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ジョン・ウー監督『マンハント』(ネタバレ)

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ジョン・ウー監督の最新作マンハントは、高倉健主演の日本映画君よ憤怒の河を渉れ(1976年)のリメイクです。

君よ憤怒の河を渉れ』は過去に中国で大ヒットを記録しており、さらにジョン・ウー監督も高倉健の大ファンで「いつか健さんの映画をリメイクしたいと思っていた」とのこと。

ちなみに『男たちの挽歌』でチョウ・ユンファがサングラスと黒のコートを着ているのは、高倉健の『網走番外地』シリーズや『ならず者』の影響だそうです。

また、ジョン・ウー監督は小林旭のファンでもあり、小林旭が主演した日本映画をたくさん観ていて「日本で映画を撮ることが長年の夢だった」らしい。そのため、本作はなんとオール日本ロケが実現!夢がかなって監督は大喜びしたとか。

ただし、当初はオリジナル版と同じく東京を舞台に設定していたものの、撮影許可が思うように下りず、大阪に変更されてしまいました(『ブラック・レイン』と同じパターンですねw)。

しかし、大阪府や役所の人たちは非常に協力的で、通常は許可が下りにくい駅の中や線路上でのアクションシーンも近鉄が許可してくれたおかげで撮影できたよ」と監督も喜んでいたそうです。

特に、堂島川(淀川が中之島で分岐し、南は土佐堀川、北は堂島川と呼ばれる)での水上バイクを使ったチェイスシーンが凄まじく、ジョン・ウー監督も「まさか日本であんな凄いアクションが撮れるとは思わなかった。そもそも観光地なので、許可が下りたこと自体が奇跡に近い」と驚いたらしい。

そんな『マンハント』で主演を務めた福山雅治さんは、英語のセリフに加えて初のガンアクション、さらに水上バイクも免許を取得して自ら運転するなど、苦労の連続だったそうです。

中でも言葉の問題が最も大きかったらしく、まず中国語で上がってきた台本を翻訳家が日本語に訳し、それを脚本家が適切なセリフに書き替え、さらに翻訳家がもう一度中国語に戻して監督がチェック。

そして監督から「いや、違う。これではセリフが長い」と言われると、また中国語から日本語へ翻訳し直して…というやり取りがずっと続いたらしい。うわ〜、大変だなあ(-_-;)

また、香港の映画界は昔から「現場で段取りがどんどん変わる」ことでも有名で、今回ジョン・ウー監督の映画に初めて参加した池内博之さんも「キャスティングされた時は”福山さんを追う刑事”という役だったのに、いつの間にか”製薬会社の次期社長”になっていた」と困惑気味(笑)。

ちなみに社長役の國村隼さんは、チョウ・ユンファ主演の『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』に出演して以来、ジョン・ウー監督と非常に仲が良く、「今度日本で映画を撮るから出てくれない?」と直接頼まれ、脚本も読まずにOKしたそうです(^^;)

さて、ジョン・ウーといえば『男たちの挽歌』シリーズで一世を風靡した監督であり、ハリウッドへ渡ってからもジョン・トラボルタニコラス・ケイジ主演の『フェイス/オフ』や、トム・クルーズ主演の『MI:2』など、ヒット作を連発しました。

その最大の特徴と言われる”ガンアクション”は、もちろん『マンハント』でも健在です。冒頭から女性二人が華麗な2丁拳銃でヤクザを瞬殺!チャン・ハンユー演じる弁護士と福山雅治との格闘場面では白いハトが飛び、中盤からクライマックスにかけても激しい銃撃戦のつるべ打ち!

ただし、香港やハリウッドで撮影していた時は本物の銃を使っていましたが、今回はオール日本ロケなので当然ながら実銃は使えません。しかし、市販のモデルガンやガスガンなのに、ジョン・ウーが撮るとカッコよく見えてしまうんですよ。それが凄い!

CGでマズルフラッシュを合成したり、電気着火式のプロップガンを使ったり、やり方自体は日本の撮影方法と変わらないのに、どうしてこんなに迫力が違うのか?その秘密は”マルチカメラ”にあるという。

通常、日本の撮影ではカメラは1台ですが、ジョン・ウー監督は常に3台のカメラを同時に回してるんですよ。福山さん曰く、「アクションシーンを3台のカメラで撮ると、手元と顔と全体を一気に撮れるので効率がいい」とのこと。

そして(『男たちの挽歌』などもそうですが)ジョン・ウー作品のガンアクションを見ると、複数のカメラで撮った映像を編集で巧みに繋ぎ合わせ、実に見事な効果を生み出していることがわかります。

つまり、マルチカメラで撮影した大量の映像素材を編集技術で自在に組み合わせ、通常速度やスローモーションなど緩急を適切にコントロールすることによって、迫力満点の素晴らしいガンアクションを作り上げていたんですね。

というわけで、内容的には色々アレな部分もありますが(笑)、「日本を舞台にした本格ガンアクション映画」としては見どころが多く、また福山雅治が激しい銃撃戦を繰り広げる」という点においても極めて価値がある作品と言えるでしょう(^.^)


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映画映画ベストテン!

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

いよいよ2018年も残すところ後2週間ほどになりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて、毎年この時期になるとワッシュさん(ブログ「男の魂に火をつけろ!」の管理人様)が「好きな映画ベストテンを選ぶ企画」というのを主催していて僕も数年前から参加してるんですが、今年も参加させていただきますよ。

男の魂に火をつけろ!

で、今回のテーマは「映画映画ベストテン」になったようです。ん?いつもは「戦争映画」とか「SF映画」なんですが、はて「映画映画」とはいったい…?

これは、映画そのものをテーマにした映画や、映画俳優・監督・スタッフ・映画ファンが主人公の映画、映画製作にまつわるドキュメンタリーやメイキングなど、「映画について扱っている映画」という意味だそうです。

例えば、今年は『カメラを止めるな!』が大ヒットしましたが、あれも「ゾンビ映画を撮影中の俳優やスタッフたちが本物のゾンビに襲われる」という内容だったり(本当はもうちょっと入り組んでるんですけど)、要はそういう”メタ的な視点”を持っている映画ということですね。

ただ、『カメラを止めるな!』があまりにも面白すぎて、「これがたぶん1位じゃないかな〜」という気持ちが否めない(総合的な面でもダントツに面白いと思う)ので、今回は敢えて『カメラを止めるな!』を外してみました。というわけで、僕のベストテンは以下のような感じになってます。


1.アルゴ
「6人のアメリカ人をイランから脱出させるためにCIAが架空のSF映画をでっちあげる」という、どう考えてもフィクションとしか思えない実話を映画化した本作。

『アルゴ』というのはつまり、”存在しないSF映画のタイトル”なんですが、普通に考えればコメディになりそうな設定を、スリリングなサスペンス映画に仕上げたところが面白い。

内容的にも非常にクオリティが高く、第85回アカデミー賞にて作品賞、脚色賞、編集賞を受賞しました。監督はあのベン・アフレックなんですが、俳優よりもこっちの方が向いてるんじゃないの?と思ったり(笑)。


2.マルホランド・ドライブ
巨匠デヴィッド・リンチ監督が「ハリウッドのダークサイドを描きたい」と取り組んだ本作ですが、正直言ってストーリーはよくわかりません(笑)。

しかし、「よくわからない」ということ自体が本作の面白さでもあるわけで、何回観ても「あれはどういう意味なんだろう?」と疑問が尽きない映画っていうのは、ある意味「何度でも楽しめるお得な映画」と言えるんじゃないかな〜と思います(^.^)


3.地獄でなぜ悪い
本作は、園子温監督が自主製作映画を撮っていた時代の自らのエピソードを映画化したという点において「極めて私的な映画」であると同時に、「映画青年の映画愛を描いた青春ドラマ」という点においても画期的だと思います。

「映画を撮影中に小学生にバカにされた」とか、「女の子の誘いに乗ったら実はヤクザの娘で、事務所に連れて行かれて殺されそうになった」という破天荒なシチュエーションも全部監督の実体験らしい(^^;)

