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日曜洋画劇場が無くなると映画業界はどうなってしまうのか?

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どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

昨日、春の番組改編に伴い「日曜洋画劇場が終了する」というニュースが流れました。これを見た多くの映画ファンからは「また一つ映画番組がなくなってしまうのか…」「残念です」等、老舗の映画番組の終了を惜しむ声が上がっているようです。


テレ朝、大型ニュース番組開始で「日曜洋画劇場」は完全消滅


近年は『バイオハザード』シリーズばっかり放送しているイメージのあった日曜洋画劇場ですが、過去には『ダイ・ハード』『ダーティハリー』『プレデター』『コマンドー』『ターミネーター』『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』などのヒット作を繰り返し放送していたので、これらの作品を「日曜洋画劇場で初めて観た」という人も多いでしょう。

ちなみに僕は、『燃えよドラゴン』『カプリコン・1』『俺たちに明日はない』『がんばれベアーズ』『ワイルドバンチ』『エアポート'75』『スペースバンパイア』『特攻野郎Aチーム』『ゼイリブ』『007/ゴールドフィンガー』『ヒドゥン』『猿の惑星』などを日曜洋画劇場で初めて観ました(リアルタイムでは観られず、ビデオもなかった時代なので)。

余談ですけど、テレビで映画を放送する時って、昔は映画解説者が登場して「映画の見どころ」や「面白ポイント」をわかりやすく説明してくれてたんですよね。淀川長治さん、荻昌弘さん、水野晴郎さん、高島忠夫さん、木村奈保子さんなど、それぞれが独特の口調で語る映画解説は、非常に味わい深いものがありました(^_^)

さて、1966年のスタート以来、50年以上も続いてきた日曜洋画劇場がついに終焉を迎えるわけですが、ここで僕が危惧しているのは、「慣れ親しんだ長寿番組が終わってしまうことの寂しさ」も当然あるんですけど、それ以上に、「映画業界が受けるダメージ」の方が問題なんじゃないか?という点なのですよ。

1980年代にレンタルビデオが登場して以降、それまでは映画館で観るか、あるいは日曜洋画劇場のようなテレビ番組で観るしか方法がなかった不自由な時代は終わり、「好きな映画を借りて来て自由に鑑賞する」という新たなライフスタイルが定着しました。

さらに近年は、Netflix、Hulu、Amazonプライムビデオ、dTVなどの”動画配信サービス”が次々と誕生し、「定額で映画が観放題」という、映画好きにとっては非常に便利な環境が当たり前になりつつあります(レンタル屋もゲオチャンネルやTSUTAYA DISCASなどで参入)。

こういう状況に対して、「もうテレビで映画を放送する必要性がないんだよ」「今はネットで簡単に映画の情報が手に入るし、レンタルや動画配信サービスでいくらでも映画を観ることが出来る」「だから映画番組が消えても全く問題ないし、何の影響もない」みたいな意見を見かけたんですけど、果たしてそうでしょうか?

確かに今は「映画を観るのに便利な環境」が整っていて、”映画ファン”にとっては問題ないかもしれません。しかし、ネットにアクセスして自分から映画の情報を得ようとする人は、元々”映画に興味を持っている人”であり、映画に興味が無い人はそんなことしませんよね?。

NetflixやHuluも同様で、「たくさん映画を観たい人」=「映画好き」だけが契約しているのであって、映画に興味が無い人や、ましてや小さい子供が契約することはないわけです。つまり今の環境はあくまでも「大人の映画ファンにとって便利な環境」でしかないんですよ。

それに対して、テレビで放送される映画はどうなのかっていうと、「たまたまテレビを付けたらやっていた」という経験は誰でもあると思いますが、映画に興味がある人も無い人も年齢も性別も関係なく、不特定多数の人にとって有効なコンテンツなんです(しかもタダで)。

