アクションだけは凄いんですよ。なぜなら本作は、主役を演じたファビアン・ガルシアが「自分たちの手で最高のアクション映画を作りたい!」と考え、仲間のスタントマンやアクション俳優ばかりを集めて作ったからです。

そのため、登場人物の動きだけはやたらにキレが良く、バトルシーンも見応えがありました。でも、「カッコいいアクションを撮ること前提でストーリーが組み立てられている」ので話の整合性がかなりヤバいです(^_^;)


●『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』

予告編 → https://youtu.be/YZEn4k_cmVk

これはいい映画ですよ。「ダメ人間な主人公がある日突然スーパーパワーを手に入れ、銀行強盗などを繰り返すものの、やがて好きな女性を守るためにそのパワーを使う」という、実に見事なイタリア製のヒーロー映画です。

しかし、『アベンジャーズ』みたいなアメコミヒーローと違って、カッコいいスーツを着ることもなければ、派手な超能力を発揮することもありません。ただただ地味に相手を殴るのみです。そこが評価の分かれ目かなと。


●『アトラクション 制圧』

予告編 → https://youtu.be/PZ4MhyLCYUU

「ある日、モスクワのド真ん中に巨大なUFOが墜落する」というロシア製のSFアクション映画です。予告編を見たら「宇宙人とロシア軍との壮絶な戦闘に主人公が巻き込まれ…」的な展開かと思いきや、全然そんな話ではありません。

要は、「一見スケールのデカい『宇宙戦争』みたいな映画に見えるが、実は主人公と宇宙人の心の交流を描いた『ET』みたいな内容だった」という感じで、それはそれで面白いんだけど…やっぱ微妙ですねえ(^_^;)


●『ラプチャー 破裂』

予告編 → https://youtu.be/06jgFM2zt0g

「主人公のノオミ・ラパスが謎の組織に誘拐・監禁され、大嫌いなクモを体に這わされる」というシチュエーション・スリラーです。

少しずつ謎が解明されていく過程は非常に面白くてドキドキするんですが、真相が判明した途端にテンションが下がるという残念な結果に…。まあ、あのオチを受け入れられる人にはいい映画かも。


●『海底47m』

予告編 → https://youtu.be/GbOb9bcHRWA

「サメがウヨウヨ泳いでいる海でケージ・ダイビングを楽しんでいた姉妹が、ケージに入ったまま47メートル下に落下する」というサスペンス映画。

サメを題材にした映画は2016年の『ロスト・バケーション』も良かったんですが、本作は光が届かない海底を舞台にしているので怖さが増しています。ただ、「サメ映画」という割にはサメの登場シーンが少ないなと(笑)。


●『RE:BORN リボーン』

予告編 → https://youtu.be/mWub1i3ApyM

坂口拓、斎藤工、篠田麻里子、いしだ壱成、加藤雅也、大塚明夫など、なかなか豪華な出演者で、おまけに音楽は川井憲次と妙に金がかかってる(笑)。

そして監督は『図書館戦争』や『いぬやしき』などでアクション監督を務めた下村勇二。このことから分かるように、本作は『ダイ・ファイティング』と同じく、「アクションを見せるために作られた映画」なのです。

そのため、全編に渡ってひたすら凄まじいアクション(ゼロレンジ・コンバット)が繰り広げられ、そこだけは本当に迫力満点なんですが、内容は「ちょっと何やってんのかわかんない」状態になってるのが惜しい(^_^;)

高畑勲監督『アルプスの少女ハイジ』はこうして作られた

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

先日、肺がんのため82歳で亡くなった高畑勲監督の「お別れの会」が、15日に東京・三鷹の森ジブリ美術館で営まれました。

盟友の宮崎駿さんは”開会の辞”で高畑さんとの思い出を語り、「パクさん。僕らは精一杯、あの時を生きたんだ。膝を折らなかったパクさんの姿勢は、僕らのものだったんだ。ありがとう、パクさん…」と号泣したそうです。

さらにアニメーターの大塚康生さんや小田部羊一さん、作曲家の久石譲さん、プロデューサーの鈴木敏夫さんなど、高畑勲監督と関わりの深い人たちがそれぞれコメントを述べていました。

「高畑勲 お別れの会」には、そのほか富野由悠季、押井守、樋口真嗣、大林宣彦、山田洋次、岩井俊二、種田陽平、宮本信子、竹下景子、野々村真、本名陽子、瀧本美織、柳葉敏郎、福澤朗ら約3200人が参列したそうです。

なお、金曜ロードショーでは高畑監督の遺作となった『かぐや姫の物語』を完全ノーカットで放送するようなので、よろしければ『かぐや姫の物語』に関するこちらの記事をぜひご覧ください(^_^)

スタッフ号泣!高畑勲監督『かぐや姫の物語』の舞台裏が凄すぎる!