長谷川博己星野源二階堂ふみ國村隼堤真一坂口拓友近成海璃子、でんでん、岩井志麻子水道橋博士ミッキー・カーチス江波杏子板尾創路など、参加した面子もすごい。


4.ロスト・イン・ラ・マンチャ
テリー・ギリアム監督といえば、『未来世紀ブラジル』ではストーリーの結末をめぐって映画会社と対立したり、『バロン』では予算が超過しすぎて完成が危ぶまれたり、毎回色んなトラブルに振り回されているイメージですが、本作は「そのトラブル自体を映画化したドキュメンタリー」なのですよ。

ギリアムは1998年頃からドンキホーテを主人公にしたファンタジー映画を撮りたいと企画を練り、2000年にようやくクランクインしたものの、撮影初日から次々とアクシデントが勃発し、とうとう制作中止の決断を余儀なくされました。

本作では、その間のテリー・ギリアム監督の苦悩や焦燥や絶望を余すことなく描いており、「映画の制作がダメになっていく過程」を観ることが出来るという点においても貴重な資料と言えるでしょう。


5.ファンボーイズ
余命3か月の宣告をされたスター・ウォーズファンの友人のために、スカイウォーカーランチに侵入して公開前の『エピソード1』を見せようと奮闘するオタクたちの姿を描いたコメディ映画です。

『エピソード1』が公開される直前の盛り上がりたるや、それはもう本当に凄まじく、「『エピソード1』を観るまで死ねない!」と思っていたファンも実際にいたでしょうけど、いざ公開されたら微妙なリアクションに…という部分も含めて楽しめる作品ですよ(^^;)


6.キャノンフィルムズ爆走風雲録
チャック・ノリスの『地獄のコマンド』、チャールズ・ブロンソンの『スーパー・マグナム』、ジャン=クロード・ヴァンダムの『キックボクサー』、シルヴェスター・スタローンの『コブラ』や『オーバー・ザ・トップ』など、80年代にこういう映画ばっかり量産していた「キャノンフィルムズ」という映画会社のドキュメンタリーです。

イスラエルの小さな田舎町で映画を作っていたメナヘム・ゴーランと、同じく映画が大好きな従弟のヨーラム・グローバスは、夢を求めてハリウッドへ進出すると次々とヒット作を生み出し、50万ドルで設立した会社の時価総額をたったの7年で10億ドルにまで高めました。

しかし、やがて映画の製作費がどんどん高騰し始め、逆に興行成績はどんどん下がっていくという悪循環に…。このドキュメンタリーはそんな紆余曲折を描きつつ、メナヘム・ゴーランとヨーラム・グローバスの絆も描写しているところが良かったです。


7.桐島、部活やめるってよ
第36回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀編集賞の3部門を受賞した傑作青春映画。ポイントは主人公たちで劇中で撮っている自主制作映画『生徒会・オブ・ザ・デッド』で、「やはり自主制作映画といえばゾンビだよなあ」と(笑)。


8.SUPER8/スーパーエイト
製作:スティーブン・スピルバーグ、監督:J.J.エイブラムスの最強コンビが作ったSF映画で、全体に漂う『E.T.』っぽい作風など、エイブラムス監督の「スピルバーグ・リスペクト」が目一杯詰まってますよ。なお、本作も主人公たちは自主制作ゾンビ映画を撮っています(笑)。


9.ホドロフスキーのDUNE
フランク・ハーバートSF小説『DUNE』を映画化するために、錚々たるキャストとスタッフを集め、莫大な予算と数年に及ぶ準備を費やした挙句、とうとう企画がポシャってしまったアレハンドロ・ホドロフスキー監督の『DUNE』。

本作は、そんな実現しなかったホドロフスキー版『DUNE』について、関係者の証言や”幻の絵コンテ”などの貴重な資料を公開しつつ、「もし映画が完成していたら…」と妄想を膨らませる、笑いと感動のドキュメンタリーなのです。


10.イン・ザ・ヒーロー
映画界で活躍するスタントマンの姿を描いた作品。正直、ストーリー的には「ん?」と思うような部分もありますが、アクションの裏側を垣間見れる点が良かったですね。


というわけで、僕のベスト10はこのような感じになりました。「映画について描いた映画」といえば、僕はメイキングが好きなのでドキュメンタリー作品がやや多くなってるんですけど、まあこんなものかなと(^.^)

1.アルゴ(2012年 ベン・アフレック
2.マルホランド・ドライブ(2001年 デヴィッド・リンチ
3.地獄でなぜ悪い(2013年 園子温
4.ロスト・イン・ラマンチャ(2002年 テリー・ギリアム
5.ファンボーイズ(2008年 カイル・ニューマン
6.キャノンフィルムズ爆走風雲録(2014年 ヒラ・メダリア)
7.桐島、部活やめるってよ(2012年 吉田大八)
8.SUPER8/スーパーエイト(2011年 J.J.エイブラムス)
9.ホドロフスキーのDUNE(2013年 フランク・パヴィッチ)
10.イン・ザ・ヒーロー(2014年 武正晴


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『ゲティ家の身代金』ネタバレ感想

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リドリー・スコット監督の最新作『ゲティ家の身代金』は、実際に起きた誘拐事件を元に作られたサスペンス映画です。

1973年、イタリア・ローマでアメリカ人のジョン・ポール・ゲティ三世が誘拐されました。やがて犯人から身代金が要求されるのですが、その額なんと1700万ドル!

実は彼の祖父は総資産50億ドルとも言われる石油王:ジャン・ポール・ゲティだったので、「そんな大金持ちならすぐに身代金を払うだろう」と犯人たちは考えたのです。

ところが、ジャン・ポール・ゲティは「洗濯代がもったいない」と言って自分でパンツを洗うぐらいドケチだったのですよ。

まあ「金持ちほど無駄遣いをしない」という話も聞きますが、なんとゲティ氏は「身代金が高すぎる」と言って支払いを拒否したのです。えええ!?

これを聞いたポールの母親のアビゲイルミシェル・ウィリアムズ)は「有名な絵画ならすぐ買うくせに!」と大激怒。ゲティ氏の豪邸を訪れて交渉しようとするものの、全く相手にしてもらえません。

さらに、ポールの友人たちが「わざと誘拐されたフリをして金をもらう計画を立てていた」と証言したため、警察から「狂言誘拐なんじゃないか?」と疑われてしまう始末。

そのせいで交渉が全く進展せず、何カ月も人質の世話を続けるはめになった誘拐犯たちは「話が違う!」とイラだち、とうとうポールをマフィアに売り飛ばしてしまいました。

凶悪なイタリアン・マフィアに監禁されたポールは脱出を試みますが、結局見つかって再び連れ戻され、片耳を切り落とされるという悲惨な事態に!

そして犯人は切り取った耳を新聞社に送り付け、「身代金を払わなければもっと酷い目にあわせるぞ!」と脅したのです。

それを知ったアビゲイルは「どうしよう…」と絶望的な気持ちになったものの、この記事が掲載された新聞1000部をゲティ氏に郵送。驚いたゲティ氏はとうとう「金を払う」と約束してしまいました。

というわけで本作は、「息子をさらわれた母親が身代金を捻出するためにドケチな祖父と対決する」という、ちょっと変わったサスペンス映画になっています。

普通、こういう映画は「人質を救出しようと頑張る警察の姿」とか「誘拐犯との緊迫感溢れるやり取り」などが見どころなんですが、そういうシーンはほとんどありません。

一応、マーク・ウォールバーグ演じるチェイスが元CIAという経歴なので「スキルを活かして犯人を捜し出すのだろうか?」と思いきや、特に事件解決の役には立たないんですよねえ(笑)。

面白いのは、ゲティ氏が身代金を払うまで数カ月かかったため、その間に犯人グループの一人とポールが仲良くなってしまい、とうとう「俺はもう金なんかどうでもいい。ポールに死んでほしくないんだ!」とまで言い出すんですよ。

この辺はどこまで事実なのかわかりませんが、「早く逃げろ!」と懸命にポールを助けようとする誘拐犯の姿に結構グッと来たりしました(でも身代金はしっかりもらってるんだけどw)。

ちなみにこの映画、当初はゲティ役をケヴィン・スペイシーが演じていて、一旦は全ての撮影が完了してたんですが、公開直前にスペイシーの「少年に対するわいせつ行為」が発覚し、なんと芸能界を引退してしまったのです。

当然、そのままでは公開することができず、かと言って公開予定日まで1カ月しかありません。「いったいどうすれば…」と頭をかかえる関係者たち。

しかしリドリー・スコット監督は「撮り直そう」と即決!すぐにクリストファー・プラマーを代役として起用し、ケヴィン・スペイシーの出演シーンを全て撮影し直したのです。それもたったの9日間で!

