どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。
本日、金曜ロードショーで宮崎駿監督の『紅の豚』が放送されます。
豚の姿をした主人公のポルコ・ロッソが、イタリアの空を舞台に愛用の飛行艇で存分に活躍する様を描いた本作は、配給収入27億円を超える大ヒットを記録しました。
まあ、内容については皆さんよくご存じだと思うので詳しく触れませんが、本日はどうしても言っておきたいことがありまして…。
それは「宮崎アニメのヒロインの衣装がダサい問題」です。
過去の宮崎アニメをちょっと思い出していただきたいのですが、『未来少年コナン』のラナや『魔女の宅急便』のキキなど、宮崎監督の作品に登場する女の子ってだいたい「無地で単色のワンピース」を着てますよね(ナウシカは除くw)。
これには理由がありまして、アニメーションとは「1枚1枚形が異なる絵を連続で表示することで動いているように見せている」わけですから、描く線が1本増えただけでもアニメーターの負担が増大します。
例えば、キャラクターの服を”可愛い花柄”にした場合、その柄を1枚の絵に何個も描き込み、さらに同じような絵を何十枚〜何百枚も描かねばなりません。
しかも(今はデジタルで彩色できますが)当時は専門のスタッフが1枚1枚のセルに細かく色を塗っていたわけで、その手間を想像しただけでも「大変だなあ…」と実感できるでしょう。
そこで宮崎駿さんは、アニメーターや彩色スタッフの負担を少しでも軽くするために、キャラクターの衣装をできるだけ簡略化したのです。
特に登場シーンが多い(=描く枚数が多い)ヒロインは、作画が面倒な装飾品を一切つけず、シンプルな無地のデザインでボタンすら省略し、色もいちいち塗り分けしなくてもいいように紺やオレンジの”単色”で設定。
つまり、限界まで描く手間を省いて効率化を極めた結果、生み出された形が「宮崎アニメによく出てくる例のワンピース」だったのですよ。
ムスカ大佐が「流行りの服は嫌いですか?」と綺麗なドレスをシータに見せても着なかったのは、こういう理由があったからなんですね(笑)。
ただ、アニメーターにとっては「描く手間が減って大助かり」と好評だったものの、観ている側は「宮崎アニメの女の子っていつも地味な服ばかり着てるなあ」と少々不満に思っていました。
ところがなんと!『紅の豚』のヒロイン:フィオは「白地に青色のチェック柄」という非常に華やかなシャツを着ているのですよ。おお〜!ようやく宮崎ヒロインがオシャレになった(笑)。
しかし、当然ながらアニメーターからは苦情が殺到しました。見てわかる通り、縦・横に何本も線が入っていて描くのが大変、塗るのも大変なデザインだからです。
あまりにも作画の時間がかかりすぎるため、とうとうスタッフの一人が宮崎監督に「せめてラストシーンだけでも無地の服に変えてもらえませんか」と提案したところ、「ダメだ!」と即答。
その理由は……「フィオのシャツは花嫁衣装だから」
ええっ!花嫁衣装!?以下、『紅の豚』で動画チェックを担当した舘野仁美さんの証言より。
フィオをめぐってポルコとカーチスが決闘するシーンがありますが、宮崎さんの気持ちとしては、フィオのシャツは花嫁衣装のようなものだったんですね。つまり、手間のかかるチェック柄を描くことは、ウェディングドレスのレースを手間暇かけて編み上げるのと同じこと、そういう意味だと理解しました。 (「エンピツ戦記」より)
というわけで、宮崎監督が「花嫁衣装」を想定したおかげで、ヒロインの服がようやくオシャレになったんですが、”花嫁”…ってポルコはジーナと結婚するんじゃないのかな?でも原作にはジーナは出て来なくて、ポルコとフィオのカップルだし…。やっぱフィオが花嫁ポジションになるのかなあ?う〜む(^^;)
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