振り返ってみると、1970年代〜90年代頃はテレビ朝日系列の「日曜洋画劇場」、TBS系列の「月曜ロードショー」、日本テレビ系列の「水曜ロードショー(現在は金曜ロードSHOW!)」、フジテレビ系列の「ゴールデン洋画劇場(現在は土曜プレミアム)」、テレビ東京の「木曜洋画劇場」など、各テレビ局によって毎日のように世界の名作がお茶の間へ届けられていました。

当時の子供たちはそういう番組を通じて、アクションやSFやホラーやサスペンスや西部劇や感動的な人間ドラマなど、様々な映画に接することが出来たのです。ここで重要なのは、「自分が知らない映画も勝手に放送してくれる」という点なんですよ。

例えば、もし将来的にテレビの映画番組が全て無くなったとしても、興味がない人は特に困らないし、映画を観たくなったら近所のレンタル屋へ行けばいつでも観ることが出来ます。しかし、そのためには自分で映画を選ばなくてはならないわけで、「偶然知らない映画を観る可能性」はほぼ無くなってしまうんですよ(お金もかかるし)。

確かに今はSNSも発達しているし、情報を得ることに関しては昔よりも圧倒的に容易でしょう。でも、「たまたまテレビでやってる映画を観たら意外と面白かった」という”予期せぬ出会い”みたいなものは確実に減ると思うんです。それは結構、重要なんじゃないかなあ。

あと、「テレビで映画を放送しなくなっても、映画を観る人の総数は変わらないだろう」って人がいるんだけど、いや〜、そうかな〜?子供の頃からテレビで映画を観る経験をしている人は、大人になっても映画を観るわけで、それは”習慣”になってるからなんですよね。

一方、子供の頃に映画を観る経験をしていない人は(全く観ないわけじゃないだろうけど)大人になってからも映画を観る頻度が急に増えたりしません。なぜなら、映画以外の面白い娯楽がいっぱいあるから。つまり、映画を観る必要性を感じてないわけで、そういう人がどんどん増えると、将来的には映画人口が減少していくんじゃないかと(少なくとも増加する要因は見当たらない)。もしそうなったら、映画業界的には厳しい状況になっていくんじゃないかなあ。

というわけで、日曜洋画劇場が終わってしまうのは時代の流れとして仕方がないことなのかもしれませんが、テレビで全く映画を放送しなくなると、もともと映画を観ない人はますます観なくなると思うんですよね。だって映画を観なくても全然困らないんだから(笑)。「金曜ロードSHOW!」と「午後のロードショー」、頑張って〜!

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※追記

今回の記事に対していくつかご意見を頂戴したので、追記にてご返答させていただきます(元の意見はTwitterで来たため、一応、こちらでコメント内容を要約していますが、そのまま載せてもOKであればそのまま載せます)。


●昔は受動的に映画を受け取る機会は多かったが、いざ能動的に趣味化しようとするには大きなハードルが合った。現在は受動的に映画を受け取る機会は減ったが、入口を過ぎればハードルが低い。

要は「テレビで映画を放送していた時代は作品を観るのは簡単だけど、好きな作品の情報を得るのに苦労した。しかし今は、テレビで映画に触れるきっかけが減った反面、情報を得ようと思えばいくらでも手に入る」ということですね。「だからTVで映画を放送しなくなっても変化はない」と。

これ、ほぼ同意見なんですが、「入口を過ぎればハードルが低い」って部分に関しては「そもそも最初の機会が減ること自体が問題じゃないの?」というのが僕の見解なんですよ。まずはそこ(最初のきっかけ)を突破しなければ話にならないだろうと。

テレビで毎日のように映画を放送していた時代は、少なくとも映画に接する機会だけは豊富にありました。その時点ではまだ映画ファンではないかもしれないけれど、最初に種さえまいておけば、多少環境が厳しくても植物は生えてきます(将来の映画ファンが育っていく)。でも、いくら環境が良くなっても、種をまかなきゃ何も生えませんからね。つまり、家庭の中で日常的に映画に接する機会があるかどうかがポイントなんです。