映画を観た人はわかると思いますが、ゲティ氏の登場場面ってかなり多いんですよ。いくらリドリー・スコットが早撮りで有名とはいえ、あれだけの分量をわずか9日で撮り切るとは、驚くべき離れ業と言えるでしょう。

なお、この件に関してリドリー・スコット監督は以下のようにコメントしています。

クリストファー・プラマーのおかげで全然違う映画になった。ケヴィン・スペイシーが演じたゲティはひたすら冷酷なだけだったが、プラマーには心の奥に隠した温かさ、寂しさ、人間味がある。ユーモアもね。おかげで、本当に哀れな男としての深みが出たよ。

ちなみに、再撮影ではリドリー・スコットミシェル・ウィリアムズが1000ドル以下の安いギャラで協力していたのに対し、マーク・ウォールバーグだけ150万ドルももらっていたことが発覚。

そのせいで世間から猛烈な批判を浴びたマーク・ウォールバーグは、再撮影のギャラ150万ドルをセクハラ撲滅運動「Time's Up」の募金に全額寄付するはめになったそうです(^^;)

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はじめまして

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タイプ・あ~ると申します。

 

今まで「はてなダイアリー」で記事を書いていましたが

間もなくサービスが終了するとのことで

2019年からはこちらの「はてな」ブログで書くことにしました。

 

まだ操作に慣れていませんがボチボチやっていこうと思うので

よろしくお願いいたします。

 

『キングスマン』を観た

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キングスマン

映画『キングスマン』より

まだ「はてなブログ」に慣れてないので、練習がてらに記事を作成。 

正月で特にやることもないため、コリン・ファースが大暴れする痛快アクション映画キングスマンを観ました。 

映画館で観たし、DVDでも何度も観てるんだけど、好きな映画だから何回も観てしまうのよねえ。 

と言っても、全部を観るわけじゃなくて、お気に入りのシーンだけをピンポイントで観てるんですが。 

キングスマン

映画『キングスマン』より

Manners maketh man(マナーが人を作るんだ)」のシーンと、レイナード・スキナードの「Free Bird」をバックに流しながら教会で大乱闘するシーンが特に好き。 

普段は冷静沈着で紳士的なハリー(コリン・ファース)が、ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)の策略にはまって狂ったように一般市民を惨殺しまくる壮絶なシーンですが、軽快なBGMと相まってだいぶ面白い映像になっています。

キングスマン』を撮ったマシュー・ヴォーン監督は、前作の『キック・アス』でも”残虐なアクション”と”ポップな笑い”を融合させた面白いシーンを作っており、こういう作風が好きな人から絶大な支持を得ている模様。

キングスマン

映画『キングスマン』より

ただし、ストーリーが進むにつれて下品でグロテスクで不謹慎なギャグがどんどん増えていくので、こういうのが嫌いな人は受け入れられないと思います(笑)。

 

 

『ジョン・ウィック』を観た

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ジョン・ウィック

映画『ジョン・ウィック』より

今日も正月休みということで、午前中は家でゴロゴロ。

アマプラやDVDを流し見しながらネットしてました。

久しぶりにキアヌ・リーブス主演の『ジョン・ウィック』を観たんですが、相変わらずガン・アクションがカッコいい!

ジョン・ウィック

映画『ジョン・ウィック』より

特に中盤の「パーティ会場へ潜入してボスの息子を襲撃するシーン」が好きで、ここだけ何度も観てしまいます。

主人公は「引退した元殺し屋」という設定で、久しぶりに復帰したから体がなまっている。それを、50歳過ぎのキアヌ・リーブスが演じているから、いい感じにリアルなんですよ。

ジョン・ウィック

映画『ジョン・ウィック』より

ジェイソン・ステイサムみたいなキレのいいアクションではなく、どこかヨレヨレした動きが逆に臨場感があるという(笑)。それが素晴らしいですね。

 

 

『トレイン・ミッション』ネタバレ

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トレイン・ミッション

映画『トレイン・ミッション』より

ジャウマ・コレット・セラ監督といえば、『アンノウン』、『フライト・ゲーム』、『ラン・オールナイト』などでリーアム・ニーソンを主役に映画を作ってきました。

本作は、そんなジャウマ・コレット・セラ監督がリーアム・ニーソンと4度目のダッグを組んだシチュエーション・スリラーです。

10年間勤めてきた保険会社をリストラされた60歳のマイケルは、いつもの電車で帰路につくが、車内で見知らぬ女性からある提案を持ちかけられる。

それは、電車が終点に到着するまでに100人の乗客から一人の人物を捜し出せば10万ドルを支払うというものだった。

最初は断ろうとするマイケルだったが、家族を人質に取られ、仕方なく言うことを聞くことに。果たして彼は困難なミッションをクリアーできるのか…?

走行中の電車内という限定された空間と、終点までに謎を解き明かさねばならないタイムリミット・サスペンスが緊張感を高めます。

元警察官のマイケルが繰り出すアクションも見どころの一つで、FBI捜査官との肉弾バトルや、暴走列車を止めようと決死の覚悟で別の車両に飛び移るなど、クライマックスまで手に汗握る場面の連続!

ただし、冷静になって考えてみるとストーリーに辻褄の合わない部分がチラホラと…。最後に明かされる犯人も意外性がなく、ミステリー的な満足度はあまり高くありません。

まあ、この監督はだいたいそんな映画ばかり撮ってきてるので、いつも通りではあるんですけどね(笑)。

 

2018年に観た映画

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新年明けましておめでとうございます!
…ってメッチャ遅いですね、すみません(-_-;)


さて、去年も色んな映画を観たんですが
記事に書いてないから忘れちゃうんですよねえ(苦笑)。
なので、タイトルだけざっくり書き出してみました。



キングスマン:ゴールデン・サークル
レディ・ガイ
ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!
『悪女/AKUJO』
空海
マジンガーZ / INFINITY
ジオストーム
ザ・シークレットマン
ガーディアンズ
サリュート7』
デトロイト
ダークタワー
スリー・ビルボード
スリープレス・ナイト
グレイテスト・ショーマン
マンハント
ちはやふる-結び-』
犬猿
リメンバー・ミー
シェイプ・オブ・ウォーター
15時17分、パリ行き
ブラックパンサー
トゥームレイダー ファースト・ミッション
ヴァレリアン 千の惑星の救世主
トレイン・ミッション
ペンタゴン・ペーパーズ』
レッド・スパロー
ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』
パシフィック・リム: アップライジング』
いぬやしき
レディ・プレイヤー1
アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
ホース・ソルジャー
機動戦士ガンダム THE ORIGIN誕生 赤い彗星
孤狼の血
GODZILLA 決戦機動増殖都市
ランペイジ 巨獣大乱闘
犬ヶ島
ゲティ家の身代金
オーシャンズ8
デッドプール2
空飛ぶタイヤ
万引き家族
ニンジャバットマン
『カメラを止めるな!』
ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』
バトル・オブ・ザ・セクシーズ
ジュラシック・ワールド/炎の王国
未来のミライ
ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
『インクレイディブル・ファミリー』
アントマン&ワスプ
検察側の罪人
『MEG ザ・モンスター』
ザ・プレデター
スカイスクレイパー
愛しのアイリーン
クワイエット・プレイス
『若おかみは小学生』
フリクリオルタナ
フリクリプログレ
イコライザー2』
スカイライン奪還』
『ヴェノム』
ボヘミアン・ラプソディ
ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ
スマホを落としただけなのに
へレディタリー/継承
『アリー/スター誕生』
『来る。』
『こんな夜更けにバナナかよ』



だいたいこんな感じでしょうか(いくつか抜けてるかも)。
去年は『劇場版コード・ブルー』が大ヒットしたんですが、
映画ファンの間では完全にスルーされてて
一般の観客との温度差がすごかったですね(笑)。


そういう意味では、『ボヘミアン・ラプソディ』なんかは
飲み屋でも普通の人と「観た?」「観たよ」などと会話できるので
個人的には非常に助かりました(?)。


ペンタゴン・ペーパーズ』と『ザ・シークレットマン』は
同じ物語の前後編みたいな感じで良かったです。
特に『ザ・シークレットマン』は
「いつリーアム・ニーソンが暴れ出すんだろう…?」
と違う意味でドキドキしたりして(笑)。


