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Channel: ひたすら映画を観まくるブログ
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映画『ズートピア』に仕組まれた10の娯楽要素がすごすぎる!

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■あらすじ『幼い頃から警官になることを夢見ていたジュディは、懸命な努力を続けた結果、動物たちの楽園「ズートピア」で、史上初のウサギの警察官となった。しかし周囲は「小さなウサギに務まるはずがない」と半人前扱い。そんな時、謎の連続行方不明事件が発生し、ついにジュディにも捜査のチャンスが巡ってくる。しかし与えられた時間はたったの2日間。しかも失敗すればクビという厳しい条件が課されてしまった。そこでジュディは、この街をよく知るキツネのニックに協力を依頼、2人で少しずつ事件の核心へと迫っていくが、そこには驚くべき真相が隠されていた!「アナと雪の女王」や「ベイマックス」のディズニーが贈る夢と感動のアドベンチャー・ファンタジー・アニメーション!』

※今回の記事にはネタバレがあります。未見の方はご注意ください。

どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

激しく”今さら感”が漂いますけど(笑)、ようやく『ズートピア』を観賞しました。本作は今年のゴールデンウィーク・シーズンに日本で公開され、興収76億円の大ヒットを記録。その時点では、2016年の映画の中でナンバーワンを記録していたのですよ(『君の名は。』に抜かれてしまいましたがw)。

それほどの人気作にもかかわらず、どうして観なかったのか?と言うと、「動物たちが人間のように立って喋って生活しているアニメ」と聞いて、「ああ、完全に子供向けのディズニー映画だな」と思い込み、あまり興味が湧かなかったんですよね。

いや、ディズニー映画自体は好きなんですよ。『アナと雪の女王』や『ベイマックス』も映画館へ観に行きましたから。でも今回は「オール動物キャラ」ということで、1994年の『ライオン・キング』みたいな世界観を想像し、「さすがにちょっと子供向け過ぎるかな〜」と。

そんな理由で敬遠してたんですけど、想像を遥かに超える面白さにビックリ仰天!「まあ、単純明快なファミリー・アニメだし、どうせ大したことないだろう」と見くびっていた自分を叱責したいほどの素晴らしい完成度で、本当に驚きました。

では『ズートピア』の何がそんなに面白かったのか?それは、この映画が「複数の娯楽要素をぶち込んだ極めて質の高いエンターテインメント作品である」という点なのです。いや〜、実に凄い!普通、こういう映画の場合、娯楽要素的にはせいぜい2つか3つぐらいなのに、本作は少なくとも以下の10個の要素が入ってるんですよ。


(1)擬人化した動物たちが活躍する愉快で楽しいファンタジー・アニメーション

(2)夢を抱いて都会へやって来た少女が、懸命に努力して成功を掴むサクセス・ストーリー

(3)即席コンビが協力して難事件を解決するバディ・ムービー

(4)真犯人は誰だ?主人公が謎の凶悪犯罪に挑むクライム・ミステリー

(5)現代社会における偏見や差別の問題を鋭く描いた社会派ドラマ

(6)各動物の特徴を生かした個性的なギャグが面白いハートフル・コメディ

(7)様々な映画ネタを取り入れたパロディ映画

(8)架空の街「ズートピア」を舞台に繰り広げられるアクション・アドベンチャー

(9)身近な人(動物)が突然凶暴になって襲いかかって来るサスペンス・ホラー

(10)偶然出会った男女が行動を共にするうちに特別な感情が芽生えていく恋愛物語


もちろん、これらの要素が均等に入っているわけではなく、ベースはあくまでも動物を主人公にしたファンタジー映画です。しかし、一つの作品の中に様々な要素をぶち込みつつ、それらを違和感なく成立させることは容易ではありません。

しかも、このような複数のカテゴリーをわずか108分という限られた上映時間の中できっちり描き切っているのがまた凄い!ディズニー・アニメの底力を思い知らされました。では、いったい『ズートピア』はどのような構成になっているのか?具体的に見てみましょう。


●ファンタジー・アニメ要素

この映画の根幹を成すパートであり、「喋る動物たち」というディズニーお得意のジャンルでもあります。だから僕も最初は「良くあるファミリーアニメか」と油断してたんですが、中身は恐ろしいほどにハイレベルな超絶ファンタジーでした(笑)。

もちろん、普通にファミリーアニメとして観ても十分楽しめるんですけど、本作が『ライオン・キング』など他の動物アニメと異なっているのは、「動物アニメの疑問に自ら突っ込みを入れるメタ的な視点を持っている」という点なのです。

例えば、動物アニメで良く見るこういうシーンも…↓

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現実ではこうなるはずです(笑)↓

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このような「肉食動物と草食動物が仲良く共存する世界の疑問点」について自ら突っ込み、それ自体をネタにして映画を作ってしまうという発想が素晴らしい。しかも、今まで散々そういう動物アニメを作ってきたディズニーが(笑)。いや〜、”ファンタジー”に対するアプローチも、どんどん斬新になってますねえ(^_^;)

●サクセス・ストーリー要素

物語の冒頭から序盤にかけて、主人公のジュディが警察官に憧れる様子や、厳しい訓練を経てようやく試験に合格する場面などが描かれます。そして、住み慣れた田舎町を出て大都会「ズートピア」で働き始めたものの、夢と現実のギャップに悩む日々…。

この辺の展開はほぼ宮崎駿監督の『魔女の宅急便』テイストで、「落ち込んだりもしたけれど、私は元気です」をそのまま映像化したような感じ(笑)。中盤から終盤にかけては別の要素も入ってきますが、最終的には彼女の成長と成功を描いたサクセス・ストーリーとなっています。

