■あらすじ『ある日、太平洋上に強力な台風が発生し、台湾を直撃して北上、さらに中国沿岸部の人口120万人の大都市へと迫っていた。責任の重さに行政担当者が尻込みする中、市長は人命を危険にさらしてはならないと、全市民の避難を決断する。そしてついに、かつてない猛烈な台風は街に上陸、想像以上の猛威を振るい始めるのだった…!史上空前の超大型台風に見舞われた中国沿岸の街を舞台に、市民の命を守るため自ら最前線に繰り出す熱血市長の活躍をド迫力の特撮シーン満載で描き出した、大災害パニック・ムービー!』
どうも、管理人のタイプ・あ〜るです
台風3号が日本を通過し、全国各地に様々な影響を及ぼしているようですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?本日は、「中国が作った台風ムービーか〜」「まあ、どうせ良くある災害パニック映画なんだろうな〜」と思って鑑賞した映画が予想の斜め上を行きすぎててとんでもなかった、というお話です。そのタイトルは『超強台風』!
普通、この手のディザスター・ムービーって、大統領とか市長が登場しても、大抵は目の前の大災害にうろたえたり、「地球はもうダメです!」的な演説をしたり、大勢いるキャラクターの一人として描かれる事が多いじゃないですか?そして、「一般市民の主人公がひたすら頑張る」っていうのが、今までの災害映画のセオリーでした。
これは竜巻の映画ですね。意外と台風映画って少ないかも…
でも、『超強台風』では市長自身が主人公なんですね。これはかなり珍しいパターンでしょう。しかも、この市長がやたら強くて、遠くから指示を出すだけじゃなく、自ら災害現場へ飛び込んで事態を解決しようと奮闘するんですよ。その活躍ぶりがあまりにも凄過ぎて、全編笑いが止まりません(笑)。
例えば、台風が近づいているので漁師さん達に避難を勧告するシーン。ここで「自分の船を守りたい」という人々が集まって暴動が起きそうになったため、現場で市長が説得することになるんですよ。
で、どうするのかと思ったら、なぜかいきなりコートを脱いで、「バッ!」と海へ放り投げるんです(意味不明)。物凄い暴風雨の中で舞い飛ぶコート!画面は突然スローモーション!そしてバックには大きな波がドーン!その波を背に市長が繰り出す渾身の土下座!
「私は一人の犠牲者も出したくないんだ!」
「頼むから避難してくれッ!」
これを見て漁師たちは全員感動するっていう(笑)。「イヤイヤお前ら正気か?」と思わずにはいられないような凄まじいシチュエーションなわけですが、恐ろしいことに市長の活躍はこの後もどんどんパワーアップしていくのです。
「離島に残っている妻が死にそうなんだ!」という旦那の訴えを聞き付けるやいなや、軍隊に対して直接出動を命じる市長。ええ!?市長ってそんな権限まで持ってるの?
当然、周りの皆は止めるわけですよ、「そんなこと出来ません」と。しかし市民の命が何より大切な市長は全く聞く耳を持たず、「無理でもやってくれ!」と強引に押し切ってしまいます。
やがて台風が接近するにつれてますます風雨が強まり、家や車や漁船までもが片っ端から吹き飛ばされるという大惨事に!しかも良く見ると、小さな犬まで一緒に吹き飛ばされてるじゃありませんか!うわあああ〜!
しかし「これは絶対に助からないだろ…」と思っていたのですが、ラストで何事も無かったかのように再登場してきたので仰天しました。
そしてついに台風が上陸し、大型タンクローリーが吹き飛ばされ、市民が車の下敷きに!それを見た市長、いきなり嵐の中をタンクローリーまで駆け寄り、「うおおおお!」と物凄い怪力で見事に市民を救出。
しかもその直後、タンクの燃料に火花が引火して大爆発!間一髪で脱出に成功する市長!まるで『西部警察』のようなワンシーン!画面はもちろんスローモーションです(笑)。
さらに、建物が浸水して壁の穴からサメが侵入してくるという大変な状況に!もはや展開がメチャクチャです(笑)。しかしここでも、「俺にまかせろ!」と叫んで躊躇なく水に飛び込む市長。
なにやら棒状のものを手に持って「うおおおお!」と叫びながらサメをボコりまくり、ついに撃退成功!何でこんなに強いの?驚く市民に向かって市長が満面のドヤ顔で一言。
「俺は昔、特殊部隊にいたんだよ!」
…ってなんなんだ、その唐突にも程がある設定は!もう面白すぎるwww
極めつけはラストシーン。台風の脅威が去って、船の残骸が散らばる浜辺で茫然と立ち尽くす漁師さん。すると、さっき台風で吹き飛ばされて死んだと思っていた犬が生きていた!
「ポチ〜!(仮名)」
「ワンワ〜ン!」
浜辺を走って来て「ヒシッ!」と抱き合う飼い主と犬をロングショットで映し出す、まるでメロドラマのようなワンシーン(画面がスローモーションなのは言うまでもありませんw)。ここで僕の腹筋は完全に崩壊しました(笑)。
この映画、キメのシーンで必ずスローモーションになるんですよ。その安っぽい演出が完全にコントのノリなんですよね。しかも「笑わそう」と思って作ってるわけじゃないから、その真剣さが余計に可笑しいという(中国の人はこれを観て本気で感動してるのかなあ?)。
なお、本作はCGをほとんど使用せず、ミニチュアを使ったアナログ特撮がメインなんですが、出来映えは結構微妙でした(苦笑)。
時々はいいシーンもあるんですけど、ほとんどミニチュア感丸出しだったり、巨大な船が重量を無視して空中を飛んだり、全体的にウソ臭いんですよ。そのチープな感じが画面内の「お笑い要素」を増幅させ、結果的にどんどんコメディ映画へ近付いているのではないかと(笑)。
というわけで、本作の見どころはやはり「熱いドラマ」と「スーパー市長」ですね。ここまで笑えるディザスター・ムービーは前代未聞であり、何度観ても確実に爆笑できることは間違い無いでしょう(笑)。
ちなみに、日本版の予告編を見ると派手なBGMや大げさなテロップをバンバン入れまくり、さらにナレーションには藤岡弘、さんを起用するなど、完全に「笑わそう」としていることが分かります。悪意を感じるなあ(^_^;)