あとはやっぱり『カメラを止めるな!』かなあ。
ヒットの仕方も特殊だし、内容もメッチャ面白いし
一番印象に残った映画でしたね。


ただ、早くも金曜ロードショーで放送するらしいんですよ。
ついこの間、ブルーレイが発売されたばかりなのに。
普通、劇場公開終了から最低1年は空けると思うんだけど…
まあ大勢の人に観てもらえるからいいのかな〜。


というわけで今年もよろしくお願いします(^O^)/


『レディ・プレイヤー1』の撮影裏話

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レディ・プレイヤー1

映画『レディ・プレイヤー1』より

1980年代カルチャーへの愛に溢れたアーネスト・クラインSF小説『ゲームウォーズ』を、巨匠スティーブン・スピルバーグが映画化したレディ・プレイヤー1

派手なアクションや若者たちの成長ドラマに加え、大量のイースター・エッグ(劇中に隠された色々なネタ)が話題を呼び、日本でもリピーターが続出するほど大ヒットしました。

そんな本作にトシロウ役で出演していた森崎ウィンさんは、撮影時に様々な経験をしたそうです。以下、インタビューでの発言より引用↓

イギリスの撮影現場に入った時、いきなり「『シャイニング』を見てください」と言われたのでホテルで観ました。突然言われることが多くて、カメラテストの後にも監督から「三船敏郎さんみたいに演じてほしい」と言われ、急いで三船さんの過去の作品を観たんです。簡単にレンタル屋さんへ行けない状況だったので大変でした(笑)。

なるほど、様々な映画のオマージュが込められた作品なだけに、事前に観ておかなくてはならない映画も多かったようですね(もう少し早めに言ってくれればいいのに…w)。

ちなみに、映画のクライマックスでトシロウのアバターであるダイトウが『機動戦士ガンダム』のRX-78に乗るんですが、その時「俺はガンダムで行く!」って言うんですよ。

非常に盛り上がる場面なんですけど、ガンダムの決めゼリフといえば「行きま~す!」じゃないですか?なぜ「行きま~す!」と言わなかったんだろう?

監督から「戦いに向かう前の”侍の気持ち”で」と言われていたので、「ガンダム行きま~す!」とやると、ギャグっぽくなってしまうかも?と感じたんです。だから直感で「ガンダムで行く!」に決めました。

なるほど!あのセリフだけ日本語だったのは、撮影現場で森崎さんが考えたからだったんですね。この映画は『AKIRA』の金田バイクとかメカゴジラとか、日本のカルチャーもたくさん出て来ますが、だからこそ日本でもヒットしたのでしょう(^.^)

 

『デッドプール2』の笑撃ネタを徹底解説!

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デッドプール2

映画『デッドプール2』より

R指定ながら全世界で興行収入7億8千万ドルを突破した異色のマーベル・ヒーロー映画の第2弾『デッドプール2』。

監督は前作のティム・ミラーに代わって、シャーリーズ・セロン主演のアクション映画『アトミック・ブロンド』を手掛けたデヴィッド・リーチが担当しています。

しかし、前作以上にハードかつダイナミックなバトルが満載で、全編に盛り込まれた映画や音楽のパロディも大幅にパワーアップしているのですよ。

そこで本日は、一度見ただけでは分からない、遊び心に溢れた小ネタの数々を徹底解説してみます。

 


フラッシュダンス
オープニングで椅子にもたれたデップーが銃弾の雨を浴びる場面は、『フラッシュダンス』で主人公が水を浴びるシーンのパロディ。

 

グーニーズ
ウェイドの着ているシャツが『グーニーズ』のチャンクと同じ柄。実は『グーニーズ』はジョシュ・ブローリンのデビュー作だったのです(ちなみにジョシュ・ブローリンが演じていたのはマイキーの兄のブランド役)。

 

氷の微笑
ミニスカート姿のシャロン・ストーンが脚を組み替える有名なワンシーンを真似するウェイド。でもアソコが丸見え!

 

『ソウ・ザ・ファイナル』
ミュータント養護施設で理事長に拘束着を着させられ、虐待されるラッセル。苦しむ彼の姿が『ソウ・ザ・ファイナル』に出てきた女性を彷彿とさせる。

 

『シャークネード』シリーズ
竜巻に吸い上げられたサメが人々を襲うパニックムービー『シャークネード』はたくさんの続編が作られていますが、ウェイドは未来からやって来たケーブルに「今何作目?」と聞いています。そんなに続きが気になってるのか(笑)。

 

レ・ミゼラブル
ミュータントの刑務所「アイスボックス」に送られたラッセルの囚人番号は24601。これは、『レ・ミゼラブル』で投獄されたジャン・バルジャンヒュー・ジャックマン)の囚人番号と同じ。

 

ターミネーター
ラッセルを乗せた護送車を襲撃するケーブルに向かって「よせ、ジョン・コナー!」と叫ぶデップー。もちろん、『ターミネーター』シリーズに登場するあの人の名前です(笑)。

 

『007』シリーズ
『007』シリーズで定番の「銃口を内側から覗いた映像」を堂々とパクるデップー。

 

『パッション』
敵を惨殺したデップーが「俺は神に並んだ!」と発言。その理由を「前作の全米興行収入がキリストの受難を描いた『パッション』とほぼ同じだから」と説明し、「しかも世界興収では勝っている」とドヤ顔(笑)。

 

スター・ウォーズ
ヴァネッサに「間違っている」と言われながらも、「ルークはレイアと○○○したはずだ!」としつこく言い張るウェイド。

 

『セイ・エニシング』
デップーがコロッサスにラッセルの救出を手伝ってくれるよう頼む時の「ラジカセを頭上に掲げるポーズ」は、青春映画『セイ・エニシング』の主人公が恋人に思いを告げるシーンのオマージュ。ただし、デップーはラジカセ風のスマホケースだけど(笑)。

 

X-MEN
X-MENをけなすウェイドの背後で、プロフェッサーXやビーストなど他のメンバーが聞いているというシーンは、2019年に公開予定の『X-MEN:ダーク・フェニックス』の撮影現場で撮られたらしい。贅沢なコラボだなあ(^^;)

 

ウルヴァリン:X-MEN ZERO
タイムスリップ装置で過去に戻ったウェイドは、かつてライアン・レイノルズが演じた「口の無いデッドプール」に銃弾を喰らわす!

 

グリーン・ランタン
口無しデップーを殺害後、さらにウェイドは『グリーン・ランタン』の脚本を読むライアン・レイノルズのもとへ行き、酷評された同作への出演を阻止するために射殺!…って、どんだけ後悔してたんだよレイノルズ(笑)。

 

『LOGAN/ローガン』
串刺しにされたウルヴァリン人形が回転するオルゴールは『LOGAN/ローガン』のラストを引用。ウェイドが「R指定は俺のマネだ!」と悪態をつく。ちなみにこのシーン、許可が下りない可能性があったため「ジェームズ・マンゴールド監督には見せてない」らしい(笑)。

 

『空海 -KU KAI- 美しき王妃の謎』に関する裏話

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空海 -KU KAI- 美しき王妃の謎

映画『空海 -KU KAI- 美しき王妃の謎』より

日本に真言密教をもたらした平安時代の僧:空海。本作は、遣唐使として中国に渡った若き日の彼を主人公にした夢枕獏の小説を、チェン・カイコー監督が映画化した歴史ミステリーです。

さらば、わが愛』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞し、『始皇帝暗殺』では秦の時代の宮城を再現したチェン・カイコーが本作で求めたのは、物語の舞台となる約1200年前の長安をよみがえらせることでした。

セットの建設地として選ばれたのは、中国の湖北省にある襄陽市です。元は沼地だった場所を整地して2万本もの木を植え、巨大な池を作り、堅牢な町並みが建てられたこのセットの広さは、なんと東京ドーム8個分!

基礎工事から行われた建物は、いずれも撮影用のセットとは思えぬほど頑丈に建設され、外観だけでなく内装も忠実に作り込まれており、完成までに約6年も費やしたそうです。

特に、空海密教を授かる青龍寺のセットは、あまりにも本物そっくりに作られたため、現在は本物の寺として実際に僧侶が住んでいるらしい。すげえ!

