どうも、管理人のタイプ・あ~るです。
さて本日、金曜ロードショーで『るろうに剣心 伝説の最期編』が放映されます。
2012年に公開されるや全国で大ヒットを記録した実写映画版『るろうに剣心』は、わずか5日間で42万人の観客動員を達成。最終的には30億円以上の好成績を上げ、フィリピン・台湾・シンガポールでも日本映画歴代No.1ヒットを樹立!
続編となる『京都大火編』では、佐藤健、武井咲、蒼井優、青木崇高、江口洋介ら前作のオリジナルキャストに加え、藤原竜也、伊勢谷友介、神木隆之介、土屋太鳳、田中泯、高橋メアリージュンなど、新キャストが多数参戦。しかも前後2部作で同時撮影!
そして2014年、『京都大火編』と『伝説の最期編』が連続で公開され、1作目を上回る凄まじいアクションが観客のド肝を抜きまくり、2作品合わせて97億円の興行収入を叩き出しました。というわけで、本日は『るろうに剣心 伝説の最期編』のアクションシーンについて解説してみますよ。
●剣心と比古清十郎
映画の序盤、師匠である比古清十郎と15年ぶりに再会した剣心は、志々雄を倒すために「飛天御剣流の奥義を会得したい」と懇願。そこで比古清十郎が剣心を特訓するわけですが、比古清十郎役の福山雅治さんはこのシーンをリアルに演じるために撮影の2ヵ月前から練習を続けていたそうです。
地方でコンサートがある際も常に木刀を持って行き、ホテルの部屋で毎日素振りをしていたらしく、アクション監督の谷垣健治さんも「清十郎が鬼気迫る目で刀を振る姿の本気度が素晴らしい!」と絶賛。
また、比古清十郎のアクションには福山さんが考えた”動き”もいくつか入っているようで、刀で剣心の顔をグイッと持ち上げる仕草や、”九頭龍閃”を繰り出す前の構えも福山さんのアイデアだとか。
そういうアドリブ的な動きを取り入れることによって、比古清十郎のキャラクターに説得力を与えたんですね(剣心に蹴りを入れる時の「アチョー!」という掛け声も福山さんのアドリブ)。
ちなみに、この特訓シーンを滋賀県の比叡山にある安楽律院で撮影していたら途中で雨が降って来ました。普通なら一旦中止になるはずですが、スケジュールが押していたためなんとそのまま撮影続行!こうして「雨の中でずぶ濡れになりながら特訓するシーン」が生まれたらしい。
●剣心と四乃森蒼紫
隠密御庭番衆の御頭:四乃森蒼紫との対決シーンは殺陣の手数があまりにも多くて(400手以上ある)、演じた伊勢谷友介さんも「大変な撮影になるだろうなと思っていたが、練習を始めたらその大変さは想像を超えていた」とコメント。
原作の四乃森蒼紫は2本の小太刀を使った「御庭番式小太刀二刀流」の使い手ですが、これを実際にやるのは本当に大変で、二刀流でありながら途中で片方の刀を木に突き立てたまま1本で攻撃したり再び二刀流に戻ったり、戦い方がもの凄く複雑なのです(しかも刀の長さが違う)。
アクション監督の谷垣さん曰く、「適当に刀を取り換えているわけじゃなくて、将棋で相手を追い詰めるように常に先を読みながら戦っている」「だから宗次郎とは違う意味で剣心にとっては怖い相手だ」とのこと。
一方、剣心の方も技がどんどん激しくなっていき、龍翔閃で蒼紫を突き上げて地面に叩き付け、そこから龍槌閃、最後に九頭龍閃を食らわせるなど必殺技のオンパレード!谷垣さんは「さすがにやり過ぎか?」と思ったらしいのですが、大友啓史監督は「もっとやろう!」とノリノリだったそうです(笑)。
●剣心と警官隊
大友監督から「長回しも見てみたい」との要望があり、多数の警官の攻撃をかわしまくる剣心の姿をワンカットで撮っています(本編は編集でカットを割っていますが)。
ただ「師匠との修行を経て強くなった剣心が大勢の警官隊を軽くいなす」という、素早い動きではあるものの、他のシーンに比べるとそこまで難易度の高いカットではありません。
しかも「クランクインから5日目」というかなり序盤に撮ったシーンで脚本を読んだスタッフは「まぁ2~3時間で撮れるだろう」と思っていたようですが、実際は丸2日間かかったらしい。
谷垣さんは「こういう何でもないシーンを流さずにちゃんと撮るということが実は大事なんです」と語っており、「今回新しく参加したスタッフにも”この現場はこうなのか”と分かってもらえて良かった」とのこと。
●斎藤一と志々雄一派
剣心が海岸で斬首刑になる寸前、斎藤一が現れ志々雄勢と交戦するシーンは、神奈川県の三浦半島「黒崎の鼻」で撮影されました。このシーンの見どころは、何と言っても斎藤一の「牙突」でしょう。
前作の『京都大火編』ではオープニングで牙突の構えをとっただけで、牙突は出なかったんですよね(谷垣さん曰く、「あそこで牙突を出すと話が終わってしまうから」とのこと)。なので本作でようやく牙突が炸裂!