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●バディ・ムービー要素

ようやく行方不明者の捜索を任されたジュディ。しかし、期限は48時間!そこで彼女は詐欺師のニックに協力を依頼し、二人で難事件に挑みます。典型的なバディ・ムービーの流れであり、ウォルター・ヒル監督の『48時間』を意識していることは間違いないでしょう(ジュディとニックって名前も、エディ・マーフィとニック・ノルティから採ったのかな?)。

●クライム・ミステリー要素

最初は「単なる行方不明者捜し」と思っていると、次第に状況が怪しくなり、やがて「何者かが仕組んだ犯罪計画」ということが分かってきます。いったい真犯人は誰なのか?わざかな手掛かりをもとに事件の謎を解き明かすミステリーとしても秀逸な本作。ラストの「黒幕はお前だったのか!?」というサプライズも含め、非常にオーソドックスな展開で楽しめました。


●社会派ドラマ要素

本作における最大の特徴は、「偏見や差別などから起きる社会問題を堂々と描いている」という点でしょう。もちろん、過去にもそういう映画はありましたが、子供が観るファミリーアニメで、こういうセンシティブな問題をここまで分かりやすく伝えていることに驚きを禁じ得ません。

すでに多くの映画評論家や映画サイトなどがこの件について検証しているため、今回は詳しい説明は省きますけど、可愛らしい動物キャラを使って道徳的なテーマを丁寧に描いてみせた『ズートピア』は、アニメーションとしても、そして映画史的にも非常に価値がある作品だと思います。


●ハートフル・コメディ要素

「ハートフル」なのはあくまでも映画全般の雰囲気であり、本作で繰り広げられる「笑い」は結構シニカルで風刺が効いています。例えば、レミングス達が務めている「レミングス・ブラザーズ」は、明らかに金融破たんしたリーマン・ブラザーズを意味しており、レミングスの習性になぞらえて揶揄してるんですね。

他にも、免許センターの職員が全員「ナマケモノ」で、待合所にもの凄い行列が出来ているという場面は、「実際の役所も仕事が遅くて大勢の市民を待たせている」という現実世界の状況を皮肉っている等、動物の特徴を生かしたギャグがどれも面白くて秀逸でした。

なお、ニックが狼たちを見て「あいつらすぐに遠吠えするよな」というシーンがあるんですけど、家で『ズートピア』のDVDを観ていたら、飼っている犬が「狼たちの遠吠えシーン」に反応して一緒に遠吠えを始めてしまう、という動画が面白かったので貼っておきます(笑)。

●パロディ映画要素

『ズートピア』には、実に様々な映画やドラマのパロディが仕込まれています。分かりやすい例を挙げると、ネズミのマフィア「ミスター・ビッグ」の元ネタはフランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』。防護マスクを被った羊のドグは『ブレイキング・バッド』。

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また、警察署のボゴ署長がジュディに説教するシーンで、「人生は簡単に夢が叶うミュージカルのアニメとは違うんだ!」と言ったり、「Let it go」というフレーズや「ハンス」という名前のケーキ屋さんが出てくるなど(ハンス王子のこと)、『アナと雪の女王』のパロディが非常に多い。

その他、道端で売られている海賊版DVD(ディズニー・アニメでこんなギャグをやっていいの?w)のタイトルも全て映画のパロディになっていたり、細かい所まで小ネタが満載!ちなみに、『Pig Hero 6』っていうのは『ベイマックス(Big Hero 6)』のパロディなんだけど、パッケージを見て『紅の豚』かと思いました(笑)。

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●アクション・アドベンチャー要素

泥棒イタチを追いかけて街中を爆走したり、ブラックジャガーに追いかけられて森の中を逃げ回ったり、猛スピードで電車を走らせながら悪党たちと戦ったり、適度なアクションシーンが散りばめられた本作。特に、キアヌ・リーブスの『スピード』を彷彿させるようなクライマックスの電車アクションが良かったです。

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●サスペンス・ホラー要素

登場するキャラが動物ばかりなので気付かないかもしれませんが、良く考えるとこの映画ってかなり怖いんですよ。「身近にいる人たちが急に凶暴になって自分に襲いかかって来たら…」と想像してみてください。それって『ドーン・オブ・ザ・デッド』や『28日後…』みたいな状況じゃないですか?

まあ、噛まれたら感染するってわけじゃありませんが、ジュディとニックがブラックジャガーのマンチャスに話を聞きに行って襲われる場面は、「さっきまで普通に会話していた人が突然怪物化する」という、ホラー映画にありがちなシチュエーションを上手く取り入れていました。

●恋愛物語要素

”恋愛”と書きましたが、正確に言うとジュディとニックの関係性は”友情”に近いと思うんですよね。ただ、キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックが主演した映画『スピード』でも、電車を暴走させている時点の二人はまだ恋人同士ではないけれど、その後、恋人になりそうな予感を示しつつ終わってるんですよ。

なので本作でも、そういう雰囲気を漂わせつつ物語を締めくくっているところが、逆に恋愛の可能性を示唆しているようで良かったなと(「俺のこと本当は好きなんだろ?」というニックの問いかけに、ジュディは否定も肯定もしていない…というか、むしろ肯定している)。

あと、公式がこういう動画(↓)を公開していることからも、今後の展開次第で二人が恋愛関係に発展するのでは…と思わなくもありません。いずれにしても、これだけ面白い映画ならぜひ続編を作って欲しいですね(^_^)


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