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映画『湯を沸かすほどの熱い愛』ネタバレ感想/ラスト解説

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■あらすじ『親子3人で銭湯“幸の湯”を営む幸野家。しかし突然、父の一浩(オダギリジョー)が蒸発して銭湯は1年間も休業状態になり、母の双葉(宮沢りえ)はパン屋でパートをしながら中学生の娘・安澄(杉咲花)を育てていた。そんなある日、双葉はガンで余命2ヵ月と非情な宣告を受ける。しかし、ショックを受けつつも気丈に立ち向かい、家出した夫の捜索や銭湯の再開、学校でイジメに遭っている娘を叱咤して独り立ちさせるなど、心残りになりそうなことを次々と解決していくのだった…。「中野量太監督のデビュー作にして大傑作」と話題になった愛と感動の親子ドラマ!煙突から立ち上る赤い煙の意味とは?衝撃のラストに刮目せよ!』


※ネタバレしています。未見の方はご注意を!


本日、日本映画専門チャンネルで『湯を沸かすほどの熱い愛』が放送される。この映画、中野量太監督の商業デビュー作なのだが、いきなり第40回日本アカデミー賞で優秀作品賞や優秀脚本賞他計6部門を受賞、第90回キネマ旬報ベストテンでは日本映画部門1位を獲得するなど、多くの映画賞で高評価されるという快挙を成し遂げたのだ。

もともと中野監督はインディーズとしては既にかなりの実績を積んでおり、2013年の自主制作映画『チチを撮りに』でも大きな注目を集めていたものの、その時点ではただのアマチュア監督だったのだから、本作におけるステップアップは「素晴らしい!」としか言いようがない。

ただ、僕自身は正直に言うと、当初そこまでこの映画に関心は無かった。内容が「ガンで余命2ヵ月と診断された主人公の哀しく切ない人情ドラマ」ということで、「ああ、また感動的な展開を全面に押し出した”お涙頂戴の難病ストーリー”ね」と決め付けていたのである。

しかし観てビックリ!本作は単なる”お涙頂戴の難病ストーリー”ではなく、様々な種類の”不幸”が過剰に盛り込まれた「新感覚エンターテインメント」だったのだ!以下、それらの”過剰すぎる不幸要素”を具体的に解説してみる。

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まず主人公の双葉(宮沢りえ)は、夫がいきなり蒸発し、パン屋で働いていたら倒れて病院行き。診察の結果ガンで余命2ヵ月と告げられるなど、この時点でなかなかの不幸レベルを誘発している。

そして娘の安澄(杉咲花)も学校で酷いイジメを受けており、絵具を体に塗り付けられるわ、制服を隠されるわ、これまた不幸な境遇に陥っていた。

さらに、行方不明になった夫の捜索を探偵(駿河太郎)に依頼し、やっと見つけたと思ったら他の女に産ませた子供(鮎子)と暮らしていて、しかもその子の母親は家を出て行ってしまっため引き取ることに…。

溢れんばかりの不幸エピソードはまだまだ続く。双葉は安澄と鮎子を連れて旅行に出かけるのだが、その目的はなんと安澄の”本当の母親”に会うこと。つまり、双葉と安澄は実の親子ではなかった!えええ〜!?

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衝撃の真相にショックを受ける安澄だったが、本当の母親の君江(篠原ゆき子)に会うと、彼女は聴覚障害者で「安澄を生んだものの育てられないと思い、辛い気持ちのまま家を出て行った」ことを知る。

しかもその後、実は双葉自身も幼い頃に母親に置き去りにされていたことが発覚!やがて双葉の病状はどんどん悪化し、ついに入院することになってしまう。そんな時、探偵が「双葉の実母の行方」を突き止めた。

「最期に一目だけでも本当のお母さんに会いたい…」という双葉の願いをかなえるため、車に乗せて連れて行くものの、まさかの面会拒否!悲しさと辛さのあまり、思わず実母の家の窓ガラスを割ってしまう双葉。

精神的なダメージも加わり、とうとう寝たきり状態になってしまった双葉のところへ毎日見舞いにやって来る安澄だが、もはや出来ることは何もない。そして、少しでも元気付けようと人間ピラミッドを作る一浩たちの姿を見て、双葉は「死にたくない」「もっと生きていたいよ…」と泣き崩れるのだった。

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…という感じで、この映画に登場する人物はほぼ全員が何らかの「不幸」を抱えており、しかもその全てに「母親」というキーワードが絡んでいる点が最大の特徴と言えるだろう。

双葉と安澄と鮎子は、それぞれが幼い頃に母親と離れ離れになっていて、探偵の娘も母親と死別している。さらに旅の途中で出会った向井拓海(松坂桃李)も「今の母親は3人目で、生みの母親は顔も知らない」という有様だ(母親の不在率多すぎw)。

もちろんこれは偶然ではなく、中野監督は初めから「母親」をテーマに物語を作ろうと決めていたらしい。監督曰く、「僕自身が母に育てられましたし、一番嘘のない素直な気持ちで商業デビューしたいという思いがあったので、最初から”母”の映画にしようと決めていました」とのこと。

その結果、本作は様々な形の母親像が入り混じる設定となり、しかも主人公の双葉は劇中で圧倒的な母性を発揮しながら、自分自身は誰の母親でもなく、さらに実の母親から拒絶されるという、二重三重に入り組んだキャラクターになっているのが凄い。

このように、本作は「不幸」と「母親」というファクターが過剰に盛り込まれた独特の世界観を構築してるんだけど、中野監督は敢えてそうしたらしい。曰く、「デビュー作なので引き算なんてせず、描きたいことを全て描き切って、お客さんを映画の中にグイグイ引き込む。それを追及してやろうと思っていました」とのこと。

この言葉通り、本作はとにかく圧倒的な「手数の多さ」で観客の心を掴みまくり、さらに序盤で張られた伏線を中盤からクライマックスにかけて丁寧に回収していく脚本の巧さが際立っている(監督自身のオリジナル脚本なのも素晴らしい)。

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そしてもう一つ、本作は他の映画と決定的に違う点がある。それは「形容し難い変なシーンを入れている」ことだ。普通の感覚なら「何故そんなことをするんだ?」とか、「そのシーンって必要なの?」と観客が首を傾げそうな奇妙な場面がいくつも存在しているのが面白い。

例えば、安澄が悪い友達に制服を隠され、体操服で授業を受けている時、いきなり立ち上がって服を脱ぎ捨て下着姿になるシーン。気弱な安澄が精一杯の勇気を振り絞っていじめっ子達に抵抗を示す「いい場面」だが、なぜ服を脱ぐ?

常識的に考えて、年頃の女の子が同級生の前で下着姿なんかになったら、その後もっと苛めらるんじゃないだろうか?しかも着けてる下着を良く見ると、お母さんの双葉が「イザという時にこれを着て…」と言って渡したやつじゃん!いや、”勝負下着”ってそういう意味じゃないから!

また、「誕生日に迎えに行く」という母親の言葉を信じ、一人ぼっちでアパートの玄関の前に座り込んでいた鮎子を双葉たちが捜しに行くシーン。これまた「いい場面」だが、なんとオシッコを漏らした鮎子のパンツを脱がして、それをアパートのドアノブに引っ掛けて帰るのだ。

WHY?親が子供のパンツを脱がしたら、普通は持って帰るやろ?なぜ現場へ置いて行く?「もしかして中野監督は女子の下着に異常なこだわりを持っているマニアなのか…?」と疑惑の念が湧くほどだが、実は監督の中では意味があったらしい。

確かに安澄の下着も鮎子のパンツも「物語上の必然」は無いんだけど、観客を「ギョッ!?」とさせるフックにはなっている。もしあのシーンが無ければ、ただの「いい場面」としてスルッと流れて行くだけだが、あれを見せることによって観客の心に強い印象を残しているのだ。

その効果の最たるものが、賛否両論を巻き起こしたラストシーンだろう。双葉の遺体を銭湯の窯に入れて「火葬」し、その熱で風呂を沸かして最後にタイトルがバーン!なるほど、『湯を沸かすほどの熱い愛』ってこういう意味だったのか!

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…ってアカンやろ(笑)。さすがにこの結末は意見がわかれたようで、「コメディなんだからいいじゃない」という人もいれば、「倫理的にアウト」「途中までは感動して泣いてたけど、最後のシーンで涙が引っ込んだ」という人など、評価は様々だったらしい。

ちなみに僕が気になったのは「どっちなんだ?」ということ。あれって一見すると一浩(オダギリジョー)たちが共謀して双葉の遺体を燃やしたように見えるが、直接的な場面は映っていないし、煙突から赤い煙が出ているのもおかしい。

つまり、あのラストシーンは「最後に双葉は大好きな赤い色の煙になって天へ昇って行きました」というイメージ映像で、残された家族たちの”想像”を描いただけなのでは?…という解釈も出来るのだ。しかしその一方で、中野監督は気になる発言をしている。以下、監督のインタビューより一部抜粋↓

やっぱり映画なので、現実と虚構のギリギリの線が成立した時に大きな感動が生まれると思っていて、そこを攻めないと面白いものは生まれない。「嘘みたいだけど、こんなこともあるかもしれないな」と思ってもらえたら勝ちという。それの最たるものがラストシーンですね。あそこは実は、一線を飛び越えちゃってもいいと思って作りました。僕が映画学校時代に初めて撮った卒業制作でも全く同じことをやってるんですよ。その時はただのビックリで終わってるんだけど、今の僕ならば表現として成立させられるのではないかと思って挑戦してみたんです。 (「キネマ旬報2017年5月上旬号」より)

「一線を飛び越えちゃってもいい」という言葉を普通に解釈すれば、やはりあのラストは「倫理観の壁を飛び越えて双葉の遺体を燃やした」という意味になるのかもしれない(「今の僕ならば(それをやっても)表現として成立させられる」という言葉にも強い意志を感じる)。

しかし逆に、「現実と虚構のギリギリの線」という言葉から、「思い切って攻めた結果、一線を飛び越えて虚構の世界へ行ってしまった」「しかし観客が”現実にそういうこともあるかもしれない”と思ってくれれば勝ちなんだ」という意味にも解釈できる。

いずれにしても、観た人全てが「え?」と判断に窮するような”奇妙で印象的なシーン”を入れたことで、『湯を沸かすほどの熱い愛』は巷に溢れ返る「お涙頂戴の難病モノ映画」とは一線を画した独特の雰囲気を獲得できたのだろう。

また、宮沢りえや他のキャストの存在感も非常に素晴らしく、中でも安澄を演じた杉咲花(監督が彼女をイメージしてアテ書きしたらしい)は不安定な年頃の少女の”葛藤”と”成長”を見事に演じ切っており、天晴れ!としか言いようがない。設定だけを見れば悲壮感が漂いまくるストーリーになりそうなのに、彼女たちの熱演と絶妙なシナリオ構成がユーモラスで前向きなドラマへと転化しているのだ。まさに必見の映画である!


こまけえこたぁいいんだよ!燃えるバカ映画ベストテン

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、「金曜ロードSHOW!」でSFアクション超大作『バトルシップ』が放送されます。実はこの映画、アメリカでは大コケしてわずか6500万ドルの興行収入しか稼げず、ロッテントマトの支持率も34%と全く振るわなかった問題作なんですよね。

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しかも第33回ゴールデンラズベリー賞で最低作品賞、最低監督賞、最低脚本賞、最低助演男優賞(リーアム・ニーソン)、最低助演女優賞(リアーナ、ブルックリン・デッカー)、最低スクリーンアンサンブル賞の計6部門にノミネートされるなど、客観的に見てもかなりの低評価であることは否めません。

ところが、どういうわけか日本での評価は異様に高く、2015年に「日曜洋画劇場」で放送された際は、実況や感想が続々とツイッターに投稿され、一時はトレンドワードの半分が『バトルシップ』関連で占められるなど、大変な盛り上がりを見せたのですよ。

そして、今回の金ロー版でも大変な事件が起きました。本来『バトルシップ』は6月23日に放送される予定だったのに、急遽中止になったんですね。そしたら、我慢できないファンたちが放送開始時間の23日21時に動画配信サービスやDVD等を再生して、なんと勝手に実況中継をやり始めたんです!

そのせいで、映画の進行とともに「チキンブリトー!」とか「みょうこう!」とか「戦艦が簡単に沈むか!」など、熱い実況ツイートが続々と投稿され、映画が放送されていないにもかかわらず、ツイッターのトレンドワード1位に「バトルシップ」が表示されるという前代未聞の珍事が勃発したのですよ。皆どんだけ好きやねんw

ちなみにこの時、事情を知らない人たちがツイッターを見て勘違いし、「あれ?たしか米海軍のイージス駆逐艦が衝突したせいで放送中止になったと思ってたんだけど…」「金ローの『バトルシップ』って今日だったっけ?」「だが今日じゃない!」など、大混乱が巻き起こっていたようです(笑)。

※なお、『バトルシップ』の素晴らしさについてはこちらの記事に詳しく書きましたので、興味がある方はぜひご覧ください。↓


ボンクラヒーロー大活躍!『バトルシップ』ネタバレ映画感想


さて、そんな感じで『バトルシップ』は非常に面白い映画なんですが、僕はこういう作品を「バカ映画」と呼んでいます。いや、こんなことを言うと「『バトルシップ』はバカな映画じゃないぞ!」とファンの人から怒られそうですけど、決して「バカバカしい」とか「くだらない」という意味ではありません。

じゃあ「バカ映画」の定義って何なの?といえば、「作り手側が本気で作ろうとしたものの、キャラの言動が暴走しすぎて結果的に状況がバカっぽく見えてしまう映画」のことを「バカ映画」と捉えています。従って、最初から「バカな映画にしよう」というコンセプトで作られた作品は含まれません。

例えば、『少林サッカー』などは非常にバカバカしくて面白い映画だと思いますが、あれは明らかに「観客を笑わせよう」という意図が見受けられるため、僕の考える「バカ映画」の定義には当てはまらないのです(わざとバカに見せているから)。

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そうではなく、「製作者が想定したもの以上の可笑しさがあるか無いか?」が重要なのであって、本来は真面目なシーンなのに、あまりにもリアリティを逸脱しすぎて「なんでやねん!」と突っ込まざるを得ない、それがバカ映画の醍醐味なのですよ。

というわけで、本日はそんな素晴らしいバカ映画の数々をご紹介します(^_^)



●『バトルシップ』

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まずは、みんな大好き『バトルシップ』!アメリカでラジー賞を総ナメした大コケ映画が、なぜ日本でこんなに受け入れられたのかよく分かりませんけど、同作のファンが「バトルシッパー」と呼ばれるほど圧倒的な人気を獲得したのは凄いことですね。

実際、宇宙人が攻めて来てからのあり得ない展開はまさに「そんなバカな!」の連続です(笑)。しかし映画を観ているうちに、ぶっ飛びまくりのストーリーが徐々に快感へと変わっていき、「だが今日じゃない!」などの名セリフが飛び出すクライマックス付近でその興奮と感動は頂点に!

残念ながら、海外ではあまりにも荒唐無稽な脚本が受け入れられずブーイングを食らったようですが、日本ではむしろ、その常軌を逸したデタラメぶりが評価され、大勢の人が盛り上がる要因になったのでしょう。ぜひチキンブリトーを食べながらご覧ください(^_^)

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●『インデペンデンス・デイ』

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これまた「誉れ高いバカ映画」としてすでに不動の地位を確立しているSF超大作です。「何だか良く分からないけどスケールだけは無駄にでかい」というローランド・エメリッヒ監督の特性が存分に発揮された奇跡の作品で、巨大な宇宙船が初めて現れる場面は今観ても迫力満点!

また、アメリカ大統領(ビル・プルマン)、戦闘機パイロット(ウィル・スミス)、天才エンジニア(ジェフ・ゴールドブラム)など、それぞれのキャラクターの”家族愛”を丁寧に描いている点も素晴らしく、特にラストの「酔っ払い親父特攻シーン」は何度観ても涙が溢れて止まりません。

同時に、凄まじい勢いで繰り出される”突っ込みポイント”の数々も特筆すべきで、「大統領が自ら戦闘機に乗り込んで宇宙人と戦う」とか、「コンピューターウィルスで宇宙船のシステムを麻痺させる」とか、SF映画とは思えぬ科学考証のユルさも本作の見どころでしょう(笑)。

●『アルマゲドン』

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『バトルシップ』『インデペンデンス・デイ』と合わせて「世界三大バカ映画」の栄誉(?)を勝ち取った本作は、最初から最後までアクセル全開で突っ走り、観客に飽きる暇を与えません。エアロスミスの主題歌も最高にカッコいい!小惑星に重力が発生していたり、真空の宇宙で炎が上がったり、変なシーンはいっぱい出て来ますが、感動的なドラマの前では取るに足らない問題です。なお、本作の膨大な科学考証ミスを指摘されたマイケル・ベイ監督は、「俺だって宇宙で火が燃えないことぐらい知ってるよ!」と逆ギレしたそうです(笑)。

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●『パシフィック・リム』

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「巨大ロボット vs 巨大怪獣」というシンプルかつマニアックな基本コンセプトだけで全国のボンクラたちのハートを鷲掴みにした『パシフィック・リム』は、オタク監督ギレルモ・デル・トロの夢と妄想が目一杯つまった最高のバカ映画です。

子供の頃から日本のアニメやマンガを見て育ったデル・トロ監督は、大好きなロボットアニメを実写で完全再現することに挑戦。巨大ロボが巨大なパンチで怪獣をぶん殴るその姿は、まさに実写版マジンガーZ!こんなもん、盛り上がるに決まってるやろ!

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●『トルク』

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大勢の若者がカッコいいバイクに乗ってひたすら爆走する映画。ただそれだけなのに、この突っ込みどころの多さは何なのか?破天荒にも程があるバイクアクションが次々と飛び出し、最終的にはなんとヘリコプター用のガスタービンエンジンを搭載した化け物バイクが登場!

「最高時速400キロ」という、もはやバイクの概念を超越したスーパーマシンに主人公が飛び乗り、衝撃波を発生させながら街中を疾走するシーンのバカバカしさたるや、映画史に残る面白映像と評しても全く過言ではないでしょう。まさに”レジェンド級のバカ映画”です(笑)。

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●『コマンドー』

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これまた『バトルシップ』と同じく、TV放送されたら確実に実況が盛り上がりそうな傑作アクションですね。「お前は最後に殺すと約束したな?あれはウソだ」「来いよベネット、怖いのか?」「野郎!ぶっ殺してやる!」などなど、マネしたくなる名台詞も満載ですよ。

●『スターシップ・トゥルーパーズ』

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ロバート・A・ハインラインの名作SF小説をポール・バーホーベン監督が撮ったら、肝心のパワードスーツが一切登場せず、ファンの大ヒンシュクを買った問題作。それもそのはず、なんと監督はハインラインの原作を読まずに撮影していたらしく、その結果、生身の兵士が大量の巨大昆虫軍団に延々とブチ殺される阿鼻叫喚の地獄絵図が完成!本格SF超大作を観に来たファンをドン引きさせたそうです(笑)。

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●『貞子vs伽椰子』

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今やジャパニーズ・ホラーの代名詞となった『リング』シリーズの貞子と、インパク抜群の外見や不条理な恐ろしさで貞子と双璧を成す『呪怨』シリーズの伽椰子。その2つがコラボレーションしたら…という冗談みたいな企画がまさかの実現!

ホラー映画だからもちろん怖いです。怖いんですが、「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!」というヤケクソ気味なセリフが飛び出す辺りから事態は一変。「お前ら正気か!?」と突っ込まざるを得ない展開の連続に驚愕間違いなし!

中でも見どころは、イケメン霊媒師の常盤経蔵(安藤政信)と盲目の霊感少女:珠緒(菊地麻衣)の奇妙な二人組。「面白コンビ」としてのキャラが立ちすぎて、もう完全にマンガの世界ですよ(笑)。このコンビが活躍するスピンオフを作って欲しいなあw

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ちなみに、本作を撮った白石晃士監督は往年の東宝特撮怪獣映画(『モスラ対ゴジラ』など)を意識していたそうです。曰く、「『モスゴジ』の詳細を覚えているわけではないんですけど、たしかに怪獣映画のつもりで臨みました。”対決”っていったら怪獣だし。人間サイズですが怪獣対決映画なんですよ、とスタッフに言ったことがあります」とのこと。これって怪獣映画だったのかよw

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●『HiGH&LOW THE MOVIE』

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いや〜、初めてこの映画を観た時は本当にビックリしましたねえ。「いったい何だこれは!?」と。世界観はハチャメチャでストーリーの整合性も皆無。しかしテンションだけは異様に高い。そして日本映画とは思えぬ破格のアクションとスケールのでかさ!まさに何もかもが規格外の映画だったんです。

後に、この映画に関わった某脚本家が「EXILEのメンバーは『ヤバいっすね!』とか『テンション高めで行きましょう!』みたいなことしか言わないので全く打ち合わせにならなかった」と企画会議の様子を暴露してたんですけど、それを知って「やっぱりな」と思いました(笑)。※詳細はこちら↓


EXILE軍団の不毛すぎる会議内容に脚本家がブチギレ!「まるでサークル」「もうごめんです」


通常の映画制作の場合、まず「ストーリー作り」から始めるんですが、『HiGH&LOW』の場合はEXILEのメンバーがそれぞれ「オレ、こういう役やりたい!」と自分の要望を出して、そのキャラクターがどうすればカッコ良く見えるかを考え、それに従ってストーリーを組み立てていくのだそうです。

つまり、『HiGH&LOW』は「まずキャラクターありき」で作られた作品で、最も重視された点は「カッコいいキャラクターが、カッコいいセリフを喋り、カッコいい音楽をバックに流しながら、カッコいいアクションを決める」こと。そして、いかにそれを実現するかが最大の目的であり、本作の主題なんですよ。

こんな映画、普通の発想では作れません。「シナリオがおかしい」とか「アクションシーンが多すぎる」等、必ずどこかで修正されて全然違う映画になってしまうか、そもそも企画自体が通らないでしょう。しかし、EXILEはそんな映画業界の常識に抗い、独自のやり方で『HiGH&LOW』を作り上げたのです。

これって、規模的には「超大作商業映画」なんですが、作り方としてはむしろ「インディーズ」に近いんですよね。志を共有する仲間が集まり、自分たちの大好きな要素だけを限界までブチ込んで映画を撮る。完全に自主制作映画のノリなんですよ。

その結果、EXILEにしか作れない、いやEXILEだからこそ作れた唯一無二の快作が生み出され、「邦画」という枠内ではカテゴライズ不能な、もはや”HiGH&LOW”としか形容できない独自のジャンルと化したのです。全編を貫く「俺たちはコレがやりたかったんだよ!文句あるか!?」という揺るぎない姿勢が圧倒的に素晴らしい!続編の『END OF SKY』も最高です!

●『超強台風』

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さて、最後は中国映画の『超強台風』をご紹介。観た人はあまりいないでしょうけど、個人的には「史上最強のバカ映画」だと思っています(笑)。舞台は中国沿岸部の地方都市、そこに超大型台風が襲来して…という「ディザスター・ムービー」なんですが、最大の特徴は「主人公が市長」という点。

この市長が物凄く責任感の強い人で、「絶対に市民の命を守ってみせる!」という熱意が暴走し過ぎて、巨大台風が接近する中、市長自ら現場へ出向き、「皆さん、すぐに避難して下さいッ!」と土下座するなど、常軌を逸した行動をとりまくるんですよ。

作品全体のトーンは真面目でシリアスなのに、キャラクターの言動が誇張し過ぎなせいで、結果的に笑ってしまうという、まさに理想的なバカ映画に仕上がっているのです(笑)。この感覚は、日本版の予告編を観てもらえば分かりやすいでしょう。

おそらく、中国ではこういう予告編じゃなかったと思うんですよ。それを、わざわざナレーションに「藤岡弘、」を起用し、絶妙にふざけた感じで編集し直したところにスタッフの悪意を感じますね(笑)。

映画自体は終始「リアルな災害パニック映画の雰囲気」を真剣に描いていて、意図した笑いは一切ありません。なのになぜか笑ってしまう、それこそがまさしく”バカ映画の真髄”と言えるでしょう(^_^)

※なお、『超強台風』については以下の記事で詳しく解説していますので、興味がある方はぜひどうぞ↓

市長強すぎ!真面目なのに笑える映画『超強台風』ネタバレ感想

『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』映画感想/CG解説

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、WOWOWシネマで劇場用長編フルCGアニメ『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』(KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV)が放送されます。

本作は、世界的に有名な大ヒットゲーム『ファイナルファンタジー』の映画版で、スクウェア・エニックスが技術の粋を結集して作り上げたハイクオリティな映像が話題になりました。

■あらすじ『神聖なクリスタルを擁する魔法国家ルシスと、そのクリスタルを狙うニフルハイム帝国。二国は長き戦いの歴史を続けていた。ルシス国王レギス・ルシス・チェラム直属の特殊部隊「王の剣」に所属するニックス・ウリック(CV:綾野剛)は、ニフルハイム帝国軍の侵攻に抵抗。しかし、圧倒的な戦力の前に、王子ノクティスとニフルハイム支配下のテネブラエ王女ルナフレーナ(CV:忽那汐里)との結婚、 そして首都インソムニア以外の領地の放棄を余儀なくされる。それぞれの思惑が交錯する中、ニフルハイムの策略により戦場へと変貌したインソムニアで、ニックスはルシス王国の存亡をかけた戦いに向かうのであった…!大ヒットRPGシリーズの15作目「FINAL FANTASY XV」と同じ世界やキャラクターを有するアナザーストーリーとして展開していく超大作フルCGアニメ!』


さて、この映画は去年の7月に公開されたものですが、実は今から16年前の2001年7月にも『ファイナルファンタジー』の映画版が公開されていたのをご存知でしょうか?