足場が砂地で動きにくく、しかもワイヤーも使えないという悪条件にもかかわらず、江口洋介さんは見事に牙突を決めました(西日が当たって輝く牙突がカッコいい!)。
●剣心と瀬田宗次郎
前作『京都大火編』で逆刃刀を折られてしまった剣心が瀬田宗次郎にリベンジを果たすシーン。佐藤健さんと神木隆之介さんはプライベートでも仲が良く、本作のために長期間に渡って殺陣を練習していました。
そのため『京都大火編』でも息の合った見事なチャンバラを見せていましたが、神木さんによると「あれはまだ準備運動だから…」とのことで物足りなさが残ったそうです。その言葉通り、『伝説の最期編』では前作以上のもの凄いアクションが炸裂!
走る・飛ぶ・斬るなどの動きに加え、刀を振り回しながら相手の膝を崩して上から殴るなど、従来のチャンバラの概念を覆すような見たこともない攻防戦を繰り広げています(谷垣さん曰く「刀の戦いと言えば今までは全て”立ち技”だったが、今回はグラウンドも含めたバトルにしたかった」とのこと)。
さらに動き自体も凄まじいスピードで、「速すぎてカメラが追い付けないから、もう少し遅く動いてくれ」と谷垣さんが言っても全然聞かず、二人とも常に全力疾走だったらしい。
●相楽左之助と悠久山安慈
原作の左之助は巨大な刀剣「斬馬刀」を使っていましたが、剣心に折られてからは徒手空拳の喧嘩闘法に変わります。
実写版でもほぼ素手で戦っている印象が強く、1作目のクライマックスでは戌亥番神(須藤元気)との肉弾戦、前作の『京都大火編』では四乃森蒼紫との殴り合いを披露しました(番神との戦いはアメリカで大ウケだったらしい)。
そして『伝説の最期編』でも左之助は激しい肉弾戦を炸裂させ、「武器を持っていない者同士の唯一のバトル」を盛り上げています。
さらに悠久山安慈を演じた丸山智己さんは『SP 野望篇』で岡田准一くんと凄まじいアクションを繰り広げた肉体派で、しかも左之助役の青木崇高さんとは2006年頃に劇団「REBOUND GLAMOUR」を立ち上げ、一緒に演劇活動を頑張っていた仲間なんですよ。
だから、アクションシーンでも互いに遠慮なくガンガン殴り合ったらしく、アクション監督の谷垣さんも「二人に気持ちよくやってもらおうと撮りっぱなしにしたので凄い迫力ですよね。ガチでやってるでしょ(笑)」と証言していました。
ちなみに原作では安慈が左之助に自身の必殺技「二重の極み」を伝授したり、非常に関係の深い二人なんですが、実写版では初対面のためバトルシーンにも全く感慨がありません(でもちょっとだけ「二重の極み」っぽい技を出しているw)。
●剣心・左之助・斎藤・蒼紫と志々雄
ジャッキー・チェン主演『プロジェクトA』のクライマックスで、敵のボス(ディック・ウェイ)にジャッキーとサモ・ハン・キンポーとユン・ピョウの3人が戦いを挑む「1vs3のバトル」が出てきますが、本作では大友監督の「あれを超えるバトルにしたい」との意向で「1vs4のバトル」になっています。
最初は4人がバラバラに戦ってるんですが、よく見ると剣心と左之助が連携したり、徐々にチームプレイに変わっていくのが面白い(谷垣アクション監督曰く、「『プロジェクトA』では1vs3のカットがほとんどないため、本作ではちゃんと1vs4で戦っている画にしようと思った」とのこと)。
しかし1vs4でも志々雄には勝てず、左之助・斎藤・蒼紫はボロボロにされてしまいます。これに江口洋介さんは納得できなかったようで、「志々雄、ちょっと強くないか?」「やっぱり強すぎだよ」と8回ぐらい文句を言っていたそうです(笑)。
なお、実写版の志々雄は原作とは異なり左之助や蒼紫と全く面識がないため、いきなり戦いに乱入してきた左之助に対して「誰だお前は!?」と当然の疑問をぶつけていました(そりゃそうなるよw)。
●剣心と志々雄真実
志々雄を演じた藤原竜也さんは、ラバースーツを着た上から全身にスウェードのレザー包帯を巻かれ、特殊メイクを含めると準備に1時間かかったという。
当然、着心地は最悪で「ウェットスーツを3枚ぐらい着ている感じ」「視界は悪いし耳は聞こえないしトイレにも行けない」とかなり不快だったようですが、これを着てアクションするのはもっと大変だったでしょう。
しかし「さすが舞台をやっているだけあって、立ち回りを覚えるのがメチャクチャ早い」と谷垣アクション監督が感心するぐらい殺陣の段取りは完璧だったそうです。
ただ、最後の剣心とのアクションシーンは8日間もかかり、最終日に至っては27時間ぶっ通しで撮影を続け、終わった時にもスタッフ共々放心状態だったとか(このうちOKカットは6時間50分で、最終的に14分半ぐらいに編集している)。
もちろん台本にはシーンの内容が書いてあるのですが、激しいアクションをしながらキャラクターの気持ちをリアルに高めていくために大友監督と何度も打ち合わせを繰り返し、そのせいもあって時間がかかった模様。
映画を観ると確かにキャストは誰もが鬼気迫る表情をしていて、特にラスト近くでは剣心の顔が赤く腫れ上がり、目も真っ赤に充血していますが、これは特殊メイクなどではなく、実際に佐藤健さんの顔が赤くなっていたのだそうです(頭に血を上らせるために現場で長時間逆立ちしていたらしい)。
大友監督はこのラストバトルに関して「稽古を見た時から泣きそうだった」と語っており、かなり思い入れがあったようですね。というわけで、『るろうに剣心 伝説の最期編』のアクションをざっくり解説してみました。