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『天空の城ラピュタ』 「ムスカは弾丸を撃ち尽くしていたのか?」問題を検証してみた

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天空の城ラピュタ

映画『天空の城ラピュタ』より

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

先日、金曜ロードSHOW!宮崎駿監督の天空の城ラピュタが放送され、なんと17回目の放送にもかかわらず14・5%という安定した視聴率を記録し、根強い人気を見せつけました。

SNS上でも相変わらず盛り上がっていたようで、クライマックスで皆が一斉に「バルス!」と書き込む、通称”バルス祭り”が今回も実施され、「バルス」が世界トレンド1位を獲得したそうです。

さてそんな中、気になるツイートを見つけました。

劇中でムスカは「シータと話をしたい」というパズーの頼みを聞き入れ、「3分間待ってやる!」と許可するんですが、その後、持っていた銃の弾丸を入れ替えるシーンが映るため、「弾を全て撃ち尽くしていたから再装填の時間稼ぎで”待ってやる”と言ったのか」と思っていたんですね。

ところが…

要するに、「ムスカが持っている銃は装弾数が6発のリボルバーだが、劇中では5発しか発砲していない。つまりシリンダーにはあと1発残っており、ムスカは弾丸を撃ち尽くしてはいなかったのだ」ってことらしいのですよ。

えええ~!?マジですか!?弾切れだと思ってたんだけどなあ。というわけで、本日は色々気になるこの件を検証してみたいと思います。まず、ムスカの銃は本当に装弾数が6発なのか?」について。

ご存知のように『天空の城ラピュタ』は架空の世界が舞台ですから、使われている武器も現実世界のものと完全に一致しているとは限りません。

装弾数が5発の拳銃だって存在するし(日本の警察官が使用しているニューナンブも5発)、「最初から5発しか入っていなかった可能性」もあるわけですよ。なので『ラピュタ』の設定資料を確認してみました。それがこちらです↓

天空の城ラピュタ

ロマンアルバム天空の城ラピュタ』より

う~ん、これを見ると「口径:380 作動:ダブルアクション&シングルアクション 装弾数:6発」となっていて、ほぼ実在するエンフィールド・リボルバーNo.2と同じですね(ちなみに宮崎駿監督はこの銃が気に入っているらしく、『紅の豚』や『ハウルの動く城』など、他の作品にも登場している)。

さて、ムスカの銃が6連発であることは分かりましたが、では実際に6発の弾丸が装填されていたのでしょうか?もしかして、5発しか入っていなかったのでは?…ということが気になったので、排莢するシーンを確認してみました。

天空の城ラピュタ

映画『天空の城ラピュタ』より

おお~、ちゃんと6発の薬莢が描かれてる(笑)。もし1発撃ち残しがあるなら、このうちの1つには弾頭がついているはずですが、さすがにそこまでは確認できませんね(笑)。

次にムスカは本当に5発しか撃っていないのか?」について。これも実際に映像を見ながら確認してみましょう。

 

●1発目:パズーに向かって撃つ

天空の城ラピュタ

映画『天空の城ラピュタ』より

●2発目:パズーが走っている時に銃声が聞こえる

天空の城ラピュタ

映画『天空の城ラピュタ』より

●3発目:「王座の間」に入った時に撃つ

天空の城ラピュタ

映画『天空の城ラピュタ』より

●4発目:シータの左のおさげ髪を撃つ

天空の城ラピュタ

映画『天空の城ラピュタ』より

●5発目:シータの右のおさげ髪を撃つ

天空の城ラピュタ

映画『天空の城ラピュタ』より

数えてみると、確かに5発しか撃ってませんね。ということはやはり、ムスカの銃にはあと1発弾丸が残っていたのでしょうか…?

だがしかし!

宮崎駿監督が描いた絵コンテを見ると、ムスカが装弾する場面で「実はもう弾丸が無かった」とハッキリ書いてあるんですよ。

天空の城ラピュタ

天空の城ラピュタ』絵コンテより

絵コンテの役割は、アニメーターやスタッフたちに「このシーンではどんなことが行われているのか」を明確に指示するためのものなので、意味のないことは書きません。

しかもこのシーンの場合、「ムスカ装弾する」とだけ書いてあれば十分に意図が伝わるのに、なぜわざわざ「実はもう弾丸が無かった」などと書いたのでしょうか?

ここからは僕の推測になりますが、宮崎監督は「弾切れだった」と示すことでムスカのキャラクター”を表現したかったのだと思います。

「王座の間」に入って3発撃った後、恐らくムスカは自分の銃が弾切れになったことに気付いていたでしょう。なので、この時点で素早くリロードすることも可能だったはず(シータから距離が離れているので反撃される危険性も少ない)。

しかし、「待てよ。すぐにパズーがここへやって来るな…」と考えたのです。そこでムスカは何をしたか?銃の撃鉄(ハンマー)を「カチッ」と上げたんです(絵コンテにも指示有り)。

天空の城ラピュタ

天空の城ラピュタ』絵コンテより

エンフィールド・リボルバーNo.2は”ダブルアクション”という機能を持っていて、いちいちハンマーを上げなければ弾丸を発射できないシングルアクションとは異なり、引き金(トリガー)を引くだけでハンマーが起き上がり、そのまま引き切ることで発砲できるのです。

実際、シータを撃つシーンでもムスカはハンマーを上げずに、そのまま次の弾を撃っていました。ところが、パズーがやって来る直前に限ってわざとハンマーを上げているのです。いったいなぜか?

実はここがムスカの巧妙なところで、パズーが自分に銃を向けることを予想していたムスカは、敢えてハンマーを上げた状態でシータに銃を向け、「お前より私の方が速いぞ!」と”優位性”をアピールしていたのです。

なぜなら、ダブルアクションの状態で撃つよりも、ハンマーを上げた状態(シングルアクション)で撃った方がトリガーのストロークが短いので素早く、しかも確実に弾丸を発射できるからです(銃身もブレにくい)。

宮崎駿監督は、ムスカというやつは自分の銃に弾丸が無いとわかっている状態でも、ここまで冷静沈着にハッタリをかますことができるほど計算高くて狡猾な男なのだ」というキャラクター性を強調するために、わざわざ「実はもう弾丸が無かった」と絵コンテに書いたのでしょう。

さらに言うと、パズーの方も2発しかない弾丸を撃ち尽くして弾切れの状態でした。もちろんムスカはそのことを知りませんが、「パズーは撃ってこない」という確信があったからこそ、「シータと話がしたい」とパズーが要求した時に「(そう言うと思った)」みたいな顔をしながら「3分間待ってやる」と言ったのではないかと(実際は1分も待ってませんがw)。

つまり、このシーンは単純に「銃で撃つぞ!」と脅しているのでなく、「弾の出ない銃を持った二人の男が、それを悟られないように互いに相手を牽制し合う」という、非常に高度な駆け引き(?)が繰り広げられている様子を表現していたのですよ。

ただ、仮にそうだとすれば「じゃあムスカはどこでもう1発の弾丸を撃ったんだ?」という疑問が残りますよね。そう考えた時、気になるシーンが一つありました。「図2」を見てください。

天空の城ラピュタ

映画『天空の城ラピュタ』より

ここでは、パズーがムスカとシータを追いかけて通路を走っている、まさにその時にどこかで「ガーン!」と銃声が鳴っています。つまり、パズーも観客も見ていない場面でムスカは発砲しているのですよ。

ということは、同じように「パズーも観客も見ていない場面で発砲する」という状況が他にもあったんじゃないだろうか?と。では、いったいそれはどこなのか?

可能性があるとすれば図1から図3の間ですが、もしムスカがシータを追いかけている時に撃ったのなら、パズーにも観客にも銃声が聞こえるはずだし…。しかし、実は1ヵ所だけ聞こえない場面があったのです。それは、パズー自身が発砲した瞬間です。

パズーはムスカに撃たれた後、壁に穴をあけるために”大砲”を撃ちますが、「ドーン!」という大きな衝撃音を響かせているため、この瞬間にムスカが発砲したとしても、その音が聞こえなかった可能性が高いのですよ。

天空の城ラピュタ

映画『天空の城ラピュタ』より

つまり、ムスカはここで6発目(順番的には2発目)の弾丸を撃ったのではないか…?というのが僕の推測です。

もちろん、単純に「宮崎監督が数え間違えただけ(本当は6発撃たせるつもりだったが1発描き忘れた)」という可能性も否定はできません。

しかし、エンフィールドNo.2を他の作品に出すほど銃に詳しく、「実はもう弾丸が無かった」とわざわざ絵コンテに書くほど残弾数にこだわっている人が、そんな単純ミスをするとはちょっと考えにくいんですよねえ。

なので、個人的にはムスカは弾切れの銃で堂々とハッタリをかましていた説」を支持したいと思います(^.^)

 

※追記
ムスカの発砲数について、「元々は6発撃ってたんだけど、編集時に尺の都合で発砲シーンを1ヵ所カットしたのでは?」というコメントをいただきました。

確かに『天空の城ラピュタ』には上映時間を短くするためにカットされたシーンがあります。それはゴンドアの谷にいるシータのところへ、ムスカとその部下たち3人が歩いてくるシーンです(Cutナンバー422)。

天空の城ラピュタ

天空の城ラピュタ』絵コンテより

これは、地下の廃坑でパズーとシータが食事(目玉焼き+パン)をしている時に、シータが自分の過去を語る場面なのですが、背景も作画も描き終えフィルムとしてすでに完成している状態でした。

しかし、映画会社や映像ソフト会社などから「上映時間を2時間以内に収めて欲しい」という要望が宮崎監督のもとに多数寄せられ、仕方なくカットしたらしい。

実は『天空の城ラピュタ』が公開された1980年代当時、最新のメディアとしてレーザーディスク(LD)が登場し、様々な映画やアニメ作品がLD化されていたのです。

ところが、LDの容量は(CLV方式の場合)1枚につき最大で2時間しかなかったため、2時間を超える映画はディスクが2枚組となり、販売価格も上がってしまう。そのためメーカー側は「何とか2時間以内で!」と強く要望していたそうです。

しかし、宮崎監督は「”切れ切れ”と簡単に言うが、これ以上カットしたら映画がダメになってしまう」と頑なに抵抗し続け、「ナンバー422」以外のシーンは一切カットせず、最終的に『天空の城ラピュタ』は総尺数2時間4分4秒で公開されました。

というわけで、「カットされた場面はこれ以外に存在しない」と記録にも残っているため、「編集時に発砲シーンをカットしたんじゃないの?」という意見については「恐らくそういうことは無かっただろう」と思います。

 


なぜ日本の実写SF映画はメジャーになれないのか?

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戦国自衛隊

映画『戦国自衛隊』より

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

先日、SNS上で「なぜ日本のSFは滅びたのか?」というツイートが話題になり、「面倒なSFオタクが文句ばかり言ってるからだよ!」とか、「そもそも日本のSFは滅んでなんかいないぞ!」など様々な意見が飛び交いました。

事の発端は『彼方のアストラ』というアニメのレビューに投稿された「批判的な意見」がきっかけだったようです。

その内容は「SF好きは見ない方がいい」「目が腐る」「科学もセンスオブワンダーもなかった」などで、要するに「こんなものはSFとして認められん!」的なツッコミをもの凄い長文で書きまくってたんですよ。

このレビューに対して、「こういう面倒くさいことを言う人がいるから、日本のSFは滅びたんだよ」と苦言を呈す人が現れ、さらにその発言に対し「ちょっと待て!日本のSFが滅びたなんて誰が決めたんだ?」「日本には今でもSFはあるぞ!」などの反論が噴出し、あーだこーだの激論になった…というわけです。

そして、ついには『彼方のアストラ』の作者本人までが参入し、「件のレビューの言いたいことは正しい」「その一方で僕は全ての項目に反論もできる」などとコメントする事態となってしまいました。

こうした「SFオタク」の細かいツッコミは昔から数多く見受けられ、「真空の宇宙で爆発音がするのはおかしい」とか、小説家の高千穂遙氏に端を発する「『機動戦士ガンダム』はSFなのか?論争」など、枚挙にいとまがありません。

まあ個人的には、『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』はSFだと思ってるし、どちらかといえば「細けえことはいいんだよ!」派なので、「あの作品はSFか否か?」みたいな議論は正直どうでもいいんですけどね(笑)。

基本的に日本のSFは、主に小説や漫画やアニメの分野で発展したと思っています。特にアニメにおける普及度たるやすさまじく、『攻殻機動隊』や『AKIRA』などが海外でヒットしたことを含めて世界的にも高く評価され、今や「日本を代表する優良コンテンツ」と呼んでも過言ではないでしょう(たぶん「日本のSFは衰退した!」とか言ってる人たちにとって漫画やアニメは対象外なんだと思う)。

ただし実写映画に関しては、正直「かなり厳しい状況」と言わざるを得ません。その理由を、アニメーション監督の押井守さんは以下のように分析しています。

SF映画”というのは基本的に舶来ものなので、外国の役者やコスチュームや特撮や音楽、さらには”英語である”ことまで含め、全部がワンセットで成立している。日本映画に特有のジャンルがあるように、アメリカ映画にも特有のジャンルがある。日本人にとって、西部劇ができないのと同じぐらいSF映画は難しい。

この押井監督の意見は、たしかに一理あると思います。ただ、「近未来SF」や「宇宙を舞台にしたSF」などはそうかもしれませんが、”SF”にも色んな種類があるわけで、一概に「日本で実写のSF映画は成立しない」とは言えないんじゃないのかな?と。

例えば、地質学者たちから綿密な科学考証を得て、大規模災害をリアルにシミュレーションして見せた『日本沈没』などは、まさに日本を舞台にした、日本人でなければ成立しないパニックSF映画でしょう。

また、近代兵器で武装した多数の自衛隊員たちが、ある日突然、戦国時代にタイムスリップし、現地の侍と壮絶な戦いを繰り広げる『戦国自衛隊』も、日本人ならではのアイデアに満ち溢れた見事なSF時代劇だと思います。

そう考えると、「日本でも実写のSF映画ってイケるんじゃね?」みたいな気がしなくもないんですが、現状はどうなのか?っていうと…。

ここ最近の、実写日本映画における人気ジャンルといえば、圧倒的に「ラブ・ストーリー」が多数を占めています(ラブコメ含む)。もう、「なぜこんなに恋愛映画を作る必要があるんだ!?」と困惑するぐらいの勢いですよ。

その次に多いのが、「主人公の身近な人が重い病気にかかって…」等の、いわゆる「難病もの」ですね(恋愛要素が入る場合もあり)。

その他、「親子の絆」とか「兄弟愛」みたいなものを描いた「人情ドラマ」や、「コメディ映画」、「学園ドラマ」、「サスペンス」、「ホラー」など様々なジャンルが存在する中で、「SF」というジャンルは……ほぼ見当たりません。

もちろん、単発では作られてるんですよ。後は低予算のB級映画とか。それでも少ない。『シン・ゴジラ』のような「怪獣映画」を「SF映画」としてカウントしたがる人もいますけど、SF映画を作ろう!」という明確な意図を持って作られた”純然たるSF映画はほぼ皆無です。

つまり、日本の実写映画における”SFというジャンル”は完全にマイナーな存在であり、ハッキリ言ってジャンルそのものがもはや絶滅状態に近い。

なぜこうなってしまったのか?というと、もちろん予算的な問題も大きいですが、一番の理由は「需要がないから」です。

SF映画を観たい」という観客が大勢いれば、映画会社も少々製作費が高くてもSF映画を作ろうとするでしょう。しかし、残念ながら日本の観客は「日本製のSF映画」にあまり興味がないらしい(というより「アメリカのSFに勝てるはずがない」「SFは海外製で十分」みたいな認識なのかも…)。

こういう傾向はSFに限らず、「アクション映画」にも同じことが言えます。海外でも活躍している某アクション監督によると「日本ではアクションものの作品を支えるだけの需要自体が少ない。香港映画などのアクション先進国では(女性も含めて)観客の目も肥えているし、作り手たちのレベルもおのずと上がっていくだけの基盤がある、しかし日本では、肉体を駆使したアクションが好きな人たちはそう多くない。アクション映画を作ってもあまり観客が来ないとなれば、自然と先細りになっていくだろう」とのこと。

最近、『ザ・ファブル』で見事なアクションを披露した岡田准一さんも「『SP』を撮った後に”アクション映画のオファーが来るかな?”と思って期待してたんだけど、全然来なかった(笑)。日本ではアクション映画が少ないですからね」と嘆いていたそうです。

SF映画は、そんなアクション映画よりもさらに状況が悪いのでSFファンは泣くしかない…っていうより、そもそもSFファンは日本の実写SF映画なんかに期待すらしてないのかもしれませんが(苦笑)。

そんなわけで、「日本のSFは滅びたのか?」という議論について個人的には「小説・漫画・アニメなどの分野で日本のSFは目覚ましい発展を遂げているが、実写SF映画に関しては相変わらずマイナーな存在で残念」という見解です。

いや、SFマニアが納得するような、ガチガチにハードな本格SF映画じゃなくてもいいんですよ。設定としてSF要素が入っている程度の「なんちゃってSF」でも全然構いません。何らかのSF的な見どころ(ガジェットとか衣装デザインとかCGとか特撮など)が含まれてさえいれば、それでいいんです。

そういう作品が1年に1本、あるいは2年に1本ぐらいの割合でコンスタントに公開されれば、一般の観客にも”実写SF”というジャンルが徐々に浸透していくのでは…と思ってるんですけどねえ。

なお、ジャンルとしての実写SFは依然として厳しい状況ではあるものの、個別の作品に関しては(過去から現在に至るまで)優れた映画がいくつもあるので、機会があればご紹介したいと思います。

岡田准一のアクション指導がガチすぎる件

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V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

先日、V6が出演する『愛なんだ 2019』という番組が放送されたのですが、SNS等では「高校生に対する岡田准一の指導がガチすぎてヤバい!」と話題になりました。

問題のシーンは、とある高校のアトラクション部の「男子部員が少ない」という悩みを解決するために、V6の三宅くんと岡田くんが高校へ潜入する場面。

”アトラクション部”とは、部員たちがオリジナルの特撮ヒーローに扮して様々なアクションを披露することが主な活動内容なんですが、3年生が引退すると男子が3人しかいなくなり、部の存続に関わる大ピンチに!

そこで、彼らを救うためにV6の二人が協力し、「男子が憧れるようなカッコいい映像を作って部員を増やそう」ということになったわけです(いい話だw)。

しかし、「まあ相手は高校生だし、そんなに本格的なアクションはやらないだろうな」と思いきや、いきなり岡田くんの本気モードが炸裂!

なにしろ岡田准一と言えば、人気アイドルグループ・V6のメンバーでありながらアクションの練習に打ち込んで日々体を鍛え、カリとジークンドーのインストラクター資格まで習得してしまうほどの格闘技好きですからね。

木村大作監督の時代劇『散り椿』に出演した際は、見事な刀さばきに木村監督も絶賛し、さらには自分でチャンバラシーンの動き(殺陣)を考えるなど、「主演」だけでなく「殺陣師」としても活躍しました。

また、今年公開されたアクション映画『ザ・ファブル』では、マスクを被って顔が全く見えないにもかかわらず、スタントマンがやるような難しいアクションを自ら演じ、劇中のアクションも自分で考案したことからエンドクレジットでは「ファイトコレオグラファー」と表記されています。

そんなアクション大好き&格闘技大好きな岡田准一が高校生にアクションを指導することになったわけですから、思わずテンションが上がってしまったのでしょう。なんと、アクションの基礎を教える「岡田塾」を開講!