当時、数々のゲームをヒットさせ、飛ぶ鳥を落とす勢いだったスクウェア(現スクウェア・エニックス)が製作費167億円をつぎ込み、超大作フルCGアニメーション『ファイナルファンタジー ザ・ムービー』を完成させました。

その圧倒的に美しいグラフィックはゲームファンのみならず一般の観客をも騒然とさせ、「本当にこれはCGなのか?」「まるで実写だ!」などと絶賛の声が殺到したそうです。

しかし、興行成績は惨敗でした。全米2000館という、日本映画としては異例の規模で公開されたものの、上映1週目の収益はわずか1104万ドルで、同時期に公開された『ジュラシックパーク3』の5000万ドルに遠く及びません。

結局、記録的な不入りで数週間後に打ち切られ、全米での興行収入はたったの3200万ドルで終わってしまったのです(さらに日本での興行も失敗し、最終的な赤字額は100億円以上と言われているらしい)。

ちなみに、僕も2001年の公開当時に映画館で観たんですが、観客は僕を含めて6人しかいませんでした(笑)。いや、映像表現は本当に素晴らしくて、今見ても「16年前にこんな凄いCGを作っていたのか!」と驚くほどの出来栄えです。

ただ、ストーリーが致命的に面白くなかったんですよ(苦笑)。”ガイア理論”というエコロジーをテーマにしたような高尚なドラマは単純な娯楽作品を期待した観客に受けが悪く、何よりも世界観が微妙。

「西暦2065年の地球を舞台に謎の侵略者ファントムと戦う」的な、いわゆる”SFアクション映画”だったんですね。『ファイナルファンタジー』なのにファンタジー要素がどこにもない!みたいな批判も多かったのでしょう。

当時から思っていたんですけど、「せめてゲームに関連したストーリーだったらなあ」と。そうすれば、ここまでコケることはなかったのに…と(まあ、コケた原因はそれだけではないかもしれませんが)。

そんな”大失敗作”とも言える映画版『ファイナルファンタジー』を、なぜ16年も経って再び制作しようと決めたのでしょう?これに関して監督の野末武志さんは以下のようにコメント↓

シリーズ最新作『ファイナルファンタジーXV』の開発にあたり、”ファイナルファンタジー(以下FF)”というブランドが、ちょっと世の中に対して認知度を失っているのではないか?と考えました。『FF3』まではプレイしたけれど、それ以降はやっていない人に向けて、今一度、FFというものを思い出してもらいたい。でも、しばらくゲームから遠ざかっている人たちや、そもそもゲームと縁遠い人たちにとってはハードルが高い。しかし、僕らには映像を作れる強味があるじゃないかと。映像は劇場、携帯、テレビやPCでも鑑賞できますからね。今回は、そこから接してもらうお客さんを増やすための”映画化”なんです。

つまり、「”ファイナルファンタジー”というゲームの存在を、改めて世間にアピールするために映画を作った」ってことらしい。しかも今回はゲームに関連した内容になってるし、なるほど、いいんじゃないでしょうか。

で、実際に映画を観てみたら「うわあああ!映像がカッコいいいいい!実写みたいだああああ!でもストーリーは良くわかんねえええ!」てな感じでした(笑)。もう少しシンプルな物語にしても良かったのでは…(^_^;)

ただ、やっぱりスクエニのCG技術は凄くて感心するしかありません。まるで生きているかのようなキャラクターたちは、人間の役者(外国人)の顔をスキャンし、そこから肌の質感やディテールを情報として取り出してCGモデルを作っているそうです。

そしてキャラの動きに関しては、顔と身体のモーションを同時に収録する「パフォーマンス・キャプチャー」を導入。パフォーマンス・キャプチャーといえば、『猿の惑星:聖戦記』の猿の動きなど、近年ハリウッド映画で多用されている技術ですね。

『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』でもこの技術を使ってるんですが、日本に機材等の条件を満たしたスタジオが無かったため、わざわざロンドンのスタジオを借り、イギリス人の俳優を使って収録したらしい。

これだけでも大変ですが、この映画は「新作ゲームの発売前に公開して、より多くのユーザーに興味を持ってもらうこと」が目的だったため、スケジュールが非常にタイトでした。

なんと「2015年の夏から実作業をスタート、2016年の7月に劇場公開」という恐ろしいほどの短納期だったのですよ!そのため、様々な外部プロダクションに仕事を依頼し、最終的には国内外49社のCGスタジオが携わることになったそうです。

しかし完成した映画は細部までリアルに作り込まれ、とても1年ちょっとで制作されたとは思えません(それが本当に凄いよなあ)。

というわけで、フルCG映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』を鑑賞したわけですが、僕はもっとこういう映画が注目されてもいいと思うんですよね。

今、世界のCG映画っていうのはディズニーやピクサーが作る「子供向けのカトゥーン」が主流で、本作のように「リアルな等身のキャラが登場するシリアスなCG映画」はほとんどありません。

以前はロバート・ゼメキス監督がそういう映画を頑張って作っていましたが、全然ヒットしなかったため、最近は実写映画しか作らせてもらえなくなったそうです(赤字がとんでもない額になったらしい)。

ところが、日本ではなぜかいまだに「リアルな等身のキャラが登場するシリアスなCG映画」が作られ続けているのですよ(世界的に見てもほぼ日本だけ)。

最近でも、荒牧伸志監督の『アップルシード アルファ』や、川村泰監督の『GANTZ:O』、辻本貴則監督の『バイオハザード:ヴェンデッタ』など、超絶ビジュアル満載のフルCG映画が次々と公開されています。

なので、どうせこういう映画を作るなら、小栗旬や山田孝之や綾野剛など人気俳優の顔をスキャンしてCGキャラを制作すれば、日本でもSFやファンタジー映画を作ってヒットさせられるんじゃないだろうか?と。

今の技術なら本物そっくりのCGを作ることも不可能ではないので、そういう方向性の日本映画がもっと話題になれば、新しいジャンルが開拓されるのでは…と思ったりしています(^_^)

漫画やアニメの実写映画版に一番よく出ている俳優は誰だ?

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

最近、『無限の住人』や『帝一の國』や『ジョジョの奇妙な冒険』など、人気漫画の実写映画が次々と公開されてますよね。で、作品の出来栄えも気になるんですが、もう一つ気になっていることがありまして…。それは「同じ俳優が実写版に出すぎ問題」です。

例えば、小栗旬さんや藤原竜也さん等はやたらと漫画原作の映画ばかりに出演しているような気がするし、山崎賢人さんに至っては「山崎賢人、実写やりすぎじゃね?」と自ら突っ込んでますからねえw↓

そんなわけで本日は、「実際に漫画やアニメの実写版によく出演している人は誰なんだろう?」ということについて調べてみました。なお、今回対象となる作品や俳優は、以下のような条件のもとにピックアップしています。


※実写映画のみが対象(TVドラマや舞台・ビデオ作品は含まない)

※漫画やアニメ原作のみが対象(小説やゲームの実写化は含まない)

※8作品以上の実写版に出演している人が対象(それより少ない人は含まない)

※基本的に主人公または重要な役を演じる機会の多い人が対象(あくまでも基本的に)

※シリーズものは1作品ずつカウント(例:パート5まであったら5作品と数える)

※作品数が同じ人は全て同じ順位とする(途中の順位も飛ばさない)

※公開済みの作品だけでなく、公開予定の作品も含める(決定済みのもの)


それでは、作品数の少ない順から見ていきましょう。果たして「漫画やアニメの実写版に最も多く出演している俳優」は誰なのでしょうか?



●10位:武井咲 8作品

『櫻の園』、『愛と誠』、『るろうに剣心』、『るろうに剣心 京都大火編』、『るろうに剣心 伝説の最期編』、『今日、恋をはじめます』、『クローバー』、『テラフォーマーズ』


●10位:長澤まさみ 8作品

『タッチ』、『ラフ ROUGH』、『岳-ガク-』、『モテキ』、『潔く柔く』、『海街diary』、『アイアムアヒーロー』、『銀魂』


●10位:青木崇高 8作品

『逆境ナイン』、『るろうに剣心』、『るろうに剣心 京都大火編』、『るろうに剣心 伝説の最期編』、『海猿』、『LIMIT OF LOVE 海猿』、『THE LAST MESSAGE 海猿』、『S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』


●10位:玉山鉄二 8作品

『CASSHERN』、『逆境ナイン』、『NANA』、『NANA2』、『フリージア』、『星守る犬』、『ルパン三世』、『亜人』


●10位:斎藤工 8作品

『海猿』、『劇場版 エリートヤンキー三郎』、『20世紀少年 最終章 ぼくらの旗』、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』、『愛と誠』、『ヘルタースケルター』、『劇場版 仮面ティーチャー』、『高台家の人々』


●10位:藤原竜也 8作品

『デスノート(前編)』、『デスノート(後編)』、『カイジ 人生逆転ゲーム』、『カイジ2 人生奪回ゲーム』、『るろうに剣心 京都大火編』、『るろうに剣心 伝説の最期編』、『僕だけがいない街』、『デスノート Light up the NEW world』


●9位:本郷奏多 9作品

『テニスの王子様』、『NANA2』、『GANTZ』、『GANTZ PERFECT ANSWER』、『進撃の巨人 前篇』、『進撃の巨人 後篇』、『闇金ウシジマくん 3』、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』、『いぬやしき』


●9位:窪田正孝 9作品

『僕の初恋をキミに捧ぐ』、『るろうに剣心』、『鈴木先生』、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』、『闇金ウシジマくん 2』、『予告犯』、『ヒーローマニア 生活』、『MARS〜ただ、君を愛してる〜』、『東京喰種トーキョーグール』


●9位:伊藤英明 9作品

『修羅雪姫』、『海猿』、『LIMIT OF LOVE 海猿』、『THE LAST MESSAGE 海猿』、『BRAVE HEARTS 海猿』、『カムイ外伝』、『テラフォーマーズ』、『3月のライオン 前編』、『3月のライオン 後編』


●9位:神木隆之介 9作品

『20世紀少年 最終章』、『るろうに剣心 京都大火編』、『るろうに剣心 伝説の最期編』、『神さまの言うとおり』、『脳内ポイズンベリー』、『バクマン。』、『3月のライオン 前編』、『3月のライオン 後編』、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』


●9位:山崎賢人 9作品

『今日、恋をはじめます』、『L・DK』、『ヒロイン失格』、『orange』、『オオカミ少女と黒王子』、『四月は君の嘘』、『一週間フレンズ』、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』、『斉木楠雄のΨ難』


●9位:佐藤健 9作品

『ROOKIES -卒業-』、『BECK』、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』、『バクマン。』、『るろうに剣心』、『るろうに剣心 京都大火編』、『るろうに剣心 伝説の最期編』、『亜人』、『いぬやしき』


●9位:堤真一 9作品

『ALWAYS 三丁目の夕日』、『ALWAYS 続・三丁目の夕日』、『ALWAYS 三丁目の夕日'64』、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』、『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』、『土竜の唄 香港狂騒曲』、『宇宙兄弟』、『俺はまだ本気出してないだけ』、『海街diary』


●8位:鈴木亮平 10作品

『カイジ 人生逆転ゲーム』、『HK 変態仮面』、『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』、『ガッチャマン』、『ホットロード』、『TOKYO TRIBE』、『予告犯』、『海街diary』、『俺物語!!』、『彼岸島 デラックス』


●8位:妻夫木聡 10作品

『GTO』、『富江 re-birth』、『ドラゴンヘッド』、『鉄人28号』、『真夜中の弥次さん喜多さん』、『どろろ』、『スマグラー おまえの未来を運べ』、『愛と誠』、『ミュージアム』、『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』


●7位:土屋太鳳 11作品

『釣りキチ三平』、『劇場版 鈴木先生』、『アルカナ』、『るろうに剣心 京都大火編』、『るろうに剣心 伝説の最期編』、『orange』、『青空エール』、『PとJK』、『兄に愛されすぎて困ってます』、『となりの怪物くん』、『累 -かさね-』


●7位:香川照之 11作品

『静かなるドン 劇場版』、『刑務所の中』、『鉄人28号』、『20世紀少年 第1章 終わりの始まり』、『20世紀少年 第2章 最後の希望』、『20世紀少年 最終章 ぼくらの旗』、『カイジ 人生逆転ゲーム』、『カイジ2 人生奪回ゲーム』、『るろうに剣心』、『あしたのジョー』、『ひみつのアッコちゃん』


●6位:浅野忠信 12作品

『バタアシ金魚』、『ねじ式』、『鮫肌男と桃尻女』、『殺し屋1』、『アイデン&ティティ』、『東京ゾンビ』、『ルパン三世』、『寄生獣』、『寄生獣 完結編』、『新宿スワン2』、『マイティ・ソー』、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』


●5位:松山ケンイチ 13作品

『NANA』、『デスノート(前編)』、『デスノート(後編)』、『L change the WorLd』、『神童』、『デトロイト・メタル・シティ』、『カムイ外伝』、『カイジ 人生逆転ゲーム』、『GANTZ』、『GANTZ PERFECT ANSWER』、『うさぎドロップ』、『珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-』、『聖の青春』


●5位:染谷将太 13作品

『ピンポン』、『デビルマン』、『ヒミズ』、『ALWAYS 三丁目の夕日'64』、『TOKYO TRIBE』、『神さまの言うとおり』、『寄生獣』、『寄生獣 完結編』、『みんな!エスパーだよ!劇場版』、『バクマン。』、『聖の青春』、『3月のライオン 前編』、『3月のライオン 後編』


●5位:伊勢谷友介 13作品

『金髪の草原』、『CASSHERN』、『笑う大天使』、『ハチミツとクローバー』、『あしたのジョー』、『カイジ2 人生奪回ゲーム』、『るろうに剣心 京都大火編』、『るろうに剣心 伝説の最期編』、『新宿スワン』、『新宿スワン 2』、『3月のライオン』、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』、『いぬやしき』


●4位:阿部寛 14作品

『はいからさんが通る』、『YAWARA!』、『孔雀王』、『プロゴルファー織部金次郎』、『プロゴルファー織部金次2郎』、『プロゴルファー織部金次郎3』、『プロゴルファー織部金次郎4』、『プロゴルファー織部金次郎5』、『サンクチュアリ』、『フレンチドレッシング』、『鉄人28号』、『自虐の詩』、『テルマエ・ロマエ』、『テルマエ・ロマエ2』


●4位:菅田将暉 14作品

『高校デビュー』、『王様とボク』、『男子高校生の日常』、『闇金ウシジマくん 2』、『海月姫』、『暗殺教室』、『暗殺教室 卒業編』、『ピース オブ ケイク』、『セトウツミ』、『デスノート Light up the NEW world』、『溺れるナイフ』、『帝一の國』、『銀魂』、『となりの怪物くん』


●4位:小栗旬 14作品

『あずみ』、『あずみ 2』、『さくらん』、『クローズZERO』、『クローズZERO 2』、『花より男子F』、『ごくせん』、『岳 ガク』、『荒川アンダーザブリッジ』、『宇宙兄弟』、『ルパン三世』、『信長協奏曲』、『テラフォーマーズ』、『銀魂』


●3位:山田孝之 18作品

『ドラゴンヘッド』、『クローズZERO』、『クローズZERO 2』、『イキガミ』、『MW ムウ』、『シーサイドモーテル』、『GANTZ』、『GANTZ PERFECT ANSWER』、『荒川アンダーザブリッジ』、『闇金ウシジマくん』、『闇金ウシジマくん 2』、『闇金ウシジマくん 3』、『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』、『俺はまだ本気出してないだけ』、『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』、『新宿スワン』、『銀魂』、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』


●2位:綾野剛 19作品

『NANA』、『魁!!男塾』、『奈緒子』、『クローズZERO 2』、『GANTZ』、『GANTZ PERFECT ANSWER』、『うさぎドロップ』、『ヘルタースケルター』、『るろうに剣心』、『ガッチャマン』、『闇金ウシジマくん 2』、『闇金ウシジマくん 3』、『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』、『ルパン三世』、『新宿スワン』、『新宿スワン 2』、『S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』、『ピース オブ ケイク』、『亜人』


●1位:西田敏行 27作品

『ゲゲゲの鬼太郎』、『自虐の詩』、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』、『星守る犬』、『大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]』、『釣りバカ日誌』、『釣りバカ日誌2』、『釣りバカ日誌3』、『釣りバカ日誌4』、『釣りバカ日誌5』、『釣りバカ日誌6』、『釣りバカ日誌7』、『釣りバカ日誌8』、『釣りバカ日誌9』、『釣りバカ日誌10』、『釣りバカ日誌11』、『釣りバカ日誌12』、『釣りバカ日誌13』、『釣りバカ日誌14』、『釣りバカ日誌15』、『釣りバカ日誌16』、『釣りバカ日誌17』、『釣りバカ日誌18』、『釣りバカ日誌19』、『釣りバカ日誌20』、『釣りバカ日誌スペシャル』、『花のお江戸の釣りバカ日誌』

というわけで、第1位はなんと西田敏行さんでした!

これは予想外!つーか『釣りバカ日誌』シリーズってこんなに出てたの?

そっちに驚きましたよ(^_^;)


『釣りバカ日誌』シリーズを除けば、やはり綾野剛さん、山田孝之さん、小栗旬さんが強いですねえ。自ら「実写やりすぎじゃね?」と自虐していた山崎賢人さんは意外とそうでもなかったけど(笑)。

まあ今回は”映画”に限定して調べたので、TVドラマやVシネマ等を含めたらもっと違う結果になると思います(最近は舞台劇として実写化されるパターンも多いし)。

あと、「あの人が入ってない」等の異論もあるかと思いますが、意外と「漫画やアニメ原作の実写映画」には出演していない(出演本数が少ない)役者さんが多かったですね。

例えば、『のだめカンタービレ』で有名な上野樹里さんや、『ちやはふる』の広瀬すずさんなどの場合は7作品しかなかったため、残念ながら今回は圏外となりました。

他にも、福士蒼汰さん(『好きっていいなよ。』、『神さまの言うとおり』、『ストロボ・エッジ』、『無限の住人』、『曇天に笑う』、『BLEACH』など6作品)。

松田翔太さん(『花より男子F』、『イキガミ』、『ライアーゲーム』、『ライアーゲーム再生』、『スマグラー おまえの未来を運べ』、『アフロ田中』、『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』など7作品)。

黒木メイサさん(『同じ月を見ている』、『クローズZERO』、『クローズZERO 2』、『昴-スバル-』、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』、『ルパン三世』など6作品)。

戸田恵梨香さん(『デスノート(前編)』、『デスノート(後編)』、『L change the WorLd』、『デスノート Light up the NEW world』、『ライアーゲーム』、『予告犯』、『無限の住人』など7作品)。

こういった人たちが割と漫画やアニメの実写版に出演していました(ただし、本数が少ないので今回は圏外)。

まあ、そもそも若い女優さんの場合は、映画の出演本数自体が少ないので仕方ない面もあるんですよ。ただ、そんな中で武井咲さんは9作品しか映画に出ていないのに、何とそのうち8作品が「漫画の実写版」という凄まじさ!

しかも残りの1作品が『妖怪ウォッチ』ですからね(笑)。確率で言えば「出演している映画のほぼ100%が漫画やアニメの実写版」と評しても過言ではない状況で、本来、こういう人こそ「実写やりすぎじゃね?」と言われるべきなのかもしれませんね(^_^)


※追記

いくつか「アレが抜けてるよ!」とのご指摘をいただき、香川照之さんと妻夫木聡さんの順位を修正しました。いや、申し訳ないです(苦笑)。他にも「抜け」や「見落とし」があるかもしれないので、気付いた方はご指摘くださいませm(__)m

※追記2

またまたご指摘をいただき、伊藤英明さん、神木隆之介さん、 染谷将太さん、 斎藤工さんの順位を修正しました。次々出て来るなあ(^_^;)


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ムスカの下着は何色?『天空の城 ラピュタ』衝撃の裏エピソード!

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、金曜ロードSHOW!にて宮崎駿監督の『天空の城 ラピュタ』が放送されます。

内容に関しては、今さら説明の必要もないぐらい有名作品ですが、

意外と知られていない”裏設定”などがあるのをご存知でしょうか?

というわけで、本日は『天空の城 ラピュタ』にまつわるエピソードをいくつか書いてみますよ。


●フラップターを作ったのは誰?

『天空の城ラピュタ』に登場する架空の飛行装置”フラップター”。劇中ではドーラ達が使用し、見事な空中アクションを披露していますが、そもそもこのマシンを作ったのは誰なんでしょうか?

タイガーモス号には眼鏡をかけた老機関士(ハラ・モトロ)がいてメンテナンスをしているので、「このお爺さんが設計したのかな?」と思っていたのですが、どうやら違うらしい。

宮崎駿監督によると、「フラップターを作ったのは、一人の神父兼科学者だ(名前は不明)。色んな研究をしている最中、若い頃のドーラにその才能を見込まれて誘拐された。そして”あたしのために働きな!”と言われて作ったのがフラップターだ」とのこと。

当初、宮崎監督は絵コンテにもこのキャラクターを登場させ、「フラップターの発明者」「神父」「ドーラの愛人」などと描き込んでいたそうです(カトリック教徒は妻帯できないため、”愛人”という設定になったらしい。後に死亡)。

しかし、「物語の中盤でいきなり新キャラを登場させるのは良くないのでは?」と判断し、結局この絵コンテはボツになってしまいました。なお、その名残は「ドーラの部屋の小さな写真立て」の中にチラっと残っているそうです。

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●ムスカ大佐の下着の色は…

『ラピュタ』と言えばムスカ大佐!今や悪役という枠を飛び越え、すっかり人気キャラになった感のあるムスカさんですが、劇中では常にカッコいいスーツを着こなし、服を脱ぐようなシーンはありません。

ところが、あるシーンで密かに下着姿が描かれていたのですよ!それは、映画の冒頭場面。大型飛行船がドーラ達に襲撃され、ムスカが通信機で軍へ連絡している時、シータが後ろから殴りつけて床に倒れる所です。

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画面を見るとムスカはしっかり背広を着ていますが、実はこのシーン、ムスカの「上半身」と「背広」は別々のセルで描かれていました。

つまり、床に倒れて動かないムスカの顔は一枚の静止画で処理し、シータが飛行石を探す”衣装の部分”は別のセルを上から重ねて撮影していたのです。

その静止画の上半身に描かれていたのが、なんと薄いラクダ色の肌着を着たムスカの姿!しかもボタン付き!そこまで描き込む必要はないにもかかわらず、「しっかり色まで塗ってあった」というのだから驚きです。

通常、こういう原画は宮崎駿さんや作画監督によって修正されたりするものですが、なぜかそれらのチェックをすり抜け、動画検査も通過して「彩色の工程」まで回り、さらに仕上げの人も「見えないのに、何で塗らなきゃいけないの?」とグチることなく色を塗ってくれたのだから素晴らしい(笑)。

ちなみに『紅の豚』では、マンマユート団がジーナの歌に聞き惚れているシーンで、その中の一人が「自分の股間を握りしめる」という原画を描いた男性アニメーターがいて、女性の動画マンを困惑させたという。

幸いにもそのシーンは、上にもう一枚セルを重ねて見えなくなる部分だったので、描かずにごまかして担当のアニメーターに渡しました。

すると、そのアニメーターから「ちゃんと(股間を)握ってください」という指示書き付きの修正原画が戻って来たらしい。それを見たジブリの女性アニメーターたちは「セクハラよ!」と大笑いしていたそうです(笑)。


●ムスカと『ブレードランナー』の繋がり

ムスカ大佐の声を担当したのは俳優の寺田農さんですが、なぜ寺田さんだったのでしょうか?実は、『ラピュタ』を制作している最中、1986年4月14日に月曜ロードショーでリドリー・スコット監督の『ブレードランナー』がテレビで初放送されました。

この時、ルトガー・ハウアー演じるレプリカントのリーダー:ロイ・バッティの日本語吹き替えを担当していたのが寺田農さんだったのですよ。

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そして、この放送をたまたまジブリのスタッフが観ている時に宮崎監督もやって来て、「ロイ・バッティの役柄はムスカとイメージが重なる」「ムスカの声は寺田さんがいいんじゃないか?」という話になり、本当に寺田さんが起用されたらしい。

もしこの時、宮崎監督が『ブレードランナー』を観ていなかったら、ムスカの声は違う人になっていたかもしれません。そういう意味では、「運命的なキャスティング」と言えるんじゃないでしょうか。


●なぜオートモービル?