そして今回、中国語のセリフをマスターし、空海役に挑んだ染谷将太は、撮影期間中、ホテルの部屋でも台本とにらめっこする日々だったとか。

そんな染谷さんをサポートしたのが、白楽天役のホアン・シュアン。染谷さんによれば、彼は中国語のセリフの練習に付き合ってくれ、時にはワインを届けてくれるなど、常に気遣ってくれたそうです。

また、チェン・カイコー監督の演出について「モニターの前で映像を止めたりコマ送りしながら、”振り返るタイミングをあと3コマ遅くしてほしい”と言われたこともあった」など、非常に細かい要求が多かったらしい。

阿倍仲麻呂を演じた阿部寛は「”妥協”という言葉はこの監督にはないんだな、というぐらい1カット1カットに対する情熱と時間のかけ方がすごかった。大勢のエキストラの端から端まで、監督の思いが伝わっている」と撮影時の様子を語っていました。

そんな超大作映画『空海 -KU KAI- 美しき王妃の謎』、中国では5億3千万人民元(約92億円)を超える大ヒットを記録しましたが、日本での評判はイマイチで、製作費9億7千万人民元(約150億円)を回収するのは難しいようです(^^;)

 

 

ポール・バーホーベン監督『エル ELLE』

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エル ELLE

映画『エル ELLE』より

コンピュータ会社の女社長ミシェル(イザベル・ユペール)が、ある日自宅で覆面の男に乱暴された。犯人を突き止めるため自ら行動を開始するミシェルだったが、事件の真相に迫るうちに恐るべき彼女の”本性”が明らかになっていく…

というストーリーなんですが、本作は「勇敢な主人公が自分を犯した犯人を捜し出すミステリー映画」ではありません。

もちろん、最終的に犯人は見つかるんですけど、それが本作の主題じゃないんですよね。ではいったい、この映画は何を描いたものなのか?

冒頭、暴漢に襲われたミシェルは、ゆっくりと起き上がり、割れた食器を片付け、浴室のゴミ箱に下着を投げ込み、シャワーを浴びて浴室から出たあとは電話でスシを注文。

そして、訪ねて来た息子と一緒に食事をする…という具合に、まるで何事もなかったかのように平然と振舞っているのですよ(警察にも通報しない)。

すなわち、映画『エル ELLE』の最大の特徴は「ミシェルのキャラクター」そのものであり、危機に遭遇しても一切動じず、取り乱したり逆上したりしない冷静沈着な気質の中に、冷たい闇が垣間見えるところがポイントなんですよ。

そんな彼女のキャラクターは、どうやって作られたのか?過去に何があり、現在の彼女はどんな境遇に置かれているのか?冒頭の描写で沸き上がった疑問に、少しずつ答えが明かされていくのです。

そしてもう一つの特徴は、本作の登場人物が「ほぼ全員クズ」という点でしょう。ミシェルの息子は定職につかず彼女に金をせびり、ミシェルの母親は整形手術を繰り返し、若い男とラブラブ状態。

ミシェルの会社の社員は彼女に敵意を抱いてヘンな動画を公開するし、さらにミシェル自身も友人の夫と不倫関係を続けているなど、もれなく「クズ」しか登場しません。

つまり本作は「正義の主人公が悪をやっつける」という映画ではなく、「クズの主人公がさらにクズな連中に鉄槌を下す」という、「毒をもって毒を制す」的な”皮肉に満ちた映画”なのですよ。

そういう意味では、実にポール・バーホーベンらしい作風と言えるんじゃないでしょうか(^.^)

 

エル ELLE [Blu-ray]

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岡田准一主演『関ヶ原』 撮影裏話

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関ヶ原

映画『関ヶ原』より

戦国時代の最大の合戦と言われる関ヶ原の戦いを描いた司馬遼太郎の傑作小説を、原田眞人監督が完全映画化した本作。

岡田准一が演じる石田三成と、役所広司が演じる徳川家康との駆け引きをスリリングに描き、クライマックスの合戦シーンでは、3000人のエキストラと400頭の馬が入り乱れる超弩級の壮大なバトルが繰り広げられます。

このシーンを撮影するために、原田監督は過去の様々な映画を研究し、さらにそれを殺陣師に見てもらい、一つ一つの場面を丁寧に作っていったそうです。

例えば、セルゲイ・エイゼンシュタインの『アレクサンドル・ネフスキー』に登場した槍の叩き方や、オーソン・ウェルズの『フォルスタッフ』の戦闘シーンも参照したらしい。

また、大量の馬が入り乱れるシーンは「ジョン・フォードウェスタン映画『シャイアン』のように馬を動かしたいと思い、騎馬のシーンに取り組んだ」とのこと。

さらに、石田三成と女忍者:初芽(有村架純)の関係には、『荒野の決闘』でヘンリー・フォンダとキャシー・ダウンズが演じたキャラクターを参考にしたという。

時代劇を撮るのに外国映画を参考にするとは、原田監督らしいですねえ(笑)。もちろん、日本の映画も参考にしてますけどね。

日本映画で一番参考になった作品は、原田監督にとってもオールタイムなフェイバリット・ムービーの中でベスト3に入るぐらい好きな映画、そう黒澤明監督の『七人の侍』です。

海外での評価も高く、黒澤明の最高傑作とも称される『七人の侍』ですが、当然ながらあれほどのレベルに達することは難しく、原田監督は以下のようにコメントしていました。

あのレベルにはなかなか近づくことはできないけれど、「できる限り目指そう」というのは意識していましたね。ある一点、超えられたと思うのは、『七人の侍』はおおよそ1年をかけて撮影されていますが、我々は合戦シーンも含め、わずか3ヶ月で困難な仕事をやってのけた。まあ、効率面では勝てたんじゃないかな(笑)。

ちなみに、原田眞人は「厳しい監督」としても有名で、現場ではいつも怒鳴っていたらしく、中でも島左近役の平岳大さんは「あんなに怒られたのは、中学のサッカー部以来だ」と愚痴っていたそうです(笑)。

 

関ヶ原 Blu-ray 通常版
 

 

『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

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ヴァレリアン 千の惑星の救世主

映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』より

西暦2740年、連邦捜査官として宇宙を駆け回るヴァレリアン(デイン・デハーン)とローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)は、砂漠の惑星キリアンから重要なアイテムを奪取し、宇宙ステーションへ送り届けた。しかし、そこには恐ろしい陰謀が…

というストーリーの本作は、リュック・ベッソン監督にとって『フィフス・エレメント』以来21年ぶりとなる本格的なSF超大作です。

原作は、何十年も昔からフランスで人気を誇っているSFコミックで、『スター・ウォーズ』シリーズにも影響を与えたと言われる有名なバンド・デシネ(フランスの漫画)です。

リュック・ベッソンは90年代から『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』を映画化しようと構想を練り続けていましたが、なかなか実現しませんでした。

しかし、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』を観て、「このテクノロジーを使えば自分のイメージを再現できる!」と確信したらしい。

こうして、WETAデジタル、I.L.M、ロデオFXなど世界的に有名なVFX会社が集まり、2734にも及ぶ膨大な視覚効果ショットを作成!見事に原作コミックの世界観を再現したのです。

そのかいあって、映像は本当に素晴らしい。ただ、内容はやや冗長かな~。話があっちこっちへ寄り道するし、「そのエピソードいる?」って言いたくなるような場面もチラホラと…。

見た目は非常に楽しそうなんですが、137分はちょっと長すぎると思いました(^^;)

 

ヴァレリアン 千の惑星の救世主 [Blu-ray]

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『ブラックパンサー』はなぜ成功したのか?