V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

まず、「アクションをやる上で大事なことは何か?」と生徒に問いかけ、以下の3つを説明しました。

1.ボディ・コントロール
2.相手との距離感
3.カメラ映り

「自分の体の位置、相手との距離をしっかり把握すること。そしてカメラから見て自分がどう映っているか。この3つのポジショニングがとても大事。そこを意識しながら練習できているどうかがすごく大きい」と力説。

実際に動きを見せる時も、「自分の体がどの位置にあるのか、確実にイメージできていなければならない」「人間の体には、8の字に動く部分が2つある。1つは股関節。もう1つは胸。この2つを連動させることで運動神経がよく見える」などと実践的な解説が続きます。

しかし、あまりにも真剣に指導しすぎて、バラエティ番組なのに笑いは一切ありません(笑)。どうやら岡田くんは、これがバラエティであることをすっかり忘れているようです。

でも、一度火がついた”格闘レッスン熱”は、おさまるどころかますます激しくディープになっていきます。「後ろ回し蹴り」の練習をやっている途中で、ムエタイの蹴りって知ってる?」と急にムエタイの説明を始める岡田准一

ムエタイがなんで最強かっていうと、ヒザを回す時、ローキックなのかミドルキックなのか、途中までの軌道が一緒だから分からないんだよ。それがムエタイの凄さで…」

などと夢中になって喋りまくる一方で、どうしていいか分からず呆然とした表情で立ち尽くす高校生たち。それを見て岡田くんが一言、「引いてる?」

V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

しかし、高校生をドン引きさせるような状況にも臆することなく「どんどんマニアックな技をやっていきます!」と開き直ったかのように自分の大好きな格闘技を伝授する岡田准一

「これはビクトル古賀先生という方が作った”ビクトルスロー”です」と言いながら自ら関節技を披露するものの、あまりにもアニアックすぎてもはや誰もついて来れません(笑)。

その様子を見て、さすがに岡田くんも「ダメですか?」と反省し、結局「選択ミスだった。この技はやめよう」と中止になってしまいました。

そんな感じで、岡田准一からガチ指導を受けた高校生たちは、3週間後の撮影開始まで自主練習に励み、撮影の1週間前に再び岡田くんと合流。

「カッコいい映像を作るためには大勢の協力が必要です。そこで、日本を代表するアクション監督、下村勇二さんに来てもらいました」と紹介されて下村監督が登場。

下村勇二と言えば、『GANTZ』や『アイアムアヒーロー』や『キングダム』など様々な映画でアクションシーンの演出を担当し、岡田くんとは『図書館戦争』と続編の『THE LAST MISSION』でタッグを組んでいます。

他にも多くの撮影スタッフが集結し、いよいよ本番に向けての最終段階へ突入!そして岡田くんは、皆に向かって”アクションの心構え”を語りかけました。

「アクションをやるということは、攻撃1つ1つを単なる暴力で終わらせるのではなく、芸術まで高めないと観客は見てくれないしスゲェって思ってくれない」「そこまでの自分の行動に、一手一手にどれだけ責任を持てるか、それが大事なんだ」

その後、アトラクション部の部員たちは下村監督からみっちりとアクションの手ほどきを受け、厳しい練習は本番ギリギリまで続けられました。

そして、ついに迎えた撮影当日。ロケ現場は廃校となった建物を丸ごと貸し切り、アクション監督は下村勇二、襲ってくる敵役は全員プロのスタントマンという豪華さ!

最初のシーンは、「主人公が武器を持った複数の敵を次々と倒していく」というアクションです。テイク1は割と上手くできているように見えたのですが、別室でモニターをチェックしていた岡田くんは不満顔。

V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

すぐに部屋を飛び出して、「あまり型にとらわれない方がいいよ。型にとらわれすぎて体の動きを綺麗にっていうより、一番気を付けなきゃいけないのはカメラに自分がどう映っているか?ってこと。カメラがどこにいるのかも意識して芝居するのがベストだから」とアドバイスしました。

確かに、テイク1の映像を見ると、敵に攻撃を加えた後の主人公の動きが大きすぎてカメラのフレームから外れてしまい、ほとんど姿が映っていません。これではNGです。

そこでテイク2を撮ることになったのですが、今度は逆にカメラを意識しすぎて動きが小さくなってしまいました。すかさず「もう1回!」と叫ぶ岡田くん。ただしコレ、素人の高校生にはなかなか難しいんじゃないのかな~?と思うんですよね。

なぜなら、プロの役者さんでもアクションをやる時はカメラのフレームから外れる失敗が多く、最初から出来る人は少ないからです。

映画『関ヶ原』を撮った原田眞人監督によると、「岡田准一はどんなに激しく動いても必ず画面内に自分の姿を収めてくる。常に画角やフレームを意識しているからこそ成せる技で、普通はできない。まさに天才肌の役者だ」とのこと。

つまり「岡田くんが簡単にやってるから他の人も出来るだろう」ってことでは全くないわけで、そんな”天才”と同等の動きを高校生に要求するのは、ちょっとハードルが高すぎるのでは?と思ったんですが、やはり「アクションに対するこだわり」なんでしょうねえ。

その後、現場ではテイク3、テイク4、テイク5…と同じシーンの撮影を何度も繰り返すものの、なかなか岡田くんからOKが出ません。厳しい!

アクション監督の下村さんも「彼は一生懸命やってるんですよ。いっぱいいっぱいだと思います」と擁護しますが、「もう1回だけ…」と粘る岡田くん。しかし「あと1回!」「これでラスト!」と言いながら何度もリテイクを重ねるうちに、とうとうテイク15まで来てしまいました。

たぶんスタッフも、まさか高校の部活の「新人勧誘ビデオ」にここまで本気になるとは思ってなかったんでしょう。「まだやるの…?」みたいな空気が漂い始め、さすがの下村監督も「OKラインをどこかで決めないと終わらないよ!」と若干キレ気味に…。なにしろ、まだ撮影の1カット目なのですから当然ですよねえ(笑)。

V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

でも、岡田くんは「せっかく皆で1ヵ月近く頑張って練習を続けてアクションも上達したんだから、いい作品にしてあげたい。そのためには妥協したくない」と考えているようで、部員たちも同じ思いでした。

そして、ついにテイク20でアクションが完璧に決まり、動きもカメラのフレームにバッチリ収まっています。「よし、いいぞ!オッケー!」と岡田くんも納得する映像が撮れ、ようやく1カット目が終了(笑)。

その後も、一人一人に対する岡田准一の熱心なレクチャーは続き、アクションにこだわりすぎてメチャクチャ時間がかかった(丸2日間!)ものの、どうにか全ての撮影が終わりました。

こうして完成した映像はどのシーンも非常に迫力があってカッコよく、「高校生でもこんなに凄いアクションが撮れるのか!」と驚くほど見事な出来栄えです。素晴らしい!

V6の『愛なんだ 2019』 岡田准一

V6の『愛なんだ 2019』より

なお、ロケ中に岡田くんは高校生たちに以下のようなアドバイスを伝えていたそうです。

「一番大事なのは”感情”なんだよ。アクションをやっている時、その役の感情や気持ちをどれだけ動きに乗せられるか?」「気持ちが乗っていれば、どんな殺陣でも違いが出せる。どんなに技術が拙くても、気持ちが入ってさえいれば、人の心を打つようなアクションになるんだよ」

う~ん、なんて真面目なんだ(笑)。岡田准一のアクションに対する熱意はまさにホンモノで、だからこそ本格的なアクション映画に出演して欲しいんだけど、「日本は現代アクションの作品が少ないので、なかなかオファーが来ない」と嘆いているらしい。誰か岡田くんのためにアクション映画を作ってあげて!お願いします!

『なつぞら』だけじゃない!アニメ業界で働く女性を描いた漫画特集

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NHK連続ドラマ『なつぞら』より

NHK連続ドラマ『なつぞら』より

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

昨日、NHKの連続ドラマなつぞらが最終回を迎えました。見てない人のために超ざっくり内容を説明すると、「昭和30年頃、北海道で育った主人公の”なつ”は、東京に出て来てアニメスタジオ:東洋動画に入社し、女性アニメーターとして働き始め…」みたいな感じです。

雄大な北海道で暮らす人々との絆」や、「仕事と子育ての両立」の難しさを描いたこの物語は、普段あまり知られることがない「アニメ制作の舞台裏」を見せてくれた点においても画期的で、アニメファンの間でも話題になりました。

なぜなら、主人公のなつは東映動画で実際にアニメーターとして活躍していた奥山玲子さんがモデルで、他のキャラクターも宮崎駿さんや高畑勲さんなど、それぞれ実在の人物がモデルになっていたからです。

そして彼らが手掛けたアニメーションの数々も、実際に東映動画で作られた作品が元になっており、現場で繰り広げられる様々なエピソードを通じて、視聴者にアニメ制作の苦労や素晴らしさを伝えていました。

そんな『なつぞら』が終わってしまい、「ああ、もっとこういうストーリーが見たいなあ…」との欲求を募らせているあなた。『なつぞら』以外にもありますよ!というわけで、本日は「アニメ業界で働く(またはアニメ制作に関わる)女性を描いた漫画作品」をいくつかご紹介します。


●『アニメタ!』
あらすじ「主人公の真田幸(さなだ みゆき)は、学生時代に観たTVアニメに感銘を受け、アニメーターになることを決意。そして高校卒業後、大手アニメ制作会社に動画マンとして採用されるものの、技術力不足で挫けそうになる毎日。しかし、周囲の人の励ましやアドバイスにも助けられ、徐々にスキルを身につけ始め…」

『アニメタ!』より

『アニメタ!』より

作者の花村ヤソさんは、『攻殻機動隊』や『機動警察パトレイバー』などのアニメスタジオプロダクションI.G」に所属していた元アニメーターで、その当時に経験した苦労話などを織り交ぜつつ漫画を描いているそうです。

動画マンになったばかりの頃は作画のスピードが遅く、1ヵ月に描ける枚数も少ないため、「どうすれば早く、綺麗な絵を描けるんだろう…」と悩みまくりますが、試行錯誤しながら頑張る主人公の姿は「成長ドラマ」の定番として共感しやすく、アニメ制作の裏側も詳しく描写されているので興味がある方はぜひご覧ください。

ちなみに、花村さんが仕事をしていたプロダクションI.Gの第9スタジオ(9スタ)では、当時『攻殻機動隊S.A.C』を制作中で、連日ひたすら絵コンテを描いている神山健治監督の姿を見て「この人いつ寝てるんだろう?」と思っていたらしい。

神山監督曰く、「あの頃は1日20時間ぐらい働いていた。飯も食わずに仕事をしていたからガリガリに痩せてたよ」とのこと。しかし(自分が痩せてるのに)、花村さんがダイエットのために豆腐ばかり食べているのを見て「金が無いのか!?」と心配して焼肉を奢ってくれたりしたそうです(いい人だなあw)。

●『アニメがお仕事!
あらすじ「広島出身の福山イチ乃は大好きなアニメーターになる夢を諦め切れず、親の反対を押し切って上京し、弟の二太と一緒にアニメ業界で働き始めるが、様々な試練が二人を襲い…」

『アニメがお仕事!』より

アニメがお仕事!』より

作者の石田敦子さんは元フリーアニメーターで、過去には『勇者特急マイトガイン』や『魔法騎士レイアース』などのキャラクターデザイン&作画監督を務めていました。

アニメがお仕事!』は、そんな石田さんのアニメーター時代のエピソードを元に描かれてるんですけど、内容がなかなかエグいんですよ(笑)。

「動画マンは低賃金で長時間労働」っていうのは良く知られていますが、そういう現実もリアルに描いたり、アニメ業界内のイジメや嫌がらせ、社長が夜逃げしてスタジオが倒産&ギャラ未払い事件、男女のドロドロした恋愛のもつれ…など、割とヘビーな話が盛沢山!「いったいどこまでが作者の実体験なんだろう?」と思わず考えてしまいましたよ(笑)。

ちなみに石田さんは、アニメーターになりたくてカナメプロ(『プラレス3四郎』や『幻夢戦記レダ』などを制作した会社)へ自分の描いた絵を持って行った際、「ちょっと実力不足だね」と言われてしまいました。

ところが、たまたまその時カナメプロを訪れていたアニメーターの金田伊功さんが石田さんの絵を見て「入れてあげたらいいんじゃない?」と言ったために社長も了承。こうして運よくカナメプロに入社できたそうです。

後に石田さんは「もし、あの時あの場に金田さんがいなかったら、私はアニメ業界に入っていなかった。金田さんは私の恩人です」とコメント。そのため『アニメがお仕事!』にも金田さんっぽい人が出て来たり、カナメプロで一緒に仕事をしていた”いのまたむつみさん”的なキャラが登場するのも注目ポイントでしょう。

●『西荻窪ランスルー』
あらすじ「大学に合格したにもかかわらず、自分の夢を追って西荻窪のアニメ制作会社に就職した18歳の江田島咲。初めて経験する社会人生活に戸惑いながらも、アニメーターとして少しずつ成長していく…」

『西荻窪ランスルー』より

西荻窪ランスルー』より

本作は『アニメタ!』や『アニメがお仕事!』と同じくアニメーターの日常を描いた物語なんですけど、全体的に笑えるシーンが多いのが特徴です(イメージ的には『のだめカンタービレ』とか『働きマン』に近いかも?)。

しかも、主人公が面白いというより、主人公の周りのキャラクターが個性的で、それぞれのキャラ毎に面白エピソードを盛り込んでいる点が見どころと言えるでしょう。

もちろん、アニメーターに付き物の「ギャラが安い」とか「仕事がきつい」等の悩みも描かれていますが、そういう話もシリアスになり過ぎず、ほど良いバランスで見せているので読みやすいと思います。

●『凸凹アニメーション』
あらすじ「ある日、新人アニメーター:沖口の前に現れた美人で巨乳の制作進行:篠塚さん。喜ぶ沖口だったが、篠塚さんと出会ったせいで、とんでもない修羅場へと巻き込まれていく…」

『凸凹アニメーション』より

『凸凹アニメーション』より

本作はなんと「週刊少年マガジン」に連載されていた”アニメ業界漫画”です。そのため、読者層に合わせて適度に「お色気シーン」や「ラブコメ要素」が盛り込まれている…にもかかわらず、内容は相当にマニアックで、「原画マン」「動画マン」「作監」「演出」「レイアウト」など専門用語がバンバン出て来るわ、アニメ制作の裏側をかなり詳しく描いているわで全く侮れません(笑)。

ただし、シナリオや絵コンテについて詳しく解説したり、原画やタイムシートの写真を撮って紙面に載せるなど、あまりにも本気で業界のことを描きすぎたせいか、ストーリーは全14話で完結。つまり「打ち切り」ってことですね…。

ラスト3話ぐらいは展開がかなりバタバタしていて、「強引にまとめようとした感」が出まくってるし、最終回は典型的な「俺たちの戦いはこれからだ!エンド」だし、正直あまり「オススメ」とは言い難いんですが、気軽に読める「アニメ業界ラブコメ」としてはそれなりに面白いかなと。

●『映像研には手を出すな!』
あらすじ「高校へ入学した浅草みどりは、アニメ作りを目論んで友人の金森さやかをアニメ研究部の見学に誘った。そこでアニメーター志望の水崎ツバメと出会い意気投合。3人で「最強の世界(映像)」を創るために動き出す!」

『映像研には手を出すな!』より

『映像研には手を出すな!』より

本作は、とある高校を舞台に3人の女子高生(浅草みどり・水崎ツバメ・金森さやか)がそれぞれの特技を生かして自主制作アニメを作る、という青春物語です。

しかし、水崎ツバメは親からアニ研に入ることを反対されているので、「なら自分たちで映像系の部を作ってしまえ!」となり、”映像研”を発足。学校から古い部室を借りて、いざアニメ作りスタート!

浅草みどりは「イメージボード」や「背景画」などの”設定”を考えることに情熱を燃やし、水崎ツバメはアニメーターを目指しているので「キャラ」や「動き」を描きたい。じゃあ、2人が組めばイケるんじゃね?みたいな感じで楽しい自主制作アニメ作りが始まるわけですよ。

ちなみに金森さやかは絵が描けないので、主に「お金」や「企画」の係になっています。まあ「プロデューサー」みたいなポジションでしょうか(でも、この3人の関係性がとても良い)。

そして本作最大の特徴は、いきなり浅草みどりの妄想が爆発して、設定として描いたプロペラや飛行機に乗って空を飛んだり、奇妙な世界を探索したり、そういう”イメージ”を見せてくれる点が非常に面白いんですよ。

ちょっと他の漫画にはあまり無いパターンで、「オリジナル性がある」というより「クセが強い」と言うべきかもしれませんが(笑)、個人的には大好きです。

●『ハックス!
あらすじ「高校へ入学した阿佐美みよしは、新入生歓迎イベントで上映された1本の自主制作アニメに衝撃を受け、アニメーション研究部に入ることを決意。自ら作画を描き始めるが、アニメ作りはとても大変で…」

『ハックス!』より

ハックス!』より

『映像研には手を出すな!』と同じく「女子高生が自主制作アニメを作る」という話なんですが、大きな特徴は「かなり詳しくアニメの作り方を描写している」という点でしょう。

3つ穴の動画用紙に絵を描くやり方や、描いた絵をどうやって撮影してアニメーションにするのか、さらに完成した動画をネットにアップする方法に至るまで、ものすごく具体的に解説してるんですよ(「素人がアニメを作るためのガイドブックじゃないの?」と思うぐらい)。

個人の”やる気”や”画力”などの条件次第ですが、「これを読めば自主制作アニメを作ることが出来る!」と言っても決して過言ではありません。アニメ作りに興味がある人はぜひどうぞ。

映画『ジョーカー』の疑問を考察!ラストシーンの意味は?(ネタバレ解説)

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映画ジョーカー

映画『ジョーカー』より

※今回の記事は完全にネタバレしています。映画『ジョーカー』を観ていない人はご注意ください

 

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

現在、大ヒット公開中の映画『ジョーカー』について、「ホアキン・フェニックスの演技がすごい!」とか「『タクシードライバー』と『キング・オブ・コメディ』にそっくりじゃん!」とか、様々な評価や感想が溢れ返っていますが、アメコミのキャラクターを主人公にして、”貧困”や”格差”などの社会問題をここまでシリアスに描いた点に最も注目が集まっているようです。

そんな中で話題になっていることと言えば「映画の結末をめぐる解釈」でしょう。

この『ジョーカー』という物語は、主人公であるアーサーの視点を中心に展開していくんですけど、実はアーサーが精神病を患っているため、時々「妄想シーン」が入って来るんですよ。

はっきり”妄想”と分かる場面はいいんですが、多くは意図的に”妄想”と”現実”が入り混じっており、そのせいで「これって妄想?それとも現実?」みたいに観客が混乱してしまうのです。

特に「アーサーが精神病院の一室で女性カウンセラーと会話する」というラストシーンは、観客の間でも意見がわかれている模様。その解釈は、大きくわけて以下の3つになるようです。

 

●時系列通り説
●過去のシーン説
●全部妄想説

 

まず「時系列通り説」の場合、あのラストは「アーサーが警察に捕まった後」ということになります。つまり、生放送中にマーレイ(ロバート・デ・ニーロ)を銃殺した後、逮捕されて精神病院に送られた…ということですね。

まあ普通に見たままの解釈なんですけど、TVに出演する前に髪の毛を緑色に染めていたはずなのに黒髪に戻っているしヒゲも伸びてるし、逮捕された直後には見えないんですよねえ(入院して詳しく検査 → 数日経過という状況なのかもしれませんが)。

次に「過去のシーン説」の場合、あのラストは時系列通りではなく、本編が始まる前の映像ではないか?という解釈になります。

映画の前半で、アーサーが昔精神病院に入っていたことがカウンセラーとの会話で明かされますが、その時に一瞬フラッシュバックする回想シーン(ガラスに頭を打ち付ける場面)がラストの光景とよく似ているのです。

もしこの説が正しいなら、『ジョーカー』のストーリーは「マスクを被った大勢の民衆から称賛される場面」で一旦終わっており、ラストは「アーサーの過去(本性)を明かしている」ということになります。

つまり、「善良だったアーサーが病気や環境のせいで次第に悪の道へ堕ちていったように見えるがそうではなく、実はもともと危険なヤツだった」という意味なのですよ。これはこれで”怖くていい終わり方”ですね(笑)。

ただ、部屋を出たアーサーは血の足跡をつけながら廊下を歩いていました。あれ、絶対カウンセラーの人を殺してるでしょ?そうだとすれば(いくらゴッサムが犯罪者だらけと言っても)精神病院を出て普通に働けるとは思えません。

それに、カウンセラーとの会話中に「ウェイン夫妻の射殺シーン」が挿入されていますが、過去のシーンだとすれば何故そんな「未来に起きる出来事」が映るのか?など、色々腑に落ちない点があるのです。なので、ちょっと説としては弱いかなあと。

最後に「全部妄想説」の場合、「本編の出来事は全てアーサーがカウンセラーに語った妄想話だった」ということになります。つまり、3人のサラリーマンやマーレイを射殺したことなども、ぜ~んぶ嘘!