映画序盤のハイライトといえば、やはり逃げ回るパズーとシータ、それを執拗に追跡するドーラ一家のチェイスシーンでしょう。ここで活躍するのがオートモービルですが、ドーラたちはこれをどこで手に入れたのでしょうか?

タイガーモス号に重たい車を積んでいたとは思えないし、パズーたちが住んでいるスラッグ渓谷は炭坑労働者ばかりですから、手に入れるのも難しそう。

実は宮崎監督の最初のラフコンテでは、2頭立ての馬車に乗って追いかけるシーンが描かれていたそうです。しかし、馬車の作画は時間がかかるし、手間の割には効果がないと判断したらしい。

「もし馬車追跡案を採用したら、公開日までに間に合わないかも…」、そう考えた宮崎監督は馬車を諦め、オートモービルを使ったスピーディな展開に切り替えたそうです。

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●「バルス」はどうして短いの?

映画のクライマックス、ムスカ大佐に追い詰められたパズーとシータは、飛行石を握った手を突き出して滅びの呪文「バルス」(閉じよ)を唱えます。

しかし、目覚めの呪文「リテ・ラトバリタ・ウルス アリアロス・バル・ネトリール」(我を助けよ、光よ蘇れ)は長いのに、どうして滅びの呪文はあんなに短いのか?とファンの間では長年疑問視されていました。

実はこれ、宮崎監督の都合だったようです。「もし最後の呪文がリテ・ラトバリタ…みたいに長かったら、唱えている間にムスカに撃たれてしまう」と考えた宮崎さんは、超短い「バルス」という呪文を採用。

「バルス!」と一言で言い切れるため、さすがのムスカ大佐も銃を撃つ間がなく、一瞬で発動してしまった…というわけです。なお、宮崎監督は他にもいくつか「ラピュタ語の呪文」を設定していたらしい。


※「レヂアチオ・ルント・リッナ」(ものみな鎮まれ)

ラピュタの周囲を覆っている巨大な雲のバリアーを解除する呪文


※「シス・テアル・ロト・リーフェリン」(失せしもの汝、姿を現わせ)

ラピュタに入るためのゲートを開く呪文


これらの呪文は準備稿に書かれていたものの、結局ボツになってしまいました。様々な呪文を駆使して活躍する魔法使いみたいなシータの姿も観てみたかったような気もするけど(笑)。

ちなみに、「バルスの語源はトルコ語の”バルシュ”で、平和を意味する言葉」という説がネット上で広まっていますが、単なる都市伝説のようです。

実際は、宮崎駿監督が影響を受けた諸星大二郎の漫画『マッドメン』に「ピジン語で”飛行機(バルス)”とは、原住民語の”ハト”の意味だ」というセリフがあり、どうやらここから「バルス」が生まれたようです(『マッドメン』のワンシーン↓)。

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というわけで、『天空の城 ラピュタ』にまつわるエピソードをいくつか書いてみましたが、いかがだったでしょうか?なお、今回取り上げた裏話は『もう一つのバルス』(木原浩勝著)という本を参照させていただきました。他にも面白いエピソードが色々載っているので、『ラピュタ』好きにはオススメですよ(^_^)


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『天空の城ラピュタ』はこうして生まれた!衝撃の制作秘話

『エイリアン:コヴェナント』完全ネタバレ映画感想/評価/考察

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■SF大作『プロメテウス』の続編にして、リドリー・スコット監督最新作『エイリアン:コヴェナント』。ショウ博士はどうなった?デヴィッドは何を企んでいる?あのシーンに隠された意味とは?衝撃のラストに刮目せよ!


※今回の記事は完全にネタバレしてます。未見の方はご注意ください。


どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。三連休の初日ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて、9月15日から公開された『エイリアン:コヴェナント』は、土日2日間で観客動員13万8300人、興収1億9400万円を稼ぎ出し、初登場ランキング1位になりました。

ただし、これは最終興収18.1億円を記録した『プロメテウス』に比べると64.3%の成績で、最終的に10億円を超えるかどうか微妙なラインだそうです。

さらに2週目は第3位、3週目は第8位と徐々に順位が下がっており、観客の評価も賛否両論…というか、やや否定的な意見が目立っている模様。いったいどうしてこうなった?

というわけで本日は、SF超大作『エイリアン:コヴェナント』を観て「これはちょっとどうなのかな〜」と微妙に感じた場面を中心に、ざっくり感想を書いてみたいと思います(割とネガティブな内容なので、この映画が好きな人は不快な気持になるかもしれません。申し訳ない!)。


■あらすじ『西暦2104年、人類初の大規模な宇宙への移住計画のため、地球を旅立った巨大宇宙船コヴェナント号は、コールドスリープ中の入植者2000人を乗せ、移住先の惑星「オリガエ-6」を目指していた。その途中、大事故に見舞われたコヴェナント号は謎の電波をキャッチし、発信元である惑星へと向かう。そこで女性乗組員のダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)は、世にも恐ろしい生物と遭遇!さらにプロメテウス号の唯一の生き残りデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)が現れ、命を救われるものの、次第に不信感を抱いていく。果たして彼の狙いは何なのか?そしてエイリアン誕生の驚くべき真相とは?巨匠リドリー・スコット監督が描き出す恐怖と衝撃のSFホラー超大作!』


※以下、気になったシーンを箇条書きで。


●ジェームズ・フランコが秒殺

映画冒頭、コヴェナント号にアクシデントが起こり、船長のブランソン(ジェームズ・フランコ)が死んでしまう。え?始まっていきなり死亡?何しに出て来たんだよ!実は、乗組員がコールドスリープに入る直前の映像には船長の姿がちゃんと映っているのだ(以下の動画↓)。

ところが、映画本編にはこの映像が入っていない(そのため船長の死が余計に唐突)。キャラクターがいつ、どのタイミングで死のうが別に構わないんだけど、もしこれを見てジェームズ・フランコの活躍を期待した人がいたら、ガッカリするんじゃないかなあ。


●ヒロインがブサイク?

本作の予告編が公開された時、多くの人が「……なんかヒロイン微妙じゃね?」と思ったらしい。ダニエルズを演じたキャサリン・ウォーターストンは、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』でもヒロインを演じていて、その時は特に批判されなかったのにどうして?

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確かに映画を観ると、ダニエルズのアップが微妙に老けて見えるような気がしなくもない(「ハリセンボンの近藤春菜に似ている」という説もあり)。ただ、他の映画に出演しているシーンを観ると、そこまで残念なルックスではないので、髪型や撮り方でたまたまブサイクに見えてしまっただけなのかも。

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●勝手に目的地を変更

今回の話は「2000人の入植者を乗せた植民船が、旅の途中で目的地とは違う惑星に降りる」という展開なのだが、いくら「こっちの方が住みやすそうに見えたから」といっても、そんな簡単に行き先を変更していいのか?客から苦情が出るぞ。


●ヘルメットぐらいかぶれ!

前作『プロメテウス』では、未知の惑星を探索している科学者たちがいきなりヘルメットを脱ぎ出すシーンを見て驚いたが、今回はヘルメットどころか宇宙服すら着用せずに未知の惑星を平然と歩き回るなど、さらに状況が悪化していて呆れ果てた。せめてヘルメットぐらいかぶってくれ!


●登場人物がもれなくバカ

本作を観た多くの観客が同様の感想を抱いたようだが、とにかく登場人物がバカすぎる。生まれたばかりのエイリアンを退治しようと焦って転んだり(2回も)、エイリアンに向けて撃った弾が外れて宇宙船を爆発させたり、船長の判断がことごとく間違っていたり、「もうちょっと頭のいい人間はいないのか?」と。

●ほぼデヴィッドの話だった

あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!俺は『エイリアン』の映画を観に来たと思ったら、いつのまにか『デヴィッド』の映画を観ていた。な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった…。頭がどうにかなりそうだった…。

というぐらい、ほぼ全編に渡ってデヴィッドが活躍する映画だった。というより、マイケル・ファスベンダーの映画だった。マイケル・ファスベンダーのファンにとっては悶絶必至のシーンが満載であり、大いに満足できるだろう。ただ、物語の主体がエイリアンではなく、デヴィッドに移ってしまったのは残念でならない。

だってもう「エイリアンが怖い」とかじゃなくて、「デヴィッドが怖い」って話になってるじゃん!これはこれで面白いけど、もっと「エイリアンの怖さ」を追及して欲しかった。つーか、どんだけマイケル・ファスベンダーを推してるんだよ!


●マイケル・ファスベンダー祭り

しかもそのマイケル・ファスベンダーが2人いて(デイヴィッドとウォルター)、マイケル・ファスベンダーがマイケル・ファスベンダーに笛の吹き方を教え、マイケル・ファスベンダーがマイケル・ファスベンダーにキスをし、マイケル・ファスベンダーがマイケル・ファスベンダーに戦いを挑む!何を言っているのかわからねーと思うが(以下略


●エンジニア全滅

前作で散々引っ張っておきながら、デヴィッドによってあっさり全滅させられたエンジニアたち。「人類の創造者」としてあれほど特別扱いしていたのに、どうやらリドリー・スコット監督の興味はすっかりマイケル・ファスベンダーに移ってしまったらしい(人類を生み出せるほどの技術を持ちながら、まさかたった一人のアンドロイドにやられるとは…)。


●ホラー映画的な演出が古すぎる

映画終盤、ようやくエイリアンの追撃を振り切ってコヴェナント号へ帰還したクルーたちだったが、再び恐怖に襲われる。その演出が古い!「若い男女がシャワーを浴びていると背後から怪物が…」って何十年前のホラー映画だよ!?

あまりにもベタすぎて、「もしかするとリドリー・スコット監督はギャグでやっているのだろうか?」とマジで悩んだけど、恐らく本気なんだろうなあ(ホラー映画のパロディでも今時こんな演出やらないぞ)。エイリアンを退治する方法も目新しさが無いし、全体的に古臭くて残念。

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●オチがバレバレ

ラスト、「実は彼の正体はウォルターじゃなくてデヴィッドでしたー♪」と真相を明かされても、完全に想定内すぎて「でしょうね!」としか言えないのは大問題だろう。むしろ「これでイケる」と思ったリドスコを叱責したいほどだ。あるいは観客をナメてるのか?こんなの気付かない奴なんていねーだろ!

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というわけで気になった場面を取り上げてみたんですが、前作『プロメテウス』の時も突っ込みどころの多さに批判が殺到したにも関わらず、今回全く改善されてないところを見ると、もう「このシリーズはこういう路線で行くぞ!」ってことなんでしょうねえ(笑)。

しかもリドリー・スコット監督としては、すでにエイリアンへの興味はなくなって、マイケル・ファスベンダー演じるアンドロイドの方を描くことに注力している様子。これはつまり『ブレードランナー』におけるレプリカントとテーマ的に重なるわけで、そっちに対する興味の方が大きくなってるんでしょう。

個人的には「『エイリアン』でそういう話をやらなくても…」と思ったりするんだけど、本人がやりたいならしょうがない(苦笑)。次回作は「AI(人工知能)に焦点を置いたストーリーになる」とのことで、ますますエイリアンから離れていきそうですが、楽しみに待ちたいと思います(^_^)


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ローランド・エメリッヒ監督について語ってみた

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昨日、金曜ロードSHOW!にて『デイ・アフター・トゥモロー』が放送された。監督は、「人類が大変な災害に襲われてエラいこっちゃ!」な映画(いわゆるディザスター・ムービー)で良く知られているローランド・エメリッヒだ。

エメリッヒ監督といえば、超巨大UFOが地球に攻めて来るSF映画『インデペンデンス・デイ』で観客の度肝を抜きまくり、以降、良く言えばスケールのでかい、悪く言えば大雑把な映画ばかり撮っているイメージだが実際はどうなのだろう?

というわけで、本日はローランド・エメリッヒ監督の過去の作品歴について色々と書いてみますよ。


●『MOON44』(1990年)

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ドイツ生まれのエメリッヒ監督は、地元の芸術大学を卒業後、映画アカデミーでプロダクション・デザインを学び、卒業制作として長編映画『スペースノア』を初監督。その後、マイケル・パレやマルコム・マクダウェルらを主演に迎えて撮ったSF映画が『MOON44』だ。

内容は「“44番目の月”と呼ばれる荒廃した惑星を舞台に、戦闘ヘリコプターを操る男の孤独な戦いを描いたアクション映画」で、この作品には後に脚本家としてコンビを組むディーン・デヴリンが俳優として参加している。

当時、アメリカで売れない役者をやっていたデヴリンは、出稼ぎでドイツへやって来て『MOON44』に出演することになったものの、あまりにもシナリオが酷かったため、「せめて僕のセリフだけでも自分で書き直していいですか?」とエメリッヒに確認し、OKをもらう。

すると数日後、デヴリンが泊っていたホテルの部屋にエメリッヒが訪ねて来て、「他の俳優達から”どうしてあいつだけまともなセリフを喋ってるんだ!”と苦情が出ている。悪いけど、他のセリフも全部書き直してくれないか」とデヴリンに依頼。こうして、監督:ローランド・エメリッヒ、脚本:ディーン・デヴリンの最強コンビが誕生したのである。


●『ユニバーサル・ソルジャー』(1992年)

『MOON44』はあまりヒットしなかったもののビデオがそこそこ売れたので、エメリッヒ監督はジャン=クロード・ヴァン・ダムとドルフ・ラングレン主演の『ユニバーサル・ソルジャー』をオファーされる(低予算ながらも実質的なハリウッド・デビュー作)。

本作でディーン・デヴリンは脚本のリライトを担当し、さらに制作現場に張り付いて全ての行程を体験(この経験をもとに次回作の『スターゲイト』ではプロデューサーも務めることになる)。なお、映画は1億200万ドルのスマッシュヒットを記録し、エメリッヒには次々と監督の依頼が舞い込むようになった。


●『スターゲイト』(1994年)

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本作は大物監督の仲間入りを果たしたローランド・エメリッヒが手掛けた初の超大作映画である(製作費5500万ドル)。「古代エジプトの遺跡から、異星人の残した”スターゲイト”と呼ばれる謎のリングが発掘される」という、エメリッヒが学生時代から温めていたネタを、オカルト好きのディーン・デヴリンが脚本に書き直した。

また、本作は『2001年宇宙の旅』の影響も受けており、「スターゲイト」という名前は『2001年〜』の主人公が異星人の作ったワープ装置に突入して宇宙の彼方へ飛ぶシーンから拝借している。この作品は1億9600万ドルの大ヒットを記録し、エメリッヒの評価はますます高まっていった。


●『インデペンデンス・デイ』(1996年)

今でこそ有名な映画だが、当初20世紀FOXは『インデペンデンス・デイ』というタイトルに反対していたらしい。なぜなら、ワーナーブラザーズが『Independence Day』という恋愛映画を1983年に製作していたため、FOXはワーナーから題名の使用権を買い取らねばならなかったからだ。

しかし、すでにVFXその他で巨額の費用を投じており、FOXとしてはタイトルにまでお金を掛けたくなかった。そのため、公開ギリギリまで『Independence Day』という言葉を使わず、『ID4』という奇妙な略号がポスターや予告編に使われていたのである。

ちなみに、巨大宇宙船の攻撃でニューヨークの街並みが炎の海に飲み込まれるシーンは、当初CGで作られる予定だったが「費用が掛りすぎる!」と反対されたため、ミニチュア模型で作った街並みのセットを縦に設置し、カメラを真上にセットして下から炎を吹き上げる、という方法で撮影。

この「CGを使わないアナログ特撮」が見事な効果を発揮し、「F/A-18と小型宇宙船の追跡シーン」なども全てミニチュアで撮影された(なお、これを観た樋口真嗣は”ニューヨークの街並み”を”渋谷”に置き替え、『ガメラ3』でほぼ同じビジュアルを再現している)。

興行収入は日本だけで66億円、全世界で8億ドルを超える特大のメガヒットを記録し、エメリッヒ監督の評価は決定的なものとなった。


●『GODZILLA』(1998年)

日本が世界に誇る怪獣王ゴジラを、ハリウッドが完全リメイク!…などと公開前は期待が煽られたものの、出来あがった映画は「突然変異で巨大化したイグアナが米軍の攻撃から走って逃げる」という、全国のゴジラファンが「コレジャナイ!」と絶叫するような残念すぎる仕上がりだった。

エメリッヒ監督はエンパイア誌のインタビューにて、「ゴジラには全く興味がなかったので4回断った。しかしそれでも強く要望されたため、いい加減な脚本とデザインを提出し、”これなら向こうから断るだろう”と思っていたらゴーサインが出てしまい、仕方なく引き受けた」とコメント。ひどい話だ。

ただし、フルCGや巨大なアニマトロニクスで作られたゴジラの造形は非常に素晴らしく、「『ゴジラ』と思わなければそれなりに面白い」と擁護する声もチラホラ。なお、日本では興行収入30億円を超える大ヒットを記録している。


●『パトリオット』(2000年)

メル・ギブソンを主演に迎え、18世紀のアメリカを舞台に独立戦争におけるドラマを描いた歴史超大作。内容は悪くないが、「巨大UFO」も「巨大怪獣」も出て来ない”真面目な映画”だったため、今までのエメリッヒ作品を期待していたファンにはイマイチ受けなかった模様(1億1000万ドルの製作費に対し、興収は2億1000万ドルと微妙な結果に…)。


●『デイ・アフター・トゥモロー』(2004年)

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「やはりローランド・エメリッヒ監督はディザスター・ムービーを撮らなきゃダメなんだよ!」と批判されたからなのか、再びお得意の災害映画へ挑んだ本作。さすがにパニック描写は迫力満点で、観客も大興奮。結果、全世界で5億4000万ドルを売り上げ、日本でも3週連続1位に輝き、52億円の大ヒットを記録した。なお、”デイ・アフター・トゥモロー”で検索すると、時々歌手のmisonoが引っ掛かってくるので要注意。

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●『紀元前1万年』(2008年)

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「紀元前1万年の世界を舞台に繰り広げられる壮大な歴史アドベンチャー!」と聞いて「さぞかしスケールの大きな物語なのだろう」と思いきや、意外と個人的な話で拍子抜け。観客の評価もイマイチで、興行的には『デイ・アフター・トゥモロー』の半分に留まった(フルCGのマンモスやサーベルタイガーは良かったが)。


●『2012』(2009年)

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「ちくしょう!もうディザスター・ムービーしか受けないのかよ!?」と本人が思ったかどうかは分からないが、再度”人類滅亡系の映画”に挑んだエメリッヒ監督。破壊描写が極まり過ぎて、「もしかしてやけくそになってるのでは?」と不安になるほど、ビルの倒壊・火山の噴火・大規模な地割れ等、次々と繰り出される災害のビジュアルが凄まじい!結果、全世界で7億6900万ドルのメガヒットを記録し、「やっぱエメリッヒはコレだよな!」と改めて認識させられた。


●『もうひとりのシェイクスピア』(2011年)

…と思ったら今度は「史上最高の劇作家シェイクスピアは実は別人」という大胆な仮説に基づいた歴史ミステリーを製作。評価は悪くなかったものの「いやいや、エメリッヒ監督には誰もそういうの求めてないから」という世間の声を反映してか、興収わずか1500万ドルと大コケ。


●『ホワイトハウス・ダウン』(2013年)

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SFでもディザスターでもなく、「ホワイトハウスがテロリストに占拠される」という”ホワイトハウス版ダイ・ハード”みたいな本作。割と面白かったが、「この手の映画は他の監督も撮ってるからなあ」という感じは否めない。

なお、同時期に『エンド・オブ・ホワイトハウス』というほぼ同じ内容のアクション超大作が公開され、「あれ?どっちの映画だっけ?」と混乱する観客が続出した模様。


●『ストーンウォール』(2015年)

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1960年代、ゲイの若者たちがN.Y.グリニッジ・ビレッジに集い、苦悩と自由を叫んだ”ストーンウォ-ルの反乱”について、自身もゲイであることを公言しているエメリッヒ監督が力強く描いた愛と反乱の感動作。

しかし世間の評価はかなり厳しく、「頭が麻痺するほど粗末な映画」、「『紀元前1万年』よりも歴史考証が不正確」などと批判が殺到したらしい(興収はたったの29万ドルで、エメリッヒ監督の過去最低記録を叩き出す)。


●『インデペンデンス・デイ・リサージェンス』(2016年)

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前作から20年後の世界を描いた続編だが、内容的には前作に遠く及ばない残念な出来栄えに…。ウィル・スミスが『スーサイド・スクワッド』の撮影で参加できず、死んだことにされていたのもガッカリ。なお、製作費は過去最高の1億6500万ドルを記録したものの、興行収入は前作の3分の1の2億7000万ドルしか稼げず撃沈している。

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というわけで、ローランド・エメリッヒ監督のフィルモグラフィをざっくり振り返ってみたんだけど、「やはりこの人はディザスター・ムービーが一番得意なんだなあ」と思わざるを得ない。

よくマイケル・ベイ監督と比較されがちだが、エメリッヒ監督が時々”真面目な映画”を撮っているのとは対照的に、ベイ監督は一貫して派手なアクション映画を撮り続けている。

もしかするとエメリッヒ監督の中では「いつまでもそういう作風ばかりではダメだ」という思いがあるのかもしれないが、「真面目な映画を作る」 → 「コケる」 → 「派手な映画に戻る」というサイクルを何度か繰り返している印象だ。

なので、もうそろそろ開き直って「とことんディザスター・ムービーを極めてやるぞ!」的な体制になってもいいのではないだろうか。マイケル・ベイみたいに(^_^)

ネタバレ解説!『ダンケルク』って面白いの?つまらないの?

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

現在、全国の劇場で絶賛上映中の戦争映画『ダンケルク』は、クリストファー・ノーラン監督の最新作として全国444スクリーンで公開され、オープニング2日間の観客動員数が22万人、興行収入3億2000万円を記録しました。

これは、最終的に12億5000万円を記録した『インターステラー』(2014年)と比較した場合168%の好スタートで、さらにIMAX上映版を鑑賞する人の割合も多く、最終興収は20億円以上が期待できる状況だそうです。

今のところ公開6週目ですが、動員数は100万人を突破し、興収も16億円に迫る勢いで増え続け、まだまだ客足は衰えを見せていません。

そんな『ダンケルク』、僕は初日に観に行って「面白い!」と思ったんですが、意外と世間の評価は賛否両論真っ二つ…というか、ハッキリ「つまらない」と批判している人も少なくないんですよね。

実は、一緒に観に行った友人の江須田君(仮名)も「つまらない」という評価で、しかもその理由を聞くと「う〜ん、そうか…」と思えるような意見だったんですよ。

ちなみに江須田君は「映画を観る前に出来るだけ情報を入れない主義」の人で、映画の内容や設定などはもちろん、予告編すらも「ネタバレになるから見ない!」というぐらい徹底しているのです。

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もちろん、「新鮮な気持ちで映画を楽しむために可能な限り白紙の状態で鑑賞したい」という、その姿勢自体を否定するつもりはありません。

しかしながら今回の『ダンケルク』に限っては、江須田君の「あらゆる事前情報を完全に遮断するスタイル」が逆効果になってるような気がするんですよねえ。

というわけで本日は、『ダンケルク』に関する僕(管理人)と江須田君の感想を対話形式で取り上げ、「どこがどうつまらなかったのか?(あるいは面白かったのか?)」を検証してみたいと思います(なお、江須田君は口は悪いけど根はいいヤツなので、ダンケルク・ファンの人も生温かい目で見てあげてくださいw)。


■あらすじ『フランス北端ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士。背後は海、陸・空からは敵。そんな逃げ場なしの状況でも、生き抜くことを諦めないトミーと若き兵士たち。一方、母国イギリスでは海を隔てた対岸の仲間たちを助けようと、民間船までもが動員された史上最大の救出作戦が動き出そうとしていた…。フィン・ホワイトヘッド、ハリー・スタイルズ、アナイリン・バーナード、ジャック・ロウデンら若手俳優たちが目覚ましい活躍を見せ、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー、マーク・ライランス、トム・ハーディらベテラン勢が彼らを支える絶妙なキャストが実現したクリストファー・ノーラン監督の最新作!』


※以下の文にはネタバレが含まれています。未見の方はご注意ください!


管理人:江須田君は、この『ダンケルク』を観て「つまらない!」って言ってたじゃん?具体的にどこがどんな風につまらなかったの?

江須田:ん〜、いくつか理由はあるんだけど、まず「圧倒的に説明が足りてない」ってところかなあ。冒頭、いきなり主人公が逃げてる場面から始まるじゃない?彼が今どういう状況に置かれてて、周りはどんな戦況になっているのか、娯楽映画なら当然あるべき説明がほとんどない。「もの凄く不親切な映画だな」と思ったよ。

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管理人:まあ、確かに説明的な場面はないし、セリフ自体が極端に少ない映画だからねえ。でも、ノーラン監督は敢えてそういう説明シーンを排除して、戦場の兵士たちが体験した恐怖をダイレクトに伝えたかったわけだから…。

江須田:いや、確かに「いきなり戦場へ放り込まれた時の恐怖を観客に体験させたい」って狙いは分かるんだけど、だとしてもやっぱり全体的な状況が分かり難いよね。

管理人:う〜ん、だったら「ダンケルクの戦い」がどういうものなのか、1940年代のドイツ・フランス・イギリスの情勢や、時代背景を事前にチェックしておくべきだったんじゃないかな?