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ブラックパンサー

映画『ブラックパンサー』より

先日、アカデミー賞のノミネート作品が発表され、『ブラックパンサー』が作品賞候補に選ばれました。アメコミ作品としては史上初の快挙で、非常に話題になっているようです。

映画『ブラックパンサー』は2018年2月に全米公開されるやいなや、ぶっちぎりのランキングトップを獲得し、歴代5位のオープニング成績を記録。

その後も5週連続で首位を独走し、北米での興行収入は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』と『アバター』に続く歴代3位の大記録を達成したのですよ。

さらに全世界の興行収入は『美女と野獣』や『アナと雪の女王』すら上回る13億ドル以上を叩き出し、歴代9位という凄まじい成績を樹立しました。

ただ、公開前の反応は微妙で、主役のブラックパンサーことティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンは、『42 〜世界を変えた男〜』で注目されていたものの、決して知名度が高いわけではありません。

 

 

また、コミックでブラックパンサーが初登場した1962年頃、米国では黒人の人権を訴えたマルコムXの影響を受けて「ブラックパンサー党」が結成されました。

しかし、彼らはアフリカ系の人たちを白人の暴力から守ろうと銃で武装したため、警察に殺される事件が多発したのです。

そういうことがあったせいで、長い間「ブラックパンサー」という名前にはある種の”タブー感”が纏わり付き、マーベル作品の中でもブラックパンサーを取り上げるのは難しいんじゃないか?という雰囲気があったらしい。

しかし、アメリカでトランプ大統領が誕生して以降、差別主義的な風潮に反発するムードが高まり、「抑圧されたマイノリティーたちの姿に焦点を当てた作品」がヒットし始めました。

そんなタイミングで公開された本作は、反トランプを掲げる人々から圧倒的に支持され、黒人が共感できるのはもちろん、白人が観ても楽しめる普遍的なエンタメ作品として受け入れられたのだと思います。

若きワカンダ国王のブラックパンサーと、王の座を狙うエリック・キルモンガーの戦いも迫力満点で、娯楽性とメッセージ性を高いレベルで両立させた作劇が素晴らしい。おそらく観客もブラックパンサーのようなヒーローを求めていたのでしょう。

ちなみに、キルモンガーを演じたマイケル・B・ジョーダンシルベスター・スタローンの『クリード チャンプを継ぐ男』では主役のクリードを演じていて、こちらも高評価されています。

 

 

さらに『ブラックパンサー』と『クリード』の監督もライアン・クーグラーというアフリカ系の若手監督なんですが、黒人のヒーローが活躍する物語を当事者目線で描き切ったことが成功した要因の一つなのかもしれません。

 

 


リニューアルしました!

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ブログリニューアル

ブログリニューアルのお知らせ

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

いつも当ブログをご愛顧いただきありがとうございます。

さて、薄々お気付きかと思いますが(笑)、本日ブログをリニューアルしました!

というか、実際は年明けの1月1日から作ってたんですけど、やることが多すぎてなかなか公開できなかったんですよね。

まず、どうしてリニューアルすることになったのか?と言いますと、今まで僕が使っていた「はてなダイアリー」というブログサービスが、1月いっぱいで終了になってしまうからなんです。

そこで、新しい「はてなブログ」というサービスに引っ越すことになったんですが、これがなかなか大変な作業でして…。

なんせ、僕が「はてなダイアリー」で記事を書き始めたのが2004年からなので、もうかれこれ15年もやってるわけですよ(長い!)。

そういう過去の記事をすべて新しい「はてなブログ」へ移行し、さらに僕は各記事の中にリンクを貼りまくってるもんだから、それらのURLを全て手作業で書き直さなければならないのです。

まあ、白状するといまだにリンクは完全には直ってないんですけど(笑)、とりあえず公開して、あとは記事を書きながらちょこちょこ修正していこうと思っています(リンク切れを見つけたら教えてください)。

というわけで、今後はこちらのブログで頑張って更新していきますので、よろしくお願いします(^O^)/

【案内板】このブログについて(初めての方はこちらをどうぞ)

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当ブログの説明です。


◆当ブログのご案内◆

管理人のタイプ・あ〜ると申します。このブログでは、洋画・邦画・劇場用アニメなどの映画レビューの他に、映画の制作裏話やジブリアニメのマル秘エピソードなど、映画にまつわる様々な記事を書いています。以下のリンク(クリックで各ページへ移動)に、それらの記事をカテゴリー別にまとめてありますので、興味がある方はぜひご覧くださいませ(^.^)


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洋画
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ジブリアニメのマル秘エピソード
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この映画のCGキャラクターがすごい!

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ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』より

本日、金曜ロードSHOW!で『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が地上波初放送されます。

スター・ウォーズエピソード4/新たなる希望』の直前の状況を描いたスピンオフ作品で、2016年に公開されるや世界中で大ヒットを記録しました。

ジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)の活躍や、チアルートを演じるドニー・イェンの凄まじい格闘術など見どころ満載な本作ですが、個人的に一番ビックリしたのはターキン総督の登場シーンです。

なんせ、ターキンを演じたピーター・カッシングは1994年に亡くなっているのに、画面には『エピソード4』の頃のターキンがはっきり映っているのですから!

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』より

事前に「ピーター・カッシングの顔をフルCGで制作する」と聞いてはいたものの、実際に観てみるとそのクオリティの高さに衝撃を受けました。

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』より

さらにラストには”若かりし頃のレイア姫”まで登場し、これまた本物そっくりで「CGキャラクターの進歩がすごすぎる!」と二度ビックリ。

しかし、考えてみれば『ジュラシック・パーク』でCGの恐竜を見た時に「このままCG技術が発達したら、いつかは人間の役者がいらなくなるかも…」などと言われていたわけで、その予想が現実になっているのかもしれません。

というわけで本日は、「本物の人間そっくりなCGキャラクター」が登場する映画をいくつかピックアップしてみますよ。

 


●『LOGAN/ローガン』
X-MEN』シリーズの人気キャラ:ウルヴァリンを主役に、ミュータントがほぼ絶滅した世界を描いたシリアスなドラマ。

ウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンは多くのシーンで自ら激しいアクションを演じていますが、実は気付かないような場面でCGと入れ替わっていたようです。

 

●『ベンジャミン・バトン 数奇な人生
老人の状態で生まれ、年を取るごとにどんどん若返っていく男の人生を描いたファンタジー(『セブン』や『ファイト・クラブ』のデヴィッド・フィンチャー監督作品)。

主人公のベンジャミン・バトンを演じているのはブラッド・ピットですが、特殊メイクで老人になったのではなく、画面に映っているのはCGキャラクターです。

ベンジャミン・バトン 数奇な人生

ベンジャミン・バトン 数奇な人生

ベンジャミン・バトン 数奇な人生


●『ターミネーター:新起動/ジェニシス』

ご存知アーノルド・シュワルツェネッガー主演の人気SFアクション・シリーズ最新作です(現時点では)。

序盤に1作目と全く同じシチュエーションが出て来るんですが、映像を使い回しているのではなく、「1作目のシーンをCGで完全再現している」のですよ(こだわりが凄い!)。

 

●『ブレードランナー 2049
リドリー・スコット監督の名作『ブレードランナー』から30年後の世界を描いた続編。前作のヒロインのレイチェルがCGの力で復活(ショーン・ヤングも撮影現場にいた模様)。

ブレードランナー 2049

ブレードランナー 2049

ブレードランナー 2049


●『ドクター・ストレンジ

基本的にCGの使用頻度が多いアメコミ映画ですが、まさか主演のベネディクト・カンバーバッチまでCGに置き換えられていたとは思わなかった(笑)。

 

●『X-MEN:ファイナル ディシジョン』
CGの使い方の一つに「役者を若返らせる」というのがありまして、最近では『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のロバート・ダウニーJrや、『アントマン』のマイケル・ダグラスなど。

そして『X-MEN:ファイナル ディシジョン』ではパトリック・スチュワートイアン・マッケランがCGで若返っていました(髪の毛の状態は変わってませんがw)。

X-MEN:ファイナル ディシジョン

X-MEN:ファイナル ディシジョン

X-MEN:ファイナル ディシジョン

X-MEN:ファイナル ディシジョン』

 

●『ワイルド・スピード SKY MISSION
世界的に大ヒットした人気カーアクションシリーズですが、本作の撮影中に主演のポール・ウォーカーが事故で死亡するという不幸なアクシデントが発生。

そのため、ポール・ウォーカーの登場シーンの一部がCGで合成されました(弟のカレブ・ウォーカーとコディ・ウォーカーが代役を演じている)。

この曲が素晴らしい!映画『ラ・ラ・ランド』のサントラまとめ(ネタバレあり)