というわけで本日は、高畑勲監督が初めてメインスタッフとして腕を振るった名作テレビアニメ『アルプスの少女ハイジ』について書いてみたいと思います。

1973年頃、宮崎駿さんや小田部羊一さんと共に『長くつ下のピッピ』のアニメ化を目指していた高畑監督は、結局アニメ化権が取得できず途方に暮れていました。

そんな時に『ハイジ』の企画を依頼されたのですが、高畑監督は当初、「これはアニメよりも実写でやるべき作品じゃないか?」と難色を示し、あまり乗り気ではなかったそうです。

『アルプスの少女ハイジ』が放送されていた当時のテレビアニメと言えば、『グレートマジンガー』『宇宙戦艦ヤマト』『破裏拳ポリマー』『魔女っ子メグちゃん』などの”メカアクション”や”ファンタジー”が主流で、『ハイジ』のように”日常を描写するアニメ”はほとんど例がありませんでした。

そのため、テレビ局からも「この内容ではヒットは無理でしょう」などと言われ、しかも日常描写はアクションシーンよりも作画が難しく、キャラの芝居がリアルになればなるほどアニメーターの負担は増大します。

「そんな大変な作品を、時間も予算も少ないテレビアニメでやるなんてリスクが高すぎる」

高畑監督はそう考えて慎重になっていたのですが、実は高畑さん自身も子供の頃から『ハイジ』の原作を読んでいて大好きだったらしい。

しかも、長年温めていた『長くつ下のピッピ』の企画が頓挫したことで、宮崎さんと小田部さんの中にも「元気な女の子が活躍するアニメを作りたい」という情熱が高まっていました。

そのため、高畑監督は「普通なら不可能だが、小田部が作画監督になって全部の絵をチェックしてくれるなら作画のクオリティは維持できる。そして宮崎駿に全カットのレイアウト(場面設定)を担当させ、その上で自分が演出を含め全てに目を配るシステムを組むのであれば、可能かもしれない」と考えたのです。

こうして、ようやく『アルプスの少女ハイジ』の制作がスタート!しかし、実際に作業が開始されると予想をはるかに超える過酷な状況に現場から悲鳴が続出しました。

中でも宮崎駿さんの仕事量は常軌を逸しており、通常はどんなベテランでも1日5〜6枚程度しか描けないレイアウトを、宮崎さんは毎日50枚以上描いていたという。

その馬力を維持しながら全52話すべてをたった一人で受け持っていたのですから、正気の沙汰ではありません(当時の宮崎さんは「1日24時間、1週間ぶっ続けで働いても、まだ時間が足りない!」と愚痴っていたらしい)。

また、作画監督を務めた小田部羊一さんも、熾烈な作業の連続でボロボロになり果て、ある日とうとう「もうこれ以上原画の修正はできない!」とギブアップ宣言。

ところが、それを聞いた宮崎さんは激怒し、「俺は小田部さんがきちんと原画を直してくれるからレイアウトができるんだ!」と叱責したそうです。

どうやら宮崎さんは「自分がこんなに一生懸命働いてるんだから、他の人も同じぐらい働いて当然」と思っているようで、昔『風の谷のナウシカ』の制作中に作画監督の小松原一男さんが風邪をひいてダウンした時も、「風邪ぐらいで仕事を休むなんてけしからん!」と怒っていたという。

でも、宮崎さんのペースに付き合わされる方はたまったもんじゃないですよねえ(苦笑)。結局、宮崎さんに怒られた小田部さんは「確かに、今自分がギブアップしたら『ハイジ』は終わってしまう…」と考え、歯を食いしばって最後まで激務に耐え抜いたそうです。