江須田:オイオイ、なんで映画を観る前にそんなことをいちいち調べなきゃいけないんだよ!そもそも戦争映画の歴史について調べたりしたら、話のオチが全部分かっちゃうじゃん!完全にネタバレだよ!

管理人:ええ〜?だったら第二次大戦の映画を観ている人に「日本が負けるぞ」って教えたらネタバレになるの?「織田信長は本能寺の変で死ぬぞ」って言うのもネタバレ?歴史的事実にネタバレもクソもないだろ(笑)。

江須田:いいや、納得できない!こっちは初めて観る作品の感動を存分に味わいたいがために、出来るだけまっさらな状態で鑑賞しようとしてるのに!

管理人:まあ確かに、「映画を観る前にはなるべく作品の情報を入れたくない」って気持ちは分かるけどさ。でも、『ダンケルク』の場合は、ある程度の予備知識を入れておいた方が楽しめる、そういうタイプの映画だからねえ。

江須田:説明不足の責任を観客に押し付けるのかよ!?だいたい、この映画ってストーリーが地味すぎるだろ。「大勢の兵士がイギリスへ撤退する」だけじゃん。戦争映画なのに、主人公側が反撃するシーンもほとんど無いし。

管理人:だって、それが「ダンケルクの戦い」だもの(笑)。「ドイツ軍に追い詰められたイギリス兵たちが本国への撤退を余儀なくされる」という前提がまずあって、彼らを救出するための「ダイナモ作戦」を描いた話だから、「逃げてるだけ」なのは当り前だよ。要は、「戦争映画」というより「脱出映画」なんだよね。ノーラン監督も「『ダンケルク』は時間との戦いを描いたサスペンスであり、人々が生き残ろうとする姿を描いたスリラーだ」と言ってるし。

江須田:いや〜、いくら実話ベースと言っても登場人物は”創作”じゃんか?だったらもっとキャラの背景を掘り下げるとか、活躍シーンを増やすとか、描き方次第でいくらでも面白く見せられるでしょ?って言いたいわけよ。普通、”娯楽映画”って「困難な状況に直面した主人公が、内的・外的な成長を経てクライマックスで活躍する」みたいな展開がセオリーじゃない?でも、本作にはそういうカタルシスが一切ない。若い兵士(トミー)はただ「故郷へ帰ろう」と右往左往しているだけで、自らの意思で主体的に状況を変えるような展開が全くないからね。結局、あいつ何もしてないやんけ!と。だから、最後まで観ても「なんじゃこりゃ?」って感想しか出て来ないのよ。

管理人:なるほど、つまり君は「起承転結のハッキリしたコテコテの痛快娯楽戦争アクション」を観たかったわけか。確かに『ダンケルク』はそういう映画ではないかもね。

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江須田:やっぱ問題はキャラクターだよ。特に主人公の若い兵士。あいつ何考えてるか分からないもん。セリフも少ないし、バックボーンもはっきりしないしさ。パイロットやボートで救助に向かうおっさん(ドーソン)はまだいいんだよ。行動を見てると気持ちが分かるから。でも、あの若い奴には全然感情移入できなかった。もうちょっと主人公らしいことしろよ!ってイライラするんだよね。

管理人:え〜、そうなの?僕は逆にトミーのこと好きだけどなあ。冒頭の歩いてるシーンで、ドイツ軍が空からばら撒いたビラを手に取るじゃない?何かと思ったら、いきなりズボンを降ろしてウンコしようとするんだよね。「なるほど、ケツを拭く紙か!」と(笑)。今までの戦争映画でそういう描写は観たこと無かったからとても斬新だった。「そりゃ戦争中でもウンコはするよな」って(笑)。結局そこではウンコ出来ず、海岸まで移動するんだけど、そっちでも人に見つかって気まずい空気になったり、もの凄く人間的なキャラクターとして描かれてて、僕は凄く好きなんだよねえ。

江須田:あと気になったのは、ドラマ性が薄いこと。何の起伏もないんだもん。例えば、「主人公と仲間の兵士との間に友情が芽生えるものの、彼がドイツ軍の捕虜になってしまう。そこで主人公は大切な友人を助けるために危険を顧みず、命懸けの戦いに身を投じる!」とか、そういう”熱いドラマ”が欲しかった。

管理人:それもう完全に『ダンケルク』じゃなくなってるよ!

江須田:いや〜、史実を元にした戦争映画でも、起承転結は必要だと思うぞ。盛り上がるところでしっかり盛り上げてくれないと、退屈でしょうがないもの。

管理人:迫力満点の戦闘シーンに興奮しなかった?僕はずっと緊張感を持って観てたんだけど…。

江須田:正直、物足りなかった。イギリス兵側は一方的にやられているだけで”対戦”になってないし、派手に爆撃されても血しぶき一つ上がらないし。『プライベート・ライアン』や『ハクソー・リッジ』の壮絶な戦闘シーンに比べたら全然ショボいよ。

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管理人:その辺もノーラン監督の意図なんだけどなあ。監督は『ダンケルク』を撮る前に『プライベート・ライアン』を観直して、「あれは今観ても素晴らしい戦争映画だけれど、自分の目指しているものとは方向性が違う」と判断し、敢えて残虐なシーンを外したんだよ。ただ、それでも映像的な迫力は十分にあったと思うけど…。

江須田:もちろん、「映像」や「音」は凄かったよ。でも、それはただ単に「起こった現象を見せているだけ」だから、こっちの感情は揺さぶられないんだよね。なんていうか、ドキュメンタリーを観ているような感覚に近いのかなあ…。つまり、”状況”を見せられただけでは”劇映画”としての感動は生まれないってわけ。やっぱ”劇映画”として制作する以上、「映像」や「音」だけでなく、「作劇」でも観客の心を揺さぶらないと意味がないと思う。「凄い!」と「面白い!」は違うんだよ。

管理人:う〜ん、分かったような分からないような…。

江須田:あと、「陸」「海」「空」それぞれの地点の時間軸をちょっとずつズラしながら見せてるじゃん?あの演出も酷かったな〜。最初に「防波堤 1週間」みたいなテロップが出るけど、あれだけじゃどういう意味なのか分かんねーよ!

管理人:いやいや、観てれば普通に理解できるでしょ(苦笑)。まあ、僕は事前に「時間軸の設定」を知ってたから混乱はしなかったけど。

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江須田:そもそも、あんな構成にする必要あったのか?陸が1週間、海が1日、空が1時間という割合なら、まず陸の様子を6日分描き、7日目で海、そして最後に空の様子を順番に見せていけばいいじゃない。わざわざ時間軸を入れ替えて無駄に複雑な構成にしなくてもいいんだよ!

管理人:いや、僕はあれで良かったと思う。例えば、若い兵士(トミー)が海で死にそうになっている次のカットでパイロット(ファリア)の空中戦を描いたり、「これから起こる出来事」を先に見せてるじゃない?つまり、観客に「未来の状況」を断片的に見せることによって、「あ!さっき見たシーンはここに繋がるのか!」みたいな、映画の進行とともにパズルのピースが1個1個はまっていくような快感を得られるわけで、だからこそ劇中の緊張感が最後まで持続してるんだよ。もしあの構成じゃなかったら、最初の若い兵士のくだりを延々6日分見せられるんだよ?そっちの方がキツくない?

江須田:う〜ん、そう言われればそうかもしれないけど…。じゃあ、逆にお前はこの映画のどこが良かったと思う?

管理人:やっぱり本物のスピットファイアを使って撮影した空中戦かな。あれは本当に迫力があったなあ。3機揃って救助船の真上を飛んで行くシーンもカッコ良かったし、海のシーンでは当時のボートや本物の駆逐艦を浮かべて撮影してるし、全体的なリアリティが凄まじいよ。

江須田:ミリオタの感想じゃん!映画の出来とは関係ねーだろ!それに、ノーランの「本物志向」も俺は気に入らないんだよね。いや、「CGを使わずに実物で撮影」ってのはまだ分かる。でも、「当時使用されていた本物」を使う必然性はないんじゃないか?似た機体を加工したり、ミニチュア模型を使って撮影しても効果はそれほど変わらないだろ?「当時使われていた本物を使わなきゃこのリアリティは出せない」っていうのは単なる思い込みで、それはもうノーランの自己満足だよ!

管理人:デヴィッド・エアー監督の『フューリー』では本物のティーガーI戦車を使ったり、スピルバーグの『プライベート・ライアン』でも戦時中に使用されていた本物の軍服や装備や車両を使ったり、本物を使いたがる監督はノーランだけじゃないよ。黒澤明だって、時代劇を撮る時は出来るだけ本物を使ったっていうし、「リアルで精密なディテール」を追及したら最終的には本物に行き着く、ってことじゃないかな?そのこだわりが観客に伝わるかどうかは分からないけど、少なくとも作り手のモチベーションは確実に上がると思う。

江須田:だから、それを”自己満足”って言うんだよ!

管理人:それから、『ダンケルク』では40万人の兵士をエキストラで再現しようとしたら全く人数が足りなくて、仕方なくダンボールを人型に切り抜いて撮影してるからね。メイキングを見たら「舞台の書き割り」みたいなものをエキストラの人たちが運んだりしてて、とても大作映画とは思えない。そういう、アナログで手作り感が満載なところも良かったなと(笑)。

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江須田:そんなことするなら潔くデジタルを使えよ!つーかCGの方がよっぽど早いし安上がりだろ!しかも全然40万人に見えないし!

管理人:あと、アレックス役のハリー・スタイルズが撮影初日に現場へ行ったら、ノーラン監督に「ブーツの紐の結び方が違う」と指摘されたんだって。「イギリス軍の兵士は紐を交差させず、ループ状に結ぶんだ」と。

江須田:細かすぎる!そんなの絶対に誰も気付かんぞ!

管理人:そして海のシーンで活躍したムーンストーン号は、1939年に建造された小型船を撮影用に購入し、美術チームが船室に当時の本や古い小物を集めて並べたんだって。ドーソン役を演じたマーク・ライランスが引き出しを開けたら、実際に1940年代の品々が入ってて驚いたらしいよ。引き出しを開けるシーンなんか無いんだけどね(笑)。

江須田:意味ねえだろ!

管理人:結局、ノーラン監督の「本物主義」っていうのは”物”だけじゃなくて、当時の”状況”までそのまま忠実に再現しようとしているところが凄いんだと思うな。ロケも本物のダンケルクの浜辺でやってるし、おまけに実際の「ダイナモ作戦」が実施された5月27日から6月4日に合わせて、わざわざ撮影スケジュールを組んだらしい。そこまで徹底的にこだわるからこそ、あれほどの臨場感が出せたんじゃないかなあ。「神は細部に宿る」って言葉があるけど、ノーラン監督が実践しているのはまさにそういうことなんだよ。

江須田:……マジかよ。クリストファー・ノーラン完全にどうかしてるな。

管理人:まあ、確かに「本物を使っているからいい映画」ってことではないと思う。それは映画の評価とは別だから。でも僕は「観客を戦場の真っ只中に放り込みたい」というノーラン監督の意図がきちんと伝わったので、十分に「面白い」と感じたけどね。

江須田:う〜ん、結局”そういう映画”として楽しむしかないのか…。

管理人:そもそもノーラン監督はこれを”戦争映画”として撮ってないからね。さっきも言ったように本作は「敵がどんどん迫り来る中、果たして主人公たちは逃げのびることが出来るか?」という”タイムリミット・サスペンス”なわけで、いわゆる「大勢の敵味方が入り乱れて戦う戦争映画」とは根本的にフォーマットが違うんだよ。恐らく『ダンケルク』を「つまらない」と感じた人って、そういう”一般的な戦争映画”をイメージしてたんだろうけど、実際に観てみたら「あれ?思ってたのと違う!」みたいな、ギャップに戸惑ったんじゃないかなあ。

江須田:なるほど…。「ラーメンを食べようと思って店に入ったらカレーを出された」みたいなもんか。それは確かにガッカリするわ。

管理人:あと、君は「ドラマ性が薄い」って言ってたけど、キリアン・マーフィーと少年のエピソードとか、燃料ギリギリのスピットファイアで飛んでいるトム・ハーディが、仲間たちを救うために限界まで戦闘を続けるシーンとか、ドラマ的な見どころも結構あったと思うよ。ラストの「燃えるスピットファイアを見つめる場面」なんかもグッときたし。

江須田:俺は、若い兵士がジャムを塗ったトーストを食べるシーンが印象に残ってる。「あのジャムパンうまそうだな〜」って。

管理人:そこかよ(笑)。


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実写映画『亜人』のラストが凄い!ネタバレ感想

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

先日、主演:佐藤健&監督:本広克行ら豪華スタッフで実写化された話題のアクション映画『亜人』を観て来ました(他にも、綾野剛、玉山鉄二、城田優、千葉雄大、川栄李奈、山田裕貴、浜辺美波、品川祐、吉行和子など多数出演)。

全国341スクリーンで公開された本作は、オープニング2日間で観客動員21万人、興収2億7200万円を記録し、ランキング1位を獲得。最終興収15億円以上が期待できる好スタートとなったそうです。

原作は桜井画門の大ヒット漫画でコミック累計売上500万部、さらにアニメ化や小説化、そして今回の実写映画化など、その人気は止まるところを知らず、現在も『good!アフタヌーン』(講談社)にて絶賛連載中。

そんな『亜人』に関して僕がどれぐらい知っているか?というと、アニメ版の方は観てないんですが、原作はコミックスの最新刊までを全部読んでいて、まあ割と好きな漫画です(「メチャクチャ大好き!」ってほどではないけれど)。

で、内容の方は、「”亜人”と呼ばれる死なない人間(厳密に言うと死んでもすぐに生き返る人間)が日本政府に対してテロ行為を仕掛け、政府側の亜人(主人公)と壮絶な戦いを繰り広げる」というストーリーです。

「主人公が不死身」という設定なら他の漫画でも見かけますが、本作はそれに加えて「IBM」と呼ばれる”黒い幽霊”を出現させ、人間や亜人と戦わせるなど、バトルシーンにも工夫を凝らしている点が特徴なんですよ(要するに『ジョジョ』のスタンド的なアレねw)。

なお今回の実写版は、原作単行本の9巻ぐらいまでを元にしていますが、現在コミックスは11巻まで出ていて、以降継続中。つまり、まだ物語が完結しておらず、そのため全体的にオリジナルの展開が非常に多くなっています。果たしてその出来栄えは…?

というわけで本日は、友人の江須田君(仮名)と『亜人』を観に行ったので、面白かったのかどうなのか?その感想を互いに語ってみたいと思います(なお、江須田君は原作もアニメも一切見ていません)。


■あらすじ『病気の妹を救うために研修医となった永井圭(佐藤健)は、ある日、事故で死亡。しかし直後に”亜人”として生き返る。国家に捕えられ、非人道的な実験を受け続ける永井。そんな彼の前に、最凶のテロリスト:佐藤(綾野剛)が現れ、助け出そうとするのだが…。”絶対に死なない亜人”たちのエンドレス・リピート・バトルが今、始まる!』


※以下の文章はネタバレしています。未見の方はご注意ください!


管理人:さて、江須田君は漫画版も読まずに、いきなり実写版の『亜人』を観たってことなんだけど、率直に言ってどうだった?

江須田:思ってたより良かったよ。俺はあまり「漫画やアニメの実写化」は好きじゃないんだけど、これはまあまあ楽しめた方だと思う。

管理人:具体的にどんなところが?

江須田:まず「亜人の設定」がいいよね。肉体を損傷して不利な状況に追い込まれても、即座に”リセット(死亡)”すれば元の状態に戻れるっていう。普通は「いかに死なないようにするか?」を考えるもんだけど、『亜人』の世界では「いかに効果的に死ぬか?」を皆考えている。この発想はなかった(笑)。

管理人:つまり設定が斬新だと。

江須田:そう。要は「自殺=戦略」になってるんだよね。ヤバくなったら銃で自分を撃ってリセット。銃がなければナイフで首を掻き切ってリセット。で、攻撃する側は逆に「死なれちゃ困る」から、麻酔銃を使って眠らせるとか、自殺しそうになったら必死に止めるとか、対応も工夫しなければならない。そういう独特のバトル展開が面白かった。

管理人:なるほど。「失敗したら死んでリセット」っていうのは、トム・クルーズの『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でも似たようなことをやってたけど、あっちは時間を巻き戻すパターンだったからね。他には?

江須田:アクションが良かった!まさか邦画でこんなにレベルの高いアクションを観られるとは思わなかったなあ。特に綾野剛のガンアクションがヤバい!アサルトライフルのマガジンをリロードする動作とか、大勢の敵を容赦なく撃ち殺していく場面とか、最高にカッコ良くてゾクゾクしたよ。

管理人:僕も同感(笑)。なんせ本作のアクション監督は、『るろうに剣心』でスタントコーディネーターを務めた大内貴仁さんだからね。アクション自体の凄さに加え、画面構成や編集テクニックなど「アクションをカッコ良く見せる技術」に精通しているからこそ、あれ程のクオリティが実現出来たと思う。

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アミューズソフトエンタテインメント (2014-07-02)

江須田:そういえば、佐藤健と綾野剛は実写版『るろうに剣心』でも対決してたな。

管理人:しかも大内貴仁さんは『HiGH&LOW』でもアクション監督を担当してるし、「やっぱ凄いアクションを撮る人は違うなあ!」って感心させられたよ。特に序盤の研究所襲撃シーンや、中盤の「対SAT戦」におけるガンアクションの凄まじさたるや、「日本のアクション表現もここまで来たか!」と感激すること間違いなしだよね。

江須田:あの辺は、キアヌ・リーブスの『ジョン・ウィック』みたいに「超至近距離から銃を撃つ」みたいなガンアクションを彷彿させたけど、やっぱ『ジョン・ウィック』を意識してるんだろうか?

管理人:う〜ん、どうだろう?ただ、「物陰から体を斜めに出して撃つ動作」とか、「SATの集団に突っ込んで行きつつ至近距離から撃ちまくる」という場面は原作にもあったからねえ。むしろ「漫画の表現を忠実に実写化した結果」と考えるべきかもしれない。

江須田:まあ、いずれにしても日本では銃をバンバン撃ちまくる、いわゆる「ガンアクション映画」自体が少ないわけだから、そういう意味でも貴重な作品だと思うよ。

管理人:おお、かなりの高評価じゃん(笑)。

江須田:でも、見どころはそれだけ。内容はもう、突っ込みどころが多すぎて、とても人にオススメできるレベルじゃない。

管理人:ありゃりゃ、厳しいね〜(苦笑)。

江須田:まず”佐藤に助けられた永井”が佐藤と対立する、その理由や描写に説得力がないよ。普通、自分を助けてくれた恩人をいきなり撃つか?「人体実験した連中は憎いけど人殺しは嫌だ」というのであれば、取り合えず佐藤と一緒にあの場を脱出して、その後「あ、この人ヤベーやつなんだ」ということに気付いて対立…という流れの方が自然じゃないかな。

管理人:あの辺の展開はほぼ原作通りなんだけど、原作ではあの前に永井と佐藤が一度会ってるんだよ。ところが、永井は佐藤の罠にはまって捕まってしまう。実写版ではそういう場面が全部カットされて、永井がいきなり捕まってるから良く分からないんだよね。

江須田:あ〜、なるほど!だから佐藤のことを信用しなかったのか。

管理人:…というより、もともと永井圭は「恐ろしいほど頭が良くて、利己的かつ合理的な性格」というキャラで、一般的な少年漫画の主人公とはちょっと違う「ヘンなやつ」なんだよ。「人格破綻者」と言った方がいいかもしれない(笑)。実写版では妹と仲が良さそうだけど、原作では「クズ」と呼ばれるぐらい嫌われてるからね。だからまあ、佐藤と対立するのも彼の中では筋が通ってるのかなと…。

江須田:実写版ではキャラの設定が変わってるってこと?

管理人:かなり変更されてる。永井圭は”利己的な性格”が抑えられて、代わりに”他人を思いやる感情”が強調されてるし。原作の方は読んでて「こいつ嫌な主人公だな〜」って思うような場面が多いけど、実写版の永井は「ちょっと冷たいが普通にいいヤツ」って感じ。

江須田:いわゆる「ヒーロー映画の主人公」っぽくなったわけか。

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管理人:一方、綾野剛が演じている佐藤は、「殺戮を好むサイコパス」って部分は同じだけど、原作では幼少の頃からヤバい兆候があったのに対し、実写版では「20年間監禁&人体実験を繰り返された結果、精神が崩壊して人間を憎むようになった」というキャラに変わってる。ちょっとわかりやす過ぎるかな〜って感じだけどね。

江須田:ふ〜ん…。まあ、どっちにしても研究所での永井と佐藤のやり取りは、もう少し上手い展開のさせ方があったと思うな。あと、3年前にも佐藤に襲撃されて田中(城田優)を奪われてる割には、いくらなんでも研究所の警備が手薄すぎるだろ。なぜ「また佐藤が来るかもしれない」ってことを想定してないんだ?「懐かしいねえ」とか言って内部の様子も知り尽くしてるし、せめて場所ぐらい移動しとけよ!

管理人:確かに(苦笑)。

江須田:それから後半、永井が戸崎(玉山鉄二)と対話するシーンも気になった。永井の方から戸崎に取り引きを持ちかけてるけど、あの段階では「永井が佐藤とグルになっている可能性」もあったはずじゃん?でも、その後の会議シーンで誰もそれを指摘しないんだよね。どう考えてもおかしいだろ。車の中でたった数分喋っただけで仲間にするなんて、どんだけ永井のことを信用してるんだ?って話でさ。

管理人:これもねえ…。原作では彼らが共闘するまでに色んな紆余曲折があるわけよ。実は戸崎には病気の許婚(いいなずけ)がいて、それを知った永井が病院まで乗り込んで取引きの材料にしたりとか…。実写版ではその辺を端折って話を進めてるから、えらく物分かりがいいように見えちゃってるんだよね(苦笑)。

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江須田:で、永井たちが共闘した後、車椅子に乗った千葉雄大がビルに入って行くシーンが映るじゃん。あいつ亜人だろ?何で簡単にチェックを通過出来たの?佐藤たちの襲撃を警戒してセキュリティーを強化していたはずなのに。IDカードまで持ってたけど、あれも偽造したのか?

管理人:ああ、奥山ね。彼は途中から佐藤グループに合流した亜人で、”ITエンジニア”って設定なんだけど、あの会社(フォージ重工)の社員なんだよ。

江須田:え?

管理人:厳密に言うと、例の作戦を実行するために内通者の手引きによって、あらかじめ中途入社してたの。当然、IDカードも偽造じゃなくて本物。だから、どんなにセキュリティーを強化しても、堂々と正面からビルに入れるってわけ。

江須田:は〜、なるほどねえ。

管理人:まあ、映画ではそこまで詳しく描いてないから、単にIDカードを偽造しただけかもしれないけど。

江須田:あと気になったのは、話の途中で何度もしょーもないギャグを挟んでくるじゃない?はっきり言って全然面白くないよ。何なのあれ?

管理人:それは僕も思った(苦笑)。あの辺は、たぶん本広克行監督のセンスじゃないかなあ。本広監督は『踊る大捜査線』シリーズでも毎回ギャグを仕込んでたけど、正直『亜人』の世界観には必要ないよね。品川祐や今野浩喜みたいな”お笑い芸人”が何人も出演しているから、余計にコントみたいに見えちゃってるし。

江須田:何度も出てくるヒカキンもウザかった。

管理人:いや、それはヒカキンのせいじゃないから(笑)。

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江須田:それから、あのビルの社長室に東京を死滅させる程の強力な毒ガスを保管してるって、そんなバカな設定ある?もっとちゃんとした場所に保管しろよ!危険すぎるわ!

管理人:あれは実写版のオリジナル設定です(笑)。ビックリしたのは、部屋のド真ん中に変な形の金庫が置いてあって、スイッチを押すと毒ガスがニュ〜っとせり上がってくるシーン。あれを見て、「何のための仕掛けなんだろう…」と思ったよ(笑)。

江須田:俺が驚いたのは、ラストの液体窒素をぶっかけて凍らせるヤツ、あれって完全に『ターミネーター2』のパク…

管理人:やめてさしあげろ(笑)。

江須田:いや〜、まさか26年前の映画のネタを、今さらパクるとは思わなかった(笑)。あと、復活した永井が窓をブチ破って飛び出すシーン、CGがメッチャ雑じゃなかった?何であんな映像になったんだろう?

管理人:わかんないけど、多分スケジュールの問題じゃないかなあ。CGを作り込むには時間と予算が相当かかるので、作業終盤で時間も予算も足りなくなった、ということでは?もしDVDが発売される際にあのシーンが修正されたら、間違いなくそういうことだよ。

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江須田:さて、俺の感想はこんな感じだけど、お前はどうだった?