さすがに「夢オチ」みたいになってしまうので、個人的にはあまりこの説を支持したくないんですが、アーサーの視点は妄想と現実が混在しており、「前半は薬のおかげで精神を保っていたが、薬が打ち切られた後半以降は全て妄想だ」という意見もあるようですねえ。

映画ジョーカー

映画『ジョーカー』より

あと気になったのがトッド・フィリップス監督のコメントで、「アーサーは最後に”ジョーク”を思い付いて笑う。あのシーンだけが彼が”本当に笑っている場面”なんだ」と説明してるんですよ。

「アーサーは病気で”自分の意志とは関係なく”笑ってしまったり、他の人に合わせるために”ウソの笑い”をしていることがほとんどだが、最後に精神病院の部屋で見せるあの笑いだけは、彼が唯一、心から笑っているシーンなんだよ」 (ロサンゼルス・タイムズ誌のインタビューより)

「アーサーが唯一、心から笑っているシーン」とはどういう意味なのでしょう?ここだけが現実で、他は全部現実ではない…という意味なのでしょうか?そもそも、アーサーが思いついた”ジョーク”とはどんな内容だったのでしょう?カウンセラーが「どんなジョークなの?」と聞いてもアーサーは「君には理解できないよ」と教えてくれません。

ただし、アーサーが笑い出す直前に「銃で撃たれて倒れた両親の前で呆然と立ち尽くすブルース・ウェイン少年」の映像が一瞬映っています。もしこの映像自体がアーサーの妄想だとするならば、「俺が騒動を起こしたせいでトーマス・ウェインが殺され、その息子が将来ヒーローになるって…最高に面白いジョークじゃないか!」と想像して笑ったのではないでしょうか?

しかし仮にそうだとすれば、非常に恐ろしい話になります。なぜなら、バットマンという存在すらジョーカーの妄想(ジョーク)だった」という意味だから!すなわち、普通ならあのシーンを見て「この後バットマンが誕生するんだろう」と期待しますが、もしあれが妄想だったら「現実の世界にはヒーローなんていないんだよ!」という真逆のメッセージになってしまうのですよ。アメコミ映画でなんて大胆なことを…(^^;)

その他、アーサーとブルース少年との年齢差があまりにも大きすぎるため、「実はアーサーは本物のジョーカーじゃなかった説」を唱える人もいたりして、「なんて語りがいのある映画なんだ!」と感心せざるを得ません(笑)。

なお、映画『ジョーカー』の疑問について世界中で多くの観客が様々な解釈や考察を試みていることに関し、トッド・フィリップス監督は否定も肯定もせず、「彼らが正しいかどうかは言わないが、いずれ僕たちが何を考え、何を意図してシナリオを書いたのか、全て説明するつもりだ」と語っているらしい。

う~ん、どうやら監督の中では「正解」がハッキリと決まっているようですね。果たしてその”真相”が明かされる日はいつなのでしょうか?早く知りたいなあ(^^;)

地上波初放送の『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』はどこがカットされたのか?

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映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

昨日、金曜ロードSHOW!で『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』が地上波初放送されました。これは、現在公開中の続編『IT/イット THE END ”それ”が見えたら、終わり。』の前編に当たる物語で、登場人物7人の子供時代を描いています。

1989年のアメリカを舞台にした1作目の『IT/イット』は、ビル、ベン、リッチー、スタンリー、マイク、エディ、ベバリーたち「負け犬(LOSERS)クラブ」のメンバーが、力を合わせて不気味なピエロ:ペニーワイズに立ち向かう…というあらすじで、日本を含め世界中で大ヒットを記録しました。

そして、続編となる『IT/イット THE END ”それ”が見えたら、終わり。』の公開に合わせて前作をTVで放送しよう!となったわけですが、問題は、本作が「R15指定のホラー映画」という点なのですよ。

かつて『日曜洋画劇場』や『水曜ロードショー』などの映画番組が栄えていた頃は、『エクソシスト』、『オーメン』、『13日の金曜日』、『バタリアン』など、数々のホラー映画がゴールデンタイムに堂々と放送されていました。

しかし、地上波の放送コードが厳格になるに従い、そういった「残虐シーン」や「エロ・グロ描写」が含まれる映像はオンエアし辛くなり、いつしかホラー映画はテレビから消えていったのです。

そんな規制の厳しい現代にR15指定のホラー映画を放送するとは、「金曜ロードショー勇気あるなあ!」と驚いたんですが、当然ながらノーカットではありません。「TV用に編集したバージョンをお送りします」と事前にアナウンスされました(まあ当たり前ですよねw)。

ではいったい、R15指定のホラー映画を地上波でオンエアする場合、どのような表現が放送コードに引っ掛かるのでしょうか?本日はその辺をじっくり検証してみましたよ。

※以下、ネタバレしてます


●ジョージとペニーワイズの会話シーン

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』

まず最初は冒頭の二人の会話シーン。劇場版はもっと長く、途中で近所のオバサンが出て来る場面などもあったのですが、TV版では短くカットされていました(ただし、問題になりそうな要素も特にないため、恐らく放送時間の都合と思われます)。


●ジョージが腕を食いちぎられるシーン

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』

ペニーワイズが腕に噛み付くところまでは映っていましたが、その後、右腕を失ったジョージが道路に倒れて必死に逃げようとしているシーンがカット。さすがにこれは残酷すぎてオンエア出来なかったんでしょうね。


●マイクが羊を殺そうとしているシーン

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』

『IT/イット』のタイトルが出た後、マイクが祖父から羊を殺すように命じられ、屠畜銃(キャプティブボルト)を構えるものの実行できない…というシーンがあったのですが、TV版では祖父との会話も含めて丸ごとカットされていました(祖父が羊を殺しているので、それが引っ掛かったのかも?)。


●バワーズがベンのお腹にナイフで傷をつけるシーン

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』

いじめっ子のヘンリー・バワーズたちに捕まったベンが、お腹にヘンリーの「H」という文字を彫られるシーンは、なぜか「H」の映像だけカットされていました。「直接体を傷つける」という描写がマズかったのでしょうか?


●ベバリーの下着姿をみんなで見ているシーン

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』

劇場版では、皆で湖に泳ぎに行って楽しんだ後、日光浴をしているシーンがあったのですが全面的にカット(「下着姿の少年少女」というシチュエーションがダメだったのだろうか?)。個人的には「思春期の男子特有のドギマギした感じ」が面白くて好きなんですけどね(笑)。


●排水溝から血が噴き出すシーン

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』

TV版では、洗面台を覗き込んだベバリーに髪の毛が絡みつき、悲鳴を上げたところでCM → 父親がバスルームに入って来ると血で真っ赤に…となっていましたが、映画では大量の血が排水溝から噴き出すシーンがあったのです(これがカットされたということは、『シャイニング』のエレベーターのシーンとかもNGなのかなあ?)。


●仲間割れのその後のシーン

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』

廃屋でペニーワイズに襲われた後、「もうこんな怖い目にあうのはイヤだ!」と仲間割れし、みんなバラバラになってしまいます。その後、TV版ではCMが明けるとベバリーが家を出て行こうとしているシーンになっていましたが、実はその途中に色んなことが起きていたのですよ。

まず、7人それぞれが家庭でどのように過ごしているかが映し出され、エディが薬局へ薬を買いに行くと店員の女性から「あんたの薬はニセモノよ」と告げられる。そして骨折しているギプスに「LOSER」と書かれます(後に自分で「LOVER」に書き直す)。

さらに、バワーズが親父にこっぴどく怒られ、落ち込んでいると、郵便受けに赤い風船が引っ掛かっているのを発見。中を見ると無くしたナイフが!そのナイフを持って寝ている父親に近づき、殺してしまうのです(非常に重要なシーンですがTV版では全カット)。


●エディが母親とケンカするシーン

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』

ベバリーがいなくなった後、電話で知らせを受けたエディは「わかった、すぐ行く」と言って仲間と合流しますが、劇場版では電話を切った直後に母親に見つかり「外出なんてダメよ!」と止められます。

しかしエディは自分の飲んでいた薬がニセモノと知っているため、「ママは嘘つきだ!」「僕を守ってくれるのは友達だ!」と言い放ち、母親の制止を振り切ってみんなのところへ向かうのです。「少年が親の加護を離れて自分の意志で行動する姿」を描いたいいシーンなんですが、残念ながらTV版ではカットされていました。


●バワーズが襲ってくるシーン

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』

廃屋に入り、井戸の底へと下りていくビリーたち。そこに突然バワーズが現れ、マイクに襲い掛かる!しかし、間一髪で逆転し、バワーズは井戸へ落下…というのが劇場版の展開ですが、なんとTV版では「父親殺し」のシーンに加えてこのシーンまでもが全てカット。つまり、「前半に出ていたいじめっ子がいつの間にかいなくなる」という奇妙な話になっているのですよ。初めて本作を観た人は「あれ?アイツどこいった?」と思ったんじゃないかなあ(笑)。


●スタンリーが顔面を丸かじりされてるシーン

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』

地下をウロウロ歩いていると、突然スタンリーが襲われて顔に噛み付かれるという、まあまあエグいシーンがあったのですが、TV版では地下を歩くシーン自体が短くカットされているため、このシーンも出て来ません(そのせいでエディの顔にいきなり傷ができてるんだけどw)。


●ベバリーの父親に変身するシーン

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

映画『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』

クライマックスの戦闘は全員がペニーワイズをボコボコに殴りまくり、ダメージを受けたペニーワイズがベバリーの父親に変身する…などのシーンもあったのですが、TV版では短くカット(ただ、カットされていることがほとんど気にならないレベルです)。


というわけで、金曜ロードショーで放送された『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』と劇場公開版を比べてみた結果、放送コードに引っ掛かったと思われるシーンが7~8カ所、その他放送時間の都合でカットされたシーンと合わせて12カ所ほどカットされていました(細かい部分も入れればもっとあるかも)。

しかしながら、後半は腕の取れたジョージ(ペニーワイズの変身した姿)がしっかり映っていたり、割とグロいシーンもカットされずに残っていたので、意外とホラー映画ってオンエアできるんじゃね?と思ったり。これをきっかけに『ヘレディタリー 継承』とか『ゲット・アウト』とか、話題になったホラー映画も放送してくれないかなあ(^.^)

 

『ターミネーター2』は本当はハッピーエンドになるはずだった?削除されたラストを解説してみる(ネタバレあり)

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映画『ターミネーター2』より

映画『ターミネーター2』より

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて現在、映画館でシリーズ最新作の『ターミネーター:ニューフェイト』が上映中ですが、それに合わせて昨日、地上波テレビで2作目のターミネーター2が放送されました。

ご存知、ジェームズ・キャメロン監督が作った『ターミネーター』の続編で、1991年に公開されると全世界で5億ドル以上の大ヒットを記録し、日本でも90億円近くの興行成績を達成しています。

そんな人気作『ターミネーター2』ですが、ラストがどんな終わり方だったか、意外と覚えている人は少ないんじゃないでしょうか?たぶん、みんなの記憶にあるのは溶鉱炉のシーン」だと思います。

よくネットでもネタにされている「『○○○○○』は感動した。特に親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくラストシーンは涙無しには見られなかった」ってヤツですね(笑)。

テンプレの方が有名になりすぎて、『T2』を知らないまま使っていた人が今回のテレビを観て「これが元ネタだったのか!」と驚いたそうですが(笑)、それぐらいこのシーンの印象が強いということなのでしょう。

だがしかし!

実は『ターミネーター2』のラストってこれじゃないんですよね。シュワちゃん溶鉱炉に沈んだ後、もう少しだけ続きがあるんです。それは車に乗って暗い道路を走っているシーンで、そこにサラのモノローグが重なります。

「目の前には未知の未来が…。だが今は希望の未来が見える。機械のターミネーターが生命の価値を学べるなら、我々も学べるはずだ」

映画『ターミネーター2』より

映画『ターミネーター2』より

このセリフの後にエンドロールが流れるんです。つまり、『ターミネーター2』は「溶鉱炉」じゃなくてサラのモノローグで終わってるんですよ。一応、サイバーダイン社を破壊したことで”審判の日”は回避したものの、果たして未来はどうなるのか…そんな不安を暗示させるようなラストシーンでした。

ところが!

当初、ジェームズ・キャメロンが書いた脚本では、もっとはっきりとハッピーエンドで終わる結末になっていたそうです。それは以下のような内容でした。

『T2』での戦いから35年後、64歳になったサラ・コナーが晴れた日に公園のベンチに座り、ICレコーダーに何かを吹き込んでいる。スカイネットの反乱は起こらず、平和なままで迎えた2029年の世界。

映画『ターミネーター2』より

映画『ターミネーター2(別エンディング)』より

この世界ではジョン・コナーは政治家になり、妻や娘(サラの孫)と幸せに暮らしていた。そしてサラは可愛い子供たちの笑顔を見ながら、以下のようにつぶやくのだった。

「ジョンは今、上院という戦場で戦っている。武器は常識、そして希望だ。私はターミネーターのおかげで希望を持つことが出来た。機械が生命の価値を学べるなら、我々も学べるはずだ」

映画『ターミネーター2』より

映画『ターミネーター2(別エンディング)』より

…という具合に、最後のセリフ自体は同じですが画面から受ける印象は劇場版の「暗い道路」とは全く異なりメッチャ明るい!

なぜこれがカットされて劇場版のような終わり方になったのか?その理由は「ハッピーエンドが確定した未来では、この映画全体のトーンと調和しないから」というものでした。

ジェームズ・キャメロン監督によると「2時間以上も暗く荒々しいシーンが続いた後に、いきなり”明るい太陽の光が降り注ぐ公園”や”笑顔で遊ぶ子供たち”が映ったら、ギャップが大きすぎてバランスが悪い」とのこと。

また、キャラクターの性格面からも「激しく躍動的なヒロインだったサラの”年老いて傍観者となった姿”は受け入れ難かった」「10歳で派手な破壊行為に関わったジョンのような非行少年が、どうやって上院議員になったのかという疑問も生じる」など、納得できない部分があった模様。

さらに「このエンディングでは1作目のストーリーに繋がらず、”タイム・パラドックス”を観客に説明する場面も無い」など様々な理由により、結局このシーンは本編からカットされてしまいました。

リンダ・ハミルトンは64歳のサラ・コナーを演じるために6時間もかけて特殊メイクを施し、マイケル・エドワーズも「顔に傷のない大人になったジョン・コナー」を演じたんですけど、残念ながらお蔵入りに…。

まあ、確かにラストだけ雰囲気が違いすぎるのもアレですからねえ。正しい判断だったんじゃないでしょうか。

ちなみに、このエンディングに関してはジェームズ・キャメロンの中で”もう一つの構想”があったそうです。それはなんと、「サラがカイル・リースと再会する」というもの!

1作目の『ターミネーター』の時、カイルはこう言っていました。「自分は2029年のロサンゼルスからやって来た」と。つまり、この「ハッピーエンド版の世界」ではカイルが生きてるんですよ!

もしキャメロン監督のアイデアが実現していれば「たまたま公園にやって来たカイルをサラが見つけ、兵士ではなく普通の人として暮らしている彼の姿を見て涙を流すが、声をかけずにそのまま静かに去っていく」というラストシーンになる予定だったそうです。

なぜこの案が採用されなかったのかは分かりませんが、『ターミネーター2特別編』にはサラの夢の中にカイルが出て来る場面があるので、「これ以上必要ない」と判断したのかもしれません。

映画『ターミネーター2』より

映画『ターミネーター2特別編』より

ただ、個人的にはちょっと見てみたかったですね。この世界線(ハッピーエンド版)のカイルはサラのことを知らず、当然サラに会ったとしても何もわからないでしょう。

しかし、共に激しい戦いをくぐり抜け、互いに愛し合ったカイルのことを、サラはしっかりと記憶しているのです。

未来を変えたことで”二人が結ばれた世界”は消えてしまいましたが、これはこれで美しいエンディングだったのではないでしょうか。

 

 

SF超大作映画『復活の日』はここが凄い!

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映画『復活の日』より

映画『復活の日』より

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。
さて先日、無料動画サービス「GYAO!」で復活の日が配信されていたので久しぶりに観てみました。

本作は1980年に公開された日本のSF映画で、雑にあらすじを説明すると「軍が開発した細菌兵器をスパイが盗み出したものの、セスナ機で郵送中にアルプス山中に墜落。世界中にウイルスが拡散し、ほぼ全人類が死滅したが南極のわずかな人々だけが生き残った」というストーリーです。

原作:小松左京、監督:深作欣二、カメラマン:木村大作、主演:草刈正雄、製作:角川春樹といった錚々たるスタッフが結集した本作は、当時『人間の証明』や『戦国自衛隊』などの超大作を連発していた角川映画の8作目として公開されました。

しかし、スケールのでかい映画ばかり作って大ヒットを狙う「ハイリスク・ハイリターン」な手法がエスカレートしすぎて「当たっても製作費を回収できない」という状況に陥ったため、この『復活の日』を最後に大作一辺倒の路線から撤退せざるを得なくなったのです。

ではいったい、『復活の日』はどれぐらいのレベルで超大作だったのか?今では考えられないような”破格”とも言える制作の裏側を解説しますよ。


●製作費が日本映画史上最高額!

映画『復活の日』より

映画『復活の日』より

本作の当初の予算は約15億円と想定されていましたが、南米・アメリカ・ヨーロッパを90日かけて回ったロケハンだけで5000万円もの費用が掛かり、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽とジャニス・イアンが歌う主題歌に8000万円。

そして劇中で使用する潜水艦や駆逐艦、豪華客船(出演者とスタッフの宿泊用)のチャーター代として3億円が吹っ飛び、40日に及ぶ南極での撮影になんと6億円を注ぎ込むという凄まじさ!

さらにアラスカ・トロント・ワシントンDC・ロサンゼルス・マチュピチ・サンチャゴなどの海外ロケに200日以上かけ、総移動距離14万km、撮影フィルムは驚異の25万フィート!その結果、製作費はどんどん膨れ上がり、最終的には当時の日本映画史上最高額となる24億5000万円にも達したのです。

しかし、配給収入24億円の大ヒットを記録したにもかかわらず、費用がかかりすぎて大赤字に…。その後、角川映画では超大作の企画は中止され、低予算で作った『セーラー服と機関銃』が大ヒット!以降、「アイドル映画」の路線がメインになっていくんですよね(^^;)


●チリ海軍の全面協力で本物の潜水艦を使用!

映画『復活の日』より

映画『復活の日』より

本作には多くの場面で潜水艦が登場しますが、そのほとんどが本物を使って撮影されました(一部ミニチュアを使用)。チリ海軍から潜水艦シンプソン号をチャーター出来たからこそ可能だったのですが、撮影は困難を極めたそうです。

なにしろ耐氷構造を全く持たない潜水艦で氷の張った海を航行するわけですから、容易なことではありません。しかも当時、世界で南極航海に成功した潜水艦はゼロ!耐氷駆逐艦を先導させているとはいえ、これはかなり危険です。

しかし、チリ海軍に協力を要請したところ、なんとあっさりOKに!こうして「世界初の潜水艦南極到達」となったのです。

ちなみにヘリコプターからの潜水艦撮影は非常に難しく、カメラマンの木村大作を機体にくくり付け、何度も海面スレスレまで降下したらしい。その時の様子を木村さんは以下のように語っていました。

潜水艦が浮上してくるシーンを空撮で撮るなんて、洋画でもやってないんだよ。それぐらい難しいんだから。神経がおかしくなりそうだった。海面のどこへ上がって来るのか分からないから、勘で撮るしかないわけよ。ヘリのパイロットがもの凄く操縦が上手くて助かったけど、何回撮り直したか分からないぐらい大変な撮影だったなあ。

結局、木村さんは計13回もヘリでの撮影を繰り返し、ヘトヘトになったそうです(笑)。


●海外の俳優も多数参加した豪華キャスト!