●ネットの口コミや友達経由で何か1つの作品から“新たに興味を持った”人も無数にいるはず。

その”最初のきっかけ”として、「今はSNSが発達してるんだから、口コミでも友達経由で映画に接する機会はたくさんあるはずだ」とのことですが、むしろ”情報が多すぎるんじゃないの?”と思うんですよ。「現在は受動的に映画を受け取る機会は減った」と仰っているように、今は”能動的に”受けとらなければならないからです。

つまり、大量に溢れ返る情報の中から、自分が必要とする情報を自ら選別しなければならないわけです。もちろんキュレーションサイトとか、ネットを有効に活用すれば選別にかかる手間を大きく減らすことは可能でしょう。でも、口コミで「○○○という映画が面白いらしい」という情報を知ったとしても、そこから映画本編へアクセスするまでに、さらにもうワンステップ必要なんですよ。

それに比べてテレビの洋画劇場の場合は、「へー、こんな映画があったのか」という新情報と映画本編が同時に入手できますからね。「ダイレクトに本編が観られる」という点において、TV放送の方が圧倒的に優位でしょう。さらに、ネットには「”映画以外の面白そうな情報”が多すぎて、映画に対する興味が逆に薄れてしまう」というネガティブな可能性が潜んでいるのではないかと。


●80年代〜00年代前半はTVが暇潰しツールの一強だった。しかし今の世代は動画サイト、SNS、友達とラインとかいくらでも時間を潰す先がある。

全く同意見です。だからこそ、ネットによって映画自体への興味が薄れている(もしくは”娯楽としての映画の地位”が相対的に下がっている)とは考えられませんかね?ネットによって若い世代が映画に触れる機会は確かに広がったかもしれないけれど、同時にその世代にとって映画の重要度は下がっていると。面白そうな娯楽が次々と現れている状況の中で、それでも「新たに(映画に)興味を持つ人は無数にいるはずだ」というのは、ちょっと楽観視しすぎじゃないかなあ。だって「時間を潰す先」はいくらでもあるんでしょ?


●時間とともに各メディアのもつ役割とポジションはガンガン変わりつづけてるのに、それを考慮せずに80年代と同じ姿を維持するように求めてもあまり意味がない

仰る通りだと思います。ただ僕は「TVで映画を放送することの意義が完全に無くなった」とは思ってなくて、コンテンツの内容次第では「まだイケルんじゃないの?」と考えています。先日放送された『アナと雪の女王』も19.7%の高視聴率だったし(まあ、別の意味で話題になりましたがw)。

例えば「金曜ロードショー」で『天空の城ラピュタ』を放送する際の「バルス祭り」みたいな感じで、SNSと連動した面白い仕掛けを展開できれば、ある程度の盛り上がりは見込めるんじゃないのかなと(各テレビ局も試行錯誤してるみたいですが)。

あともう一つ、「時間とともに各メディアのもつ役割とポジションはガンガン変わりつづけてる」のは確かにその通りだと思いますけど、「ユーザーに対する直接的な訴求力」という面においては、まだまだTVの優位性は揺るがないんじゃないでしょうか(あくまでも”今のところは”という意味で)。


●TVの洋画劇場は、今の若い世代に対してはもう機能しなくなった(観る人が激減したからこそ打ち切られた)。今あるツールを利用した新しい映画ファン育成の窓口を考えるべき。映画を次代に繋げるためにも。

まあ、「観る人が激減したから云々」は確かにそういうことでしょうねえ。ただ、「今の若い世代はテレビで映画なんて観ない」「だから放送しても無駄だ」というのであれば、放送しなくなったらますます観なくなるだけのような気が…(それとも、最近の小学生はみんなスマホで映画を観てるんですかね?)。結局、「新しい映画ファン育成の窓口」が存在しない状態である以上、「TVで映画を放送する」以外の画期的な方法が生まれれば速やかにそちらへ移行すれば良い、というだけの話だと思います。

念のために言っておきますけど、僕は別に「TVの映画枠は今後もずっと存続させるべきだ!」などと主張してるわけじゃないんですよ。ただ、現状では代案がないから、「それなら残しておいてもいいんじゃないの?」という認識なんです。誤解無きように。


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