管理人:まあ、だいたい似たようなもんだね。僕は原作を読んでたんで、多少変なシーンがあっても「たぶん裏でこういうことが起きてるんだろうな」と脳内で補完しながら観てたから、ある程度は納得できたけど、ただ「笑い」を多用しているところとか、展開を端折っているところはちょっと…。あと、「原作の面白さ」っていうのは、佐藤と永井の「頭脳戦」も見どころの一つなのに、あまり頭が良さそうに見えなかった点も残念。”格闘”や”銃撃戦”などのアクションシーンは本当にカッコ良かったけどね。まあ「漫画の実写化」というカテゴリーの中では、割と良く出来ている方だと思うよ。

江須田:なるほど…。ところで、全裸で逃げ出した永井はあの後どうなるんだろう?”黒い幽霊”で上手い具合に下半身を隠してたけど、良く考えたらあれって普通の人間には見えないから、完全に丸出し状態だよなあ。どうすんの?

管理人:知らんがな(笑)。


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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督おすすめ映画!

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現在、全国の劇場で絶賛公開中の『ブレードランナー2049』は、1982年に製作されたリドリー・スコット監督&ハリソン・フォード主演『ブレードランナー』の続編となる作品です。

”SF映画の金字塔”との呼び名も高い名作の続編となれば、必然的に引き受ける側のプレッシャーも高まると思いますが、そんな難題に敢えて挑んだのがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督

さすが超大作映画を任されるだけあって、近年話題作を連発してるんですけど、いったいどんな作風なのでしょう?というわけで本日は、そんなドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画をいくつかご紹介しますよ。



●『灼熱の魂』(2010年)

地元カナダでは『渦』(2001年)や『静かなる叫び』(2009年)などで高く評価されていたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が、世界的に注目を集めるきっかけとなった作品です。

『灼熱の魂』は、「謎の手紙を残して突然他界した母親のルーツを探る双子の姉弟が、やがて衝撃の真相に辿り着く」という物語なんですが…

いや〜、凄い映画でした!これ、ネタバレしちゃうと台無しになってしまうので詳細は書きませんけど、まだ観てない人はぜひ何も知らない状態でご覧ください。

内容的には「母親の人生に何が起きたかを解き明かすミステリー」で、その数奇な運命を見ているだけでも飽きさせません(とにかく酷い目に遭いまくる)。

そして、最終的に主人公たちが辿り着く”恐ろしい結末”に「えええ!?まさかそんなことが…!?」と驚愕させられるでしょう。劇中に「時として、知らない方がいいこともある」というセリフが出て来ますが、映画を観終わった後で「確かにその通りだな…」と実感しました(^_^;)

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●『プリズナーズ』(2013年)

ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールが共演したサスペンス映画です。ある日、突然6歳の娘が行方不明になり、父親のケラー(ヒュー・ジャックマン)が必死に探すものの見つからない。

やがてロキ刑事(ジェイク・ギレンホール)が近所の青年アレックス(ポール・ダノ)を容疑者として拘束するが、自白も物証も得られず釈放される。

それに苛立った主人公は、愛する娘を取り戻したい一心で”越えてはいけない一線”を踏み越えてしまう…というストーリーです。

全体の構成は「娘を誘拐した真犯人を探し当てるミステリー」なんですが、最大の見どころは「モラルを逸脱した主人公の行動」と、「最終的に彼はどうなってしまうのか?」という先読み困難なドラマ展開でしょう。最後までハラハラドキドキさせられますよ(^_^)


●『複製された男』(2013年)

『プリズナーズ』に引き続いてジェイク・ギレンホール主演作品です。ただ、先の2作品と違うのは、映画を観終わっても「なるほど、そういうことだったのか!」とはならない点なんですよね(苦笑)。

大学の歴史講師アダム(ジェイク・ギレンホール)は、ある日ビデオを観ていたら自分とそっくりな俳優を見つける。気になって調べてみると、顔や声や体格に加え生年月日まで同じことが判明。

いったいなぜ、自分と全く同じ人間が存在するのか?その謎を探るうちに、やがてアダムはそれぞれの恋人や妻を巻き込みながら、想像を絶する運命をたどっていく…

みたいな感じで、非常に面白い映画ではあるんですよ。ただ、最後まで観ても意味が良くわかりません(苦笑)。「観た人によって解釈が分かれる」という意味では大変ユニークな作品と言えるでしょうね。デヴィッド・リンチの映画とかが好きな人には合うかも(^_^;)


●『ボーダーライン』(2015年)

メキシコの麻薬カルテルを殲滅すべく奮闘する女性FBI捜査官の姿を描いたサスペンス・アクション。主人公はエミリー・ブラントですが、後半からは謎のコロンビア人を演じたベニチオ・デル・トロの方が目立ってます(笑)。

また、ヴィルヌーヴ作品の中では最もアクションシーンが多いことも特徴で、特に銃撃戦の凄まじさは『ブレードランナー2049』よりも全然上でした(笑)。

最大の見どころは、メキシコ麻薬カルテルの恐ろしさをリアリティたっぷりに描き出している点でしょう。そして、最後に明かされる不気味なベニチオ・デル・トロの”目的”もお見逃しなく(^_^)


●『メッセージ』(2016年)

メッセージ [Blu-ray]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2017-10-18)

この映画も”ネタバレ厳禁”のためにあまり多くは語れないんですが、一つだけ言わせてもらうと、物語の冒頭シーンから”あるトリック”が仕掛けられているので、注意して観ていれば気付くかもしれません。

内容は、「ある日突然地球に飛来した巨大な宇宙船にコンタクトを試み、彼らの目的を解き明かそうとする人々の姿を描いたSF映画」です。

主人公の言語学者ルイーズ(エイミー・アダムス)には”ある秘密”が隠されてるんですけど、それは映画を観てのお楽しみ(笑)。個人的に好きな作品ですね(^_^)

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というわけで、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作品をいくつか取り上げてみたんですが、共通項を挙げるとすれば、どの物語にも何らかの「サプライズ」が仕掛けられていることかなと。

つまり、観客が「こういう展開になるんだろうな」と思っていたら「え?」と驚くような意外な方向へ話が進んで行く…そんな印象がヴィルヌーヴ作品には感じられました。

映画のジャンルはヒューマン・ドラマやサスペンスやSFなど、様々な種類を描いているけれど、根底には常に”謎”を解き明かそうとするミステリアスな雰囲気が漂っている。

そして同時に”生命の在り方”が描かれ、主人公たちは”謎”の解明を通じて”生命”と向き合うことを宿命付けられているのですよ。

最新作の『ブレードランナー2049』でもこのスタイルが貫かれており、主人公のK(ライアン・ゴズリング)は自らの出生の謎を解き明かすべく奔走します。まさに、それこそがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作風なのでしょう。


The Art and Soul of Blade Runner 2049
Tanya Lapointe Denis Villeneuve
Titan Books Ltd

押井守監督、『ダンケルク』を語る

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

さて、クリストファー・ノーラン監督の最新作『ダンケルク』が、早くもブルーレイ化されることになりました。僕、ついこの前、劇場で観たばっかりなんですけど(笑)。

てことは、まだ一部の地域では絶賛公開中であるにもかかわらず、来月にはもう『ダンケルク』のソフトが発売されてしまうわけですよ。いや〜、早いなあ!

しかも、109シネマズ大阪エキスポシティでは11/18(土)からIMAX次世代レーザー版の再上映が始まるみたいだし、本当にBDの発売日ギリギリまで上映が続きそうな感じですね(^_^;)

ただ、この映画は劇場の大画面としっかりした音響設備で観てこそ真価を発揮するタイプの作品なので、ブルーレイが発売された後でもIMAXで上映していれば客は入りそうな気がする(笑)。

そんな『ダンケルク』ですが、『攻殻機動隊』で有名なアニメーション監督の押井守さんも気に入っているらしく、インタビューで感想を喋ったり、パンフレットにコメントを寄稿したり、色々な場所で本作について語っていました。

中でも、キネマ旬報9月上旬号に掲載された岡部いさく氏(軍事評論家)との対談が非常にマニアックで面白かったので(笑)、本日はその一部をちょこっと抜粋してご紹介しますよ。




押井:スピットファイアが実機を使っているのはわかったんだけど、メッサーシュミットはスペインのやつ(イスパノHA-1112)か。まだ飛べるんですね。

岡部:ええ。イスパノは『空軍大戦略』で使われて以降、とても珍重されています。それに現在、第二次世界大戦の飛行機はアメリカやヨーロッパで投機の対象になっていて、コレクターやレストア屋たちのおかげで市場ができてるんですよ。

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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2017-08-02)

押井:スピットはレストアしているところが結構あるんですよね。昔、『スカイ・クロラ』でポーランドへロケハンに行ったときに、退役軍人がやっているレストア屋にスピットが並んでて、そこの親父が「これが2機あれば食っていけるんだ」って話してた(笑)。

岡部:『ダンケルク』のスピットファイアは、初期の?型と?型と?型を使ってるんですけど、この3機は形が似てるから、実際の戦いで使われた?型と見分けがつかないのはいいですね。『空軍大戦略』の時は、?型や?型のような古いスピットで飛べる機体は少なかったので、?型やX?型といった後期の機体が使われていたんです。

押井:メッサー(の再現度)はどうですか?

岡部:イスパノを基に(ダンケルクの戦いの時の)E型っぽく改造してますね。だから、翼端が四角いんですよ。

押井:まあ、画面じゃほとんどわかんないですよね。

岡部:いや、わかります!

押井:(笑)。それにしても、空戦でCGを使わないのは大したものだし、カメラアングル的に「本当に実機でできるの?」っていうようなところもあって、面白かったね。

岡部:特にすごかったのは、ハインケル(ドイツ軍の爆撃機)のシーンです。かなり大きなラジコン飛行機を使って撮影してるんですが、狙われている船 → ハインケル(ラジコン) → スピットファイア(実機)が一度に画面に収まるシーンで、それぞれの大きさに破綻がない。

押井:あの縦の構図は観た瞬間、CGを使わないと無理だと思った。だから相当計算して撮ったんでしょうね。今まで観たことがない画で、非常に新鮮でした。あと、燃料計をやられて、たえず残りを気にしながら戦ってるところとか、描写としては珍しい。狭いドーバー海峡の上空で、あれだけ燃料を気にして戦う戦闘機ってスピットくらいでしょう。

岡部:いかにもスピットらしい、燃料搭載量の少なさ、航続距離の短さが、まったく説明はないんですが、うまく表現されていましたね。そもそもイギリス本土決戦用の防空戦闘機ですから、仕方ないんですが。

押井:この映画のなにが凄いかっていえば、「物量がすごい」とか「リアル」ということじゃないんですよ。監督の「カメラの前で起こったことを、何が何でも実際にやる」っていう根性。たぶん、ノーランじゃないと許されないと思う。並の監督なら、絶対にプロデューサーは「ダメ」って言いますから。

岡部:まあ、ダンケルクの戦いの映画なのに、海岸でドイツ軍を押しとどめていたフランス兵すらも描いていませんからね(笑)。本来は撤退作戦の主役であるはずのイギリス陸軍も、まったく活躍しない。海岸に寝そべってシュトゥーカ(ドイツ軍の爆撃機)に向かってライフル撃った兵士がいましたけど、すぐに吹き飛んでしまいましたから(笑)。

押井:そういう意味では、かなり視点の偏った、変な戦争映画ですよ。

岡部:ディテールという意味では、面白いところがたくさんありましたよね。たとえば最初の街のシーンで、トミーがドイツ軍の降伏勧告ビラを拾って2,3枚懐に入れるじゃないですか?あれになんの意味があるのかって、そのあと砂浜で用を足して、尻を拭くためなんですよね(笑)。

押井:わかるんだけど、実際に映画で描かれるのは珍しい(笑)。

岡部:それから、民間船の船長ドーソン(マーク・ライランス)の小型船が兵士たちを救うためにダンケルクに向かう途中で、味方の飛行機が飛んで来るシーンがあるじゃないですか。あそこで使われているのは、ブレニム(イギリス空軍の爆撃機)なんですが、イギリスに1機だけ飛べる機体があったので、それをわざわざ飛ばしてるんですよ。でも、そもそもあのシーンって、必要あります?

押井:ないですね(笑)。

岡部:あれはたぶん、「せっかく飛べる実機があるなら飛ばしちゃえ!」っていう”ノリ”だったと思うんですよね。

押井:「やったぞ!」っていう達成感ですよね。そこまでいくと、こだわりというより、一種の誇大妄想に近い(笑)。だから『ダンケルク』、個人的にはメチャメチャ面白かったし、いい映画だとは思うけど、素直に褒めたくないところもあるんです。もちろん、スピットがカッコ良すぎだろ、というのもあるし。そこはもう一回ツッコミを入れておかないと気が済まない(笑)。

岡部:ダンケルクの戦いの史実について知ろうと思ったら、ちょっと肩透かしを食らうかもしれないけど、一通りの流れを知っていれば、濃厚なディテールを隅々まで楽しめる映画ですよね。

押井:そもそも合理的に考えれば、実際のダンケルクの荒れた海で撮影する必要もないわけでね。今なら、オーストラリアかニュージランドでロケするでしょう、普通は。でも、そこを敢えて現地にこだわった。そういう執念や、色んな細部も含めて、あっちもこっちもイギリス人の意地が貫かれている。イギリス人のイギリス人による”変な映画”ですよ(笑)。


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『シン・ゴジラ』地上波初放送!関連記事まとめ

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、21時から庵野秀明総監督、樋口真嗣監督の『シン・ゴジラ』が地上波初放送されます。

昨年大ヒットした映画なので観ている人も多いでしょう。

逆に「怪獣映画に興味がない」という人でも楽しめると思うので、まだ観てない人はぜひご覧ください。

というわけで本日は、過去に当ブログにて掲載した『シン・ゴジラ』関連の記事を以下にまとめてみました。

テレビで観る際(というかネタバレが多いので観た後)に読んでいただければ、さらに『シン・ゴジラ』の世界を深く堪能できるんじゃないかと思います(^_^)



庵野秀明監督『シン・ゴジラ』ネタバレ映画感想/評価

僕が『シン・ゴジラ』を観て感じたことを、内容やキャラクターや映像など、様々な方向から分析・解説した濃厚な記事です。文字数もかなり多めなのでご注意ください(^_^)


【ネタバレ解説】『シン・ゴジラ』のラストの尻尾の意味は?

『シン・ゴジラ』を観た人の間で「アレはいったいどういう意味なんだろう?」と話題になった場面を自分なりに考察してみました。ラストシーンの解釈は諸説あるみたいなので、色々想像するのも楽しいですよ(記事はネタバレしているので映画を観た後にお読みください)。


映画監督の押井守が『シン・ゴジラ』と庵野秀明を痛烈に批判!?

劇場アニメ『攻殻機動隊』で有名な押井守監督が『シン・ゴジラ』を観て好き勝手に喋りまくる…という記事です。普段はネガティブなことしか言わない印象ですが、意外と肯定的で逆にビックリしました(笑)。


『シン・ゴジラ』の庵野秀明が日本映画界に与えた影響とは

『シン・ゴジラ』は何がどう凄かったのか?庵野秀明総監督が邦画界に巻き起こした”革新”とは?制作現場の裏側を解説した記事です。


『シン・ゴジラ』へ至るまでに庵野秀明と樋口真嗣が辿った30年

庵野秀明総監督と樋口真嗣監督の出会いから現在へ至るまでの軌跡をざっくりまとめてみました。二人の関係性が実にユニークで面白いですよ(^_^)


公開1周年!庵野秀明はいかにして『シン・ゴジラ』を撮ったのか?

『シン・ゴジラ』スタッフのインタビューをまとめた記事です。撮影現場における庵野秀明総監督の非情な振る舞いの数々が、関係者のリアルすぎる証言で明らかに(笑)。


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富野由悠季監督、『シン・ゴジラ』を語る

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

先週、テレビで庵野秀明総監督&樋口真嗣監督の『シン・ゴジラ』が放送されて、かなりの反響が巻き起こり、ツイッター等でもシン・ゴジラに関する話題で盛り上がりました。

当ブログでもいくつか関連記事を取り上げたところ、「シン・ゴジラ効果」によって割と多くの人に読んでいただけたようで、大変ありがたく思っております(^_^)

さて、さすがにもう『シン・ゴジラ』に関する新しいネタは無いんですけど、『機動戦士ガンダム』の生みの親として有名な富野由悠季監督も、公開当時に『シン・ゴジラ』を観ていたらしく、雑誌のインタビューで感想を語ってるんですよ。

果たして、あの富野監督は『シン・ゴジラ』をどのように評価しているのか?気になりますよねえ(笑)。というわけで本日は、「キャラクターランドVol.9」(徳間書店)に掲載された富野由悠季監督のロングインタビューから一部を抜粋してみますよ。



●『シン・ゴジラ』の意義について

富野:あの脚本でゴジラを撮ろうとは、ハリウッド版(ギャレス・エドワーズ監督)の後であれば、普通はならないでしょう。それを力技で押し切れた庵野監督が羨ましいし、あれで行ける、行こうと思った周囲の判断の根拠が知りたいとも思いました。

ただ、最初は普通に80点をあげられる映画だと思ったんですが、観終わったあとにネットをあまり見ない僕にも色々な情報が入ってきて、20点ぐらい点数が下がりました。自衛隊も閣議も、用語や組織などが全て現実に近く、庵野監督の想像で出来上がっているものではないと知って、多少ガッカリしたからです。

フィクションではなくドキュメンタリーなんだ、という部分では僕にとってはマイナスになります。しかし、怪獣映画という文脈を離れて映画単体として考えると、とても意義のある作品だと思いました。最近のハリウッド大作は、マーベル・スタジオの一連の作品がいい例だけど、なんでも対決に持って行ってしまう。

そういう幼稚な発想に対して、「こういう作り方もあるんだ」と庵野監督が意義を唱えた。それは非常に素晴らしいことだと思う。でもそれが、イマジネーションの力だけではなかったのがマイナス要因になったんです。


●『シン・ゴジラ』の画について

富野:キャスティングは見事でした。他の実写映画の監督は、これを見倣って欲しいと思いましたね。また、キャスティングだけでなく、人物の撮影も良かったです。女性防衛大臣(余貴美子)のアップがバンと出てくる瞬間、「おおっ!」と思うでしょ?さらに、人物のアップがどんどん増えていく。ああいうシーンでカメラを引いてしまうと嘘臭く見えるんだけど、そこが良く分かっているのには驚きました。

ただ難点を言えば、脇役に比べて主演(長谷川博己)の造形が弱い。竹野内豊と並ぶと、どうしても目がそっちにいってしまう。主役は主役って顔をしてくれないと困るんですよね。でも、もっと基本的なところで不満があるんです。

ゴジラがずーっと、どの形態の時にも瞬きをさせてないでしょ?特に第二形態なんかは、瞬きをしないことで、出来の悪いぬいぐるみにしか見えないんです。アニメでは、キャラクターを生きているって思わせるために「目パチ」を意識的にやらせるのに、なぜアニメ出身の監督がゴジラにやらせないんだ!

機械的な技術と思われがちだけど、それは違います。たとえばお姉さんが振り返った時に、人はまず目を見る。オッパイを見るのはそのあと!目に表情がなければ魅力も感じないし、潤んでいなければ生きているとも思えません。この映画は、全体的に水気が足りないのです。

時代を客観的に写しているドキュメンタリーではあるけれど、艶っぽさがなくてもいいというのは理屈です。石原さとみをキャスティングするなら、彼女の特徴をなぜ活かさない!?小型機での密談が終わったシーンで、飛行機から石原さとみが降りてきて、普段通りの駐機場を俯瞰して、それから唇をなめるカットを入れれば、羽田は潰されていないという説明にもなるし、石原さとみの魅力も生きる。

でもキズってそれくらいです。設定が上手く出来ているだけに、うかつに端折っちゃったんでしょう。80点はやれないけど、一般的にはスルー出来るレベルの問題しかないと思っています。水気が足りない分、パサパサしている方は上手い。あのPCを持ち歩いているお姉さん(尾頭ヒロミ:市川実日子)の姿とか、カッコ良くて息をのみました。


●『シン・ゴジラ』の続編について

富野:ビジネス的には、公開2週目には続編の話が具体化したでしょうね。ただ、この話の続編はおいそれとは作れないですよ。もし庵野監督が作らないんだとしたら、あのラストカットを引き受けて続編を作れる人はいるんだろうか?ということです。ビジネスの要請だけで作ると、これまでのゴジラの歴史の繰り返しになります。あれがそのまま目覚めて、メカゴジラと戦うしかないでしょう。そういうマーベルの陥っているのと同じ轍を踏まず、この続編をどう作るかはこの後に続く若いクリエイターへの宿題、命題になっていると思いました。


『ブレードランナー2049』って面白いの?ネタバレ映画感想!

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

さて、皆さんはもう『ブレードランナー2049』を観ましたか?僕自身は前作の『ブレードランナー』(リドリー・スコット監督)が大好きなので、公開前から「早く観たいな〜」と楽しみにしてたんですよ。

ところが、先行して公開されたアメリカでは初週に3000万ドル程度しか稼げず、「超大作映画にしては期待はずれ」という声が上がっていました(米メディアは「大コケ」と酷評!)。

さらに中国でも初日の売り上げはたったの240万ドル(1600万人民元)にとどまり、週末は700〜800万ドルと惨敗。最終的な興行成績は1500〜2000万ドル程度だろうと言われているそうです。

この数字では(すでに全世界で2億ドルを稼いでいるとはいえ)、1億5000万ドルの高額な製作費プラス膨大なマーケティング費用を回収するのは厳しいと言わざるを得ません(黒字化には最低でも4億ドル以上が必要)。

その反面、映画を観た人の反応は悪くないようで、ロッテントマトの支持率は87%を獲得し、評論家たちも「素晴らしい続編」「SF映画の新たな傑作が生まれた!」などと絶賛している人も少なくないらしい。

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「だったら何でヒットしてないんだよ?」

そんな疑問が湧き上がる中、ついに日本でも上映が始まった『ブレードランナー2049』は、全国593スクリーンで公開され、土日2日間で動員14万9947人、興行収入2億2649万円を記録し、初登場2位を獲得。

しかし2週目は6位にランクダウンし、累計興収は6億9500万円。そして3週目は8位と徐々に順位は下がり続け、4週目で早くも圏外へと消えてしまいました。えええ…

まあ、前作の『ブレードランナー』の「あまりにも不評ですぐに打ち切られた状況」に比べると、「だいぶマシになっている」と言えなくもないんですが、微妙な感じですよねえ。

というわけで、賛否両論真っ二つに意見が分かれている『ブレードランナー2049』。果たして面白いのか?それとも面白くないのか?友人の江須田君(仮名)と対談形式で検証してみたいと思います(なお、僕も江須田君も前作の『ブレードランナー』は鑑賞済み)。


■あらすじ『西暦2049年。LA市警のブレードランナー”K”(ライアン・ゴズリング)は、ある事件の捜査中に、レプリカント開発に力を注ぐウォレス社の陰謀を知ると共に、その闇を暴くカギとなる男:デッカード(ハリソン・フォード)に辿り着く。いったい彼は何を知ってしまったのか?人間とレプリカント、2つの世界の秩序を崩壊させ、人類存亡に関わる衝撃の真実が今、明かされようとしている…』


※以下、ネタバレしているのでご注意ください!


管理人:さて、江須田君も前作の『ブレードランナー』を観てると思うけど、今回の『ブレードランナー2049』はどうだった?

江須田:どうもこうもないよ!最悪だよ!

管理人:お〜、荒ぶってるねえ。いきなり全否定とは(笑)。具体的にどの辺が?

江須田:言いたいことは色々あるけどさ、一番ガッカリしたのは「世界観に魅力がない」ってところだよ。前作の何が素晴らしかったかと言えば、「リアルかつ魅力的な近未来の映像」じゃんか?空中を飛び交うスピナーや巨大な飛行船。ビルの壁面に映し出される”強力わかもと”の広告。雨が降りそそぐネオン街をアジア人や欧米人が歩き回るカオスな空間。それらが混然一体となって描き出す前代未聞の映像美!

管理人:今まで観たこともない斬新なビジュアルに驚いたよね。後の映画や漫画に与えた影響も凄まじかったし。

江須田:それに比べて今回はどうよ?確かにスピナーが空を飛んでるシーンを見ると「ああブレランの続きなんだな」って分かるけどさ。街の映像にしても「前作より魅力的になった」とは全然感じられないし、スピナー自体もせいぜい「モデルチェンジしました」程度の変化しかないし、何の驚きもないんだよ。

管理人:あくまでも前作の延長線上にある世界だから、あまり大きく変化させすぎると、それはそれで「ブレランじゃない!」みたいな批判が出るかもしれない…と考え、敢えて変化は最小限に止めたんじゃないかな?あ、スピナーの屋根からドローンが出て来て、周囲の状況を探索してたじゃん。あれ新しかったよ。

江須田:ドローンぐらい今だってあるだろ!珍しくも何ともないよ!あと、画面全体が常に霞んでて良く見えないのもどうにかして欲しかった。特にデッカードを探してるシーンは霧の濃度がすごすぎる。せっかく作ったビジュアルがはっきり見えないんじゃ意味ないだろ!