映画『復活の日』より

映画『復活の日』より

本作には主演の草刈正雄を筆頭に、渡瀬恒彦、夏木勲、千葉真一森田健作、永島敏行、多岐川裕美、丘みつ子緒形拳小林稔侍など名立たる俳優・女優が参加していますが、オリビア・ハッセーチャック・コナーズロバート・ボーンなど海外の俳優が多いことも特徴です。

特に、映画が始まってから30分以上は外国の風景しか映らないため、日本語が全く聞こえません。日本映画なのに延々と字幕スーパーを読むという、当時としては(現代でも?)極めて異質な邦画だったと言えるでしょう。

ちなみに、ヒロインのマリト役には当初マリリン・ハセットという女優がキャスティングされていましたが、アラスカでの撮影中に、走るシーンで上手く走れなかったり、水に入るシーンを嫌がったり、日本側のスタッフと衝突したため深作欣二監督が激怒。

「あいつを降板させろ!」とプロデューサーに怒鳴り込み、急遽オリビア・ハッセーに交代することになりました。幸いオリビア・ハッセーが好演してくれたので良かったんですが、このニュースはハリウッドにも伝わり、「撮影が始まってすぐに女優を降板させるなんて、日本人はすごいな!」と評判になったそうです。


というわけで、当時「飛ぶ鳥を落とす勢いの角川映画」が製作したとはいえ、本物の潜水艦をチャーターしたり、1年近くもロケで海外を回ったり、今ではちょっと実現不可能なことをやっていたのは凄いですね~。

なお、「GYAO!」での配信はもうすぐ終わってしまうみたいなので、興味がある方はお早めにご覧ください(^.^)

「GYAO!」『復活の日』

 


『ターミネーター:ニュー・フェイト』はなぜ失敗したのか?※ネタバレあり

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映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』

映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』より


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて、現在公開中のシリーズ最新作ターミネーターニュー・フェイト』ですが、評価に関しては賛否両論大きく分かれており、決して批判的な意見ばかりではありません。

それどころか、2015年に公開された『ターミネーター:新起動 ジェニシス』よりも観客の評価はむしろ高いぐらいで、そういう意味では「健闘している」と言えるでしょう。

『ターミネーター:新起動 ジェニシス』の評価

ターミネーター:新起動 ジェニシス』の評価

『ターミネーター ニュー・フェイト』の評価

ターミネーターニュー・フェイト』の評価

しかし興行的には、残念ながら製作者たちの期待に応える結果とはなりませんでした。

現時点での全世界興行収入は2億4900万ドルですが、製作費は1億9600万ドル(約212億円)と言われており、さらに莫大なマーケティング費用もプラスされます。

これを回収するためには「最低でも4億8000万ドル以上の売り上げが必要」と見られてるんですけど、もはやその数字は絶望的で、業界関係者によると「100億円規模の赤字になるかもしれない」とのこと。

さらにアメリカの経済誌フォーブスで「『ターミネーターニューフェイト』はこの世の終わりのような爆死を遂げた」などと報じられたり、完全に失敗作の烙印を押されてるんですよねえ。

では一体、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか?その理由を自分なりに検証してみたいと思います。

※以下ネタバレしているので未見の方はご注意ください


●ジョン・コナーの扱いがひどい
まず最初はジョン・コナーについて。本作が公開される前に、とあるイベントでジェームズ・キャメロンが「実はエドワード・ファーロングも出てるんだよ」とコメントしたため、「ジョン・コナーが登場するの!?」とファンは大興奮。

僕も大いに期待していたんですが、結果は「『ターミネーター2』の後に生き延びたジョン・コナーが再びターミネーターに襲われて撃ち殺される」という非常に残念な内容でした。

キャメロンは「『ターミネーター』シリーズの主人公はサラ・コナーなので、ジョンは必要ないだろう」と考え、いきなり冒頭シーンでジョンを殺したらしいのですが、これって、どうなんですかね?

ターミネーター2』が素晴らしかったのは、サラやT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)がジョンを守って懸命に戦う姿や、「ジョンとT-800が互いに影響を受け合って大切なことを学んでいく」というドラマチックな展開に感動したからで、そのジョンを殺してしまったら『ターミネーター2』そのものを否定することになるんじゃないの?

これが『T2』と関係ない話なら、まだ分からなくもありません。しかし「『T2』の正当な続編!」と大々的に謳っておきながら重要キャラクターをいきなり殺してしまうってひどくない?『ターミネーター:ニュー・フェイト』を観た人の多くも、このシーンには納得できなかったんじゃないかなあ。

そもそもキャメロン自身が『エイリアン3』に対して「『エイリアン2』の生き残りのキャラクターを最初の数分で葬り去ったデヴィッド・フィンチャーにはマジで頭にきた」などと批判していたくせに、自分も同じことをやってるってどういうことだよ!?

なお、『ターミネーター:ニュー・フェイト』に登場するジョン・コナーの姿は、エドワード・ファーロングをCGで若返らせ、その顔を子役のジュード・コリーに合成して再現したそうです(CGとは思えないほど本人そっくり!)。


●サラ・コナーのポジョションが中途半端
愛するジョンを殺され「復讐の鬼」と化したサラ・コナーは、未来から送り込まれてきたターミネーターを片っ端から破壊しまくる”ターミネーター・キラー”となるわけですが、「『ターミネーター』シリーズはサラ・コナーの物語だ」とか言ってる割には、サラを中心としたドラマ構成になってないんですよね。

本作のキャラクター配置を見ると「守られる女(ダニー) + 守る女(サラとグレース)」が主人公サイドで、この3人の「ストーリー上における比重」はほぼ均等化されています(厳密に言うとグレースの比重がやや大きく、次いでサラ、ダニーという感じ)。

グレース(マッケンジー・デイヴィス)は言うまでもなく1作目のカイル・リースに相当するキャラクターなんですが、問題はダニー(ナタリア・レイエス)が1作目のサラ・コナーほど魅力的なキャラに見えないこと。代わりにサラが前に出すぎ…というより、リンダ・ハミルトンの存在感が強すぎてキャラのバランスがおかしなことになってるんですよ。

もし本当に『ターミネーター』がサラの物語なら、もっとサラのポジションを明確にしないとダメでしょう。”主人公”でもない割にはかなり目立ってるし、かと言ってストーリーの中心的人物でもないし、もの凄く中途半端なんですよねえ。

つーか、ダニーって守られすぎじゃね?グレース、サラ、T-800という「3人の強キャラ」にガッチリとガードされているせいで、主人公としての存在感が薄くなっちゃてるような気がするなあ。


●T-800の設定がおかしい
ターミネーターは本来「人類を抹殺するために作り出されたマシン」で、『T2』の時は捕獲したターミネーターを再プログラムし、「ジョン・コナーを守れ」という指令を新たに与えたから主人公たちの味方になったわけですが、本作のT-800は勝手に「いいロボット」になってるんですよね。どういうことなの?

もしかしてスカイネットのプログラムでは「目的を完了したターミネーターは以降の自由行動を許可する」「人間と仲良くなってもOK!」みたいな指示になってるんでしょうか?そんなバカな(笑)。

この辺の設定が曖昧なせいで、シュワちゃんが「カールおじさん」を自称し、人間社会に溶け込んで幸せな家庭を築いているという状況が全く飲み込めませんでした。つーか、人間と一緒に暮らすだけならまだしも、サラにターミネーターの到着情報をいちいちメールで連絡するとか、不可解な行動が多すぎるでしょ(苦笑)。


●みんなターミネーターに飽きている?
映画『ターミネーター』のあらすじをもの凄く簡単に言うと「未来からやって来た恐ろしいロボットに主人公が追いかけ回される話」です。しかし(身もふたもない言い方になりますが)そろそろ皆さん、こういうストーリーに飽きてきてるんじゃないのかな?と(笑)。

なぜなら、『ターミネーター』シリーズは基本的に「凶悪なマシンが執拗に主人公を追い回し、途中でカーチェイスやヘリコプターなどの派手なアクションを見せながら、最終的には工場みたいな広い場所で対決して主人公が勝つ」というストーリーを何十年も繰り返しているからです。

当然、『ニュー・フェイト』もこういうストーリー構成になっており、「この”お約束”を外したらターミネーターじゃなくなる」という事情もまあ分かるんですけど、さすがに「同じような展開を何回見せられるんだ?」と(笑)。

でも基本プロットは変えられないから、何か変化を付けようとしても、敵の設定やデザインを変更するとか、アクションシーンをもっと派手にするとか、それぐらいしかやり様がないわけですよ。

そう考えると『ターミネーター2』はすごい続編でしたねえ。前作よりも強い敵を出しつつ、前作の敵を味方にするという逆転の発想!2作目でこんなことをやられたら、後のシリーズはもうこれ以上のサプライズなんて思い付かないよ(苦笑)。


というわけで、『ターミネーター:ニュー・フェイト』がいまいちヒットしてない理由をあれこれ考えてみたんですが、やはり「ターミネーターに飽きてる説」が一番有力な気がしますね(笑)。

個人的には、リンダ・ハミルトンが28年ぶりにシリーズに復帰したことは嬉しいんですけど、それ自体が見どころになってしまい、物語上の必然性があまり感じられなかった点は残念でした。

あと、「スカイネットを倒したら次はリージョンだ!」っていつまで経っても終わらねえじゃねえか!と(笑)。続きを作る気満々なラストシーンですが、ちょっと難しいでしょうねえ。

 

ターミネーター2(字幕版)

ターミネーター2(字幕版)

 
ターミネーター(字幕版)

ターミネーター(字幕版)

 

 

2010年から2019年に公開された映画の個人的ベストテン

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映画ベストテン

映画ベストテン

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。
そろそろ年末が近づいてきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて、毎年この時期になるとワッシュさんのブログ(「男の魂に火をつけろ!」)で「映画ベストテン」の企画が開催されていまして、当ブログも例年お世話になってるんですけど、今年のテーマは「映画テン年代ベストテン」に決まったようです。

washburn1975.hatenablog.com

これは「2010年から2019年に公開された映画の中から自分の好きな10作品を選ぶ」というもので、特にジャンル縛りとかはないらしい。というわけで、今年も参加させていただきますよ(^.^)


1.『カメラを止めるな!』(2018年 上田慎一郎監督)
色々考えましたが、やっぱり僕の中で1位はこの映画ですね。「制作費300万円」や「37分ワンカット撮影」など話題となるポイントも多かった本作の最大の特徴は、何と言っても「同じシーンなのに前半と後半で印象が変わる」というトリッキーな構成でしょう。

また、一人一人のキャラクターがとても魅力的に描かれ、笑えるシーンでしっかり笑えるし、最終的には驚くほど感動的な結末に着地するなど、エンターテインメントに必要な要素が全て詰まっている見事な作劇にも感激しました。これぞまさしく「娯楽映画!」って感じで大好き。

カメラを止めるな!

カメラを止めるな!

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2.『マッドマックス 怒りのデスロード』(2015年 ジョージ・ミラー監督)
「『マッドマックス』シリーズのカーアクション場面ばかりを集めて映画を作ったら面白そうじゃね?」という、ボンクラ中学生が考えそうなアイデアを本当に実現したらとんでもない傑作が生まれた!シンプルを極めたストーリーや、ド迫力にもほどがあるアクションシーンなど、全編に渡って見どころしかない。


3.『シン・ゴジラ』(2016年 庵野秀明監督)
公開当時は「会議シーンばかりでつまらない」という意見もチラホラあったようですが、「むしろその会議シーンが面白いんじゃないか!」と声を大にして言いたいですね。ブルーレイを買ったら、もう会議シーンばっかり繰り返し観てますよ(いや、もちろんゴジラのシーンも面白いけどw)。

シン・ゴジラ

シン・ゴジラ

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4.『セッション』(2015年 デイミアン・チャゼル監督)
生徒に厳しい指導をしていた先生が、最後に涙を流して生徒を称える…そんな展開を予想していたら完全に裏切られました。だが、それがいい!特に、互いのエゴを剥き出しにして正面からぶつかり合うクライマックスシーンが最高です。


5.『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2014年 マーティン・スコセッシ監督)
「麻薬でラリッてヘロヘロになりながらスポーツカーに乗ろうとするレオナルド・ディカプリオ」を見るだけでも価値があると思う。今年はマーベル映画に対する発言が世間を騒がせたマーティン・スコセッシですが、やっぱすごい監督だよ!

ウルフ・オブ・ウォールストリート (字幕版)

ウルフ・オブ・ウォールストリート (字幕版)

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6.『ザ・レイド』(2012年 ギャレス・エヴァンス監督)
「アパートの中で主人公が大勢の敵と戦う」という、ストーリーはたったそれだけですが、たったそれだけの話を映画として成立させたことが素晴らしい。アクション映画の新たな方向性を見出した一作と言えるでしょう。


7.『風立ちぬ』(2013年 宮崎駿監督)
アニメ界の巨匠:宮崎駿の(現時点での)最新作。「関東大震災の騒然とした雰囲気を再現するためには一人一人の人間をしっかり描かなければダメだ」との判断で、凄まじい人数のモブシーンをCGではなく全てアニメーターに手描きで描かせたという。その執念に脱帽しました(アニメーターが大変w)。


8.『インセプション』(2010年 クリストファー・ノーラン監督)
「夢の中で夢を見る」という複雑な設定もさることながら、虚構と現実をわざと曖昧にしていく独特の作劇も日本のアニメーションを彷彿とさせてグッド。わかりにくいストーリーも逆にいい(笑)。


9.『ジョン・ウィック』(2015年 チャド・スタエルスキ監督)
マトリックス』で以降のアクション映画に絶大な影響を与えたキアヌ・リーブスが、再び新たなガンアクションに挑んだ本作。50歳を超えているのに柔術などの肉体を駆使した格闘技を自らこなすキアヌさんすげー!


10.『花とアリス殺人事件』(2015年 岩井俊二監督)
花とアリス』の前日譚なんですが、CGとロトスコープを融合した独特のアニメーション表現が不思議な雰囲気を醸し出していて、ついつい何度も観てしまうんですよねえ。蒼井優鈴木杏の声の演技もいい感じです。

花とアリス殺人事件

花とアリス殺人事件

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というわけで、僕のベストテンはこんな感じになりました。もちろん、他にもいい映画はたくさんあって悩みましたが、上位3つは多分変わらないと思います。


1.『カメラを止めるな!』(2018年 上田慎一郎監督)
2.『マッドマックス 怒りのデスロード』(2015年 ジョージ・ミラー監督)
3.『シン・ゴジラ』(2016年 庵野秀明監督)
4.『セッション』(2015年 デイミアン・チャゼル監督)
5.『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2014年 マーティン・スコセッシ監督)
6.『ザ・レイド』(2012年 ギャレス・エヴァンス監督)
7.『風立ちぬ』(2013年 宮崎駿監督)
8.『インセプション』(2010年 クリストファー・ノーラン監督)
9.『ジョン・ウィック』(2015年 チャド・スタエルスキ監督)
10.『花とアリス殺人事件』(2015年 岩井俊二監督)

【衝撃の実話】ジェームズ・キャメロン伝説

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ジェームズ・キャメロン

ジェームズ・キャメロン

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さてジェームズ・キャメロン監督といえば、シリーズ最新作『ターミネーター:ニューフェイト』の指揮を執り、現在は世界的な大ヒット映画『アバター』の続編を製作中ですが、業界関係者の間では「圧倒的な完璧主義者」として知られており、決して妥協を許さない厳しい仕事ぶりから「撮影現場の暴君」とも呼ばれているそうです。

というわけで本日は、そんなジェームズ・キャメロン監督にまつわる数々の「伝説的なエピソード」をご紹介しますよ。


●『殺人魚フライングキラー』

映画『殺人魚フライングキラー』

映画『殺人魚フライングキラー』

キャメロンの監督デビュー作にもかかわらず、「低予算・短納期・酷い脚本」という最悪な条件で撮影するはめになったため現場でトラブルが続出した問題作。

まずロケ地のジャマイカに到着すると、セットが全く出来ていないばかりか、具体的なロケ場所すら一つも決まっていないことが発覚。

キャメロンは慌てて街に飛び出ると、道路で手を振り、最初に停まった車の運転手に小遣いを渡し、1日かけてジャマイカを回って何とかロケ場所を決めた。

しかし、ロケ場所として確保したセント・アンズ湾の死体安置所に、撮影当日、本物の死体が運び込まれて大混乱!主演俳優は気分が悪くなってトイレへ駆け込み、死体を移動させようとしたらウッカリ手を滑らせ、床に落として現場が血だらけに!

当時、新米監督だったキャメロンは、出演者やスタッフが休息している間にモップとバケツを持って必死に床掃除するなど大変な苦労を強いられた。しかも、ようやく撮影が完了すると、いきなり映画会社から解雇されてしまったのだ。

フィルムを取り上げられたキャメロンは怒りと失望感を抱えたまま帰宅するが、どうしても納得できなかったため、自腹でローマまで行って映画会社の編集室へ忍び込み、数週間かけて勝手にフィルムを再編集したという。すごい執念!

なお、その間はホテルに泊まっていたのだが、やがて食べ物を買うお金もなくなったので、毎朝ルームサービスをとっている部屋の前へ行き、置いてあるトレイからロールパンを1個盗み出し、何とか食いつないでいたらしい(「ロールパンは2個あったのでバレなかった」とのこと)。


●『ターミネーター

映画『ターミネーター』

映画『ターミネーター

ローマのホテルで食費が底を尽き、飲まず食わずで体は痩せ衰え、肉体的にも精神的にも限界を超え、とうとう高熱を出して寝込んでしまったジェームズ・キャメロン

だが、その時に見た「クロームメッキの骸骨が床を這いながら襲ってくる」という恐ろしい悪夢が、傑作『ターミネーター』を生み出すきっかけになったのである。

その後、アメリカへ戻ったキャメロンはさっそく脚本を書いて自分のエージェントに見せるものの、「こんな不愉快なアイデアはとっとと捨てて別のストーリーを考えろ」と言われたため、エージェントをクビにした。

それから約2年後、様々な映画会社に持ち込み断られ続けた『ターミネーター』の企画がついに決まり、キャメロンはワクワクしながら撮影を開始。後に、当時の様子をマイケル・ビーンは「まるでお菓子屋にやって来た子供みたいだった」と振り返っている。

ようやく自分の思い通りの映画が撮れる喜びで有頂天になったキャメロンは、撮影現場における「ありとあらゆる作業」を自ら行った。アーノルド・シュワルツェネッガー曰く、「ターミネーターがアクセルターンを決めるシーンでは、いきなり彼がバイクに飛び乗り、アクセルを全開にしてグルッと180度ターンして見せたんだ。”クレイジーな男だ!”と思ったのはその時だよ」とのこと。


●『エイリアン2

映画『エイリアン2』

映画『エイリアン2

エイリアン2』の撮影は、ロンドンから20マイルほど離れたパインウッド・スタジオで行われた。しかし当時、パインウッドのクルーたちは映画の仕事を「単なる飯のタネ」としか考えておらず、工場で働くのと同じ感覚だったらしい。

当然ながらキャメロンとは全く考え方が合わなかった。なんせイギリス人のスタッフたちは、毎日必ず10時と2時に「お茶飲み休憩」を入れ、昼食時は全員でパブへと繰り出し、夕方5時になると撮影の途中でも平気で帰り支度を始めるのだから。

ただでさえ厳しいスケジュールなのに、周りは非協力的なスタッフばかりという最悪な状況の中、とうとうストレスが限界に達したキャメロンは、アシスタント・ディレクターと撮影監督を解雇してしまう。

ところが、これに反発した他のスタッフが全員仕事をボイコットして猛抗議。ブチ切れたキャメロンは「もう、これ以上ここで撮影は出来ない」「イギリスを引き払ってアメリカで撮る!」と20世紀フォックスに電話で直訴。

しかし、プロデューサーのゲイル・アン・ハード(後にキャメロンと結婚する)が「皆と徹底的に話し合うべきよ」と提案し、4時間にも及ぶミーティングが実施され、その結果、険悪なムードを漂わせながらも何とか撮影は続けられた。

そしてクランクアップの日、キャメロンはスタッフたちに向かって「今回は辛く厳しい撮影だった。それでも最後までやり通すことが出来たのは、”撮影が終わったらもう二度とここに戻らなくていいんだ”と自分に言い聞かせていたからだ。一生ここで過ごす君らには気の毒だけどな!」と捨て台詞を残して去って行ったらしい。


●『アビス』

映画『アビス』

映画『アビス』

『アビス』の企画は当初「実現不可能」と言われていた。なぜなら、シナリオに書かれていることを映像化するための機材やテクノロジーが、当時はほとんど存在しなかったからだ。

例えば役者を水中で撮影する場合、既存のダイビング用品では目以外のほぼ全てを覆ってしまうため、役者の顔がよく見えない。そこでキャメロンは顔全体が見えるような潜水ヘルメットをデザインし、メーカーに特注で作らせたのである。

また、水中シーンを実際に「水の中」で撮るために、未完成のまま放置されていた南カリフォルニアのチェロキー原子力発電所を買い取り、直径73メートルの巨大な原子炉格納容器に750万ガロンの水を入れ、「水中撮影用のセット」として使用した。