そして、演出を担当していた高畑勲監督も、脚本・編集・絵コンテのチェックなど、宮崎さんや小田部さん以上に忙しく働きまくり、1カ月ずっとスタジオに泊りっぱなしで「家に帰るのは着替えを取りに戻る時だけ」という状況だったそうです。

なお、余談ですが『機動戦士ガンダム』の監督として有名な富野由悠季さんも、当時はスタッフの一人として『ハイジ』に参加していましたが、絵コンテを依頼された際、「このコンテの納期はいつですか?」と高畑監督に尋ねたところ「三日後です」と言われ、ビックリして「じゃあオンエアはいつですか?」聞いたら「再来週かな」と返され衝撃を受けたらしい。

これがどれぐらい凄まじいスケジュールかと言うと、普通、アニメの絵コンテを描くには、まずもらった脚本をしっかり読み込んでシーンの意味を理解し、文字で書かれた情景を一つずつ映像に変換する…という作業に1週間ぐらいかかるわけです。

さらに、完成した絵コンテをもとにアニメーターが作画する時間も必要で、30分のテレビアニメを作るのに最低でも1ヵ月半から2ヵ月はかかります。それを「2週間後にオンエア」って、ムチャにもほどがあると言うか、超絶にハードなスケジュールと言わざるを得ません。

そんな状況だからスタジオは毎日が修羅場の連続で、セルに塗った絵の具を乾かす時間すら無いため、制作進行は車の中に棚を作って、外注が仕上げたセルを乾かしながら車を運転していたそうです。

その結果、疲れ果てて床に倒れて仮眠をとるアニメーターや、絵の具を塗りかけたセルにそのまま顔を突っ込んで寝てしまうスタッフなどが続出し、スタジオはまさに死屍累々の地獄絵図。

しかし、どんなに時間が無くても、高畑監督はギリギリまで作品の完成度を上げることにこだわりました。演出が頑張ればレイアウトも手を抜けません。作画も背景も仕上げも、誰もが自分の持ち場でベストを尽くすべく限界まで頑張ったのです。

そして皆が「もうダメだ…」「これ以上はできない…」と思いつつ、次々と上がってくる映像の素晴らしさに感動し、再び立ち上がって作業を続けたという。あるスタッフは当時を振り返り、次のように語っています。

「『ハイジ』の現場は本当にきつかったし大変だった。でも、だから楽しかったんだ」

こうして『アルプスの少女ハイジ』は「こんなアニメがヒットするはずがない」という当初の予想を覆し、順調に視聴率を上げ続け、とうとう裏番組の『宇宙戦艦ヤマト』を打ち切りに追いやってしまいました。まさに高畑勲・宮崎駿・小田部羊一という3人の天才とスタッフたちの献身的な頑張りによって、アニメ『ハイジ』は成功したと言えるでしょう。

ちなみに、『アルプスの少女ハイジ』のオープニングで「ハイジとペーターが手を繋いで踊る」という場面がありますが、このダンスのモデルを務めたのは宮崎さんと小田部さんだそうです。

当時作業していたスタジオの駐車場で、宮崎さんがペーター役、小田部さんがハイジ役になって互いに手を繋いでクルクルと踊り、それを8ミリカメラで撮影、その映像を見ながらアニメーターの森やすじさんが原画を描いたらしい。どこかに映像残ってないかなあ(^_^)

『レディ・プレイヤー1』ネタバレ映画感想/評価

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スティーブン・スピルバーグ監督の最新作『レディ・プレイヤー1』は非常に楽しい映画だ。

冒頭のカーレースのシーンでは、『バットマン』のバットモービル、『マッドマックス』のインターセプター、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアン、『モンスタートラック』のビッグフット1号、『特攻野郎Aチーム』のGMCバン、『マッハGoGoGo』のマッハ号、『AKIRA』の金田バイクなど、様々な映画に登場した魅力的なマシンがズラリと並ぶ。

また、カーレース中にプレイヤーを妨害するキャラクターとして『ジュラシックパーク』のT-レックスや、『キングコング』のコングなどが登場して大暴れ(ちなみにスピルバーグは当初、デロリアンを登場させることに否定的だったが、原作者から要望され出すことにしたらしい)。

さらに、中盤からクライマックスにかけては『ストリート・ファイター』のリュウ、『トゥーム・レイダー』のララ・クラフト、『ロボコップ』のED-209、『エルム街の悪夢』のフレディ、『13日の金曜日』のジェイソン、『チャイルド・プレイ』のチャッキー、『エイリアン』のチェストバスター、『バットマン』のハーレイクイン、ジョーカー、キャットウーマン、『アイアン・ジャイアント』など、とても全部は書き切れないほど色んなキャラクターが総出演!