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ラ・ラ・ランド

映画『ラ・ラ・ランド』より

本日、金曜ロードSHOW!でラ・ラ・ランドが地上波初放送されます。

本作を撮ったのは、ドラム演奏に全てを懸ける若きジャズ・ドラマーが主人公の映画『セッション』で一躍脚光を浴びたデイミアン・チャゼル監督。

『セッション』は第87回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、助演男優賞を含む3部門で受賞するなど大変な高評価を獲得し、同時に監督への注目度も一気に高まりました。

ラ・ラ・ランド』は、そんなデイミアン・チャゼル監督が大好きなジャズを中心に、リアルで切ない男女のロマンスを魅惑的な歌とダンスで描き出した珠玉のミュージカル映画です。

当初は、『セッション』よりも『ラ・ラ・ランド』の方を先に製作する予定でしたが、「ジャズなんかやめて主人公をロックミュージシャンに変更しろ」とスポンサー側から要求されたため、「だったら撮らない!」とオファーを断ったそうです。

つまり、それだけ”自分の好きな音楽”にこだわっていたわけで、映画を観るとジャズとミュージカルに対する監督の熱い想いがヒシヒシと伝わってきますよ。

なお、本編には主人公のセバスチャン(セブ)が、生活のために嫌々ながらa-haの「テイク・オン・ミー」を演奏するシーンが出て来ますが、ジャズを愛する監督の心情をセブに重ねていたのかもしれませんね。

ラ・ラ・ランド

映画『ラ・ラ・ランド』より

そんな『ラ・ラ・ランド』のあらすじは、「ジャズ・バーの経営を夢見ている売れないピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と、カフェで働きながら女優を目指しているミア(エマ・ストーン)の出会いと別れを描いた甘く切ないラブストーリー」です。

舞台は、”LA LA LAND(夢の国)”という愛称を持つ街・ロサンゼルス(LA)。そのハイウェイで大渋滞が発生し、多くの車が停車している中、一人の女性がカーラジオから流れる曲に合わせて突然踊り始める。

そのリズミカルな歌とダンスは、瞬く間に周囲の人々にも広がり、いつしか大スケールのミュージカルシーンへ…!現実から夢の世界へ誘う心地よい飛翔を、ワンカットの長回し撮影によって実現したこの冒頭場面がまず圧倒的に素晴らしい。

デイミアン・チャゼル監督によると、「ロサンゼルスという車社会だからこそ、現実的な渋滞の騒音から、幻想的なミュージカル・サウンドへと昇華させたかった」とのこと。

しかし実際の撮影は大変で、本物のフリーウェイを2日間全面封鎖し、入念なリハーサルを繰り返した後、いざ本番に挑んだものの、8月のLAは凄まじい暑さで、車の表面温度がとんでもないことに!

なんせオープニングのダンスでは、ボンネットに寝そべったり、車体の上で身体をスピンさせるパフォーマンスをこなさなければならないため、演者たちはヤケドに耐えながら踊っていたそうです。熱ッ!

そして映画はこの後も、穏やかなジャズのメロディ、鮮やかなテクニカラー風の街並みや衣装などを次々と映し出し、観客を”夢の国”の虜にするのですよ。

ラ・ラ・ランド

映画『ラ・ラ・ランド』より

一方、ストーリーの方はさすがアカデミー賞6部門を受賞しただけあって大絶賛…というわけでもなくて、意外と感想は賛否両論だったらしい。

批判的な意見の中には「ジャズピアニストが主人公の映画なのに、監督はジャズのことがわかってない!」と怒ってる人もいたようですが、特に物議を醸したのがラストシーン。

「最後に男女の愛が成就してハッピーエンド」かと思いきや、セブは念願だったジャズバーを手に入れ、ミアはハリウッド女優として大成功、しかし他の人と結婚して子供を産んでいる。つまり、二人は別れて別々の人生を歩むことになるのですよ。

このラストに”定番のラブストーリー”を想定していた人は、「思ってたのと違う!」と不満を漏らしたようですが、問題は「果たしてこれはアンハッピーエンドなのか?」ってことなんです。

確かに、愛する者同士が結ばれなかったこと自体は「悲しい結末」なのかもしれません。しかしこの映画は「愛も夢も両方手に入れてハッピーエンド!」みたいな安易なラブストーリーじゃないんですよね。

映像的には”王道のミュージカル”だけど、「夢を実現する代わりに、大切な何かを失ってしまう切なさ」を描いた物語なのです。

極めつけは、5年後に二人が再会するシーンで流れる”走馬灯”のような映像。人生には「もしもあの時、違う決断をしていたら…」という場面がありますが、この映像はまさに「ミアとセブの”あり得たかもしれないもう一つの人生”」を走馬灯のように映し出していました。

最終的に二人は別れてしまうのですが、自分の人生を変えてくれる人と出会えたことは彼らにとって重要な意味があり、だからこそこの物語は夢のように美しく、たまらないほど切ないのです。

さて、そんな『ラ・ラ・ランド』は劇中で流れる様々な音楽も見どころ(聞きどころ)なわけで、特に印象的な曲をいくつかピックアップしておきますよ(^.^)

 


●オープニングのダンスシーン(Another Day of Sun)
渋滞で停まっている車からカーラジオやCDなど様々な音が聞こえてくるが、やがて一つの曲が急に力強く鳴り響き、歌声が乗り、そして集団で躍るダンスへと繋がっていくという、非常にダイナミックなオープニングシーンです。


●ミアを誘うルームメイトたち(Someone In The Crowd)
オーディションに落ちたミアを元気付けようと、ルームメイトのトレイシーとアレクシスとケイトリンがクリスマス・パーティーに誘うシーン。


●セバスチャンとの出会い(Mia & Sebastian’s Theme)
パーティーからの帰り道、通りかかったバーから偶然聞こえてきたピアノの音に惹かれたミアがセブと出会うシーン。


●LAの夜景を見ながら(A lovely night)
街が見下ろせる夜の公園で、セブとミアがタップダンスを踊るシーン(フレッド・アステアシド・チャリシー主演の名作ミュージカル映画『バンド・ワゴン』を彷彿とさせる名場面!)。


●埠頭で歌うセブ(City of Stars)
セバスチャンがミアと映画を観に行く約束をして、テンションが上がって一人で歌を歌うシーン(その後、ミアとアパートで暮らし始めると一緒に歌う)。


●グリフィス天文台(Planetarium)
二人でジェームズ・ディーン主演の『理由なき反抗』を観ていると、映写機の故障で上映が中断してしまう。そこでセブとミアは『理由なき反抗』の舞台となったグリフィス天文台へ行き、プラネタリウム館で空中を飛びながら歌い踊る、非常に幻想的なシーンです。


●オーディション(Audition)
セブの勧めで女優になるためのオーディションを受けるミア。


●エピローグ(Epilogue)
数年後、セブとミアはそれぞれ別々の道を歩んでいたが、ある日、ミアが偶然入ったバーでセブと再会。セブもミアに気付いてピアノを弾き始める。すると、「二人が結ばれていた場合の人生」が走馬灯のように映し出され…。美しくも切ない名シーンですね。


 

 

驚きの実話!エマ・ストーン主演『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(ネタバレあり)

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バトル・オブ・ザ・セクシーズ

映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』より

ラ・ラ・ランド』でヒロインのミアを演じ、見事オスカーを受賞したエマ・ストーン。そんな彼女が主演したバトル・オブ・ザ・セクシーズは、「とあるテニスの試合」をめぐって繰り広げられた驚きの実話を映画化したものです。

 


バトル・オブ・ザ・セクシーズ』のあらすじ

時は1973年。女子テニスプレーヤーのビリー・ジーン・キングは、女子選手の優勝賞金が男子よりも少ないことに不満を募らせ、全米テニス協会に抗議したが拒否されてしまう。そこで男女平等を訴え、仲間たちを率いて女子テニス協会を設立。

そんなビリーに、元男子チャンピオンのボビー・リッグスが挑戦状を叩きつける。一度は断るものの、熟考の末、ボビーとの対決を決意したビリー。こうして、29歳の現役女子チャンピオンと、55歳の元王者との”性差を超えた戦い”が実現した…!

 『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』とは?