さらに、「グニャグニャと変形する透明な水の生物」という誰も見たことがない映像を作るために、当時はまだ試行錯誤の段階だったCG技術を積極的に活用し、全く新しい最新のビジュアルを生み出した。

こうしてキャメロンは「機材やテクノロジーが無いなら作ればいい」という考え方に従い、次々と不可能を可能にしていったのである。

一方、本作の撮影は熾烈を極め、長期間にわたる水中作業で髪が変色したり毛が抜けたり、肌が荒れたり鼻や鼻腔の感染症にかかるスタッフが続出し、ホワイトボードの「アビス」という文字を「アビュース(虐待)」に書き換える者まで現れた。

また、キャメロン自身も厳しいスケジュールをこなすために毎日必死で働きまくり、「いちいち水から上がるのは時間がもったいない」と考え、なんと1日18時間も水中に潜りっぱなしで作業を続けたのである。

さらに1秒たりとも無駄にしたくないキャメロンは、潜水マスクの中にスピーカーとマイクを取り付け、水中で作業しながら20世紀フォックスの重役と打ち合わせをするなど、「異常な仕事中毒ぶり」がどんどんエスカレートしていった。

そのため、あまりにも過酷な状況にスタッフが不満を訴えた時も「ちゃんと息が出来てるじゃないか!これ以上なにが不足なんだ!?」と怒鳴りつけるほどだったらしい。

やがて撮影が3カ月を過ぎる頃になると、スタッフだけでなく出演者たちもストレスが限界を超え、主役のエド・ハリスは1日の撮影が終わってホテルに帰る車の中で涙が止まらなくなったり、ヒロインのメアリー・エリザベス・マストラントニオは本番中に突然「私たちは動物じゃないのよッ!」と叫んで現場から出て行ったという。

そしてキャメロン自身も水中撮影に夢中になりすぎて自分のボンベに酸素がなくなっていることに気付かず、水深約10メートルのセットの底で死にかけたそうだ(なお、この時キャメロンのすぐ側にはセーフティ・ダイバーが待機していたのだが、溺れそうになっているキャメロンに全く気付かなかったため、その日の夜に解雇されたらしい)。


●『ターミネーター2

映画『ターミネーター2』

映画『ターミネーター2

ターミネーター2』の最大の課題は「強敵T-1000をどうやって描くか?」ということだった。前作『アビス』でCGの可能性に驚嘆したキャメロンは、腕をナイフに変形させたり、鉄牢をすり抜けるシーンなどを次々と脚本に書き加えていったのだが、実際は「本当にこんなことが出来るのかな?」と半信半疑だったらしい。

CGの作成を依頼されたILMも前例のない映像表現に四苦八苦したようで、『スター・ウォーズ』や『ジュラシック・パーク』などでアカデミー賞を受賞したデニス・ミューレンは「CG技術の発達を語る時、”こんなことは2年前なら絶対に不可能だった”という言い方をよくするが、『ターミネーター2』はもはやそんなレベルではなく、”2週間前なら絶対に不可能”というぐらいの凄まじい進化を遂げていた」とコメントしている。

撮影も相変わらず過酷を極め、1作目の『ターミネーター』で特殊メイクを担当したスタン・ウィンストンのスタッフは自宅で寝ていると明け方の4時に「今すぐT-1000の腕を持って現場へ来い!」と電話で叩き起こされ、T-1000役のロバート・パトリック「”よし完璧!もう1回やろう!”って言うんだぜ。完璧なのにもう1回っておかしいだろ?」とキャメロンの厳しすぎる指導の様子をインタビューで告白している。

また、キャメロンは自分でカメラを回したがることでも有名で、「T-1000の操縦するヘリコプターが立体交差の下をくぐり抜けるシーン」を撮影する時、カメラマンが怖気づいて「僕にはできません」と拒否するとキャメロンはニヤリと笑い、「OK!じゃあ俺がやろう!」と嬉しそうに答え、カメラを担いでヘリに乗り込み、この危険な撮影を2回も繰り返したらしい。

ターミネーター 2 (字幕版)

ターミネーター 2 (字幕版)

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●『トゥルーライズ

映画『トゥルーライズ』

映画『トゥルーライズ

ターミネーター2』が「史上初の製作費1億ドル超えの映画」になったため、「次回作は小規模な作品にしよう」と考えたジェームズ・キャメロン。しかし、『トゥルーライズ』はまたしても製作費の最高額を更新してしまった。

なんせ、撮影初日からいきなりスケジュールをぶっちぎってしまうのだから無理もない。クランクインは「トイレでのアクション」で、脚本の段階では半ページにも満たない小さなシーンだった。なのでスケジュールも1日しか確保していなかったのだが、「セットが小さい」とキャメロンが言い出したため、全面的な改修が決定。

さらに、撮影が始まってからもキャメロンのこだわりは留まることを知らず、アクションの描写がどんどん追加・変更され、3日経っても一向に終わる気配がない。20世紀フォックスからは進行状況を問い合わせる電話が鳴りっぱなしでプロデューサーも大パニック!結局、トイレのシーンだけで5日もかかってしまったのである。

その後もスケジュールは遅れに遅れ、スタッフから苦情が殺到し、トム・アーノルドの奥さんからは「早く夫を解放して!」とクレームの電話までかかってくる有様。詐欺師の役で出演していたビル・パクストンに至っては、あまりにもスケジュールが超過しすぎて、自分の出演シーンの合間に現場を抜け出し、別の映画を丸ごと1本撮り終えて戻ってきたほどだった。

また、ワシントンDCでの撮影中にアーノルド・シュワルツェネッガーがトム・アーノルドを連れて勝手に首都見学に出かけた際は、ポール・バーホーベンにこのクソ映画の続きを撮ってもらいたいのか!?」とキャメロン大激怒(いや、ポール・バーホーベン監督に失礼ではw)。

さらに撮影監督のラッセル・カーペンターは、現像したフィルムをキャメロンに見せたら「露出計の読み方をどこで教わってきたんだ!?」と怒鳴られたため、その直後に外へ出て奥さんに電話し、震える声で「間違いなく僕は解雇されると思う」と告げたらしい。

そんな本作で最も凄まじいシーンは、7マイル・ブリッジを舞台に繰り広げられるヘリと車のチェイスシーンだろう。時速70マイル(約112キロ)で暴走するリムジンから宙に吊り上げられるヘレン(ジェイミー・リー・カーティス)を撮るため、当初はヘリに2人のカメラマンが乗ることになっていた。

ところが、「どうしても自分で撮りたい!」という気持ちを抑え切れなくなったキャメロンは、なんとカメラマンの一人を買収し、自らカメラを担いでヘリに乗り込んだのである。しかもヘリから吊るされるのはスタントウーマンの予定だったのに、いつの間にかジェイミー本人が吊るされていた。この時の様子を、キャメロンは次のように語っている。

日没の橋の上を猛スピードでブッ飛び、大きな叫び声をあげるジェイミーを僕がカメラで狙ったんだ。とてもいい映像が撮れたよ。彼女の絶叫が演技だったのか本気だったのかは分からないけどね。

ちなみに、「妻のヘレンが夫ハリーの目の前でストリップ・ダンスをするシーン」は、脚本では姿をはっきり映さず、シルエットだけを見せるはずだった。しかし、ある日ジェイミー・リー・カーティスがキャメロンのオフィスにやって来て、「ここは踊る姿をハッキリと見せるべきよ!」と強く主張。

そしていきなりキャメロンの前で服を脱ぎ、ブラジャーとパンティだけの姿で実際にダンスを踊って見せたらしい。「わ、分かったよ、ジェイミー。それはいいアイデアだ」とドギマギしながら答えたキャメロンは、後に「映画監督の仕事っていいものだなあと心から思ったのは、あの瞬間だったかもしれない」と振り返ったそうだ。


●『タイタニック

映画『タイタニック』

映画『タイタニック

トゥルーライズ』でプロデューサーを務めたピーター・チャーニンは、『タイタニック』の制作が終わった後に次のように語っている。「『トゥルーライズ』の撮影は本当に大変だった。撮影日数は延びるし、製作費は史上最高額を更新するし…。でも、タイタニック』に比べれば幼稚園レベルだったよ

それぐらい『タイタニック』の制作は熾烈を極めたわけで、まさに「ジェームズ・キャメロンが命を懸けて撮った映画」と言っても過言ではないだろう。なぜなら、文字通り「死にかけたこと」が何度もあるからだ。

たとえば、海底に沈んだ本物のタイタニック号を撮るためにロシアの潜水艇に乗り込んで、水深1万3000フィート(約4キロ)の深さまで10時間かけて潜り、夢中になって撮影していたら潜水艇のバッテリーが上がって動けなくなったことがあるという(この時は手動でバラストを捨てて何とか浮上できた)。

またある時は、タイタニック号のセットで撮影中に何者かが昼食のクラムチャウダーに「フェンサイクリジン(通称PCP)」という麻薬を1ポンド(約450グラム)も混入させたせいで、キャメロンを含む大勢のスタッフが幻覚症状を発症し、現場が大混乱に陥った。

しかも、激しい幻覚に襲われたスタッフの一人が、なんと手に持っていたペンをキャメロンの頭に突き刺したのである。幸い大事には至らなかったものの、刺された場所によっては命にかかわる大怪我だ(なお、この時はキャメロン自身も麻薬でラリッていたため、頭にペンを突き立てたままゲラゲラと笑っていたらしい)。

そして撮影中にも事故が頻発した。タイタニック号が沈む際に直立したデッキから大勢の乗客が落下していくシーンでは、100人を超えるスタントマンが参加したのだが、一人のスタントマンは脚を骨折し、別のスタントマンはあばら骨を骨折。

さらにケイト・ウィンスレットが浸水していく船の中を逃げるシーンでは、着ていたコートが引っ掛かり、そのまま水の中で溺れかけるというアクシデントが勃発。何とか自力で脱出したものの、この時は気丈なケイトも動揺したらしく、「もう息が残ってなくて、体が爆発するかと思ったわ。生まれて初めて撮影現場で”もうここにいたくない!”って思ったの」とコメント。

そして撮影が7カ月を超える頃になると、さすがのジェームズ・キャメロンも心身共に疲れ果て、クランクアップの日にはすでに気力も体力も残っておらず、「”神よ、今こそ天に召してくれ!今死ねるなら本望だ!”と本気で思っていた」と当時の心境を振り返っている。

こうしてキャメロンは超大作『タイタニック』を完成させた。結果、世界中で大ヒットを記録するが、この映画に全身全霊を注ぎ込んだキャメロンは、しばらく監督業から遠ざかることになる。


●『アバター

映画『アバター』

映画『アバター

タイタニック』から12年後、ついにジェームズ・キャメロンの新作『アバター』が公開された。本作でキャメロンが目指したものは、「3DCGを駆使した全く新しいスタイルの映画作り」である。

現実環境での映画撮影は常に”選択肢との戦い”だ。太陽光は変化し、衣装はあるものだけに限られ、セットの大きさも決まっている。監督は限定された選択肢の中から最適なものをチョイスするしかない。しかしCGの世界では選択肢が無限にある。登場人物の配置を入れ替えることも、木々を脇へずらすことも、夕陽を注ぎ入れることも思いのままに出来るのだ。

CGを全面的に採用したことで撮影環境は激変した。俳優たちはモーション・キャプチャー用の特別な衣装を身に付け、何もない空間の中で、舞台となる架空の惑星「パンドラ」の世界を想像しながら演技しなければならない。

ただし、変わったのはセットだけではなく、キャメロンの態度や振る舞いも大きく変化していた。『タイタニック』が終わってからの十数年間に様々な経験を得たことで、かつての傍若無人ぶりは鳴りを潜め、「撮影現場の暴君」と呼ばれていた頃とは別人のように丸くなっていたのである。

もちろん、映像に対するこだわりは相変わらず凄まじく、むしろ以前よりもパワーアップしているのだが、キャメロンに怒鳴られ解雇されるスタッフはほとんどいなくなったという。

なお、グレイス博士役で『アバター』に参加したシガニー・ウィーバーは、『エイリアン2』の頃のキャメロンを思い出しながら「あなたたちは知らないでしょうけど、昔の監督はそりゃあもう凄かったのよ(笑)」と若手スタッフに”ジェームズ・キャメロンの伝説的なエピソード”の数々を楽しそうに語っていたらしい。

もしもミルクボーイが『スター・ウォーズ』のネタで漫才をやったら

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ミルクボーイ

ミルクボーイ

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて、先日TVで『M-1グランプリ2019』が放送されました。今年は全体的にレベルが高くて、大変な激戦になったんですが、その中で見事に優勝を勝ち取ったのがミルクボーイです。

僕はミルクボーイの漫才を初めて見たんですけど、いや~、本当に面白かったですねえ!「オカンの好きな食べ物はコーンフレークか?そうでないのか?」というだけの話を、こんなに面白く語れるなんてすごい!と感激しましたよ。

しかし、ミルクボーイを見ていると「もし『スター・ウォーズ』をネタにしてこういう漫才をやったらどうなるんだろう?」という妄想を抑え切れなくなり、思わず勝手に書いてしまいました(笑)。というわけで、以下ミルクボーイのやり取りを想像しながらお読みください。

 


駒場「あの~、うちのオカンがね、大好きな映画があるらしいんやけど、そのタイトルをちょっと忘れたらしくて」

内海「え~?大好きな映画やのにタイトル忘れるて、どないなってんねん、それ」

駒場「色々聞いたんやけど、全然わかれへんねんな」

内海「なるほど~、ほな俺がオカンの好きな映画のタイトル、一緒に考えてあげるから、どんな特徴を言うてたかちょっと教えてくれる?」

駒場「うん。オカンが言うには、宇宙が舞台のSF映画で、黒いマスクを被った悪いやつにお姫様がさらわれて、主人公とその仲間たちが宇宙船に乗ってお姫様を助け出す話やって」

内海「それは『スター・ウォーズ』やないか!その特徴はもう、完全に『スター・ウォーズ』やがな!すぐわかるやん、そんなの!」

駒場「いや、俺も『スター・ウォーズ』やと思ったんやけどな」

内海「いや、そうやろ?」

駒場「オカンが言うには、ものすごく深い人間ドラマに感動したって言うねんな」

内海「う~ん……ほな『スター・ウォーズ』と違うか。『スター・ウォーズ』には深い人間ドラマなんか一切ないもんね」

駒場「そやねん」

内海「『スター・ウォーズ』はカッコいい宇宙船や大迫力のアクションや魅力的なキャラクターをただただ楽しむだけの映画やからね。深い人間ドラマなんて誰も求めてないから。『スター・ウォーズ』ってそういうもんやから。ほな、もうちょっと詳しく教えてくれる?」

駒場「オカンが言うには、主人公が柔道着みたいな服を着てるらしい」

内海「『スター・ウォーズ』やないか!ジョージ・ルーカス黒澤明の大ファンで、『隠し砦の三悪人』の影響を受けてることは有名やで!そのせいでルーク・スカイウォーカーの衣装が昔の時代劇みたいになっとんねん!『スター・ウォーズ』や、そんなもん!」

駒場「いや、わからへんねん」

内海「何がわからへんの!?」

駒場「オカンが言うには、三船敏郎が出演してるらしい」

内海「ほな『スター・ウォーズ』とちゃうやないか!確かにジョージ・ルーカスはオビ=ワンの役を三船敏郎にオファーしたけど、それを三船は断ったんや!その後、ダースベイダーの役でもオファーしたけど、それも断られとる。代わりに起用されたのがアレック・ギネスや。三船敏郎が出てるなら『スター・ウォーズ』ちゃうやんか!ほな、もうちょっと何か言うてなかったか?」

駒場「オカンが言うには、黒いマスクの強敵が実は主人公の父親らしい」

内海「『スター・ウォーズ』やないか!当時、『帝国の逆襲』を観た観客が全員あの”I am your father”のシーンでひっくり返ったんやから!映画ファンなら誰でも知ってるで!『スター・ウォーズ』や、そんなもん!」

駒場「いや、わからへんねん」

内海「何がわからへんの!?」

駒場「オカンが言うには、ヒロインのお姫様がメッチャ美人らしい」

内海「ほな『スター・ウォーズ』とちゃうやないか!昔からファンの間ではレイア姫がブサイクやブサイクやって言われ続けとんねん!『スパイダーマン』のMJと『ロッキー』のエイドリアンと合わせて”世界三大ブサイクヒロイン”って呼ばれとるんや!ヒロインが美人なら『スター・ウォーズ』ちゃうがな!ほな、もうちょっと何か言うてなかったか?」

駒場「オカンが言うには、強そうに見えた敵があっさり死ぬらしい」

内海「『スター・ウォーズ』やないか!『スター・ウォーズ』に出て来る強そうな敵は、だいたいすぐに死によるねん!ボバ・フェットが砂漠で穴に落ちて死んだ時も、”え?今のでアイツ死んだん?ウソやろ?あんなに強そうに見えてたのにメッチャ弱いやん!”ってみんなビックリしたんやから!『スター・ウォーズ』や、そんなもん!」

駒場「いや、わからへんねん」

内海「何がわからへんの!?」

駒場「オカンが言うには、登場するメカが全部新品みたいにピカピカらしい」

内海「ほな『スター・ウォーズ』とちゃうやないか!『スター・ウォーズ』に出て来るメカは、どれもこれも使い古されてボロボロなんやから!もう”どんな使い方したらここまでボロボロになるねん?”いうぐらいボロボロやから!『スター・ウォーズ』で新品のメカなんて見たことないから!『スター・ウォーズ』ちゃうがな!ほな、もうちょっと何か言うてなかったか?」

駒場「オカンが言うには、1999年に公開された続編がメッチャ酷評されたらしい」

内海「『スター・ウォーズ』やないか!『エピソード1/ファントム・メナス』は、公開前は確かにみんな期待してたけど、いざ公開されたらバッシングの嵐やったんやから!”俺らが観たかったのは、こんなんとちゃう!ルーカス出てこんかい!”って暴動が起きたんやから!『スター・ウォーズ』や、そんなもん!」

駒場「いや、わからへんねん」

内海「何がわからへんの!?」

駒場「オカンが言うには、その続編に登場したフルCGのキャラクターが世界中で大人気やったらしい」

内海「ほな『スター・ウォーズ』とちゃうやないか!ジャー・ジャー・ビンクスの嫌われっぷりは、もうホンマに凄まじかったんやから!映画会社に”ジャー・ジャー、ウザいんじゃボケ!”みたいな苦情が殺到するわ、第20回ラジー賞で最低助演男優賞を受賞するわ、オモチャ屋のジャー・ジャーの人形だけが大量に売れ残るわ。挙句の果てに”映画史上もっとも不愉快なキャラクター”の第1位に選ばれたんやで!あまりにも不人気すぎて、ジャー・ジャーを演じた黒人俳優のアーメド・ベストがTwitterで”当時は自殺を考えていた”って告白までしとるんよ!『スター・ウォーズ』ちゃうがな!ほな、もうちょっと何か言うてなかったか?」

駒場「オカンが言うには、2017年に公開された『エピソード8』が賛否両論で大騒ぎになったらしい」

内海「いや、『エピソード8』って言うてもうてるがな!もう完全に『スター・ウォーズ』やないか!『最後のジェダイ』は”こんなルーク見たくない!”とか、”フォースの使い方おかしいやろ!”とか、”ベニチオ・デル・トロは何しに出て来たんや!?”とか、ファンから散々叩かれまくったんやから!特にローズに対する批判が一番ひどくて、”ただの天童よしみやないか!”みたいなクレームが多すぎたせいかどうかは知らんけど、最新作『スカイウォーカーの夜明け』のローズの出番が激減しとるんよ!あと、スノークがカイロ・レンにやられて死んだ時も、”え?今のでアイツ死んだん?ウソやろ?あんなに強そうに見えてたのにメッチャ弱いやん!”ってみんなビックリしたんやから!絶対に『スター・ウォーズ』や、そんなもん!」

駒場「いや、わからへんねん」

内海「わからへんことない!オカンの好きな映画は『スター・ウォーズ』で決まりや!」

駒場「いや、オカンが言うには、『スター・ウォーズ』ではないと」

内海「ほな『スター・ウォーズ』ちゃうやないか!オカンが『スター・ウォーズ』ではないと言うなら確実に『スター・ウォーズ』ではないやんか!先言えよ!」

駒場「申し訳ない」

内海「もうホンマに何の映画かわからへんやないか!どうなってんねん!?」

駒場「オトンが言うには、『アナと雪の女王』ちゃうか?って」

内海「いや絶対ちゃうやろ」

実は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主演はマイケル・J・フォックスじゃなかった

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『実はカットされてました』より

『実はカットされてました』より

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

すっかり遅くなってしまいましたが新年明けましておめでとうございます!2020年もよろしくお願いします(^.^)