その他、映画ファン的には『サタデー・ナイト・フィーバー』、『ブレックファスト・クラブ』、『フェリスはある朝突然に』、『初体験/リッジモンドハイ』、『メリーに首ったけ』、『市民ケーン』、『バカルーバンザイの8次元ギャラクシー』など、「元ネタを知っていればニヤリとできる」シーンや会話が満載だ。

とにかく本作は、次から次へと怒涛の勢いで映画・アニメ・ゲームに関するネタがぶち込まれ、まさに「全オタクが泣いた」と評しても過言ではない驚天動地のヴィジュアルが炸裂しまくり!そんな『レディ・プレイヤー1』を語る際に外せない要素が、「仮想現実世界」と「80年代ノスタルジー」である。

まず、仮想現実空間(バーチャル・リアリティー)を舞台にした映画は、『トロン』(1982年)、『マトリックス』(1999年)、『アバター』(2009年)など過去から現在に至るまで数多く作られていて、そういう意味では割とよくある題材だろう。

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「特殊な装置を使って夢の世界へ入る」という設定なら『トータルリコール』や『インセプション』などがあるし、実写だけでなくアニメーションでも『攻殻機動隊』や『楽園追放』、『アクセル・ワールド』、『ソードアート・オンライン』など、同系の作品は枚挙に暇がない。

アニメといえば、映画終盤「みんなの元気をオラに分けてくれ!」的なシチュエーションで、オアシスにログインしているプレイヤーが「ワーッ!」と集結するシーンは、細田守の『サマーウォーズ』を思い出した。

そして『レディ・プレイヤー1』のように「ゲームの世界へ入ってミッションをクリアーしながら謎を解く」という設定なら、押井守の『アヴァロン』やデヴィッド・クローネンバーグの『イグジステンズ』もそうだし、最近では『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』も「VRゲームを題材にしたアドベンチャー」と言えるだろう。

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では「本作の元ネタは何か?」と言えば、意外なことに『レディ・プレイヤー1』の原作者アーネスト・クラインと、『ソードアート・オンライン』の原作者の川原礫は2人とも、「『アヴァロン』にインスピレーションを受けて作品を書いた」と証言しているのだ。

『アヴァロン』とは、2001年にアニメーション監督の押井守が撮ったSFアクション映画で、全編ポーランド・ロケを敢行し、主人公もエキストラも全員がポーランド人という異色の日本映画である。

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ストーリーは「大勢の人々がオンラインVRゲーム”アヴァロン”に興じている近未来。主人公のアッシュも毎日ゲームの仮想現実世界を楽しんでいたが、ある日ゲームの中に隠された”秘密”に気付き…」というもの。

『アヴァロン』と『レディ・プレイヤー1』は映画の印象としては全く異なってるんだけど、「プレイヤーが謎を解き、ミッションをクリアーすることで次のステージへの手掛かりを得られる」などの設定はかなり似ている。

さらに、”アヴァロン”を作った「九姉妹」と呼ばれるゲーム管理者が、ゲームの世界に”ある仕掛け”を施し、それを見つけた者は特別な権利を得る…という設定も、「”オアシス”を作ったジェームズ・ハリデー(マーク・ライランス)が、ゲームの世界にイースターエッグを隠し、それを見つけた者は莫大な資産を得る」という『レディ・プレイヤー1』の内容と同じだ。

なので、アーネスト・クラインが『アヴァロン』を観て『レディ・プレイヤー1』のストーリーを思い付いたとしても不思議ではない(むしろ「『アヴァロン』みたいなマイナーな映画までチェックしてるのか!?」ってことの方が驚きだよw)。

ちなみにスティーヴン・キングの小説『芝刈り機の男』を映画化した『バーチャル・ウォーズ』(1992年)や、デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウが共演した『バーチュオシティ』(1995年)などの珍作も捨て難い魅力があるので、機会があればご覧ください。