僕は最初、『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』というタイトルを聞いて「なんかちょっとB級っぽい映画なのかな~?」と思ってたんですよ。「セクシーたちの戦い」って何なんだ?と(笑)。

しかしこれは「性別間の戦い」という意味で、ビリー・ジーンとボビー・リッグスの「男vs女の試合」に付けられたキャッチコピーとして、当時大々的な告知が行われたそうです。

そして同時に、1970年代に蔓延していた男尊女卑の風潮に対し、「その壁を突き崩す勝負」という意味でもあり、当時の歴史的な顛末と関わった人々の姿を臨場感たっぷりに描いたドラマなのです。 

バトル・オブ・ザ・セクシーズ

映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』より(当時の写真)


ビリー・ジーンになり切ったエマ・ストーン

前作『ラ・ラ・ランド』でハリウッド女優を目指すミアを演じたエマ・ストーンは、その美しい歌声や魅惑的なダンスが話題となり、第89回アカデミー賞で主演女優賞を獲得しました。

しかし本作では、ウィンブルドンで史上最多の20回優勝を誇る伝説的女子テニスプレーヤー:ビリー・ジーン・キングを演じるため、4カ月の猛特訓に挑んだそうです。

なんせ、エマ・ストーンは「テニス経験がゼロ」だったので、初歩的な練習から始まり、ウェイトリフティングやランニングなどハードな訓練を毎日実施することに。

しかも、トレーニングを担当したのは、『ボーン・アイデンティティー』などジェイソン・ボーン・シリーズでマット・デイモンを鍛えた凄腕トレーナーでした。その結果、なんと筋肉が7キロも増えてムキムキの体格になったという。

なぜそこまで頑張った?

関係者によると「エマが過酷な肉体改造にチャレンジしたのは、彼女がビリー・ジーンにとても敬意を持っていて、この役をぜひやりたいと熱望していたからだ」とのこと。

さらに、「肉体からビリー・ジーンになり切ることで、ビリー・ジーンの身体的・精神的な強さを体現しようとしていた」らしい。実際、『ラ・ラ・ランド』の後に『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』を観ると、あまりの激変ぶりに驚くこと間違いなし!

なお、映画の公開時にインタビュアーから撮影の感想を聞かれたエマは、「これまで演じてきた中で最も体を酷使した役だったわ(笑)」と答えたそうです。 

ビリー・ジーン・キング(エマ・ストーン)

ビリー・ジーン・キング(エマ・ストーン


ボビー・リッグスを演じたスティーヴ・カレル

一方、ビリーと戦うボビー・リッグスに扮したスティーヴ・カレルも素晴らしい演技でした。

彼はボビーのことを尊敬していて、完璧にボビーを演じるために徹底的にリサーチを繰り返し、実際にボビーのコーチをやっていた人からテニスの訓練も受けたそうです。

特にボビーの似せ方が凄まじく、顔や髪形などの見た目はもちろん、テニスのプレースタイルや日常の動作に至るまでボビー・リッグスを完全再現!エンディングで本人の写真が映るんですが、あまりにも似すぎていて笑いました(笑)。

ボビー・リッグス

ボビー・リッグス(本人)

敵だけど憎めないキャラ

そんなボビーは、ビリー・ジーンと戦う”敵”であり、女性蔑視の発言を連発する”ヒール”なんですが、劇中では決して”悪い人”として描かれてはいないんですね。

ギャンブル依存症で奥さんから愛想を尽かされ離婚寸前の彼は、女性を批判することで注目を集め、何とかしてもう一度、現役の頃のようにスポットライトを浴びようとしていたのです(ちなみに、奥さん役は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズでヒロインのジェニファーを演じたエリザベス・シュー)。

だから、スティーヴ・カレル女性差別発言はパフォーマンスじみていて愛嬌たっぷり、そして同時にボビー・リッグスの抱える”哀愁”も感じさせ、実に魅力的なキャラクターになっているのですよ。

なお、本物のボビー・リッグスも愉快でチャーミングな人物だったらしく、ビリー・ジーンも彼のことを嫌ってはいなかったそうです。 

ボビー・リッグス(スティーヴ・カレル)

ボビー・リッグス(スティーヴ・カレル


女性解放運動とLGBT問題

本作は、女性解放運動(ウーマンリブ)が広まり始めた70年代を舞台に、テニス界に起こった象徴的な事件を通じて女性差別の問題を描いていますが、もう一つ「LGBTの問題」を取り上げていることも見逃せません。

ビリー・ジーンには良き夫がいますが、テニスツアーの途中で美容師のマリリン(アンドレア・ライズボロー)と恋人関係になり、自分自身の”性のあり方”についても考え始めるのです。

このマリリンも実在の人物で、当時の試合映像を見ると、彼女がビリーの夫ラリーと並んで座っている姿が映っているそうです。

マリリン(アンドレア・ライズボロー)

マリリン(アンドレア・ライズボロー)

その後、マリリンはビリー・ジーンのアシスタントになりますが、その頃は彼女たちの関係を秘密にしていたので、周囲の人はマリリンのことを「ビリーの専属美容師」と思っていたらしい。

なぜなら、当時はウーマンリブが盛り上がっていたとはいえ、同性愛はまだまだ世間的に認知されておらず、レズビアンであることも当事者にとっては公にしづらい属性だったからです。

最適なキャスティング

そんな本作で印象的なキャスティングと言えば、専属デザイナーのテッド役を演じたアラン・カミングでしょう。

アラン・カミングは自身がバイセクシャルであることを公表しており、2007年にグラフィック・アーティストの男性と同性婚を挙げたことでも話題になりました。

そして『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』ではゲイの役を演じるにあたって、「このセリフは演技じゃなくて本心から言わなきゃね」と言って特にこだわりを見せたそうです。それがこちら↓

アラン・カミング(テッド)

アラン・カミング(テッド)

「いつか僕らはありのままでいられる。自由に人を愛せるようになる」

物語のラストを締めくくる非常に重要なセリフですが、とてもナチュラルで心に響き、監督を務めたヴァレリー・ファリスジョナサン・デイトンも大絶賛!インタビューで以下のようにコメントしていました。

本当にあの役を彼に演じてもらえたのは幸運だった。あのセリフを真実味をもって観客に聞かせるのは難しかったけど、アラン以上の適任者はいなかったよ。彼だからこそ、あのセリフを説得力のあるものにできたんだ。

なお、このキャラクターも実在の人物なんですが、「本物のテッドはアラン・カミングとは似ても似つかないハゲ頭の大男」だそうです(笑)。

 


ビリーとボビーの試合シーン

さて、様々なドラマを繰り広げた後、いよいよクライマックスでビリー・ジーンとボビー・リッグスの「性差を超えた戦い(バトル・オブ・ザ・セクシーズ)」が始まるわけですが、この試合シーンがあまり盛り上がらないんですよね。

この場面を作る際に監督は、実際にテレビで放送された試合映像を編集して、10分のバージョンを作ってみたそうです。ところが、肝心の試合がイマイチだったらしい。

なぜ試合が盛り上がらかった?

監督曰く、「実際の試合展開はエキサイティングとは言えないものだった。ビリー・ジーンが簡単に勝ってしまったからね。ある意味、とてもつまらない試合だったんだよ(苦笑)」とのこと。

その言葉通り、できる限りドラマチックな試合展開にしようと音楽で盛り上げたり、カメラアングルを工夫したりしていますが、やはり単調な印象は否めません(実話だから過剰に演出するわけにもいかないしw)。この辺はちょっと残念でしたねえ。

 


70年代を鮮やかによみがえらせた映像美

バトル・オブ・ザ・セクシーズ』の映像は、過去の出来事を描いた”実話もの”に良くある茶色系のルックではなく、赤や青やピンク系を大胆に配色した鮮やかなヴィジュアルとなっています。

これは、第89回アカデミー賞で撮影賞(『ラ・ラ・ランド』)を受賞したリヌス・サンドグレンが撮影監督として本作にも参加しているからで、『ラ・ラ・ランド』で披露した「ミックスライティング」という技法をアレンジし、カラフルかつリアリティのある映像を生み出しました。

ミックスライティングの効果

美術や衣装など表に見えるものは70年代の雰囲気を打ち出しつつ、照明は現代的な空間設計を施し、それを敢えてクリアな撮影で色彩の情報量を増加させることによって、画面に異常な説得力を与えているのです。

それは同時に、「過去の様式にとらわれることなく、新しい価値観や多様性を求める」という本作の主題にも見事に合致しており、だからこそ多くの観客の共感を得られる作品となったのではないでしょうか。



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