さて、年末年始に実家でのんびりテレビを見ていた人も多いんじゃないかと思いますが、昨年の大晦日にちょっと気になる番組が放送されたんですよ。

『実はカットされてました』という番組で、「世の中に存在するものは完成形の状態になるまで様々な部分がカットされている」「そのカットされた部分に注目し、一体なぜカットされたのか、経緯や状況を調査する」という内容でした。

出演者はお笑い芸人の和牛や、麒麟の川島さん、ジャニーズJr.の阿部亮平さん、アナウンサーの宇垣美里さんなど。そして取り上げられた話題は、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主演俳優に関するエピソードです。

ここで、「え?『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主役ってマイケル・J・フォックスだよね?」「ちゃんと映像に残ってるじゃん」「カットされてたってどういうことなの?」と疑問に思う人もいるでしょう。

実はこの話、映画ファンの間では割と有名で知ってる人も多いんですけど、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公って、元々は別の人が演じてたんですよ。それがエリック・ストルツという俳優さんです。

『実はカットされてました』より

『実はカットされてました』より

エリック・ストルツといえば、1982年の『初体験/リッジモント・ハイ』で映画デビューし、『マスク』や『恋しくて』、『ザ・フライ2 二世誕生』などで主演を務めたイケメン俳優です(ちなみに『初体験/リッジモント・ハイ』は、ジェニファー・ジェイソン・リーショーン・ペンフォレスト・ウィテカーニコラス・ケイジなど意外と豪華キャストだった)。

 

後にゴールデングローブ賞にノミネートされたり、ブロードウェイで活躍するなど、その演技力が高く評価されるエリック・ストルツですが、デビュー当時はさほど注目されていたわけではありません。

しかし、ユニバーサルスタジオの当時の社長だったシドニー・シャインバーグがなぜかエリックを気に入り、「うちの映画にも出演させたい!」と熱望。そんな時に出てきた企画が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だったのです。

当初、監督のロバート・ゼメキスは主人公のマーティ役にマイケル・J・フォックスを希望していましたが、その頃のマイケルはTVドラマ『ファミリー・タイズ』の撮影で毎日大忙しでした。

そのため、出演交渉した際も「この番組を支えているのはマイケルだ。映画のために彼を現場から離すことは出来ない」と『ファミリー・タイズ』のプロデューサー(ゲイリー・デヴィッド・ゴールドバーグ)に断られてしまったのです。

つまり、この時点ではマイケル・J・フォックス本人に何も知らされないまま、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のオファーが蹴られてたんですね(マネージャーも「マイケルが興味を示すと困るから」という理由で脚本を見せなかったらしい)。

そこで仕方なく、ロバート・ゼメキス監督はシドニー・シャインバーグ社長の要望に従い、エリック・ストルツを主役に起用。すでに映画の公開日が7カ月後に迫っていたこともあり、急いで撮影が開始されました。

マーティを演じるエリック・ストルツ

マーティを演じるエリック・ストルツ

ところが、いざ撮影が始まるとロバート・ゼメキス監督は「なんか思ってたのと違うなあ…」と違和感を感じたそうです。

それでもスケジュールが押していたため撮影を続けたんですが、違和感は日に日に強まっていき、6週間後にとうとう我慢できなくなってスティーブン・スピルバーグを映写室に呼び寄せ、「どう考えても面白い映画になっているとは思えない。自分が間違ってるんだろうか?」と編集したフィルムを見せたそうです。

するとスピルバーグは映画を観終わって冷静に答えました。「いや、君の言う通りだ。完全に笑いの要素が死んでるよ」と。

『実はカットされてました』より

『実はカットされてました』より

なんと、エリック・ストルツが演じたマーティは全然面白くなかったのですよ!ゼメキス監督は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をコメディ映画として撮っていたのですが、意図したユーモアが全く発揮されていませんでした。つまりエリックの撮影シーンは、「面白くなかったからカットされた」のです。

『実はカットされてました』より

『実はカットされてました』より

普通、こんな状況はあり得ません。もちろん病気で主役がやむを得ず降板するとか、現場で監督とモメて降板させられるというパターンは過去にもありました。しかし、6週間も撮影を続けた挙句に「面白くないから」という理由でクビになった主演俳優は、恐らくエリック・ストルツだけでしょう。

ドク役でエリックと共演していたクリストファー・ロイド「6週間演じ続けたのに降板なんて、私ならショックで立ち直れないよ」と当時の状況を振り返っています。せめて、もう少し早く指摘してくれればなあ…(-_-;)

『実はカットされてました』より

『実はカットされてました』より

それにしても、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか?決してエリック・ストルツの演技が悪かったからではありません。むしろ「彼の役者としての能力は非常に優れていた」とゼメキス監督も認めています。

エリックは単にミスキャストだった。それは彼の才能とは全く関係ない。エリックは素晴らしい俳優だよ。けれど、彼のコメディ感覚が、この映画で私が思い描いたものとは決定的に違っていたんだ。もし映画をそのまま作っていたら、きっと大失敗しただろう。非常につらい決断だったが、映画のためには彼に降りてもらうしかなかったんだ。

いや~、「コメディ感覚が違っていた」と言われても…(苦笑)。それはもう演技力云々ではなく、「資質」とか「センス」とか、そういう問題ですよねえ。しかし、このことはゼメキスやスピルバーグだけでなく、なんと当のエリック本人も「自分はマーティ役に合ってないのでは…?」と薄々気付いていたようです。えええええ~!?

どうやら監督や他のスタッフたちの反応を見て「何か違うな…」と思っていたらしく、でも主役なので自分から「降ろしてください」とは言い出せず、そのまま6週間経ってしまったと。だから監督に呼び出されて「申し訳ないけど、君の仕事は今日で終わりだ」と告げられた時も「ああ、やっぱりそうなったか…」という気持ちだったらしい。う~ん、つらいなあ(-_-;)

『実はカットされてました』より

『実はカットされてました』より

さて、エリックが降板したことで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の制作は振り出しに戻ってしまいました。そこで「今度こそマイケル・J・フォックスに出演してもらわなくては!」と再び『ファミリー・タイズ』のプロデューサー:ゲイリー・デヴィッド・ゴールドバーグに交渉するロバート・ゼメキス監督。

驚いたのはゲイリーです。「あの映画はエリック・ストルツ主演で撮影してたんじゃないのか?なに、降板させた?6週間も撮ったのに?正気か?で、マイケルで撮り直したいだと?ユニバーサルの社長はそれを認めたのか?信じられない…」と呆れ返っていたそうです。

しかし、「それほどまでにマイケル・J・フォックスを必要としているのか…」とゼメキス監督の熱意に心を打たれたゲイリーは「正直マイケルがいなくなるのは困るが、こんな大きな仕事のチャンスを2度も奪うことはできない。『ファミリー・タイズ』の撮影を優先してくれるなら、この脚本をマイケルに渡そう。後は彼の判断に任せる」と答えました。

そしてゲイリーはオフィスにマイケルを呼び寄せて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の脚本を渡し、「スピルバーグとゼメキスの新作だ。最初はエリック・ストルツで撮影していたが納得いかなかったらしい。どうしても君を主役にしたいそうだ。読んでみて、もし気に入ったなら出演すればいい」と説明。するとマイケルは脚本を受け取るやいなや「もちろん!喜んでやらせてもらうよ!」と即答したそうです。

こうしてついにマイケル・J・フォックスの出演が実現したわけですが、すでに撮影が終わった場面のセットは撤去されており、それらを再び建て直すコストや他の出演者たちを再度招集するためのギャラなど、追加撮影だけで8億円の費用がかかってしまいました。うわあああ…

『実はカットされてました』より

『実はカットされてました』より

なお、エリック・ストルツが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に与えた影響は、これだけではありません。

まず、マーティの母親ロレイン役を演じたリー・トンプソンは、1984年の『ワイルド・ライフ』でエリックと共演していて、それを観たゼメキスが「二人の相性は良さそうだ」と判断し、本作に起用したらしい。

つまり、最初にエリックがキャスティングされていなければ、リー・トンプソンも起用されなかったかもしれないのですよ(ちなみにエリックとリー・トンプソンは『BTTF』の後の『恋しくて』でも共演している)。

エリック・ストルツとリー・トンプソン

エリック・ストルツとリー・トンプソン

また、いじめっ子のビフ・タネン役は元々、ビフの手下のスキンヘッド役を演じたJ.J.コーエンが演じる予定でした。ところが、エリックの身長が180センチ以上もあったため、一緒に並ぶとコーエンが小さく見えてしまう。そこで、大柄な俳優としてトーマス・F・ウィルソンが起用されたそうです。

さらに、ヒロインのジェニファー役はクローディア・ウェルズにオファーされたものの、マイケル・J・フォックスと同じくTVドラマの撮影時期と重なっていたため、代わりに『彼女に首ったけ!』や『幸せになるための27のドレス』などのメロラ・ハーディンが起用されました。

メロラ・ハーディン

メロラ・ハーディン

しかし、マイケルの出演が決まると今度はマイケルの身長が低すぎて、メロラと並んだ時のバランスが悪いことが発覚。そこで再びクローディアに出演を依頼したところ、ちょうどドラマの撮影が終わってスケジュールの都合がついたため、最初の予定通りジェニファー役を演じることができたのです(メロラは降板)。

このように、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の出演者は最終的な形に決まるまで、何人も降板したり役が入れ替わったり、様々な紆余曲折を経た末にようやく実現した配役なわけで、まさに「奇跡のキャスティング」と言えるんじゃないでしょうか。なお、エリック・ストルツはその後、監督として大成功を収めたそうです(^.^)

 

中国版の実写映画『カイジ 動物世界』が色々すごすぎる!

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映画『カイジ 動物世界』

映画『カイジ動物世界』

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

本日、金曜ロードSHOW!で実写映画版の2作目となる『カイジ2人生奪回ゲーム』が放送されます。福本伸行の人気漫画を実写化した本シリーズは現在3作目の『カイジファイナルゲーム』が公開中なんですが、実は中国でも実写映画が作られていたことをご存知でしょうか?

カイジ動物世界』と名付けられた中国版の実写映画は、一見すると日本版と同じように見えます。しかし、病気で入院している母親の治療費を稼ぐためにカイジが働いていたり、カイジに可愛い恋人がいたり、色んな設定が追加・変更されているのです。

中でも最大の特徴は、カイジが「ピエロのヒーロー」に変身すること!

なんと中国版のカイジは、幼いころのトラウマが原因で精神に強いショックを受けるとフラッシュバックが起こり、そのストレスが頂点に達すると突然『ジョーカー』みたいなピエロに変身してしまうのですよ。

映画『カイジ 動物世界』

映画『カイジ動物世界』

しかもピエロになったカイジは『スパイダーマン』のような最強パワー&素早い身のこなしで、襲い来る敵を次々とブチのめしていくのです。その姿はまさにアメコミ映画のスーパーヒーローそのもの!カッコいい~!

映画『カイジ 動物世界』

映画『カイジ動物世界』

もちろん原作は『カイジ』ですから、ギャンブルのシーンもちゃんとあります。雑にあらすじを説明すると、「友人に騙されて多額の借金を背負ってしまったカイジは、”人生の落後者”ばかりを集めた謎の大型船に乗り込み、一発逆転をかけて”限定ジャンケン”に挑む…」というストーリーです。

これだけなら紛れもなく『カイジ』なんですが(ゲームもほぼ原作通りに進行する)、いざ「限定ジャンケン」で勝負しようとテーブルについてカードを出したら、相手の男がいきなり恐ろしいモンスターに変身してしまうのですよ!うわあああ~!

映画『カイジ 動物世界』

映画『カイジ動物世界』

実はこれ、ストレスを感じた際にカイジにだけ見える妄想シーン、つまり「脳内映像」なんです。要は、何らかの精神的プレッシャーに耐え切れなくなったカイジが”現実逃避”しているわけですが、この妄想シーンが割と頻繁に出て来る上に、かなり長いんですよね。

しかもピエロに変身したカイジが電車の中で大勢のモンスターと戦ったり、敵の車を奪って高速道路でハリウッド映画ばりの激しいカーチェイスを繰り広げたり、相当な時間と費用をかけて妄想シーンを完璧に映像化してるんですよ。

映画『カイジ 動物世界』

映画『カイジ動物世界』

これらのビジュアルはCGもアクションも非常にクオリティが高く、見どころの一つと言えるでしょう。しかしながら、「たかが妄想シーンにここまでやる必要があるのだろうか?」という気がしなくもないし、そもそもストーリーには何の関係も無いので、正直「力を入れるポイントを完全に間違えている」としか思えません(笑)。

というわけで、日本版とはだいぶイメージが異なる中国版の『カイジ』ですが、「これはこれで面白い」「むしろ日本版よりも好き」という意見もあるようなので、興味がある方はぜひ一度ご覧ください。

なお、カイジたちを苦しめる帝愛グループの利根川役は、日本版では香川照之が演じていました。一方、中国版で利根川を演じているのは、なんと『ウォール街』や『危険な情事』などで世界的に有名なハリウッド俳優マイケル・ダグラスえええええ!?

映画『カイジ 動物世界』

映画『カイジ動物世界』

なぜマイケル・ダグラスにこの役をオファーしたのかよく分かりませんが(笑)、「金は命より重い!」とか「勝つことが全て!勝たなきゃゴミだ!」などの名台詞でお馴染みの利根川をノリノリで演じるマイケル・ダグラスの姿は一見の価値ありですよ(^.^)

 

45歳でハリウッドを目指してCGアーティストになった元証券マンの話

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NHK総合『逆転人生』より

NHK総合『逆転人生』より

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて昨日、NHK『逆転人生』という番組が放送されました。これは「どん底の状態から奇跡の大逆転を成し遂げた人たちの壮絶な人生を描くドキュメンタリー」なんですが、今回取り上げられたのは成田昌隆さん(56歳)のエピソードです。

成田昌隆さん…といっても一般的にはたぶんほとんど知られていないでしょう。成田さんは現在、ハリウッド映画の特殊効果には欠かすことが出来ない超一流のVFX制作会社ILM(インダストリアル・ライト・アンド・マジック)」で働いているCGアーティストです。

ちなみに「ILM」は、ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』を作るために自腹を切って立ち上げた特撮専門のスタジオで、フィル・ティペットデニス・ミューレンなど優れたクリエイターを輩出し、アカデミー視覚効果賞など22のオスカーを獲得。1975年の設立以来、現在も多くの映画に影響を与え続けている老舗のスタジオです。

そんなILMに所属する成田さんは、これまで『アイアンマン』シリーズのパワードスーツや、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』に登場する巨大メカなど、様々なデジタル映像を手掛けてきた凄腕のCGモデラーなんですが、ここに至るまでの経歴がすごいんですよ。

元々、日本の大手証券会社(勤務地はアメリカ)で働いていた成田さんは、ある日フルCGアニメ『トイストーリー』を観て「なんて素晴らしい映画なんだ!自分もCGの仕事をやりたい!」と決意し、なんと本当に会社を辞めてしまったのです。しかも脱サラした時の成田さんは45歳で、奥さんと2人の子供もいるという状況でした。ええええ…

NHK総合『逆転人生』より

NHK総合『逆転人生』より

成田さんが『トイストーリー』を観たのが32歳の時なので、そこから独学で10年以上CGの勉強をしていたことになるわけですが、それでも家族持ちの45歳の男性が”全く未経験の業界”へ飛び込んでいくのはさすがに無謀としか思えません。

案の定、会社を辞めてからCGの専門学校へ通って本格的に勉強をしたものの、ハリウッドの映画業界はレベルが高く、いくら採用試験を受けても不合格の連続だったそうです。しかし、それでも成田さんはCGモデラーになる夢を諦めず、何度も何度も履歴書を送り続け、ついに念願のVFX業界デビュー!この時、成田さんは46歳でした。

NHK総合『逆転人生』より

NHK総合『逆転人生』より

そして、ジェームズ・キャメロンが設立した特撮スタジオ「デジタル・ドメイン」に就職し、アイアンマン3ではアイアンスーツのCGを任され、さらにスーツだけでなく、背景の建物や高速道路など、画面に映っている全ての物体をリアルなCGで描いてみせたのです。

NHK総合『逆転人生』より

NHK総合『逆転人生』より

そんな成田さんに、やがてもっと大きな仕事が舞い込んで来ました。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』です。なんとVFXスタジオのトップに君臨するILMに就職決定!この映画で、成田さんは新型スター・デストロイヤーのCG制作を担当することになったのです。

だがしかし…

その作業は困難を極めました。なんせ劇中の新型スター・デストロイヤーは超巨大な宇宙船ですから、ちょっとやそっとのスケール感では凄さが伝わりません。そんな巨大な物体をどうやってCGで表現すればいいのか?と悩みまくり。

ところが、成田さんの”ある特技”がピンチを脱するきっかけになりました。その特技とは、プラモデル!実は成田さんは、プラモデルの大会でチャンピオンになるほどの凄腕モデラーだったのですよ。

そして『スター・ウォーズ』の宇宙船も、昔は市販のプラモデルのパーツを使ってミニチュアが作られていたのです(「キットバッシング」と呼ばれる手法)。ならば、CGで宇宙船を作る時も細かいパーツを大量に作成して貼り合わせていけば巨大感を表現できるんじゃないか…?

そう考えた成田さんは、来る日も来る日もひたすら細かいパーツを作り続け、それらを組み合わせて少しずつ新型スター・デストロイヤーの形を整えていきました。そして数カ月後、ついに完成!

NHK総合『逆転人生』より

NHK総合『逆転人生』より

そのボリュームは完全に常軌を逸しており、使用したパーツの総数はなんと25,000個!最新のスペックを誇るILMのコンピューターでさえ処理能力ギリギリのデータ容量で、ILM史上最大規模のCGモデルとなったそうです。

成田さんが作ったこの新型スター・デストロイヤーはILMのスタッフを驚愕させ、さらに他のCGスタジオや業界中でも話題となり、「すげえ日本人がいるぞ!」と一躍有名人になりました。なにしろ、カメラが寄らないと判別できないような異常に細かい部分までギッチリ作り込んでいるのだから凄まじい!