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そしてもう一つのポイント「80年代ノスタルジー」に関しても、近年のハリウッド映画には70年代後半から80年代を描いた作品が意外と多いのである。

例えば、スピルバーグとJ.J.エイブラムス監督が組んだ『SUPER8/スーパーエイト』は、1979年のアメリカを舞台に宇宙人と少年たちの交流を描いたジュブナイル要素溢れるSF映画だ(…と書くと『E.T.』みたいだが中身は全然違うw)。

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また、『X-MEN:アポカリプス』や『ミッドナイト・スペシャル』も80年代を舞台にした映画だし、Netflixの人気ドラマ『ストレンジャー・シングス/未知の世界』も1983年のアメリカを舞台にしており、全米で社会現象を巻き起こすほどの大ブームとなった。

さらに去年大ヒットしたホラー映画『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』に至っては、スティーブン・キングの原作では1950年代だったのに、わざわざ80年代に設定を変更している有様。いったいなぜ、そこまで80年代にこだわるのか?

その理由は監督たちの年齢を見れば明らかだろう。『スーパーエイト』のJ.J.エイブラムスは1966年生まれ、『X-MEN:アポカリプス』のブライアン・シンガーは1965年生まれ、『IT/イット』のアンディ・ムスキエティは1973年生まれ。

つまり、80年代に子供だった世代が現在ハリウッドの最前線に立ち、自分たちが少年時代に影響を受けたカルチャーを思う存分作品に取り入れている、というわけだ。

ここで、「いやいやちょっと待て!スティーヴン・スピルバーグは1946年生まれじゃん!」というツッコミが当然出るだろうが、その通り(笑)。

スピルバーグ自身は1980年代に『レイダース』、『E.T.』、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』、『最後の聖戦』などのヒット作を連発しており、「影響を受けた」どころか、むしろ「影響を与えた」方なのだ。

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では、なぜスピルバーグは80年代要素が満載の『レディ・プレイヤー1』を撮ったのか?と言えば、「原作の大ファンだったから」と言われている。

ただし、原作小説の『ゲームウォーズ』にはスピルバーグのオマージュが大量に散りばめられていたため、当初は「自分が載っている原作を自分で映画化するのは恥ずかしいから嫌!」と断っていたそうだ。

しかし「他の監督に撮られるのはもっと嫌だな〜」「だったら自分で撮った方がいいかも。そうすれば思い切り好きなことも出来るだろうし…」と考えを改め、監督を引き受けることに。

これに驚いたのは原作者である。なんせ『ゲームウォーズ』に大量のスピルバーグ・ネタを盛り込んでしまうほど、アーネスト・クライン自身がスピルバーグ作品の熱狂的なファンだったからだ。

なので、自分の小説がスピルバーグの手によって映画化されると決まった時のクラインは「信じられなかったよ!人生で起きた最高の出来事だね!」と歓びを爆発させたという。

そんな感じで映画化が決まったものの、もともと原作は「映画化不可能」と言われており、アーネスト・クライン自身も「版権の獲得が難しいだろうな…」と考え、脚本を書く際に”権利が獲れなさそうなキャラ”をわざと外していたらしい。

ところが、スピルバーグが監督に決まった途端、「あれも出そう、これも出そう!」と言いながら原作に出ていたキャラを追加し、「大丈夫なのか?」というアーネスト・クラインの不安をよそに次々と版権を獲得していったそうだ。まさにスピルバーグ様々である。

しかし、そんなスピルバーグの力をもってしても全ての版権を獲得することは出来なかった。中でもクラインが大好きなウルトラマンは、何とか映画に登場させたかったようだが、円谷プロの許可が下りずに断念。

さらに、原作のパーシヴァルは冒険の途中で東映版『スパイダーマン』の巨大ロボット「レオパルドン」を入手し大活躍するが、クラインの日本サブカル文化リスペクトが爆発した見事なオマージュだったにも関わらず映画では未登場。

また、『マジンガーZ』のミネルバXや、『勇者ライディーン』、『百獣王ゴライオン』、『超時空要塞マクロス』、『新世紀エヴァンゲリオン』など、原作で活躍していたのに権利関係でボツになったメカやキャラも少なくない。

まあ、円谷プロは海外の企業と裁判をやっていたので、権利関係が難しいことは想像できる。しかし、東映はマーベルからスパイダーマンの版権を借りていたくせに、レオパルドンの使用を許可しないとはどういう了見なのか?

