本日、お昼の生放送番組『バイキング』の中で、漫画家の江川達也さんが大ヒット公開中の『君の名は。』を思い切り批判するというハプニング(?)が起こり、スポーツニッポンやサンケイスポーツなどのネットニュースに掲載され、話題になっているようです。
番組では坂上忍さんの他、タレントの泰葉さん、漫画家の江川さん、コメンテーターの岸博幸さん、司会進行役のフットボールアワーの後藤さんなどが、最近世間を賑わせているニュースを取り上げ、様々なトークを繰り広げていました。
そして、新海誠監督の『君の名は。』が大ヒットしている現象について各人に意見を求めた際、他のゲストが「いい映画だった」と絶賛しているのに、なぜか突然、江川さんだけが「薄っぺらい映画だよな〜」と批判し始めたので大騒ぎに(笑)。以下、その時の会話を書き起こしてみました。
江川:「まあ確かに、こりゃ売れるなとは思いましたよ。丁寧に売れる要素をぶち込んでて、まあ言ってみりゃ”大人のドラえもん”みたいなもんでね」
坂上:「ちょっと待って。何でそんなに不満げな言い方なの?」
江川:「いや〜、だってプロから見ると全然面白くないんですよ(笑)。作り手側から見ると作家性が薄くて、売れる要素ばっかりぶち込んでる、ちょっと軽いライトな映画って感じで。絶賛してる人はいるんだけど、そういう人が、面白くなかったという人に対して凄いディスってるんですよ。”みんな観なきゃダメだよ!”とか言って。だからある種、『君の名は。』はファシズム映画なんですよね」
岸:「私は新海監督をデビューの頃からずっと知ってるんですが、その観点から言うと、実はアニメ業界の大御所の方も、江川さんの意見に近くて、”あれは映画じゃなくてミュージック・クリップだよな”って。でも実は、これが大事なポイントで、新海さんってすごく賢い方ですから、世の中のそういう傾向を分かった上で、ああいう映画にしたんです。もともと映画っていうのは、本来はじっくり観て考えるもの、それが映画だったんですけど、今の時代って、特にスマホ世代はサラっと見て気持ち良くなるのが好きで、まさにそういう嗜好に合わせてあるんですよ」
後藤:「なるほど、ちゃんと時代の風潮に合わせていけるというね」
江川:「ただ、それもプロデューサーが良く出来たものを作ってるんですよ、商売として」
坂上:「でもこれ、130億っていうのは異常な数字ですよ。それこそ、宮崎さんの映画みたいに、テレビ局と組んでデカい金で宣伝をバーンと入れたとか、そういうことではないじゃない。それは凄いことじゃないですか?」
江川:「まあ今はSNS時代で、口コミで広がった新しいタイプの宣伝方式だったとは思いますけどね」
岸:「この映画、最終的には200億超えると思うんですよ。凄いヒットですけど、じゃあ何でそれが出来たんだろうって考えると、新海さんは背景とか世界観を描くのは素晴らしい方なんですよ。それで、デビュー作とか初期のアニメでは彼が自分で絵を描いてたんだけど、主人公の顔とかに関しては背景ほど素晴らしくはなかった。それが今回、主人公などの絵は元ジブリのスタッフが描いてるんです。だから、登場人物は凄くジブリ的で魅力的な感じで、さらに背景は今までの新海さんの世界観や背景だから、当然その組み合わせは素晴らしいものになるわけですよね」
アナウンサー、『君の名は。』のあらすじを説明(中略)
坂上:「これ、要するに大林監督の『転校生』みたいなもんなの?」
江川:「そう。なのに、エロ度が少ないんですよ!」
坂上:「いや、エロは別に必要ないでしょ?」
江川:「でも、リアルを追及すれば、若い女の子と入れ替わったら、やるべきことがあるじゃないですか、男としては(笑)」
坂上:「そこのリアリズムは求めてないんだよ!」
(中略)
岸:「新海監督の世界観って、基本的にはワンパターンなんですよ。だから、デビュー作からそんなに変わってないんですよね。で、実際、彼の前作は興行収入1.5億円ぐらいなんです。今回の100分の1なわけですよ。まあ今回の大ヒットは東宝もびっくりしたぐらいですから、色んな偶然はあったにせよ、ヒットしたのは素晴らしいことですよね」
坂上:「この監督さんって、結構、魅力的な人だよね」
アナウンサー:「そんな新海監督なんですが、今回の大ヒットに対してこのようにコメントしているそうです」
少し困ったことになったな。今回の作品がヒットしているのはたまたまだ
後藤:「監督自身も驚いている状態?」
江川:「要は、こんだけヒットしちゃったから、次も絶対ヒットするだろうって期待がかかちゃって、ヒットさせなきゃってプレッシャーで結局好きなもん作れなくなる…ってことでしょコレ?」
坂上:「これは、今後が大変っていうか…」
江川:「そう、これぐらいのヒットを…お金を期待されちゃう」
岩尾:「でも、次の作品が、また100分の1に戻るってことはもうないですよね?ファンも増えたし…」
江川:「いや、でも逆に次をまた観たいと思って行った時、そこで作家性を出すと、皆がケチョンケチョンに貶すかも」
坂上:「まあ批判の対象になってからが勝負ですよね。賛否は絶対にあるから」
というわけでこの後、番組内では全然別の話題に移っていったんですけど、CM明けに神妙な顔つきのアナウンサーから「あの〜、先ほど『君の名は。』の話をしていましたが、新海誠監督がツイッターを更新されてまして…」と報告があり、出演者一堂「えええ〜?」とびっくり。そのツイートがこちら↓
おお、テレビをつけたらいろいろ苦言をいただいてる!「モデルの公園」というのは完全なる事実無根なんですが笑、ともあれご迷惑おかけしている方には申し訳ないです。 pic.twitter.com/lVp3jq9Zk2
— 新海誠 (@shinkaimakoto) 2016年10月6日
どうやら、本日の『バイキング』を新海監督が見ていたらしいのですが、これに対して江川さんは、「いや〜、実はフェイスブックにも結構(『君の名は。』の批判を)書いてて、ファンからディスられてるんですよね俺(笑)」と嬉しそうに笑っていました。う〜ん、自分の発言をあまり気にしてないのかなあ(^_^;)
なお、そんな江川さんの様子を見た漫画家の奥浩哉さんが痛烈な一言を…↓
この人、なんのプロなんだろう… https://t.co/J0Nks5kozY
— 奥 浩哉 (@hiroya_oku) 2016年10月6日
うわー、きっつー(笑)。これはなかなか厳しいコメントですねえ。まあ、江川さんの「『君の名は。』は全然面白くない」発言は、一人の観客の感想としては何の問題もないと思います。ただ、「プロから見て…」という言い方をされると、まるでプロの意見を代表しているように聞こえてしまうし、「そもそも何のプロなんだ?」と。
もちろん、江川さんはプロの漫画家なんですが、過去に、下描き状態の未完成の原稿を雑誌に載せてファンから猛烈に非難されたり、その一方で、テレビに出演しては他のクリエイターが作った作品を批判したり、「ちょっとどうなんだろう?」と思うような行動が多いことから、同業者の漫画家さん達にも嫌われているようです。そういうところが問題なのかなあ。
いえ、江川達也先生は、もはやそういう問題じゃなくて、なんらかのご病気ではないかと。https://t.co/U9ybjHCxiv @kawarayaata
— 町山智浩・告知用 (@TomoMachi) 2016年10月6日
う〜む、色々と闇が深そうですね(^_^;)