NHK総合『逆転人生』より

NHK総合『逆転人生』より

こうして成田さんは、今やハリウッドで欠かせない人材となり、映画『ハン・ソロ』ではミレニアム・ファルコン号を作ったり、最新作『スカイウォーカーの夜明け』でも活躍しているそうです。いや~、まさか46歳からCGアーティストを目指してここまで上り詰めるとは、すごいですねえ(^.^)

 


『十二人の死にたい子どもたち』ネタバレ感想/解説

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映画『十二人の死にたい子どもたち』

映画『十二人の死にたい子どもたち』

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて本日、金曜ロードSHOW!『十二人の死にたい子どもたち』が放送されます。原作は冲方丁のミステリー小説で、『トリック』や『SPEC』などでお馴染みの堤幸彦監督によって映画化されました。

ざっくりあらすじを紹介すると、「集団安楽死を目的として廃病院に集まった12人の少年少女たちだったが、そこにはなぜか死体が一つ。謎の”13人目の参加者(ゼロバン)”をめぐって繰り広げられる密室での心理戦。果たして彼は何者なのか?そして彼を殺した真犯人は誰なのか…?」という内容です。

映画『十二人の死にたい子どもたち』

映画『十二人の死にたい子どもたち』

まあ、”密室ミステリー”となっていますが、実際は病院内を自由に歩き回ることが出来るし、外への出入りも自由なので、言うほど”密室感”はないんですよね(笑)。

また、基本的に会話劇が中心で、しかも『金田一少年の事件簿』のように「12人のメンバーが次々と殺され…」みたいな連続殺人事件的な見せ場もないので、少々地味な印象を受けるかもしれません。

しかし、登場する12人のキャラクター一人一人が「何らかの思惑」を胸に秘め、それがストーリーに微妙な影響を与えているが故に、物語の進行と共に少しずつ謎が解明されていくことによってカタルシスが得られるわけです(序盤から至る所に伏線が張り巡らされているので、細かい描写も見逃さないように)。

また、映画『湯を沸かすほどの熱い愛』や『いだてん』などで注目された杉咲花、『パシフィック・リム:アップライジング』や『ちはやふる』などの新田真剣佑、『セーラー服と機関銃-卒業-』や『銀魂』などの橋本環奈、『君の膵臓をたべたい』や『君は月夜に光り輝く』などの北村匠海、『仮面ライダー鎧武/ガイム』の高杉真宙など、若手人気俳優が多数出演している点も見どころでしょう。

映画『十二人の死にたい子どもたち』

映画『十二人の死にたい子どもたち』

1番:サトシ(高杉真宙
2番:ケンイチ(渕野右登)
3番:ミツエ(古川琴音)
4番:リョウコ(橋本環奈)
5番:シンジロウ(新田真剣佑
6番:メイコ(黒島結菜
7番:アンリ(杉咲花
8番:タカヒロ萩原利久
9番:ノブオ(北村匠海
10番:セイゴ(坂東龍汰
11番:マイ(吉川愛
12番:ユキ(竹内愛紗

 

ちなみに、12人が”集いの場”に初めて勢揃いし、それぞれが簡単に自己紹介して「いるはずのない13人目」に気付くまでの長いやり取りのシーンは、完成映像ではカットを割っていますが、現場では5台のカメラを同時に回してノンストップで一気に撮影したそうです(しかも誰もNGを出さなかったらしい。すげー!)。

さて、死体を発見して話し合いの結果、「花壇の場所にあった帽子とマスクは誰のものか?」「1階ロビーの自動ドアはなぜ作動していたのか?」「女子トイレにあった靴は死体が履いていたのか?」「6階のエレベーターに挟まっていた椅子は誰が置いたのか?」など、気になるポイントを調査することになった12人は4つのグループに分かれて行動します。

映画『十二人の死にたい子どもたち』

映画『十二人の死にたい子どもたち』

まず、マイ・セイゴ・ケンイチ組は花壇の場所に捨ててあった帽子とマスクを回収(ついでにベンチの側でタバコの吸い殻も拾う)。

タカヒロ・アンリ・メイコ組は6階へ行ってエレベーター前の椅子を確認(その途中で片方の靴を見つける)。シンジロウ・ノブオ・ユキ組は1階の自動ドアを調べ、「車椅子の人間が自動ドアのスイッチを入れることは出来ない。したがって誰か協力者がいたに違いない」と推理する。

そしてミツエ・リョウコ組は女子トイレで片方の靴を回収し、大きさから「ゼロバンかどうかは分からないが、男性のものだろう」と判断するわけですが、それぞれが別々の場所で行動しているうちに、徐々に彼らの背負っている”苦悩”や”秘密”が明らかになっていくのですよ。

ただ、一つ気になったのは屋上でみんなが集まっている時、タカヒロから「君が殺したの?」と指摘されたノブオが「うん、俺がやったんだ」と認めた後、階段を下りている途中で誰かに突き飛ばされ、しばらく物語から離脱するんですけど、あの状況でそんなことをやったら(後に犯人はメイコと判明するんですが)すぐにバレちゃうんじゃないの?と。

なぜなら、階段を下りるドアは一つしかないし、ノブオ以外に屋上にいたのは5人だけなので、「誰がノブオの後に階段を下りて行ったのか?」は簡単に分かるはずだから。このシーンの後、すぐ”集いの場”に映像が切り替わるのもちょっと不自然ですよねえ(そもそも階段から落ちた後はどこにいたのか?)。

映画『十二人の死にたい子どもたち』

映画『十二人の死にたい子どもたち』

まあ、他にも変な場面はいっぱいあるんですけどね(”集いの場”からベッドを移動して死体を乗せて、また元に戻す作業を誰にも見つからずにたった一人でやるのは相当無理があるだろうしw)。

そのせいかどうかは分かりませんが、公開時はかなりの低評価だったようで、「密室を舞台に繰り広げられるシリアスなミステリーかと思ったのに全然違った!」とか「とんだ茶番劇だ!」などの批判も多かったらしい。

でも、この物語は「安楽死を願う大勢の人たちが集まり集団自殺を実行しようとするものの、イレギュラーな出来事をきっかけに議論し合うことで一人一人が命の大切さに気付き、最終的には誰も死なないまま解散する」という、非常にいいラストというか、何かのカウンセリング的な雰囲気を感じるというか(笑)、「思ってたのとは違うけど、これはこれでいいかもしれない」という意味では割とユニークな映画でしたよ(^.^)

 

『スター・ウォーズ』続三部作はなぜ軸がブレてしまったのか?(ネタバレあり)

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『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて、昨年末にスター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が公開され、42年におよぶ長大な物語がついに完結したわけですが、その評価は賛否両論のようですね。

個人的な感想を言うと、「全体的に展開が駆け足気味でシナリオも荒いけど、最後は何となく”いい雰囲気”で終わっているので、これはこれで悪くない」という感じでした(やはり「2つの太陽を見つめるレイの姿」にはグッと来るものがありましたねえ)。

しかしながら、続三部作(シークエル・トリロジー)全体を通して観てみると、各エピソードの連携が上手く機能しておらず一貫性も阻害され、その結果「映画の軸が完全にブレてしまっているような印象を受ける」のです。

例えば『エピソード7』(『フォースの覚醒』)の場合は、ルーク、レイア、ハン・ソロら旧三部作のキャラクターを登場させ、見覚えのあるメカや”お馴染みのストーリー展開”など旧作のテイストを存分に再現し、多くのファンを喜ばせました。

その反面、不満を抱く人も少なくなかったようで「以前のスター・ウォーズと同じだ」「新鮮味がない」などの声があったことも否定できません。中でも最大の問題は、生みの親であるジョージ・ルーカス自身が公然と『エピソード7』を批判したことでしょう。

ウォルト・ディズニー・カンパニーの会長兼CEOを務めるボブ・アイガー氏によると、「『フォースの覚醒』をジョージに見せたところ、彼は全く納得していなかった。”何一つ新しいものがない。これは僕が昔作ったものの焼き直しじゃないか。独創性が感じられず、ビジュアル的にも技術的にも特筆すべき進歩が見当たらない”と失望をあらわにしていた」とのこと。

また、チャーリー・ローズ氏がホスト役を務める米国のテレビ番組に出演した際も、「ディズニーが作ろうとしたのはレトロな映画だった。旧三部作みたいなね。でも、スター・ウォーズでは毎回、これまでとは違うものを見せるよう努力してきた。新しい宇宙船、新しいキャラクター、新しい映像表現…。そういう”革新性”こそがスター・ウォーズには最も必要なんだよ。しかし『フォースの覚醒』は懐古趣味丸出しで何の革新性もなかった。それが気に入らない」と痛烈に批判したのです。

後日、ルーカスはこの発言について「あれは失言でした。ファンの方には不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません」と謝罪したものの、恐らくこれが『フォースの覚醒』に対するルーカスの本音なのでしょう。でも、本当の問題はこの後なんです。なんと次回作のエピソード8『最後のジェダイでシリーズ史上最大の賛否両論が勃発!

『フォースの覚醒』の直後から始まる『最後のジェダイ』は、「レイが差し出したライトセーバーをルークがポイ捨てする」という衝撃的なシーンで幕を開け、レイアが生身で宇宙空間を泳いだり、ラスボスと思われたスノークがあっさり死ぬなど、観客の予想を裏切る想定外のサプライズが続出しました。

その結果、熱心なスター・ウォーズ・ファンの間では「ふざけんな!」「SWの世界観をメチャクチャにしやがって!」とか、「これはこれで面白いじゃないか」「独創的で新鮮味がある!」など、大変な論争が巻き起こったのです。

そんな中、ジョージ・ルーカスの反応はどうだったのか?というと……なんと大喜びしていたらしい(笑)。

代理人のコニー・ウェシングトン氏によれば、『最後のジェダイ』を観たルーカスは「実に見事な完成度だ!素晴らしい出来栄え(beautifully made)だよ!」と絶賛し、脚本・監督を務めたライアン・ジョンソンに対しても賛辞の言葉を直接伝えたという。

つまり(どうしてこうなったのかは分かりませんが)、『フォースの覚醒』に失望したルーカスが絶賛するほど、『最後のジェダイ』では大きく作品の方向性が変化した…ということなのでしょう。

この件に関して、批判的なファンの間ではライアン・ジョンソン監督を責める声が非常に多く、なんと脅迫状(!)まで送り付けられたそうですが、僕は「ライアン・ジョンソンだけの責任ではない」と思うんですよ。もしライアンが勝手に作品のテイストを変えようとしても、必ず制作側に止められたはずです。

実際、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のギャレス・エドワーズや、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』のフィル・ロードやクリス・ミラーなど、「制作側の意に沿わない映画を撮ろうとして撮影の途中に降板させられた監督」が何人もいますからね。

なので「ライアン・ジョンソンと制作側の見解が一致していたからこそ、降板することなく最後まで監督できた」と言えるわけで、だとすれば監督よりもむしろGOサインを出した製作会社のルーカスフィルムやディズニー、そして全体の指揮を執ったキャスリーン・ケネディらの方に大きな責任があるのではないか?と。

ただ、ここまではまだいいんですよ。「独創性がない」と批判された件を真摯に受け止め、「ならば今までにない新しいスター・ウォーズを作ってやろう!」という強い信念を持って『最後のジェダイ』で大幅な修正を試みたのであれば、それはそれで意義があると思います。

最大の問題はその後、エピソード9『スカイウォーカーの夜明け』なんです。『スカイウォーカーの夜明け』を観た人は分かると思いますが、『最後のジェダイ』で描かれていた要素をことごとく否定してるんですよね。

例えば、前作でレイの両親は「名も無き人たち」であり、彼女自身も「何者でもない」と明かされていたのに、「実はパルパティーンの孫だった!」とか。また、ジェダイではない普通の少年がフォースを使ってホウキを動かし、「誰でもフォースの素質を持っている」と示唆してたんですが、その設定もどこへいったのやら…。

さらに、フィンとキスを交わして恋愛モードになりそうだったローズは、あまりにも批判が多すぎたせいかジャージャー・ビンクス並みに出番が激減!それどころか、フィンはいつの間にか別の女の子(新キャラ)と仲良くなってるし(二人の関係はもうどうでもいいってことなのか?)。

挙句の果てに、霊体となったルークがライトセーバーを放り投げるレイに向かってジェダイの武器はもっと敬意をもって扱え」みたいなことを言うんですよ。いやいや、アンタ『最後のジェダイ』の時にライトセーバーを放り投げてたやん!どの面下げてそんなこと言ってんだよ!?

これらのシーンを見た多くのファンは「『最後のジェダイ』に対する当て付けじゃないのか?」と思ったようですが、エイブラムス監督自身は「そんなことはありません!」とキッパリ否定。でも本当はどうなのかなあ(笑)。

実は、『エピソード9』はもともと『ジュラシック・ワールド』のコリン・トレヴォロウが監督する予定だったんですが、「創造におけるビジョンが違う」との理由で降板させられたんですよね。

しかし、コリン・トレヴォロウはすでに『エピソード9』の脚本を書き上げていて、しかもレイは「何者でもない」という設定のままだったり、『最後のジェダイ』で描かれていた内容を多く引き継いだストーリーだったようです。

ところが、J.J.エイブラムス監督に交代した際にコリン・トレヴォロウの脚本は全てボツにされ、J.J.や脚本家の手によって「レイはパルパティーンの孫」などの新設定を追加した現在のストーリーに書き換えられてしまった…というわけなのです。

このため、J.J.が「ちくしょうライアンめ!」と腹を立てながら脚本を修正したせいで『スカイウォーカーの夜明け』はあんな内容になったのでは…とファンが勝手に妄想してるんですが、「自分の目指していたコンセプトとライアンの描いた物語を融合させる作業は、決して楽ではなかったけれどやりがいがあったよ」というJ.J.のコメントを見ると、あながち間違いでもないような気がします(笑)。

ただ、この大幅な変更が与えた影響は大きかったな~と。いや、僕自身はあまり『最後のジェダイ』って好きじゃないんですよ。でも、せっかく色々な新しいことにチャレンジしてたのに、『スカイウォーカーの夜明け』でまた路線を変えたら「前作でやったことは何だったんだ?」ってなるでしょう、そりゃ。

ちなみに、『スカイウォーカーの夜明け』の脚本を書く前に、J.J.エイブラムスはルーカスと密かにミーティングを行い、「スター・ウォーズの物語を完結させるために必要なアイデアを聞かせてもらった」らしい。

もともとルーカスは、ディズニーがルーカスフィルムを買収した時に「エピソード6『ジェダイの帰還』の続編」や「エピソード9までのプロット」をすでに執筆していて、ボブ・アイガー氏を含むディズニーの幹部3人は、スター・ウォーズの権利と同様にそのシナリオも購入していたそうです。

しかし、『フォースの覚醒』を作る際に「必ずしもルーカスのアイデアを使う必要はない」との判断で、結局ルーカスの書いた脚本は却下されてしまいました(打ち合わせの場でそのことを知ったルーカスは激怒したとかw)。

そういう紆余曲折を経た末に、シリーズの完結編となる『スカイウォーカーの夜明け』で再びルーカスのアイデアが使われることになったのは、ちょっと感慨深いものがありますね(J.J.エイブラムスがどれぐらいルーカスの意見を採用したのかは分かりませんが)。

ただ、それぞれのエピソードを単独で観た場合はともかく、3作品トータルのバランスが良くない…っていうのは、やはり致命的じゃないですかねえ(これだけのビッグタイトルなんだから、「最初に全てのシナリオをきっちり仕上げて3作品を同時に撮影する」ぐらいの製作体制を取ることも不可能ではなかったと思うんですが…)。

というわけで、あまりにも激しいファンの反応に製作側が恐れをなしたのか、それともジョージ・ルーカスに忖度したのか理由はよく分かりませんけど、状況としては『エピソード7』から『エピソード8』へ、そして『エピソード8』から『エピソード9』へ至る過程で何度も方針転換した結果、各章で描かれた要素が上手くリンクせず、全体の軸がブレブレになってしまったことは否めません。それが非常に残念でした。

 

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『彼女の想いで』『最臭兵器』『大砲の街』 オムニバス映画『MEMORIES』はこんなに凄いアニメだ!

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『彼女の想いで』

『彼女の想いで』


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて先日ツイッターをやっていると、いま世間を賑わせている新型コロナウイルスの話になって、そこから(どういう流れか忘れましたが)、なぜか『最臭兵器』の話題になったんですね。

『最臭兵器』とは、大友克洋が製作総指揮を務めた短編アニメの一つであり、他2つの短編アニメ(『彼女の想いで』&『大砲の街』)と合わせて、オムニバス形式の『MEMORIES(メモリーズ)』というタイトルで1995年に劇場公開されました。

そこで僕としては「昔こういうアニメがあったんですよ~」的な軽い感覚で動画をツイッターに投稿したんですが、なんとメチャクチャ拡散されて5万件以上もいいねが付いてしまったのですよ。えええ!?なんで!?

いや~、25年も前のアニメにこんなに反響が来るとは思いませんでした。ちなみに、あらすじを簡単に紹介すると「薬品の研究所に勤めていた主人公が、ある日うっかり開発中のサンプル薬を飲んでしまい、それが政府に極秘で依頼されたヤバい薬品だったため、全身から異臭を放ち始め日本中がパニックに陥る」というコメディです。

そして取り上げた映像は、自分の身に何が起きたのか全く分からない主人公が、上司の指示に従って薬品の開発資料を本社まで運ぼうとするものの、途中で異臭がどんどん激しくなってきたため、「このままでは危険だ!」と政府が判断し、陸海空すべての自衛隊を出動させ、主人公に総攻撃を食らわせる…というシーンです(ムチャクチャだなあw)。

『最臭兵器』

『最臭兵器』

このツイートに寄せられた反応を見てみると、「懐かしい!」「このアニメ大好きでした!」などの意見が非常に多く、「こんなに古い作品なのに、意外とみんな観てるんだなあ」と驚きました(中には「小学校の授業で観た」という人も4~5人いて「どういうことだ!?」と混乱しましたけどw)。

また「初めて観た」「こんなアニメが25年前に作られていたなんて…」「面白そう!」という意見も多かったですね。なるほど、確かに若い人はまだ生まれていない頃なので、知らない人もいっぱいいるでしょう。

そこで調子に乗った僕は、『MEMORIES』の最初のエピソードにあたる『彼女の想いで』もツイートしたんですよ。こっちも素晴らしい作画で見応えがありますからね。そしたらなんと、11万件以上もいいねが!うわあああ!?

『彼女の想いで』は大友克洋が描いた同名の漫画を原作とし、「2029年に宇宙でスペースデブリの回収作業をしていた作業員たちが謎の宇宙船を発見し、中へ入って調査していると次々と不思議な現象が起こり始め…」というSFサスペンスです(ちょっと怖いんですが、切なくていい物語ですよ)。

スタッフも豪華で、『AKIRA』や『魔女の宅急便』などに参加したベテラン・アニメーター:森本晃司が監督を務め、『オネアミスの翼』や『走れメロス』などの超絶技巧で”カリスマ・アニメーター”と呼称される井上俊之作画監督、『パーフェクトブルー』『千年女優』『パプリカ』などの監督として知られる今敏が脚本・レイアウト、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air』で弐号機と量産機の激闘シーンを描いた磯光雄が設定、そして『攻殻機動隊』や『人狼』など数多くの作品でリアルな描写を追求し続けている凄腕アニメーターの沖浦啓之が原画として参加しているのです(他にも巧い原画マンがゾロゾロとw)。

この映像に対しては「え?CGを一切使ってないの?」「全部手描きのセルアニメ?」「嘘でしょ!?」みたいな反応が最も多かったですね。最近はメカだけでなくキャラもCGで描くことが増えていますが、そんな中、CGを使わないオール手描き作画の緻密で自然な動きが印象的に映ったのでしょう。

『彼女の想いで』

『彼女の想いで』

そして3つ目のエピソード『大砲の街』についてもツイートで紹介しようかな…と思ったんですけど、こちらのアニメの場合はどこか特定のシーンがすごい!とかではなく、「全編23分をワンカットで描いている」という点が最大の特徴なんですよ。

まあ実写映画では、『カメラを止めるな!』の「37分ワンカット」や、現在公開中の『1917 命をかけた伝令』の「全編ワンカット撮影」など色々ありますが、アニメでこの手の長回しはあまり例がありません。なぜなら「描くのが大変だから」です。

基本的にアニメーターは1秒間に8枚~12枚ぐらいの(場合によってはもっと多い)絵を描いていて、秒数が伸びれば必然的に描く分量も増えるわけです。止まっている絵ならまだしも、動いている絵をずっと描き続けるのはさすがに至難の業でしょう。ましてや全編ワンカットなんて正気の沙汰ではありません!

当然ながら大友克洋さんがこのアイデアを提案した時、全スタッフが思いました。「そんなの、どうやってやるんだよ…?」と。この難題にチャレンジすることになったのが、後に『この世界の片隅に』で大ヒットを飛ばすことになる片渕須直さんです。

当時の片渕さんは『アリーテ姫』の制作準備のためにスタジオ4℃に出入りしてたんですが、ある日プロデューサーに呼び出され、「大友さんが全編ワンカットのアニメを作ろうとしている。ぜひ協力して欲しい」と告げられたのです。それを聞いた片淵さんは言いました。

「一体どうやって?」

こうして前代未聞の「全編ワンカットアニメ」に関わることになった片淵さんは試行錯誤するものの、当時はデジタル技術もまだ十分に普及しておらず、セルに描かれた絵を1枚ずつ撮影していたため、どう考えても実際に全編をワンカットで作ることなど不可能です。

そこで片淵さんは全体を30ぐらいのカットに分割し、それぞれの繋ぎ目が分からないようにフィルムをオプチカル合成することで「全編ワンカット(のように見える)アニメ」を作ることにしました(よく見ると「煙」や「黒バック」などを映すタイミングで場面を繋いでいる)。

とは言うものの、大友さんが描いた絵コンテはワンカット前提の描写となっており、キャラクターを追うカメラが常にあちこち動きまくり、一筋縄ではいきません。実写の場合は被写体に向けてカメラを振ればそれで済みますが、アニメの場合は撮影台を固定して絵の方を動かすため、動きが大きくなればなるほど大きな紙に絵を描かねばならないからです(あるアニメーターは紙がデカすぎて机に乗せられないため、床に置いて絵を描くはめになったらしい)。

『大砲の街』

『大砲の街』

また、カメラワークが複雑になると、それに合わせて背景も大きく描かねばなりません。なので普通のパネルに画用紙を貼っても全然面積が足りず、仕方ないからベニヤ板を買ってきて大きな画用紙を水貼りし、そこに背景を描くなど大変な苦労を強いられたそうです。

さらに長いカットを撮影するには「ライト」も問題でした。全編ワンカット(のように見える)アニメを作るためには、全シーンの明るさを統一する必要があります。しかし、撮影の途中でライトを消して、次にまたライトを点けると、厳密に同じ電流量にはならず、必ず僅かな誤差が生じます。この状態で撮影すると、ワンカットの途中で色味がパカパカと変わってしまうのですよ。

これを避けるためにはどうするか?なんと、1日の撮影が終わるとそのままライトを点けっぱなしで帰宅し、翌日またその状態から作業を再開したそうです(ただし、この方法も途中でライトが切れたら最初からやり直しになってしまうため、片淵さんは常にヒヤヒヤしていたというw)。

こうして何とか『大砲の街』を完成させた片淵さんは、その後『ちびまる子ちゃん』や『名犬ラッシー』など様々なアニメに携わり、21年後に『この世界の片隅に』で高く評価されることになったのです。

ちなみに『大砲の街』の内容は「巨大な大砲を備えた移動都市を舞台に、そこで暮らす主人公とその家族たちの姿を描いた物語」で非常にシンプルです。Amazonビデオで視聴できるので、興味がある方は『彼女の想いで』や『最臭兵器』と合わせてぜひ一度ご覧ください(^.^)

 

【衝撃の実話】『トイ・ストーリー』を作る前のピクサーは倒産寸前のヤバい会社だった!?