エヴァンゲリオンのガイナックスに至っては、前身の「DAICON FILM」の時代に散々他社のキャラを無断使用しておきながら、いざ自社のキャラが使われる立場になったら断るって何なんだ!?許可しろよ!と言いたい。

しかしながら、エヴァが使えない代わりに原作の中では小さい扱いだった『機動戦士ガンダム』のRX-78-2が大活躍することになったので結果オーライなのかも(笑)。劇場では「俺はガンダムで行く!」のセリフに興奮を隠し切れないファンが続出したようだ。

しかもガンダムと戦う相手がメカゴジラ!日本の映画では絶対に実現不可能なこの奇跡の組み合わせが、まさかスピルバーグの映画で観られるとは!いや〜、すごいなあ!このシーンでもファンは感涙したに違いない。

にしても、スピルバーグってガンダムを観たことがあるんだろうか?「ゴジラの大ファン」ということは有名なのでメカゴジラが活躍するのは分かるんだけど、ガンダムに思い入れは無いんじゃないかなあ。

その一方、「これは絶対スピルバーグ大好きだろ!」って場面が、第2の試練の『シャイニング』。ここだけ気合いの入れ方が尋常じゃなくて(笑)、なんと映画『シャイニング』の世界を完全再現しているのだ。スゲー!

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このシーンを観て「もしかすると、スピルバーグが本当にやりたかったことは『シャイニング』の再現なのでは?」と感じた。原作者アーネスト・クラインは1972年生まれで80年代のポップカルチャーにドップリ影響を受けているが、スピルバーグは違う。

その時期はバリバリ働いて他のクリエイターに影響を与えまくっていたのだから、クラインほどの思い入れや”80年代ノスタルジー”みたいなものはないだろう。

それに対して『シャイニング』はスピルバーグ自身も影響を受けているし、敬愛するスタンリー・キューブリックの作品だし、きっと思い入れたっぷりだったに違いない。

というわけで、全体的には非常に楽しい映画なんだけど、やはり原作者とスピルバーグの”年代の差”みたいなものが所々に出てしまっているような気がして、そこがちょっと微妙な感じ。

また、ラストの「本当の幸福を見いだせる場所は現実の世界だけ」「ゲームばかりしてないでリアルな世界も楽しもうぜ!」というメッセージは「やや説教臭いなあ」という印象だった(笑)。

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メイキング・オブ・レディ・プレイヤー1
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スペースシャワーネットワーク (2018-03-30)

『スイス・アーミー・マン』を観たんだが(ネタバレ)

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※本日の記事は『スイス・アーミー・マン』のラストまでネタバレしているので、未見の人はご注意ください。


先日、友人の江須田君(仮名)が僕の家にやって来て

「何も言わずにこれを観ろ」と1枚のDVDを差し出した。

タイトルは『スイス・アーミー・マン』。


僕:「どんなストーリーなの?」

江須田:「ダニエル・ラドクリフが死体役で登場する」

僕:「ほう」

江須田:「ダニエル・ラドクリフがオナラをする」

僕:「うん?」

江須田:「そのオナラの勢いで海を渡って島に辿り着く」

僕:「え?」

江須田:「そこからこの物語は始まるんだ」

僕:「すぐ観よう!」


で、観てみたら本当にそんな映画だった。

冒頭、主人公が無人島に漂着して困り果てているシーンから始まり

「島を脱出するまでのサバイバルを描くのか?」と思いきや

最初から最後までシュールな展開の連続でワケがわからない。


そもそもタイトルの『スイス・アーミー・マン』って何?と思ったら

「スイス・アーミーナイフの人間版」という意味らしい。

スイス・アーミーナイフってのはいわゆる「十徳ナイフ」のことね。↓

要は「これ1個あればナイフやドライバーなど何でも使えて便利ですよ〜」的なアイテム。

それとダニエル・ラドクリフとどういう関係が?と思ったら

「死体になったラドクリフを十徳ナイフのように活用する映画」だった。


彼は死体なので体内に腐敗したガスが溜まってるんだけど

そのガスを尻から勢いよく噴射することで

なんとジェットスキーのように海上を爆走できるのだ。

(映画開始5分であっさり無人島から脱出してしまう)

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さらにガスの力を利用し、口から石を発射して獲物を獲ったり

腕を使って木を切ったり、歯を使ってロープを切断したり

目からビームを出してエイリアンを撃退したり(ウソ)

エロ本を見て勃起したラドクリフのチンコが方位磁石になったり(本当)

色んな場面で便利に使える、まさに万能の死体。

だから『スイス・アーミー・マン』なのである……って何だその設定は!