管理人:僕はあの幻想的なムードが良かったけどなあ。前回が”雨”だったから、今回は”霧”という具合に変化をつけたんじゃないの?

江須田:そんな変化はいらないよ!

管理人:まあ、言いたいことは分かる(笑)。確かに、1作目を初めて観た時ほどのインパクトはないよね。SF表現として良く出来ている場面もあるけれど、「『ブレードランナー2049』の影響を受けて今後の映画の表現が大きく変化するか?」と言われれば、そこまでの衝撃はないと思う。

江須田:だろ?1作目って、ゴチャゴチャしてるけど、その混沌とした空間が面白かったわけじゃん。アメリカ人の主人公がうどんを食いながら、屋台のオヤジに日本語で「二つで十分ですよ!」とか言われたり、変なゴチャゴチャ感が面白かったのに、続編ではスッキリ整理され過ぎて、妙に上品な映像になってるのが気に食わない。これじゃ全然面白くないよ!

管理人:確かに、あの”ジャンクな感じ”が魅力だったのは間違いないよなあ。30年以上経っても、いまだにあのオヤジは覚えてるもんね(笑)。

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江須田:それから、主人公の人物像もつまらなくてガッカリした。最初は無愛想で取っ付きにくいデッカードが、レイチェルと出会ったことで徐々に人間的な魅力を獲得していった前作に比べて、今作のKは何を考えているのか良く分からないんだよな。人工知能のバーチャル彼女に夢中になってる男って単純にキモいし、全然共感できない!

管理人:いやいや、「キャラクターが徐々に変化していく」という意味では、デッカードもKも同じだよ。普通にストーリーを追っていればKの心情の変化は感じられるはずだけどなあ。ちゃんと映画を観てた?

江須田:途中で寝てたかもしれん。

管理人:うお〜い!

江須田:そもそも上映時間が長すぎるんだよ、163分って!内容が詰まっててその長さならまだ分かるけど、1つ1つのシーンが冗長で退屈なんだよ。睡魔に襲われてもしょうがないだろ。

管理人:う〜ん、確かに長い映画だけど、退屈はしなかったけどなあ。

江須田:あと、ストーリーも面白みがないというか、良く分からない場面が多いんだよね。

管理人:例えばどの辺が?

江須田:Kに”木馬の記憶”を埋め込んだのはデッカードの娘(アナ・ステリン博士)だよな?何のためにそんなことをしたんだ?デッカードは「秘密を守るために子供は仲間に託し、その後は一切会っていない」と言ってたから、「敵の目を欺くため」みたいな理由なんだろうけど、だとしても全く誰も欺かれていないし、「もしかして俺ってデッカードの息子かも?」と思ってたのはKだけじゃん。何の意味があったんだろう?

管理人:一応、ストーリー上では、娘の存在を隠すために「2021年6月10日に生まれた男女のうち女児は死亡、男児だけ生き残った」と出生記録を改ざんしてるから、あくまでも”情報の撹乱”が目的だろうね。あと、”木馬の記憶”は前作の「デッカードが夢で見ていたユニコーン」を踏襲してるんだよ。ユニコーンの折り紙を折っていたガフも今回出てたよね?要はユニコーンから馬(木馬)に変わったわけ。

江須田:う〜ん、分かったような分からんような…。じゃあレジスタンス(レプリカント解放運動)の連中は何をやろうとしてたんだ?最後にチョロっと出て来ただけで特に何もしてないじゃん。

管理人:デッカードの娘は、レプリカントが出産できることを証明する最大の切り札なので、レジスタンスたちは彼女を利用して反乱を企てようとしてるんだよ。今回はほとんど出番が無かったけど、恐らく次回作でその辺が描かれるんじゃないかな。

江須田:ええ〜!?この後にまだ続編が作られるのかよ!?

管理人:だってウォレスとの決着が着いてないでしょ。あいつがラスボスなんだから、あいつを倒さなきゃ話が終わらないよ。

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江須田:マジか〜。

管理人:まあ、アメリカでコケたから、実際に続編が作られるかどうかは分からないけどね。ただ、続編を意識した作りになっているのは間違いないよ。

江須田:「出番が少ない」と言えばさあ、出て来てすぐに殺されたレイチェル。あのシーンも何だかな〜。あんなにあっさり殺すなら最初から登場させるなよ!って言いたいわ。

管理人:あれは若い頃のショーン・ヤングをCGで再現しているので、あまり長く映すとバレちゃうからだと思う。『ローグ・ワン』にも若い頃のレイア姫が出てたけど出番は短かったろ?基本的に、どの映画でも「フルCGの俳優」はじっくり映せないんだよ。技術的な問題で。

江須田:そんな事情があったとは(笑)。まあ、どういう事情でも俺の評価は変わらないけど。で、お前は『ブレードランナー2049』を観てどう思ったんだよ?

管理人:「映像」に関しては、だいたい君と同じ意見かな。従来のサイバーパンクの概念を大きく覆すような独自性やインパクトがなかったのはちょっと残念だった。ただ、ブレランの世界観はしっかり引き継いでいるので、これはこれでアリなんじゃないかと。

江須田:ふ〜ん。

管理人:「内容」に関しては……まあ、これは好みの問題かもしれないけど、僕は個人的にドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作風が好きなんだよね。過去に『灼熱の魂』『プリズナーズ』『複製された男』『ボーダーライン』『メッセージ』を観たんだけど、全部面白いんだよ!ハズレがない!

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江須田:へ〜。

管理人:で、『2049』もまさにヴィルヌーヴ監督の作風なんだよ。例えば冒頭の、広大な太陽光発電施設を上空から俯瞰している映像とか「ああ、まさにドゥニ・ヴィルヌーヴ!」って感じでグッときたね。その後の、街から遠く離れた場所にある寂しい農場へ主人公がやって来るシーンも良かった。

江須田:え〜?あの辺って全然SF映画っぽくないじゃん。「これのどこがブレランなんだよ!」って逆に冷めたけどなあ。

管理人:オイオイ、何バカなこと言ってんの(笑)。外に大きな木が1本生えていて、部屋に入った主人公が大柄なレプリカントと会話する…という一連の描写は、1作目の『ブレードランナー』の脚本に書かれていて最終的にカットされたシーンだよ。

江須田:えっ!?そうなの?

管理人:もっと言うと、誰かの瞳のドアップから始まるオープニングも、前作のブレランと全く一緒だよね。つまり、今回の『2049』は一見オリジナルのブレランとかけ離れているように見えるけど、実は忠実に1作目を踏まえた作りになってるんだよ。

江須田:う〜む、そうだったのか…。

管理人:もちろん君が「ブレランっぽくない」と感じた理由は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作風がベースにあるからで、ついでに言うとアンドレイ・タルコフスキー監督の作風も混じってるからだよ。冒頭の「木が1本だけ生えているビジュアル」も、タルコフスキーの『サクリファイス』という映画に似たようなシーンが出て来るし。でも、根底にあるものはオリジナルの『ブレードランナー』なんだよね。

江須田:なるほどなあ…。ただ、そうは言っても前作とは内容が違いすぎるじゃん?やっぱ違和感が拭い切れないというか…。

管理人:あの〜、君はずっと「前作は良かったのに…」みたいなことばかり言ってるけど、じゃあ前作のどんなシーンが一番印象に残ってる?

江須田:そりゃあ、やっぱりロイ・バティ(ルトガー・ハウアー)が「オリオン座の近くで燃える宇宙戦艦。タンホイザー・ゲートの近くで暗闇に瞬くCビーム。そんな思い出も時間と共にやがて消える。雨の中の涙のように…」のセリフを喋る辺りだよ。

管理人:レプリカントのロイが、ビルから落ちそうになっているデッカードを助けて、雨に打たれながら静かに死んでいく場面だよね?

江須田:そう、あそこは本当に名シーン!何度観てもグッとくるんだよなあ。

管理人:だったら『2049』も同じだよ。レプリカントのKが、敵に捕まったデッカードを助けて、最後に雪の中で静かに死んでいくわけだから。

江須田:ん?あ…

管理人:シチュエーション的には完全に一致してるよね?つまり『2049』はデッカードではなく、ロイ(レプリカント)の視点から見た『ブレードランナー』なんだよ。

江須田:う…。で、でも、それはたまたまそうなってるだけじゃないの?

管理人:いや、Kが死ぬ時に流れるBGMは、ロイが死ぬ時に流れたBGMと全く一緒なんだよ。『2049』の音楽はヴァンゲリスじゃなくてハンス・ジマー(とベンジャミン・ウォルフィッシュ)なんだけど、このシーンだけはヴァンゲリスのオリジナル曲がそのまま使われてるんだよね。明らかに意図的にやってる。

江須田:ということは、やはり主人公をロイ・バティに重ね合わせているわけか…。

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管理人:もっと詳しく言うと、前作は”SFハードボイルド”っていう扱いで、主人公のカッコ良さが際立つような作りになっていたよね?それに対して今作は「主人公が特別な存在ではない」、つまり「ヒーローじゃない」ってところがポイントなのよ。

江須田:どういうこと?

管理人:主人公のKはレプリカントで、街には彼のような人造人間がいっぱいいる。要は、工場で大量生産された商品の一つなわけ。それは本人も自覚していて、そのこと自体は特に気にしていなかった。ところがある日、自分の記憶が造られたものではない、ということに気付いてしまい、「もしかして俺は特別な存在なのかも…?」と思い始める。

江須田:うん。

管理人:でも、調べていくうちに記憶の”正体”が分かって、やっぱり自分は特別じゃない、普通の量産品なんだ…という事実が判明する。これ、すごく悲しい話じゃん?最終的に「あ、やっぱ違うんだ…」ってことがわかっちゃうわけで。

江須田:うん、うん。

管理人:すごく切ないシチュエーションなんだけど、それでも主人公は「デッカードを殺せ」という指示に逆らって彼を助けようとするんだよ、命懸けで。つまりこの物語は、「ヒーローではない単なる既製品の人造人間が、そのことを自覚しつつ、それでも最後は人間らしく行動しようと誰かを助けるために死んでいく」という、そういう話なんだよね。じゃあ、なぜKはそんなことをしたのか?誰かのために戦って死ぬことで、自分がこの世に生まれてきた意味を示そうとしたんだよ!これは泣けるでしょ?

江須田:おお…。確かに、それ聞いたら急に「ええ話」に思えてきた。ただ…

管理人:まだ何かあるの?

江須田:最後、主人公が死んで終わるじゃんか?ああいう暗いラストはどうも…。エンタメ好きな俺としては、やっぱ娯楽映画はハッピーエンドで終わって欲しいんだよねえ。

管理人:「ハッピーエンド」ってもしかして、前作のラストのことを言ってる?

江須田:そう、最後に二人で車に乗って旅立っていくあの…

管理人:それ勘違いしてるよ。

江須田:は?

管理人:日本公開版の「デッカードとレイチェルが車に乗って去っていくラストシーン」は後から付け加えられたもので、もともとリドリー・スコット監督が編集したバージョンには入ってなかったんだよ。ところが、完成前にテスト試写を実施したら、「ストーリーが分かり難い」「ラストが暗い」などの否定的な意見が多かったんだって。それを知った映画会社が慌てて「作り直せ!」と指示して、あの”逃避行シーン”が追加撮影されたんだよ。でもリドリー・スコットはそのことをずっと不満に思っていたので、その後(1992年)、元の”暗いラスト”に戻すために自ら編集し直して『ディレクターズ・カット/最終版』を作ったわけ。つまり、本来の『ブレードランナー』は全然ハッピーエンドじゃないんだよ。

江須田:ウソでしょ!?

管理人:いや本当。だから結局、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はブレランから遠ざかっているようで、実はブレランの本来の姿に近づけようとしていたんじゃないかな?本人も『ブレードランナー』の大ファンだって言ってるし。そして『2049』を絶賛している人たちも、そういう部分に魅力を感じたんじゃないかなあ。

江須田:そ…そーだったのか…

管理人:まあ「『2049』はSF映画史に残る大傑作!」とか、そこまで褒めるつもりはないけれど、個人的には今言ったような理由で「悪くない」と思ったし、”レプリカント側から見たブレランの物語”としては切なくていい話だと思うよ。

江須田:なるほど、ちょっと見方が変わってきたかも…。もう一度観てこようかなあ。いや実は、ところどころ記憶が抜けててさ、良く覚えてないシーンがあるんだよね。なんでだろ?

管理人:そりゃ途中で寝てたからだよ!


The Art and Soul of Blade Runner 2049
Tanya Lapointe Denis Villeneuve
Titan Books Ltd

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個人的にオススメ!漫画・アニメの実写化映画10選

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

さて現在、全国の劇場で実写映画版『鋼の錬金術師』が上映中なんですけど、色んな意味で話題になっているようですね(苦笑)。

なにしろ、制作が発表された瞬間から実写化に対する厳しい批判が殺到し、公開前にもかかわらずYahoo映画のレビューは★1つと★5つが連投されて大荒れ!

さらに、監督の曽利文彦氏が「皆さんの質問に答えます」とツイッターでつぶやいたところ、あっという間に炎上しまくり、公開後も賛否両論真っ二つ…という凄い有様ですから。

こういう状況を見ると「相変わらずアニメや漫画の実写化は世間の反発が強いんだなあ…」と思わざるを得ないんですが、逆に”評価の高い実写化”が増えていることも事実です。

特に最近は実写版の制作本数が激増しているため、”当たり”が出る確率も多くなっているのに、意外とそういう作品が知られていないんじゃないかな?と。これは非常にもったいない!

というわけで本日は、ここ最近(4〜5年以内に)公開された映画の中で、個人的に「これは面白い!」と感じたアニメや漫画の実写化作品を10本取り上げてみたいと思います。


●『バクマン。』

高校生の友人2人がコンビを組んで漫画家を目指し、週刊少年ジャンプで連載を勝ち取りライバルたちと首位を争う…という青春サクセス・ストーリーです。

ジャンプに連載されてる時から読んでいて、個人的に好きな漫画なんですけど、まさか実写映画化されるとは思いませんでした(ちなみにアニメ化もされています)。

配役が発表された時点で「佐藤健と神木隆之介のキャスティングが逆じゃね?」と軽く炎上したものの(笑)、いざ公開されると大ヒット&大絶賛!

漫画版に比べると登場キャラも少なく設定もあちこち変更され、「決して原作に忠実な実写化ではない」にもかかわらず、なぜ高評価されたのか?と言えば、やはり一つの映画として純粋に面白かったからでしょう。

監督の大根仁氏は、森山未來主演の『モテキ』でも原作を適度に改変しつつ、同時に”原作の魅力”を理想的な形で再構築しており、「バランスの取り方が非常に上手い」と感じました。間違いなく、漫画の実写化における”成功例の一つ”だと思います。


●『アイアムアヒーロー』

漫画家アシスタントの冴えない主人公がある朝目覚めたら世界がゾンビに支配されて…というパニック・ホラーです。

「ゾンビ映画」と言えば海外でも日本でも昔から数多く作られていますが、残念ながら「大抵は低予算で低レベル」という印象は否めません。

しかし本作は、邦画のホラー映画としては破格の予算を投入し、リアルかつグロテスクなゾンビの造形にも力を入れ、圧倒的にクオリティの高い”本格ゾンビ映画”を作り出してしまったのですよ!

そのため、残酷描写が苦手な人にはオススメし辛い部分もありますが、主人公のキャラクター(大泉洋)も含めて全体的には「コメディ成分」が多目なので、割と気軽に観られると思います。

日本では撮影が難しい「高速道路上のカーアクション」を、わざわざ韓国まで行って撮影したり、廃業になったアウトレットモールを丸ごと借り切ってロケするなど、スケールのデカさも素晴らしい。


●『ちはやふる』

「競技かるた」に打ち込む少年少女の姿を描いた青春ストーリーです。「かるた」と聞くと穏やかなイメージなんですけど、躍動感あふれる試合シーンは完全に「熱血スポーツ映画」ですね(笑)。

本作の見どころと言えば、競技かるたを通じて育まれる仲間たちとの絆や友情、そして淡い恋愛ドラマなど、色々あるんですが、とにかく主演の広瀬すずが可愛い!ひたすら可愛い!それに尽きると思います(笑)。


●『ヒメアノ〜ル』

清掃会社で働く主人公(濱田岳)は、コーヒーショップ店員の阿部ユカ(佐津川愛美)と付き合うことになるが、ある日同級生の森田正一(森田剛)に再会したことで恐ろしい事件に巻き込まれ…というサイコ・スリラーです。

この映画、前半は普通なんですよ。濱田岳が清掃会社の先輩のムロツヨシに「好きな子がいるんだけど…」と打ち明けられ、協力しようとしたら逆にその娘と付き合うことになってムロツヨシがショックを受ける…みたいな。

そういう、「緩めのラブコメ」のような展開が続くので、「あれ?これって喜劇映画だっけ?」と軽く混乱させられますが、V6の森田剛が絡んでくる辺りから急激にテイストが変化!

この森田剛が演じる森田正一(ややこしいw)のキャラクターが凄くて、元同級生の和草に金をせびり、断られると和草と彼の婚約者まで殺害し、その後も次々と凶行を重ねていく等、とんでもない男なんですよ。

しかし、決して”恐ろしい凶悪殺人鬼”というだけでなく、街でチンピラに絡まれてカツアゲされたり、金がなくなって漫画喫茶で寝泊まりしたり、弱い一面も見せているところがポイント。

実は、森田は学生時代に同級生たちから酷いいじめを受けていて、そのことが彼の精神に甚大な影響を及ぼしていたのです。果たして彼らの運命は…。ラストシーンも非常に切なくて印象的でした。


●『HK 変態仮面』

「女子のパンティーを頭から被ったほぼ全裸状態の男が悪を倒すヒーロー映画」で、タイトル通りの変態野郎……というか”ド変態”ですね(笑)。

主役を演じた鈴木亮平も、初めて鏡の前で自身のコスチューム姿を見た時、「ちょっと待て俺、本当にいいのか?引き返すなら今だぞ…!」と心の中で何度も自分に問いかけたらしい(笑)。

もともと本作の実写化は、原作の大ファンの小栗旬が望んでいたようですが、本人が自ら変態仮面を演じようとしたところ、事務所から全力で止められたそうです(当り前だw)。

そんな汚れ役を見事に演じ切った鈴木亮平は、「もう二度とまともな仕事は来ないかもしれない…」と心配したものの、直後にNHKの連続テレビドラマ『花子とアン』への出演が決まり、今やすっかり人気俳優として活躍中。

これだけ有名になったら、普通は「いやいや、もう変態仮面なんかやるわけないだろ(笑)」ってなりそうじゃないですか?でも鈴木亮平は違うんですよ。

なんと2016年に続編の『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』の制作が決定した時も、余裕でオファーを引き受け、再び1作目と同じように頭からパンティーを被り、全身全霊で変態仮面を演じたという。まさに役者の鑑(かがみ)だ!


●『銀魂』

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ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2017-11-22)

『変態仮面』への出演を止められた小栗旬が主役を演じた本作。監督は『変態仮面』と同じ福田雄一で、宇宙からやって来た天人(あまんと)が実権を握る江戸時代末期、便利屋を営む坂田銀時の活躍を描いたSF時代劇コメディです。

福田雄一監督は『HK 変態仮面』の他、『逆境ナイン』(脚本)、『俺はまだ本気出してないだけ』、『斉木楠雄のΨ難』、『アオイホノオ』など、漫画原作の実写化を数多く手掛け、しかも「大のお笑い好き」ということで、この手の仕事は慣れているのでしょう。

本作も、通常ならコスプレ大会になりそうなキャラクターのルックスを、敢えてそのまま踏襲することで原作の世界観を再現し、さらに劇中で炸裂するギャグもキレが良く、実に楽しい映画に仕上がっていました。

また、共演者も菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、新井浩文、吉沢亮、早見あかり、ムロツヨシ、長澤まさみ、岡田将生、佐藤二朗、菜々緒、安田顕、中村勘九郎、堂本剛など、非常に豪華でグッド。結果、驚異的な大ヒットを記録し、パート2の制作も決まったようです。


●『寄生獣』

作品の評価は賛否がわかれると思いますが、「人間の身体がグロテスクに変化し、手足を武器に変えて恐ろしいバケモノと激しいバトルを繰り広げる」というアクション・ホラー映画なんて、なかなか日本では作れないので、かなり貴重だと思います。

登場キャラクターが減っていたり、原作から改変された部分も目立ちますが、CGを駆使した変身シーンやアクションは圧倒的な迫力で素晴らしい。ただ、映画は前編と後編にわかれていて、前編はそれなりに面白いものの、後編の展開がちょっとバタバタしているのが残念。


●『ミュージアム』

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雨の日にだけ現れ、残虐な猟奇殺人を続ける「カエル男」と、それを追う刑事との攻防を描いたサスペンス。「ペットフードの刑」など、何かに準えて殺人を実行する様は明らかにデヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』の影響を受けていると思われますが、原作がそうなんだからしょうがない(笑)。

まあ、邦画でこういうエグい猟奇サスペンスは滅多にないし、ましてや小栗旬や妻夫木聡が出演する大作映画で…となるとなおさら機会が少ないと思うので、面白い組み合わせなんじゃないかと。

ただ、原作とはストーリーが多少変わっている点や、「映画史上最悪のラスト」と言われた『セブン』に比べると、ちょっと…みたいな不満は確かにあるかもしれません。


●『ヘルタースケルター』

”全身美容整形”という秘密を抱え、モデルの頂点に君臨するヒロインの際限のない欲望と転落への道のりを、過激な性愛描写と極彩色のヴィジュアルで描き出したサスペンス。

主人公を務めた沢尻エリカは、2007年の『クローズド・ノート』の舞台挨拶で不適切な発言(「別に」)をして以来、女優の仕事から遠ざかっていましたが、本作で5年ぶりに映画出演を果たしました。

監督は、蜷川幸雄の娘で写真家の蜷川実花さん。映像にこだわる彼女の作品は、カラフルで鮮やかなビジュアルが特徴で、『ヘルタースケルター』も蜷川監督の個性を存分に発揮した映画と言えるでしょう。

他にも大森南朋、寺島しのぶ、綾野剛、水原希子、新井浩文、鈴木杏、寺島進、哀川翔、窪塚洋介、原田美枝子、桃井かおり等、豪華キャストが出演(寺島しのぶと綾野剛の”誰得な濡れ場”もありw)。


●『海街diary』

鎌倉の古い一軒家に暮らす三姉妹が、腹違いの妹を迎え入れ、それぞれに複雑な想いを抱えながらも徐々に家族としての絆を紡いでいく姿を、鎌倉の四季折々の美しい風景とともに綴ったヒューマンドラマ。

これはもう、「吉田秋生の原作漫画を是枝裕和監督が撮るとこうなるのか!」という喜びですね(吉田さんも是枝監督も好きなんでw)。非常に安定感のある良い日本映画だと思います。

綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが演じる四姉妹の会話シーンやキラキラした日常を見ているだけで気持ちが癒されますよ。あと広瀬すずが可愛い(二回目w)。

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というわけで、ここ最近公開されたアニメ・漫画の実写化映画の中から、個人的に「アリだな」と思った作品を取り上げてみました。

これ以外にも『ピンポン』、『クローズZERO』、『るろうに剣心』、『デスノート(前編・後編)』、『テルマエ・ロマエ』、『カイジ 人生逆転ゲーム』、『ALWAYS 三丁目の夕日』など、面白い実写版映画はたくさんあります。

もちろん、「ふざけんじゃねえ!」と言いたくなるような作品もたくさんあるんですけど、「結局は作り方次第で傑作にも駄作にも成り得る」ってことなんじゃないかと。そういう意味では、漫画の実写化も普通の映画も違いはないと思います(^_^)


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『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』について語ってみる

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、金曜ロードSHOW!で『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』が放送されます。

ご存じ、人気シリーズの6番目のエピソードで(公開順は3番目ですが)、ついに主人公とダースベイダーとの戦いに決着がつく「旧三部作の完結編」です。

1983年の公開当時、僕はまだ子供だったんですが、母親に連れられて地元の映画館へ本作を観に行きました(当時のサブタイトルは『ジェダイの復讐』)。

その時の衝撃たるや凄まじく、広い砂漠で繰り広げられるアクションや、森の中を高速で突っ走るスピーダー・バイク、そして広大な宇宙空間を縦横無尽に飛び回る無数のスペース・シップ!

ミニチュア模型やコマ撮りアニメ、特殊メイクやオプチカル合成など、CG技術が導入される以前の「SFX」と呼ばれる特殊効果によって撮影されたそれら驚異的なビジュアルの数々に、子供だった僕は圧倒されましたねえ。

当時、日本では高倉健主演の大ヒット映画『南極物語』がほぼ同時期に上映され、さらにスティーブン・スピルバーグ監督の『E.T.』も歴代記録を塗り替えるほどの爆発的なメガヒットを記録していたため、残念ながら『ジェダイの帰還』の興行成績は第3位にとどまりました。

また、ファンの間でも(当時は)評価が少々低かったようで、特に可愛らしいイウォーク族に対しては「最新兵器で武装した帝国軍が、石や木の棒しか使えないあんな原始的な連中にやられるなんて!」などと反発が強かったらしい。

しかしながら、前2作を上回る莫大な製作費を投じて作られた本作は、帝国軍と反乱軍の戦いや、ルークとダースベイダーの関係などに全て決着をつけ、大団円の感動的なフィナーレを迎えたのです。そう考えれば、”壮大なおとぎ話”の締めくくりに相応しいエンディングだったと言えるでしょう。

というわけで本日は、『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』を観る際に知っていればさらに映画を楽しめる(かもしれない)裏話をいくつかご紹介しますよ(^_^)


●なぜハン・ソロは冷凍されたのか?