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映画『トイ・ストーリー』

映画『トイ・ストーリー


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

本日、金曜ロードショートイ・ストーリーが放送されます。本作は1995年に公開された世界初のフルCG長編アニメーション映画で、当時その斬新な映像表現が話題になりました。

さらに感動的なストーリーも見どころで、アカデミー賞脚本賞やオリジナル主題歌賞・作曲賞などにノミネートされ、アカデミー特別業績賞を受賞。最終的に全世界で3億6千万ドルを超える興行収入を叩き出し、フルCGアニメの素晴らしさを世間に知らしめたのです。

そして『トイ・ストーリー』を作ったアニメ制作会社のピクサーは、その後『バグズ・ライフ』や『モンスターズ・インク』などヒット作を連発し、凄まじい勢いで急成長していったわけですが、実は『トイ・ストーリー』の公開直前まで大変な経営難に陥っていたことはあまり知られていないかもしれません。

というわけで本日は、ピクサーという会社を経営的な側面から詳しく描いた『世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』という本をご紹介しますよ。

 

この本の著者であるローレンス・レビー氏は、シリコンバレーの某IT企業で最高財務責任者として働いていました。そんなローレンスのもとへ1994年11月のある日、1本の電話がかかって来たのです。その電話をとると…

 

「もしもし、スティーブ・ジョブズです」

 

ローレンスはビックリしました。当時のスティーブ・ジョブズといえば、1985年にアップルを追放された後、新会社「NeXT」を立ち上げるものの今いち業績が芳しくない…そんな状況が続いていたのです。

しかしシリコンバレーでは相変わらず有名人で、ローレンスも「あのスティーブ・ジョブズがわざわざ僕に電話をかけてくるなんて…。NeXTの経営に関する相談だろうか?」と興味を持ったそうです。ところが、スティーブの口からは思いもかけない言葉が飛び出しました。

「実は”ピクサー”という会社のことなんだけどね」

ローレンスは再びビックリしました。「え?ピクサー?聞いたこともないぞ、そんな会社…」と動揺しましたが、とにかくスティーブと話をしたかったので「なるほど、それは面白そうですね。会って詳しく教えていただけますか?」と提案。

そして電話を切った後、急いでピクサーについて調べてみると、とんでもない会社であることが判明しました。

元々ピクサーは、『スター・ウォーズ』の監督:ジョージ・ルーカスが特殊効果制作会社「ILM」の中のCGアニメ部門として立ち上げた組織で、『スタートレックII カーンの逆襲』や『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』などに携わり、CGキャラクターを作ったりしていました。

 

そして1986年、アップルを退職したスティーブ・ジョブズルーカスフィルムからこの部門を買収し、「ピクサー」と名付けて独立させたのです。

当初スティーブは、ピクサーでCG制作の専用コンピュータとそれに関連するソフトウェアを開発し、政府や企業に販売するつもりでしたが、全く売れなかったらしい。

そこで自社製品の性能をPRするために、ピクサーの社員だったジョン・ラセターたちが短編のCGアニメーションを作ることになったのです。その結果、『ルクソーJr.』や『ティン・トイ』などの優れた作品が生み出され、アカデミー短編アニメ賞を受賞するなど高く評価されたものの、残念ながら短編映画は単独では劇場公開されないため興行収入は得られません。

仕方なくCM映像制作の仕事で食いつないでいましたが、ハードも売れずソフトも売れず、さらにCGの開発には莫大なコストがかかるため、毎月毎月ピクサーは赤字を垂れ流している状態でした。

しかもその赤字の穴埋めを、なんとスティーブ・ジョブズが自腹で補填していたのだから凄すぎる!その額、トータルで5000万ドル!「これだけ突っ込んでもまだ赤字を出し続けているとは、ピクサーってなんてヤバい会社なんだ…」と驚愕するローレンス。

実際、スティーブに会って話を聞くと「ジョージ・ルーカスから買収して以来、ピクサーはほとんど利益を上げていない。だから君に何とかして欲しいんだ」と言われましたが、どう考えても現時点ではリスクしかありません。

そしてスティーブから「近いうちにピクサーを見に来てくれないか?」と言われたローレンスは「断るべきか…」と悩みましたが、家に帰って奥さんに相談すると「よく考えもせずに断るような話じゃないでしょ。もう少し検討してみたら?決めるのはそれからでも遅くないわよ」と言われ、一応ピクサーの事務所を見てみることにしました。その数日後…

「ここがピクサーか……」

当時のピクサーはローレンスの自宅から車で2時間以上もかかる辺鄙な田舎町にありました。何の変哲もない平屋建てのビルで玄関ロビーはショボく、部屋の中も暗くて小さい。おまけに駐車場も狭いときている。

「最新のコンピューター・グラフィックスを開発している会社がこれなのか…?」と事務所のドアを開けながらローレンスは思ったそうです。中へ入るとさらに悲惨で、床のカーペットは擦り切れ、壁には何の飾りも無く、照明も不足していました(だから部屋全体が暗い)。

そしてピクサーの共同創業者エド・キャットムルに話を聞くと、「現在我々はディズニーから長編アニメーションの制作を請け負い、11月の完成を目指して作業しています。しかし、ご覧の通りお金がありません。毎月スティーブから小切手をもらい、それを運用資金にあてている状態なのです」とのこと。

それを聞いて、ローレンスは絶望的な気持ちになりました。正直、ピクサーの財政状況がここまで悪いとは思っていなかったからです。キャッシュはない。引当金もない。資金はスティーブ・ジョブズのポケットマネーのみ。会社としては、まさに破綻寸前の状態と言っても過言ではありません。

ピクサーはもうダメだな…」

ローレンスがそう考えているとドアをノックする音が。エド・キャットムルの秘書が「試写室の準備が整いました」と知らせに来たのです。それを聞いてエドは立ち上がりながらローレンスに声をかけました。「じゃあ行きましょうか。いま我々が作っているものをお見せしますよ

ピクサーの試写室は小さな映画館みたいな感じで窓が無く、正面に大きなスクリーンがあり、反対側には映写機が置かれていました。そして真ん中には、どこかで拾ってきたような古いカウチやひじ掛け椅子が並べてあったそうです。

「本気で映画を作っている会社の一番大事な部屋がコレかよ…?」とローレンスが呆れていると、「毎日ここにアニメーターたちが集まって、ジョン・ラセターと一緒に出来上がった映像をチェックしています」と説明するエド

そして「これからご覧いただく作品は、シーンの全てが完成しているわけではありません。一部のキャラクターが未完成だったり光の処理が不十分だったり、時間も10分程度です。予めご了承ください」との注意を受けた後、部屋が暗くなり上映が始まりました。

それから約10分間、ローレンスはこのオンボロの試写室で、今にも倒産しそうなこの会社で、想像を絶するほどクリエイティブな、まるで魔法のように素晴らしい映像を体験することになったのです。

ウッディ、バズ、レックス、ポテトヘッド、ハム、スリンキーなど、画面に登場する様々なオモチャたちが、みんな圧倒的な実体感を持って生き生きと動いている!こんな映像見たことない!うわあああ!

上映が終わり、部屋が明るくなるとローレンスはボロい試写室のボロい椅子に座ったままでした。しかし確かに10分間、彼はどこか他の世界を体験したのです。オモチャが感情を持ち、生きている世界を。こんなものが作れるなんて、この会社には魔法使いがいるに違いない…!

ローレンスが感動で震えていると、「いかがでしたか?」とエドに尋ねられ、「いや…なんて言ったらいいんでしょう。すごいですね!こんなの見たことありません。信じられない!みんなビックリすると思いますよ。本当に素晴らしい!」と興奮して答えました。

つい10分前までは「この会社もうダメだろ」などと見切りをつけそうになっていたのに、こんな急激に考えが変わるとは(笑)。まあ、それほどピクサーの仕事ぶりがすごかったということなのでしょう。

その後、別室でジョン・ラセターと面会したローレンスは「すごかったです!ピクサーでこんな素晴らしいアニメーションが作られていたとは知りませんでした!」と絶賛し、「そういえば作品名を聞いてませんでしたね。何というタイトルなんですか?」と尋ねました。

その問いに対し、ジョン・ラセターはこう答えました。「実はまだタイトルは決まってないんですよ。ただ、我々は『トイ・ストーリー』と呼んでいます」

 

「『トイ・ストーリー』…!」

 

こうしてローレンスと『トイ・ストーリー』の長い付き合いが始まったのです。当初ピクサーに失望感を抱いていたローレンスは、あまりにも見事な『トイ・ストーリー』の映像美に魅了され、最終的に会社を辞めてピクサーに転職することを決断しました。しかしその後、様々な試練が彼を待ち受けていたのです…!

映画『トイ・ストーリー』

映画『トイ・ストーリー

というわけで、『トイ・ストーリー』をめぐる本当のエピソードはここから始まるわけです。この本は一応ビジネス書に分類されてるんですが、ローレンスの人生は非常にドラマチックで波乱万丈!映画みたいで、とても面白かったですよ。気になる方はぜひ読んでみてください(^.^)

 

スタッフ大混乱!『トイ・ストーリー2』の制作現場を襲った史上最悪の悲劇とは…?

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『トイ・ストーリー2』

トイ・ストーリー2


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

本日、金曜ロードSHOW!でトイ・ストーリー2が放送されます。本作は大ヒットCGアニメ『トイ・ストーリー』の続編として1999年に公開され、全世界で4億8000万ドル以上の興行収入を叩き出し、CGスタジオ「ピクサー」の名前をより一層世間に知らしめました。

その後、2010年には『トイ・ストーリー3』、2019年には『トイ・ストーリー4』が公開されていずれも大ヒットを記録し、改めて人気の高さを印象付けたのです。

さて、そんな『トイ・ストーリ』シリーズ、実は制作中に毎回トラブルが勃発していることでも有名で、中でも『トイ・ストーリー2』に起きた悲劇たるや、「あれほど酷いアクシデントは聞いたことがない」とハリウッド中で話題になるほど凄まじかったそうです。いったいどんな恐ろしい事故が…?

というわけで本日は、『トイ・ストーリー2』の制作中にスタッフたちを襲った「とんでもない悲劇」について書いてみますよ(^_^)


1998年のある日、ピクサーではシリーズ最新作『トイ・ストーリー2』の制作がいよいよ佳境を迎え、全スタッフが最後の調整作業に追われていました。当時、ピクサーの最高技術責任者だったオーレン・ジェイコブ氏も、ウッディのデザインについて同僚と打ち合わせをしていたそうです。

ところが…

オーレン氏がウッディのデータをチェックしていると、40個あったファイルが突然4個にまで減ってしまったのです。「え?」と驚いていると、他のファイルもオーレン氏の目の前で次々と消え始めたではありませんか!

「うわあああ!」

慌ててパソコンを操作するオーレン氏ですが、データの消失は止まりません。この端末はメインサーバーに繋がっているため、「あっちで何か異常が起きたのかも…」と考えたオーレン氏は急いでメインサーバーがあるマシンルームへ電話し、「データが消えてるぞ!どうなってるんだ!?」と問い合わせました。

しかしマシンルームの担当者も状況がわからずオロオロするばかりで、完全にパニック状態。そこでオーレン氏は「今すぐ電源を引っこ抜け!」と指示しましたが、何百台ものクライアントがサーバーに接続されているため、急に電源を切ることなど不可能です。

「一体どうすればいいんだ…」

そうこうしているうちにマスターシステムがダウンし、各CG制作者のPCも一斉にフリーズ。ここで全作業をストップせざるを得ない状況に陥ってしまいました。メインマシンは数時間後に復旧したものの、その時点で『トイ・ストーリー2』の全データのうち約90%が消失していたそうです。なんてこった…

後でわかったことですが、データ消失の原因は当時ピクサーで導入していた開発環境のLinuxで「rm(remove)コマンド」を実行したためでした。

「rm(remove)コマンド」とは、HDD内のファイルやディレクトリを削除するためのコマンドで、今回の事故ではスタッフの誰かが同プロジェクトのルートレベルでうっかり「参照しているディレクトリ以下の全てのファイルを消去するコマンド」を実行してしまったらしいのですよ。

まあ『天空の城ラピュタ』に例えると「バルス」みたいなもので、まさに”滅びの呪文”と言えるでしょう。まさかこんなにあっさり全データが吹っ飛んでしまうとは…恐ろしい!しかし、すでに映画の公開日が決まっているため嘆いている時間はありません。

オーレン氏はすぐさまピクサーのトップを集めて緊急会議を開き、今後の対応策について議論。そこで決まったのは「犯人捜しなどせず、どうやって作品を完成させるか、その方法を探すことだけに集中しよう」というものでした。気持ちを切り替え、作業に取り掛かるスタッフたち。

まず考えたのは「データの復元」です。我々が使っているパソコンでも「うっかり大切なファイルを消してしまった」というミスは良くあると思いますが、HDDから完全にデータを削除しても、専用のソフトを使えば復元できる可能性があるのですよ。

ただし、必ず復元が成功するとは限らず、場合によっては元に戻せないケースも少なくありません。今回の『トイ・ストーリー2』の場合は……残念ながら復元できなかったようです(泣)。

そこで次の手段は「バックアップ」を確認すること。こういうCG作品を作る際は、常にバックアップを取っていることが基本ですよね。そこでデータ消失から約48時間後には、バックアップからデータを復旧することに成功。「良かった~!」と思いきやなんと…

ピクサーで保存していた最新のバックアップデータは2カ月も前のもので、しかも使用しているバックアップ・ソフトウェアや検証用ソフトウェアが、エラーを適切に処理していなかったことが判明したのです(つまり全く使えない!)。

「終わった……何もかも……」

オーレン・ジェイコブ氏は膝から床に崩れ落ち、スタッフたちの間にも絶望的な空気が広がりました。「また1から全てのデータを作り直さなければならないのか…」「でも絶対に公開日には間に合わないぞ…」と。

しかし、ここで運が良いことに、1人のスタッフが自宅のPCにデータを保存していたことが判明し、データ消失の2週間前のバックアップを復旧することに成功したのです(たぶん社外へデータを持ち出すことは本当はダメなんだろうけど、この時ばかりは全員感謝していた模様w)。

そして、ここからスタッフ総出の突貫作業が開始されました。その内容は「2カ月前のデータ」と「2週間前のデータ」と「スタッフのローカルに保存されていたデータ」に共通するデータを選別し、一つ一つ目視で比較して検証すること。ぐわあああ!キツい!

約3万もあるデータを一つ一つ検証する作業は熾烈を極め、月曜日から日曜日まで全員が交代しながら続けたそうです。このデータを元にして制作チームは(完璧とまではいかないものの)ほぼ全てのデータを復旧し、ようやく「作品完成まであとわずか」という段階まで持ち直しました。

だがしかし…!

彼らの悲劇はこれだけでは終わらなかったのです。ジョン・ラセターがやって来て完成間近の『トイ・ストーリー2』を確認したところ、なんと「作り直し」の決断を下したのですよ!えええ!?せっかくここまで復旧したのに!そもそも何故、ジョン・ラセターはこのタイミングでそんな決断を?

実は『トイ・ストーリー2』は当初、劇場作品ではなく「ビデオ作品」として制作する予定でした。そこでピクサーの共同創業者エド・キャットムルは、二人のベテラン・アニメーターを監督に抜擢して『トイ・ストーリー2』の制作を任せていたのです(ジョン・ラセターは当時『バグズ・ライフ』の仕事が忙しくて関われなかった)。

しかし、初監督のアニメーターには荷が重かったのか、どうにも出来栄えが良くなかったらしい。試写室から出て来たジョン・ラセターは開口一番「大惨事だ!」と猛烈に批判。「物語は空っぽで簡単に先が読める上に緊張感がなく、ジョークも全く笑えない。こんなものをピクサーの新作として公開するわけにはいかないよ!」と猛抗議したそうです。

そこで『バグズ・ライフ』の仕事を終えたばかりのジョンが自ら脚本の修正に乗り出し、数日後には物語の見直しを完了。そしてピクサーの全社員を集めて新しくなった『トイ・ストーリー2』の内容を説明すると、みんなから拍手がわき起ったらしい(当然ながら元の監督は降板)。

ただ、問題は「本当に今から全部作り直すのか?」ということでした。この時点で公開日まで7カ月を切っており、常識的に考えればとても間に合いそうにありません。しかも、ディズニー側はこの件について特に問題視していなかったのですよ。

ジョン・ラセターが批判した最初のバージョンをディズニーの幹部たちに見せたところ、「別にいいんじゃない?出来はそんなに悪くないし、今から作り直している時間もないだろう。それに、所詮は”続編”じゃないか」と言われたそうです。それを聞いてアンドリュー・スタントンジョン・ラセターの右腕と称されたベテラン・クリエイター)は「いえ、絶対にやり直します!」とキッパリ言い切ったらしい(よっぽど悔しかったんだろうなあ…)。

なお、意外なことに当時ピクサーを所有していたスティーブ・ジョブズも『トイ・ストーリー2』の修正に賛成だったそうです(スティーブ曰く「ディズニーは”どうせ出来るわけがない”と思ってるんだろ?だったら連中をギャフンと言わせてやろうじゃないか!」)。

こうして全面的な手直しが決まった『トイ・ストーリー2』ですが、それから約6カ月間、スタッフは不眠不休の熾烈な作業を余儀なくされ、ほとんど家にも帰れず、家族の顔もろくに見ることが出来なかったそうです。

そして限界を超えて働き続けた結果、スタッフたちの疲労はどんどん蓄積され、残り数カ月となった頃には心身ともにボロボロに成り果てていました。そんなある日、疲れ切ったスタッフの一人が幼い我が子を車の後部座席に乗せて出勤(この時点で意識が朦朧としていた)。彼は途中で子供を託児所に預けるつもりだったのです。

ところが、会社に着いて仕事を始めて数時間後、奥さんから「子供が託児所にいないみたいだけど…」という電話がかかってきて、ようやく「あっ!車に乗せっぱなしだった!」と気付き、慌てて駐車場へ見に行ったら高温の車内でグッタリしている幼児の姿が…!

急いで水をかけて病院に連れて行ったおかげで、幸いにも子供は無事だったものの、もう少し遅かったら大変なことになっていたでしょう。しかも、こういう事例が一人ではなく、映画が完成した時には3分の1ものスタッフが何らかの反復性ストレス障害を発症していたというのだから恐ろしすぎる!いくら作品のためとはいえ、そんなに無理させたらアカンよ…

というわけで、想像を絶する様々なアクシデントを乗り越え、どうにかこうにか『トイ・ストーリー2』は1999年11月の公開日にギリギリで間に合い、無事に上映されました(日本では2000年3月公開)。

つまり、今我々が観ることが出来る『トイ・ストーリー2』は、1年以上かけて作ったデータが全部吹っ飛び、その後どうにか復旧させたものの、上司の「作り直せ!」の一言で再びゼロからやり直し…という紆余曲折を経てようやく完成したものだったんですね。まさかそんなに苦労していたとは…(泣)。今後『トイ・ストーリー2』を観る時は正座して観ます(^^;)



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