しかも途中からこの死体が喋り始める。

主人公のハンク(ポール・ダノ)は他に話し相手がいないので

死体と会話し続ける(映画の大部分は2人の会話シーンのみ)。

その内容は家族の話や趣味の話など大半はくだらないことだが

そのうち”恋バナ”を始める。

ハンクはヒロイン(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)に

恋心を抱いているものの、彼女に声をかける勇気がない。


そんな胸の内をラドクリフに打ち明けると、

「なぜ恥ずかしがるんだ?」と叱責される。

また、「人は他人のオナラを嫌う」

「だから僕はオナラを我慢する」というハンクに対し

「なぜそんなに不自由を選ぶ?」

「自分の好きに生きればいい」とラドクリフ。


そういった会話を繰り返すうちに、

次第に「生きることの素晴らしさ」に気付いてゆくハンク。

やがて彼は死体との会話を通じて

「人生とは…」みたいな哲学的思考に辿り着く。

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出て来るセリフの大半は「オナラ」「オナニー」「ウンコ」など

下ネタのオンパレードなのに

いつの間にか「生とは何か?」「死とは何か?」など

高尚なテーマを考えさせる驚くべき展開に!

中でも最大の衝撃はラストシーンだ。


色んな苦労を経て、ようやく文明社会へ戻って来たハンクだったが

そこはなんとヒロインの家!

つまりハンクは彼女のすぐ近くの森の中をさまよっていたのだ。

ここで観客は

「あ〜、彼女のことが好きすぎて”遭難した”という妄想に取りつかれ

ヒロインの家の側で死体と暮らしてたのか。危ない男だな〜」と思っただろう。


実際、騒ぎを聞き付けて集まったマスコミや警察官たちも

「頭のおかしい変質者」を見る目でハンクを見ている。

「おい起きてくれ!」と死体に話しかけるハンクにヒロインもドン引き。


だがしかし…!


ハンクのオナラに反応して、突然死体が動き始める。

そして、自らの意思(?)で海へ入り、そのまま去って行くラドクリフ。

その様子を呆然とした表情で見つめるカメラマンやヒロインたち。

喋ったり動いたりする死体はてっきりハンクの妄想だと思っていたのに

実はそうじゃなかった!?いったいどういうこと!?

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ラスト、この映画はハンクの優しい笑顔で幕を閉じる。

死体のラドクリフも満面の笑みを浮かべながら海の彼方へ去っていく。

あの死体は本当に喋っていたのか?

そもそもあいつは何者なのか?

謎は一切わからないまま。

観終わった僕はまさしくこんな心境である。↓

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恐らく今回の記事を読んだ人は

「この映画ってどこが面白いんだ?」と思うだろう。

その反応はたぶん正しい。

なぜなら僕もよくわからないからだ。

いや、正確に言うと「本作の面白さ」をどう伝えればいいのか?

その方法がよくわからないのである。


「○○○に良く似た映画だ」と説明しようにも

類似の作品が見当たらない。

基本的にはコメディなんだけど、”本質”はもっと別の部分にある

ような気がするし…。


最大の疑問は「いったい監督はどうやってこの企画を通したんだ?」

ってことだろう。

「ダニエル・ラドクリフが死体になってオナラをしまくる映画です」

などと説明したところで、スポンサーが集まるとは到底思えない。

そもそもラドクリフはどうして死体の役なんて引き受ける気になったのか?

謎は深まるばかりである。


でも、僕は好き。


●ハリポタ・ファンはラドクリフの変貌ぶりに衝撃を受けるかもw


●ポール・ダノがヒュー・ジャックマンに延々拷問され続ける映画


●メアリー・エリザベス・ウィンステッド主演のサスペンス

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