本作は、前作『帝国の逆襲』でカーボン・フリーズされたハン・ソロを救うためにレイアやルークがジャバの宮殿を訪れるシーンから始まりますが、そもそもなぜハン・ソロは冷凍されることになったのでしょう?

実は1作目が大ヒットしてキャストたちと二作目(『帝国の逆襲』)の出演契約を結ぼうとした際、マーク・ハミルやキャリー・フィッシャーはすぐにサインしたのに、ハリソン・フォードだけは難色を示し、「続編には出たくない。どうしてもと言うならギャラをもっと上げろ!」とゴネたのです。

この頃、フォードは以前よりも俳優としての地位が向上しており、仕事には不自由していませんでした。そこで一作目の数倍の金額を要求し、自分の価値をさらに高めようとしたらしい(最終的には他の出演者と同額になった)。

しかしルーカスは思いました。「三作目を作る時にもゴネられたら面倒くさいな…」と。そこで『帝国の逆襲』の脚本を書く時、「ハン・ソロを物語の流れから一旦外してしまおう」と考えたのです。そうすれば、最悪ハリソン・フォードが三作目の出演を断ったとしても「何とかなるだろう」と。

結局、プロデューサーの熱心な説得によって、フォードは三作目の出演契約書に渋々サインしたそうですが、どうやってハン・ソロを救出するかまでは考えておらず、『ジェダイの帰還』の脚本を書く際にとても苦労したそうです。

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●監督は誰?

『ジェダイの帰還』の脚本が出来上がると、ルーカスは監督の選定に入りました。『帝国の逆襲』を監督したアーヴィン・カーシュナーはすでに三作目のオファーを断っていたため、新しい人を探さなければならなかったからです。

そこでルーカスが真っ先に選んだ人物が、友人のスティーブン・スピルバーグ。しかし、この案は結局実現しませんでした(理由は「アメリカ監督協会との確執では?」などと言われているが、実際はスピルバーグが『E.T.』の製作で忙しかったから)。

次に監督候補に上がったのは、『イレイザー・ヘッド』や『エレファント・マン』のデヴィッド・リンチです。実はルーカスはリンチの大ファンで、スカイウォーカー・ランチに彼を招き、自ら熱心に口説いたらしい。

ところが、ルーカスがイウォーク族のデザインを見せたとたん、突然デヴィッド・リンチは「うっ!頭が!」と謎の頭痛を訴え(笑)、その3日後、正式にオファーを断ってきたそうです(なんでやw)。

その他、デヴィッド・クローネンバーグなど実績のある一流監督が何人も候補に上がったものの、次々と断られ続け、ルーカスは「もう、いっそのこと”監督引退宣言”を取り消して自分で監督しようか?」と考えるようになりました。

そんな時、プロデューサーが見つけてきたのが、イギリス出身のリチャード・マーカンド監督です。どうしてもこの映画を監督したかったマーカンドは何度もルーカスに自分をアピールし、ようやく監督の座をゲット!

しかし、その後2年間、ジョージ・ルーカスの目の前で『スター・ウォーズ』を撮ることが、どれほど凄まじいプレッシャーになるか思い知ることになってしまいました(後にマーカスは当時の心境を「ベートーヴェンが聴いている前で第九交響曲の指揮をするようなものだ」と答えている)。


●スター・ウォーズだとバレないように…

砂漠の惑星・タトゥーインのシーンは、一作目ではチュニジアで撮影されましたが、本作ではアリゾナ州のユマ付近の砂漠がロケ地に選ばれました(スター・ウォーズ・シリーズがアメリカ国内で撮影されたのはこれが初めて)。

その際、『スター・ウォーズ』の新作であることがバレないように、『ブルー・ハーベスト:ホラー・ビヨンド・ザ・イマジネーション』というニセの映画タイトルをつけて撮影用の施設を予約したそうです。

さらに撮影現場での秘密主義も徹底され、スタッフは全員『ブルー・ハーベスト』の文字が入ったTシャツや帽子を着用し、なんとニセの台本やカチンコまで作られたという。

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もちろん目的は、内容を知られないようにするためですが、むしろ「割増料金を請求されないようにしたい」という意図の方が大きかったようです(『スター・ウォーズ』の撮影と分かると、法外な施設使用料金をふっかけてくる悪質な業者がいたため)。

ちなみにこのタイトルは、ダシール・ハメットの小説『Red Harvest(レッド・ハーベスト)』(血の収穫)から付けられたらしい(『Red Harvest』は黒澤明監督の『用心棒』に影響を与えた作品であり、黒澤作品はスターウォーズに影響を与えた)。

※追記

●超デカい砂漠のセットを作って撮影

ジャバのセール・バージは3種類の方法で撮影されました。モーション・コントロール用のミニチュア、爆破用のモデル、そして実寸大のセット。セットはアリゾナ州ユマ近くにあるバター・カップ・バレーに建てられたそうです。

サルラックが生息する穴は地面を掘ったのではなく、地表から約7.5メートルの高さに土台を組み立て、そこに円錐状の砂山を設置したとのこと(元々は15メートルの予定でしたが、さすがにそれは大きすぎるので半分のサイズに変更されたらしい)。

また、空中を飛ぶサンド・スキッフは2本の頑丈な柱で本体を支え、柱とその影が映らないようにカメラアングルと撮影時間に細心の注意を払い、スキッフが宙に浮くように見せています(砂漠でロケしているように見えるけど、実は超巨大な砂山セットだった!↓)。

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●イウォークたちがストライキ?

「エンドアの森」はカリフォルニア州クレセント・シティで撮影されました。イウォーク役の俳優たちはロケ現場近くの安いモーテルに宿泊していましたが、ある日、誰一人現場に来ないという異常事態が勃発!

スタッフが慌てて捜したものの、どこにも見当たりません。しかし、やがて彼らは揃って現場に到着。良く見ると全員「イウォークの復讐」と書かれたTシャツを着ていたそうです(待遇の改善を求めたストライキか?)。

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というわけで、『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』に関するエピソードをいくつかご紹介しました。なお本作には他にも色んな裏話がたくさんあるので、思い出したら追記していきたいと思います(^_^)


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ネタバレ解説『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』って面白いの?

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

さて本日、金曜ロードSHOW!で『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が放送されます。

シリーズの新作としては10年ぶり、「物語の直接的な続き」という意味では前作『ジェダイの帰還』から実に32年ぶりの”続編”になるわけで、製作が発表された時は大騒ぎになりました。

なぜなら、2005年に公開された『エピソード3/シスの復讐』でスター・ウォーズのシリーズは一旦完結しており、ジョージ・ルーカス監督も「続編はない。元々6部作だ」などと述べていたからです(昔は”9部作”って言ってたのに…)。

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(画像はアサイ著『木根さんの1人でキネマ』より)

なので、「続きが観られる」と知ったファンは狂喜乱舞!日々更新される新情報を貪るようにチェックし、予告編がリリースされたらハン・ソロの姿を見ただけで泣き出す人まで現れ、実際に映画が公開されると世界中で爆発的な大ヒットを記録しました。

『エピソード1』が公開された時はファンの期待とは裏腹にかなり微妙な空気が流れてたんですけど(笑)、本作は世間の評判も悪くないようで、「素晴らしい!」「これぞまさしくスター・ウォーズだ!」と絶賛の声も多かった模様。

というわけで本日は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』について、友人の江須田君(仮名)と対談形式で色々と検証してみたいと思います(なお、僕も江須田君も過去の『スター・ウォーズ』シリーズは全て鑑賞済み)。


■あらすじ『帝国の崩壊から30年。帝国軍の残党“ファースト・オーダー”の台頭により、銀河は再び恐怖に支配されようとしていた。カイロ・レン(アダム・ドライヴァー)らは、消息が分からない最後のジェダイ:ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)の行方を追っていた。そんな中、砂漠の惑星で家族を待ち続けている孤独な少女レイ(デイジー・リドリー)は、謎のドロイドBB-8と、ストームトルーパーの脱走兵フィン(ジョン・ボイエガ)と運命的な出会いを果たす。やがてハン・ソロ(ハリソン・フォード)やレイア(キャリー・フィッシャー)らも仲間に加わり、ついにファースト・オーダーとの熾烈な戦いが幕を開けた…!』


※以下の文章はネタバレしてます!


管理人:さて、この『フォースの覚醒』って2015年の公開当時は僕ら別々に観たんだよね?

江須田:そうそう、ちょうどタイミングが合わなくて一緒に観れなかったんだよな〜。

管理人:後で感想は話し合ったような気がするけど……改めて振り返ってみてどんな印象だった?

江須田:ん〜、まあ最初に観た時も感じたんだけど、『スター・ウォーズ』の続編としては良く出来ていると思う。ただ、ストーリーがいき当たりばったり過ぎて全然入り込めなかった。

管理人:いき当たりばったり?

江須田:そう、例えばポー・ダメロンからデータを渡されたBB-8が主人公のレイに出会う場面とかさ。

管理人:それは1作目の『新たなる希望』も同じでしょ(笑)。R2-D2だってルークと偶然出会ったんだし。

江須田:いや、R2-D2はレイアから「オビ=ワンにこのデータを渡して」という指令を受けて、自分の意思でオビ=ワンを探しに行ってるから、キャラクター同士が出会うシーンに必然性があるんだよ。でも、レイやフィンやポーが出会う場面って、全部偶然ばっかりじゃん。シナリオがいい加減すぎるんだよね。

管理人:う〜ん、でもそういう部分に突っ込みを入れ出したら「レイアはルークの双子の妹だった」とか、ご都合主義な展開はきりがないような気がするんだけど。

江須田:確かに(笑)。じゃあご都合主義には目をつぶるとして、キャラクターに魅力が無いのはマイナスじゃないかな〜?と。この映画って、1作目のルークとハン・ソロとレイアをイメージさせる「三人組」の構成じゃん?でも、レイはいいとして他の二人が上手く機能してないような気がするんだよな。特にポー・ダメロンはあまりにもキャラが薄すぎて、全然印象に残らない。

管理人:『フォースの覚醒』はハン・ソロの活躍シーンが多いからねえ。ポー・ダメロンはその影響をモロに食らったんだろうね。

江須田:あとフィンはさ〜、「何でお前がライトセーバーで戦ってるんだよ!」っていう(苦笑)。あいつ元ストームトルーパーじゃんか?そんな一兵卒がジェダイの武器を自在に扱えるなんておかしいだろ?スター・ウォーズ好きならなおさら、あのシーンは違和感があるんじゃないかなあ。

管理人:いやいや、もしかしたらフィンは凄いフォースの素質があるのかもしれないよ(笑)。この後、訓練を積んでジェダイになるとか…。あ、エピソード8のサブタイトルの『最後のジェダイ』って、実はフィンのことだったりして(笑)。

江須田:それだけはやめてくれ!

管理人:キャラに関して言うなら、僕はむしろカイロ・レンやキャプテン・ファズマの方が気になった。特にキャプテン・ファズマの”肩透かし感”が酷すぎる。

江須田:ビックリしたよな〜。あんなに煽っておいて出番あれだけかよ?みたいな(苦笑)。カイロ・レンも強いんだか弱いんだか良く分からないし、顔が個性的すぎてアップのシーンで笑いそうになるし…。

管理人:やめて差し上げろ(笑)。

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江須田:カイロ・レンといえば、ライトセーバーのアクションも微妙じゃなかった?映画の公開順でいうと、EP4からEP6のアクションに比べてEP1からEP3のライトセーバー戦は明らかにグレードアップしてたじゃん?でも今回はそれよりもかなりグレードダウンしててガッカリだわ。

管理人:EP1からEP3は、ジェダイが絶大な勢力を誇っていた時代の話だから、ライトセーバー戦も迫力があったんだよ。EP4からEP6はジェダイの数が激減し、かつての勢いが失われたせいで、ああいうアクションになったわけ。で、『フォースの覚醒』ではいよいよライトセーバーの正統な使い手がいなくなり、技術の継承も成されないままレイもフィンも我流で戦ってるから、いまいち迫力が無くなったと。個人的には、”洗練されていない荒々しさ”が出ていて良かったと思うけどね。

江須田:う〜ん…だとしても最後の戦いで、「何の訓練も受けていないド素人のレイに苦戦するカイロ・レン」ってシーンはやっぱり萎えるよ。ルークからライトセーバーの指導を受けてるはずなのに、何でそんなに弱いんだカイロ・レン!?

管理人:僕は今回の新しい三部作って、ある意味「カイロ・レンとレイの物語」だと思ってるんだよね。レイの素性はまだ明かされてないけど、まあ恐らくルークの娘でしょ?で、レイは『エピソード8』でフォースの修業を積んで、レンはダークサイドに堕ちてるから悪事を働く。この二人はどちらも強いフォースを持っているせいで、今は互いに戦わざるを得ない状況だけど、カイロ・レンはソロとレイアの息子だから、心のどこかにまだライトサイドが残っていて、内心は凄く葛藤してるんだよ。その精神的な弱さが戦いにも現れていて、だからこそ純粋なライトサイドを持つレイにフォースのパワーで押されてしまう。でも、やがてレンは自分の過ちに気付き、そして多分、この二人が最終的に結託して、完結編の『エピソード9』でラスボスのスノークを倒す…という流れになるんじゃないかな。

江須田:ダース・ベイダーが最後に改心したように?

管理人:そう、スター・ウォーズのお約束としては、そういう展開になるのが一番自然だと思うよ。何よりも「かつて敵同士だった者たちが様々なドラマを経た結果、一致団結して一番強い敵をやっつける」ってすげー燃えるじゃん!

江須田:あ〜、それわかるわ(笑)。

管理人:むしろカイロ・レンの立ち位地としては、そうしないと話が終わらないような気がするんだよね。つまりEP1からEP6までが「一度はダークサイドに堕ちた男が長い年月の末に再び善の心を取り戻し、最後は自らの手でダークサイドの呪縛を断ち切る」という物語で、EP7からEP9もその路線を辿るんじゃないかと。

江須田:なるほどね〜。

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管理人:他は何かある?

江須田:あと気になった点といえば、メカも微妙だったなあ。

管理人:メカ?

江須田:『スター・ウォーズ』の魅力って”メカ”じゃん?いや、俺がメカ好きだからってのもあるだろうけど(笑)、「様々な架空のメカが魅力の一つ」であるのは間違いないだろ?で、俺の中では『エピソード1』のメカはガッカリしたんだよ。「求めてたのはこういうのじゃない!」って。

管理人:うんうん。

江須田:で、『フォースの覚醒』のメカって……何て言うんだろう……方向性としては間違ってないんだけど、微妙に「コレじゃない」感が漂ってるみたいな…。ミレニアム・ファルコンとかXウイングとかスター・デストロイヤーなんかは結局、前作(EP4〜EP6)のデザインを踏襲してるだけじゃんか?その辺は「お気に入りのメカがまた見れる」ってことでいいんだけど、それ以外の新しく登場したメカがどうもピンと来なくて…。

管理人:レイが乗ってたスピーダーとかは?

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江須田:くそダサいよ!ルークが乗っていたランドスピーダーは今見てもカッコいいのに、何で新作はあんなデザインになっちゃったんだろ?せめてEP6に出てたスピーダー・バイクをリファインすれば、もう少しマシなメカになったかもしれないのに〜(怒)。

管理人:企画の初期段階ではそういう案もあったみたいだけどね。ちなみにこんな感じ↓

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江須田:おお〜!いいじゃんコレ!こっちの方が全然カッコいいよ!これを採用してくれれば良かったのになあ!

管理人:まあ、向こうのスタッフも色々考えた結果じゃないの?『フォースの覚醒』のメカに関しては…個人的にはBB-8が可愛かったのでOKかな(笑)。

江須田:BB-8はどっちかっつーと「キャラクター」だろ。そうじゃなくて、例えばEP5ではAT-AT(スノーウォーカー)とか、EP6ではAT-STとかスピーダー・バイクとか、旧三部作は続編を作る度に必ず印象的な新メカを登場させてたじゃん?同時に、「新メカを駆使した新しいアクション」にも俺らは夢中になったわけで、どうしてもそれを期待しちゃうんだよ。そういう意味では、『フォースの覚醒』で斬新なメカアクションが見られなかったのは残念だった。ファルコン号とタイ・ファイターの空中戦もいいんだけど、「それ前に観たことあるよ」って話でさ(苦笑)。

管理人:旧三部作はラルフ・マクォーリー(マッカリー)やジョー・ジョンストンみたいな優秀なデザイナーがいたからねえ。もちろん、プリクエル・トリロジーにも本作にも優れたデザイナーが関わってるけど、やっぱり「過去作の世界観を引き継ぎつつ新しいデザインを作る」のは難しいってことじゃないの?あまり斬新すぎると「これはスター・ウォーズじゃない!」って言われるだろうし。カッコ良くて斬新なメカは僕も見たいけどね(笑)。

江須田:まあスター・ウォーズに関しては、俺はどうしてもメカを主体に観ちゃうんでちょっと評価が厳し目なんだけど、お前はどうだった?

管理人:さすが”スター・ウォーズ好き”を公言してるJ.J.エイブラムス監督が撮っただけあって、全編にスター・ウォーズ愛が溢れまくった「壮大な二次創作」って感じだったよ(笑)。「ジェダイ訓練用リモート(シーカー・ボール)」や「モンスターチェス」など、旧シリーズに登場したアイテムをさりげなく見せる場面とか、オリジナルへのオマージュが満載なところもグッド。

江須田:確かに、ファンに対するサービスが行き届いてる感じはあったな。「過剰接待」って気もするけど(笑)。

管理人:あとCG全盛の今の時代に、ミレニアム・ファルコン号やXウイングやタイ・ファイターみたいな巨大メカを、CGじゃなくて実物大のセットを作って撮影してるのが素晴らしい!クリストファー・ノーラン監督も実物大セットやミニチュアを多用してるけど、やはり出来上がった映像の臨場感が違うよね。非常に説得力のある世界が描かれてて大満足。まさか”でかいブタ(ハッパボア)”まで実物大を作るとは思わなかったけど(笑)。

江須田:雰囲気が旧三部作に近かったもんなあ。やっぱその辺が高評価された理由なのかな?

管理人:結局、J.J.エイブラムス監督がやりたかったのは、「自分たちが観て感銘を受けた最初のスター・ウォーズを再生すること」なんだよ。そのために、オリジナルキャスト(マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー)を再集結させたり、脚本にローレンス・カスダンを起用したり、ジョン・ウイリアムズの音楽を使ったり、旧三部作のスタッフを揃えることにこだわってるんだよね。

江須田:あ〜、そういうことか。

管理人:その他、『帝国の逆襲』でミレニアム・ファルコン号を手掛けたマーク・ハリスがアート・ディレクターとして参加し、本作でも完璧にファルコン号を再現してるし。ちなみに、エイブラムス監督はルーカス・フィルムの倉庫を漁って、ラルフ・マクォーリーが描いた「未使用のデザイン画」を集めてたらしい。で、そのうちのいくつかが『フォースの覚醒』で再利用されたとか。つまり、メカやクリーチャーやガジェットなどを含め、本作の映像は可能な限りオリジナルに忠実に作られてるんだよ。

江須田:それって要するに「昔のスター・ウォーズ・ファンたちが好きな要素を片っ端からぶち込んだからヒットした」ってこと?

管理人:それだけじゃなくて、「昔のスター・ウォーズを知らない世代の人にもスター・ウォーズの魅力を伝えたい」という思いがあり、それがきちんと伝わったからじゃないかな。

江須田:でも、そのせいで「過去のシリーズと同じような話になってる」のはマズいんじゃないの?

管理人:ん?どういうこと?

江須田:『フォースの覚醒』を観てて一番気になったのは、「あれ?これって前にも観たぞ?」って場面が異様に多いことなんだよね。特に後半の展開なんて『新たなる希望』のリメイクか?と思うぐらいそっくりなんだもん、参ったよ。

管理人:う〜ん、それは確かに否定はできないけど(苦笑)。

江須田:捕らわれたヒロインを救出するために、ハン・ソロと主人公たちが敵の巨大施設に侵入してさ、ストームトルーパーたちを相手に銃撃戦を繰り広げて、敵が惑星をぶっ壊すほどの強力な兵器を準備中だから早く破壊しなきゃいけないんだけど、シールドが張ってあって多数のXウイングも攻撃できず、「シールドはまだ解除できないのか!」みたいな展開を何回見せられるんだよ?ってスゲー言いたいわ(笑)。

管理人:でも、今さらそんなこと言ってもしょうがないじゃん。そもそも『スター・ウォーズ』シリーズってだいたいそんな感じのストーリーなんだから(笑)。『ジェダイの帰還』もそうだし、スピンオフの『ローグ・ワン』だってそうだったろ?

江須田:いや、だからスター・ウォーズ・ファンって、何度も何度も似たような話ばかり観ててよく飽きないな〜って…。

管理人:それは言ったらアカン(笑)。


映画オールタイム・ベストテン!

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

いよいよ2017年も残すところ後2週間ほどになりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて、毎年この時期になるとワッシュさん(ブログ「男の魂に火をつけろ!」の管理人)が主催している「好きな映画ベストテンを選ぶ企画」ってのがあるんですが、今年も参加させていただきますよ。なお、今回のテーマは「オールタイムベストテン」だそうです。


映画オールタイムベストテン:2017


要は、「今まで鑑賞した映画の中から年代やジャンルを問わず、好きな作品を10本選ぶ」ってことで、「うわ!難しい!こりゃ迷うわ〜!」と一瞬思ったんですが、実際に選んでみたら意外とサクサク決まってしまいました(笑)。



●1.『スター・ウォーズ EP4 新たなる希望』(1977年 ジョージ・ルーカス監督)

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「オールタイム・ベスト」と言われて真っ先に思い浮かんだタイトルがこれですね。古典的な”おとぎ話”を宇宙SFとして誰にでも分かりやすく、かつ力強いエンタメ活劇として再構築した本作は、当時の最新技術を駆使した圧倒的な映像美に加え、魅力的なキャラクターやカッコいいメカの数々、そしてジョン・ウィリアムズの壮大な音楽などを集結した結果、かつてないほど革新的な映画となりました。

公開当時に子供だった僕は親に連れられて地元の劇場で観たんですけど、本当に衝撃的でしたねえ。本作の大ヒット以降、映画や漫画を問わず様々な娯楽作品が影響を受け、本作自体も多くのシリーズを生み出しましたが、僕の中では今でも1作目(エピソード4)こそが”真のスター・ウォーズ”であり、エポックメイキングなのです(もちろん他のエピソードも好きですけどw)。


●2.『ダイ・ハード』(1988年 ジョン・マクティアナン監督)

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初見はたぶん「日曜洋画劇場」だったと思うんですが、あまりの面白さに度肝を抜かれました。以来、LDやDVDやBDなどを買いまくり、飽きることなく何度も鑑賞しています。


●3.『マトリックス』(1999年 ウォシャウスキー監督)

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これも映画館で観てひっくり返りましたね、面白すぎて。もう何回観たか数え切れません。ちなみに続編の噂もあるようですが、作らなくてもいいんじゃないかな(笑)。


●4.『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年 ロバート・ゼメキス監督)

問答無用の大傑作で褒めるところしかない(笑)。ちなみに劇場で観た時はラストに「TO BE CONTINUED」が入ってなくて、後でビデオを観て驚いた記憶が…(^_^;)


●5.『男たちの挽歌』(1986年 ジョン・ウー監督)

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初見はビデオだったんですが、チョウ・ユンファのカッコ良さとスタイリッシュなガンアクションに痺れまくりました。熱い兄弟愛も泣ける!


●6.『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(1985年 ジャッキー・チェン監督)

ぶっちゃけ、ジャッキー・チェンの映画だけで「マイベスト10」を選出したいぐらいなんですけど(笑)、敢えて一つ選ぶならこれですかね。今観ても恐ろしいほどのデンジャラスシーンが満載で、「どうやってこんな映像を撮ったんだ!?」と驚愕するしかありません(^_^;)


●7.『エイリアン2』(1986年 ジェームズ・キャメロン監督)

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「ジェームズ・キャメロンの作品からも一つ選びたいなあ」と考えた結果、これになりました。もちろん『ターミネーター2』や『タイタニック』なんかも素晴らしいんですが、終盤の畳み掛けるような荒々しい展開が好きなんですよ。


●8.『ブレードランナー』(1982年 リドリー・スコット監督)

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ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2017-09-20)

リドリー・スコットの作品からも一つ。もはや説明不要の名作ですね。


●9.『天空の城ラピュタ』(1986年 宮崎駿監督)

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ああ〜、宮崎駿の作品も入れなきゃ……やっぱコレかな〜。当時、僕が観に行った映画館では客が6人ぐらいしか入ってなくて、「こんなに面白いのにどうして誰も観ないんだろう?」と不思議でしょうがなかったです(^_^;)


●10.『シン・ゴジラ』(2016年 庵野秀明監督)

最近の映画からも1本。単なる「怪獣映画」というより、「政治劇」や「自衛隊映画」としても非常に見応えがありました。あと、尾頭さん可愛い(^_^)

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というわけで、僕が選んだ「オールタイムベストテン」はこのような感じになりました。こうして見ると80年代の映画が多いなあ(笑)。まあ、自分が映画の魅力に目覚め始めた時期がこの辺だったんでしょうね(^_^)

1.スター・ウォーズ EP4 新たなる希望

2.ダイ・ハード

3.マトリックス

4.バック・トゥ・ザ・フューチャー

5.男たちの挽歌

6.ポリス・ストーリー/香港国際警察

7.エイリアン2

8.ブレードランナー

9.天空の城ラピュタ

10.シン・ゴジラ

もちろん、好きな映画を挙げたらこれ以外にもたくさんあるんですけど、今回は選定基準として「敢えてメジャーな娯楽作品」や「何度も繰り返し観ている作品」などをチョイスしました。

見てお分かりの通り「ド定番」のタイトルばかりです(笑)。映画をあまり観ない人にこの10本を提示しても、たぶん半分以上は知っているに違いない(笑)。

本当は『ゴッドファーザー』『七人の侍』『2001年宇宙の旅』『トイ・ストーリー』『ブギーナイツ』『マルホランド・ドライブ』『未知との遭遇』『マッドマックス』『ロッキー』『プロジェクトA』なども入れたかったんですが、挙げていけばきりがないので選外に(^_^;)

まあ、基本的に映画というものは、かなり好きな作品だったとしても、「何度も観るか?」と言われれば意外とそんなことはないんですよね。なぜなら普通は1回観れば内容を覚えてしまい、最初に観た時ほどのインパクトが得られないからです。

何度も観てたら飽きてくるし、それどころか1回観ただけで「ああ面白かった」と満足し、後は綺麗さっぱり内容を忘れてしまうような映画も少なくありません(それはそれで”エンタメ”としては正しいと思いますが)。

なので、よっぽど好きな映画でもせいぜい年に1回か2回観る程度、しかもその度に2時間前後の貴重な時間を消費するため、なかなか「同じストーリーを何度も観る」という行為に至り難い。

そんな状況の中でも「またあの映画が観たい!」「全然飽きない!」と思わせる作品には、”普通に好きな映画”よりもっと特別な”何か”があるのではないか?と。

つまり「何度観ても面白い映画」というものは、内容はもちろん、それ以外にも楽しめるポイントが確実に存在し、だからこそ繰り返しの鑑賞にも耐えられるのでは?と思うんですよ。

そして、面白い内容プラス「美しい映像」や「魅力的なキャラクター」や「役者の演技」や「素晴らしい音楽」など、人によって魅力を感じるポイントは異なるはずです。

それ故に「何度観ても面白い映画」の基準も人によって異なるわけで(恐らく年代や性別によっても違う)、「自分ならアレを選ぶのに…」という意見は当然あるでしょう。

なので、こういう機会に好きな映画を書き出し、「自分はこの映画のどんなところに魅力を感じているのだろう?」と再検証してみるのも面白いかもしれませんよ(^_^)


『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の「ローズ問題」について

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

さて、皆さんは絶賛公開中の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』をもうご覧になりましたか?現在世界中で大ヒットしてるんですが、評価が賛否両論真っ二つに分かれていることでも話題になっているようですね。

そんな中、本日は新キャラクターのローズについて取り上げてみたいと思います。というのも、本作で新たに登場したローズ・ティコという女性キャラをめぐって、大変な議論が巻き起こっているからです。

ローズは「レイア将軍率いるレジスタンスの整備士」という役割で、本作ではフィンと共に重要な任務を実行するんですが、いったいどんな理由で騒ぎになっているのでしょうか?

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●ローズ否定派の意見

まず、”否定派”の人たちの意見をざっと見てみると、「ルックスが残念」「背が低くてポッチャリ体型のアジア人女性はスター・ウォーズの世界観に合わない」など、「容姿に関する不満」が一つ。

そして、「大して役に立っていないのに出番が多すぎ」「行動や発言が全てイラつく」など、「エピソード1に登場したジャージャー・ビンクス並にウザいキャラだ」との意見も見受けられるようです。

どうやらローズが嫌われている原因は、主にこのような理由らしいのですが、これに対して”擁護派”の人たちの意見を見てみると以下のような感じに。


●ローズ擁護派

まあ、「人を見た目で判断するな」という非常に真っ当な意見が多いようですね(笑)。それ自体は「ごく当然の考え」なので、異論はありません。

しかし、過去のシリーズを見てもローズみたいなタイプのキャラクターは珍しく、どうして今回ケリー・マリー・トランという女優さんがキャスティングされたのか、その辺が気になる点なんじゃないでしょうか?

実は監督のライアン・ジョンソンによると、「『最後のジェダイ』のローズ役には”名もない人でもヒーローになれるチャンスがある”、そういうメッセージを込めているんだ」とのこと。

この言葉通り、ケリーさんは女優としてはほとんど無名で、主にYoutubeの動画やTVドラマの脇役ぐらいしか仕事がなく、『最後のジェダイ』に出演する5カ月前まで派遣のバイトをしていたそうです。

ところが、超大作映画『スター・ウォーズ』の新作のオーディションを受けたらまさかの合格!名もなき女優が一夜にしてハリウッド・スターの仲間入りを果たしたわけです。まさにライアン監督のメッセージを体現している!

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つまり、「特別でも何でもない普通の人が活躍する物語」というテーマを観客に伝えるための”象徴的なキャラクター”として、敢えてケリーさんのような「特に有名ではない(見た目も)普通の女性」が採用されたのでしょう。

「ローズの言動に対する批判」については、ストーリーや脚本の問題に関わるので別途検証しますが、いずれにしてもライアン・ジョンソン監督の明確な意図に従ってローズのキャラクターは決められた、ということらしいですね(^_^)


アート・オブ・スター・ウォーズ/最後のジェダイ
フィル・スゾタック ライアン・ジョンソン
ヴィレッジブックス (2017-12-15)

ネタバレ!『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は傑作?駄作?

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

いよいよ年の瀬も押し迫ってまいりましたが、皆さんいかがおすごしでしょうか?

さて、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が公開されてから約2週間が経ち、先週末(12月22日〜12月24日)の全米ボックスオフィスランキングが発表されました。

それを見ると、興行収入は7,156万5,498ドル(約78億7,220万4,780円)で、2週連続となる首位を記録したようです(1ドル=110円計算)。

しかも2位以下を大きく突き放すブッちぎりのトップで、累計米国興収は3億9,727万ドルを突破!早くも2017年公開作の興収ランキングで『美女と野獣』『ワンダーウーマン』に続き第3位にランクインした模様。

また、世界興収では7億4,540万ドル(約844億円)を稼いでおり、さらに来年1月から公開される中国市場も視野に入れると、『ローグ・ワン』の10億5,605万ドルを超えるのはほぼ確実と言えるでしょう。

なお、日本でも同じくV2を達成し、週末2日間で観客動員45万人、興収6億9600万円を記録。公開10日間で累計動員は211万人、興収は32億円を突破していて「やっぱスター・ウォーズはすげえな!」と感心せざるを得ません。

とまあ、こんな感じで興行的には世界中で大ヒットしている『最後のジェダイ』なんですが、その評価は賛否両論真っ二つ!かつてないほどレビューが荒れまくってるんですよねえ(苦笑)。

なんせ、『最後のジェダイ』に激怒したファンたちが、「こんな酷い映画はスター・ウォーズの正史(カノン)として認められない!」「シリーズから外すべきだ!」とネット上で訴えたところ、世界中から5万件を超える署名が集まったというのだから凄すぎる!

いや、もちろん今までの『スター・ウォーズ』でも評価が割れたことはありましたけどね。でも今回は「絶賛派」と「酷評派」、どちらの意見も多いっていうのが特徴なわけで。

「これは面白い!」「シリーズ史上最高傑作!」とベタ褒めしてる人がいるかと思えば、「こんなつまらん映画観たことない!」「最低の駄作だ!」と怒り狂ってる人まで両極端に分かれてるんですよ(酷評だらけだった『エピソード1』とはそこが違うw)。

中でも、ロッテントマトの観客評価が凄まじく、今までは『EP2 クローンの攻撃』が57%でシリーズ最低だったんですが、ついに『最後のジェダイ』がその記録を打ち破り、なんと51%というスター・ウォーズ史上最も低い評価が下されてしまいました、トホホ(-_-;)

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う〜ん、映画評論家の評価は91%とかなり高いのに、どうしてこうなったんでしょうねえ(ちなみに評論家と観客、どちらの評価も高いのが『帝国の逆襲』で、どちらも低いのが『ファントム・メナス』ですw)。

というわけで本日は、傑作なのか?それとも駄作なのか?シリーズ最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』について詳しく検証してみたいと思います。なお、以下の文章はネタバレ全開なので、未見の方はご注意ください。



●ハックス将軍がマヌケすぎる

まず、僕が最初に気になったのは冒頭シーン。ファースト・オーダーの猛攻撃を受け、窮地に陥っていたレジスタンスを救うためにポー・ダメロンが一人で出撃するんですけど、敵のハックス将軍との会話が緩くて緩くて(笑)。

「え〜とハグスさん?」「ハックスだ!」という”名前間違えネタ”を何度も繰り返してるんですが、冒頭でこれをやられると「ああ、敵と味方でもこの程度の緊張感しかないのか…」って感覚が先に立ち、「命懸けで戦争をしている実感」が湧き難いのです。

いや、ハックス将軍のキャラ自体は好きなんですけどね。全身から滲み出る小者感が絶妙で、実にいいキャラだと思うんですが、いかんせんポーとのやり取りは「笑わせよう」という狙いが前面に出すぎてコントみたいになっちゃってますから(笑)。

出来れば最初のシーンではもう少しシリアスに戦闘を描いて欲しかった。でないと、ローズの姉のペイジが爆弾を投下するために必死で壁を蹴る場面も全くエモーショナルに見えません(むしろ「さっさと爆弾落とせや!」とイライラする)。

ちなみに、ライムスター宇多丸さんはこのシーンを見て「無重力の宇宙空間なのにどうして爆弾が下に落ちるんだ?」「そもそも空気は?」みたいなことを指摘していましたが、その辺は”スター・ウォーズのお約束”なので突っ込んでもしょうがないんじゃないかなあ(^_^;)


●レイアの宇宙遊泳

恐らく、映画を観た人ほぼ全員がこのシーンで「え…ウソでしょ…」と絶句したんじゃないでしょうか?『最後のジェダイ』を絶賛している人たちでさえ、「あの場面だけはさすがに受け入れ難い」と擁護のしようがないほどですからねえ(笑)。

個人的に、「フォースの力を応用してああいうことが出来た」という”設定”そのものに不満はないんですよ(レイアが強いフォースを持っている設定は『ジェダイの帰還』の時からあったので)。ただ、「そもそもあのシーンって必要だったのかな?」と。そこが非常に気になるわけで。

「レイアが意識不明の寝たきり状態になる展開」へ持って行きたいのなら、「ファースト・オーダーの攻撃を受けて重傷を負う」というシーンだけで良かったはずでしょ?わざわざ宇宙へ飛び出してまた戻って来る必要はないわけで、その辺が問題じゃないのかなと。

ちなみにこのシーン、酷評派の人たちから「レイアが江田島平八化した!」とか言われてて「どういう意味なんだろ?」と思ったら、こういうことだったんですね(笑)。なるほど、これは笑うしかない(^_^;)↓

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●ローズ問題

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』に登場している新キャラの中で、最も激しいバッシングを受けている人物といえば、何と言ってもケリー・マリー・トラン演じるローズ・ティコでしょう。

「ブス・デブ・チビ」という容姿に対する批判だけでなく、劇中の彼女の行動に対しても「やること成すこと全てがウザい」「ジャージャー・ビンクスの再来だ!」などと罵詈雑言の嵐。

ただ、この辺はライアン・ジョンソン監督が意識してやっていることでもあるので、もしローズの言動に不満を感じたとしたら、それは監督の意図が正しく伝わっていない(伝え方がヘタ)ということになるのかなと。

なお、僕自身は「ローズのキャラが嫌」って感覚はないんですが、「フィンとのキスシーンはいらなかったんじゃないかな〜」と。あそこはちょっと唐突な感じがしましたね(^_^;)


『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の「ローズ問題」について


●DJの存在

本作を酷評している人たちから蛇蝎のごとく嫌われているローズは、同時に彼女とフィンが活躍する「カント・バイトのエピソード」にも影響を及ぼし、「本筋に関係ねえだろ!」と批判が殺到しているようです(笑)。

確かに、良く考えてみたらローズたちがやったことは、ほぼ事態を解決する役には立っておらず、「彼らのおかげで何かが上手くいった」という明確な成果は見えません。中でも特に謎なのは、ベニチオ・デル・トロ演じるDJの存在。

DJは「どんなコードでも解除できるぜ」という”自称コード破りの天才”で、フィンやローズと共にファースト・オーダーの宇宙船に侵入し、ハイパースペース・トラッキングのシステムを無効化しようとするものの、途中で裏切り、そのままどこかへ去って行くという、ただそれだけのキャラなんです。

は?

なんなの?

キャプテン・ファズマの場合は旧シリーズのボバ・フェットみたいなもんですから、「強そうに見せかけてあっさりやられる」みたいな肩透かしがあっても別に構わないんですよ。しかし、そういうキャラは2人もいらないし、そもそもDJの出番が無駄に多い!

要は、「あんなに長い尺を取ってるくせに、特にストーリーに深く関わるようなことはやってないし、誰にも影響を与えてないし、あいつ結局なんだったの?」という不満しか出て来ないのですよ。一体何がしたかったのか、本当に謎ですねえ(^_^;)


●ルークのキャラが激変

レジスタンスたちが宇宙で色々大変な目に合っているその頃、主人公のレイは惑星オクト―で伝説のジェダイ・マスター、ルーク・スカイウォーカーと対面していました。そして、その手にはライトセーバーが…。

前作『フォースの覚醒』のラストシーンで、レイが差し出したライトセーバーを受け取ったルークが、いったい何を話すのか?気になっていたファンも大勢いたことでしょう。

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ところがなんと!ルークは手にしたライトセーバーを一目見ると、興味なさそうに「ポイッ」と投げ捨ててしまったのです!いや〜、驚きましたねえ。思わず「おお〜い!」と突っ込んでしまいましたよ、心の中で(笑)。

この瞬間、僕は「なるほど、今回のルークはこういうキャラで行くのか」と確信しました。謎の動物の乳をゴクゴク飲んだり、レイの手を草でコチョコチョくすぐって「どうだ?フォースを感じるか?」とイタズラしてみたり、オチャメなルークが盛りだくさん(笑)。

しかし、当然ながらファンの反応は最悪で、「ルークがこんなことするわけねえだろ!」と批判が殺到。特に、寝ているカイロ・レンを殺そうとするシーンに対し、「『ジェダイの帰還』の時はダークサイドへ落ちたアナキンを信じていたのに、なんでカイロ・レンはあっさり見捨てるんだよ!」と納得できない人が続出した模様。

実は、ルークを演じたマーク・ハミル自身も「最初に脚本を読んだ時、”ルークの行動を変更できないか?”とライアン・ジョンソン監督に交渉したよ。僕たちの間には根本的な不一致があったんだ。でも、これはもう僕の物語ではなく、別の誰かの物語だからね…」と微妙なコメントを出しています。

そして映画が公開された後、マークはこの発言について「どんなプロジェクトでも、監督と役者の間には創造性の違いがある。しかし、大抵はそういう思いを公表しないものだ。疑いの気持ちや確信のなさを表明してしまったことを、僕は後悔しています」と反省の言葉を述べました。

どうやらマーク・ハミルはルークの激変ぶりを受け入れたようですが、往年のファンが「どうして…」とガッカリするのは当然でしょう。個人的には、ああいう感じのルークも良かったと思いますが、レイに大切なことを教える(交流する)シーンがもう少し欲しかったですねえ(「レッスンは3つだ」とか言いながら、ほとんど修業らしいこともしてないし)。

ちなみに、この場面を撮影したロケ地は、アイルランドの西にある「スケリッグ・マイケル島」という小さな島なんですが、「上陸するのも難しそうな”切り立った孤島”なのに、よくミレニアム・ファルコン号が着陸できたなあ」と。それが不思議でした(笑)。

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●ヨーダが強い

悩めるルークの前に姿を現したのは、かつての師匠ヨーダ(の霊体)。貴重なジェダイの古文書を燃やそうかどうしようかと躊躇しているルークを見て、「そんなものはこうじゃ!」と言わんばかりに落雷を一発!うわあああ!やっぱ霊体になってもヨーダは強い!つーか、そんな強力なパワーが使えるなら、全滅しそうになってるレジスタンスを助けてやれよ!


●ポーグが危ない

予告編でポーグを見た時は「この可愛い新キャラがどんな活躍を見せてくれるんだろう」と期待してたんですが、単なるマスコット的な扱いでちょっと残念。しかも仲間がチューバッカに食べられてるし…。あ、もしかしてチューバッカは、イザという時の”非常食”としてこいつをファルコン号に乗せてるのかも!?危ないポーグ!逃げて〜!


●スノークが弱い

カイロ・レンとフォースでチャット(?)みたいなことをしながら話し合った結果、スノークの前へやって来たレイ。「いよいよラスボスとの激しい対決が始まるのか…?」と思いきや、隙を突かれてスノーク死亡。弱ッ!

前作『フォースの覚醒』であれほど「怖いぞ〜」「強いぞ〜」感を出しまくっておきながら、まさかこんなにあっさりやられてしまうとは…。そういう肩透かしはキャプテン・ファズマだけで十分だよ!


●レイの両親

前作『フォースの覚醒』が公開された時から「レイは誰の子供なんだろう?」ってことがファンの間で議論されていました。あれほど強いフォースを使えるんだから、きっとジェダイの血筋に違いない。父親はルークか、あるいは死んだオビ=ワンか、それとも…。

などと妄想を膨らませたものの、衝撃の真相が発覚!カイロ・レン曰く、「お前の両親は汚らしいゴミ漁りだった。酒のためにお前を売り飛ばしたんだ。彼らはジャクーの砂漠にある、貧乏人の墓場に埋められている。お前は特別な存在ではないんだよ」とのこと。

ええ〜、ジェダイの血筋じゃないのかよ?まあ、本作のテーマが「名もない人でもヒーローになれる」ってことらしいので、レイが特別な存在じゃなくてもいいと思うんですが、ただ一つ気になる点がありまして…。

前作『フォースの覚醒』では、レイの両親を乗せた宇宙船が飛び去っていくシーンが映ってるんですよね。でも、子供を売って金を得ようとするほどの貧乏人が、宇宙船なんか買えるのでしょうか?しかも宇宙船に乗って来たということは、明らかにジャクー以外の惑星から来ているわけで、どう考えても地元の人間ではありません。

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これは一体どういうこと?もしかしてカイロ・レンは嘘をついてるんじゃないの?スノークを抹殺し、自らファースト・オーダーを率いて銀河を支配しようと考えるようなヤツだから、レイを暗黒面に引き込むためのブラフなんじゃ…。実は、レンはレイの両親が誰なのか知っていて、それを隠してるとか?

う〜ん、色々想像は出来るんですが、はっきりしたことは分かりませんねえ。そもそも、ライアン・ジョンソン監督はローレンス・カスダンが書いていた初期プロットをボツにして、自らストーリーを書き直したらしいので、前作の伏線が「無かったこと」にされている可能性もありますから。果たして真相は…?


●ホルド提督の説明責任

物語の終盤、ポー・ダメロンがレジスタンス内部で反乱を起こし、宇宙船の指揮権を奪おうとするんですが、あの辺の騒ぎはホルド提督がきちんと作戦内容を説明していれば回避できたんじゃないでしょうか?ポーのことを信用していなかったからなのかどうなのか知りませんけど、そのせいで余計なトラブルが増えただけのような気も…(^_^;)

あと、「ハイパードライブ特攻」で敵の艦隊に大ダメージを与えていましたが、あれが出来るのなら「今までスター・デストロイヤーを相手に苦労して戦っていたのは何だったのか?」という話になってしまい、Xウイングを交えた大規模な宇宙戦闘が意味を成さなくなりますよ(-_-;)



というわけで『最後のジェダイ』を観て気になった部分をさっくり挙げてみたんですけど……結構ありますねえ(苦笑)。もちろん、全てがダメってことではなく、いいシーンも色々あったので、以下に良かった点をざっくりと。



●レイとカイロ・レンの共闘

やっぱり「敵同士だった者たちが手を組んでもっと大きな悪を倒す」という展開は燃えますね!最高指導者のスノークはあっさりやられてしまいましたが(笑)、親衛隊であるエリート・プレトリアン・ガード(真紅の8人衆)とのバトルが非常にカッコ良く、本作の見どころの一つと言えるでしょう。

ちなみに、僕は『フォースの覚醒』を観た時から「最終的にレイとレンは協力してスノークを倒すに違いない」と予想してたんですが、予想よりもだいぶ早かったですね(普通、こういう展開はシリーズの最後に持って来るものじゃないの?)。まあ、脚本を読んだマーク・ハミルも「『エピソード9』まで待てないのか?」と監督に言ったらしいので、そう感じた人も多いのではないでしょうか(^_^;)


●惑星クレイトでの攻防戦

塩で覆われた真っ白な大地を、オンボロのスキー・スピーダーが赤い土煙を上げながら疾走するシーンのビジュアルが素晴らしい!予告編を見た時から「どういう状況なんだろう?」と気になってたんですが、まさかスタビライザーが地面を削ってただけとは(笑)。


●カイロ・レンVSルーク・スカイウォーカー

いや、実際は「対決」じゃないんですけど(笑)、ファースト・オーダーの新兵器:AT-M6の激しい集中砲火を受けたルークが、何事もなかったかのように煙の中から現れ、肩のホコリを手ではらう仕草を見せる一連のシーンに痺れました。

まあ、良く考えたらあの仕草には何の意味も無かったわけですが(笑)、本作でキャラ変したルークの”お茶目な部分”が絶妙な感じで発揮されていて良かったです(^_^)


●夜空を見上げる少年

一人の少年が澄んだ瞳で宇宙を見上げるラストシーン。良く見ると、その手にはフォースで引き寄せられたホウキが…!「これからのスター・ウォーズは誰もが主役になれる可能性がある」ということを、たったワンシーンで表現した見事なショットです。まさに今、『スター・ウォーズ』の新しい時代が幕を開けた!って感じでグッときました(いや、もちろん前作から新シリーズは始まってるんですけどねw)。

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う〜ん……こうして振り返ってみても、僕の中では「良かったシーン」より「ダメだったシーン」の方が多いですねえ(苦笑)。ちなみに、周囲の人に感想を聞いてみると、”絶賛派”の人が一人だけいました(後は「普通」「イマイチ」など)。

要するに『最後のジェダイ』が目指したものは「過去の様式からの決別」なんですよ。今までのスター・ウォーズ・シリーズには、ある種のパターン(お約束)みたいなものがあって、それを皆が楽しんで観ていたという状況。

しかし、本作ではそういうパターンを敢えて崩してるんです。トラッキング・システムを破壊するために敵の宇宙船に乗り込んでも失敗するし、報酬を受け取って去って行ったキャラクターがピンチの時に駆け付けてくれない等、過去作で描かれた”お約束”をことごとく裏切っている。

特に顕著なのが、レイを「特別な血筋の人間ではない」と定義し、スカイウォーカー家からの決別をはっきりと宣言したこと。これにより、「誰でもフォースを使える」=「誰でもスター・ウォーズで主人公になれる」という図式が明確になりました。

すでにディズニーは「『エピソード9』以降も『スター・ウォーズ』のシリーズは継続する」と発表しているので、市場拡大の意味も含め「いつまでもスカイウォーカーにこだわってはいられない」ってことなんでしょう。確かに、見慣れたパターンを延々と続けるよりも、今までにない新しい展開を見せてくれる方が嬉しいかもしれません。

だがしかし…!

「パターンを崩す」ということは「安定感のあるドラマツルギーを一旦捨てる」ということでもあり、単に形を壊しただけで面白い映画になるわけではないのです。パターンというものは、それなりに合理的な理由があってその形になったわけですから、安易にそれを否定しても話がガチャガチャになるだけでカタルシスを得ることは出来ないのですよ。

そういう意味では(「確かに面白い部分があった」と認めつつも)本作のストーリー運びには「やはり無理があり過ぎる」と言わざるを得ません。まあ”絶賛派”の人に話を聞いてみても「突っ込みどころが多いのは分かってる。でも…それでも最高なんだよ!」という返答だったので、たぶん大筋では意見が一致してるんじゃないかなあ(^_^;)


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