どうも、管理人のタイプ・あ~るです。
さて、庵野秀明&樋口真嗣コンビの最新作『シン・ウルトラマン』が公開されてから早くも2週間以上が経過しました。
現時点で興行収入は27億円を超え、観客動員数も180万人を突破するなど大ヒットを記録中!スゲ~!
というわけで、そろそろネタバレしてもいいかな~と思い、以下ネタバレありで色々書かせていただきます(まだ本作を観てない方はご注意ください)。
現在、SNS等に『シン・ウルトラマン』を観た人の感想がたくさん上がってるんですが、ざっと見た感じでは賛否両論…というか「どちらかと言えば”賛”の方が多いかな?」って印象ですね。
中には「最高の映画です!」「ウルトラマンへのリスペクトがすごい」「号泣しました!」などと絶賛している人も見受けられ、割と高評価が目立っています。
その一方で、「つまらない」「微妙」「棒立ちのウルトラマンが怖い」「CGがショボすぎ」「役者の演技がひどい」「駄作」など、厳しい意見もチラホラと…
特に「浅見弘子(長澤まさみ)に対するセクハラが露骨で気持ち悪い」という批判が最も多く、一時はTwitterで「シン・ウルトラマン」を検索したら「セクハラ」と表示されるほどでした。
まぁ確かに、「セクハラ」と批判された場面は観ていてちょっと気にはなったものの、それ以上に「良かった場面」も多かったので、個人的にはトータルで「概ね満足」って感じでしたね(もちろん不満な点もありますが、それは後ほど…)。
まずオープニングが素晴らしかった!TV版『ウルトラマン』のオープニングと同じく、”グルグル回転する液体”が映し出され、そこにタイトルが浮かび上がるという趣向なんですが…
『ウルトラマン』では『ウルトラQ』のタイトルが現れ、その後『ウルトラマン 空想特撮シリーズ』の文字がバーンと映るんですけど、本作ではなんと『シン・ゴジラ』!最初に『シン・ゴジラ』のタイトルが映った瞬間、「ええっ!?」とビックリしました。
『シン・ウルトラマン』と『シン・ゴジラ』の世界は、明確に繋がっているわけではありません。しかし、庵野さんが「版権管理の都合で明確に繋げることが難しかった」と述べているように、本来は二つの世界を繋げたかったのでしょう。
そのため、『シン・ゴジラ』で赤坂補佐官役を演じた竹野内豊さんが「政府の男」という役で再登場し、「何となく世界観が繋がっているのかも…」と匂わせています(この「微妙にリンクしてる感じ」がいいw)。
さらに、最初に登場する巨大不明生物「ゴメス」は元々『モスラ対ゴジラ』で制作されたゴジラの着ぐるみを流用しており、本作のゴメスも同様に『シン・ゴジラ』のCGデータを流用したとのことで、この辺も『シン・ゴジラ』との繋がりを感じさせますね。
なお、「着ぐるみ」といえばTV版『ウルトラマン』に登場したガボラはネロンガの着ぐるみを流用してるんですが(厳密に言うとバラゴン → パゴス → ネロンガ→ マグラー → ガボラ)、『シン・ウルトラマン』では「同じボディを使った生物兵器」という設定で”似ている理由”を正当化していました(まさかの新解釈w)。
そして、ネロンガに苦戦する禍特対の前に颯爽と現れるウルトラマン!いやーカッコいい!「銀色のボディにカラータイマーなし」という見慣れない姿ではありますが、スペシウム光線で禍威獣ネロンガを木端微塵に粉砕するその雄姿は紛れもなく我らがヒーロー:ウルトラマンです。
続くガボラ戦でも、体をクルクル回転させながら激しい攻撃を繰り出すウルトラマンがすごい!まぁ、この辺のCG表現に関しては「ショボい」とか「予算不足?」などと言われてるみたいですけど、要はTV版でやっていたことの再現なんですよね。
1966年当時は、いわゆる「飛び人形」と呼ばれる模型で撮影していたアナログ特撮を、今回の『シン・ウルトラマン』ではCGで完全再現することにこだわったらしく、質感や動きがそっくりです。
また、ザラブ星人戦ではウルトラマンがニセウルトラマンの顔にチョップした瞬間、もの凄く痛そうな仕草を見せますが、あれはTV版の撮影中にウルトラマンを演じていた古谷敏さんが「マスクの硬い部分を殴って小指を骨折した」というエピソードを忠実に再現してるんですよ。
正直「そんなところまでわざわざCGで再現する必要あるの?」って感じですけど(笑)、庵野さんはインタビューや対談で「あの痛そうな動きが大好きなんです!」と力説するぐらいだから、どうしてもやりたかったんでしょうねぇ(たぶん庵野さん本人がモーションキャプチャーもやってると思うw)。
さらにメフィラス星人戦では、山本耕史さん演じる外星人が本当にうさん臭くて最高でした(笑)。特に、居酒屋で斎藤工さんと酒を飲みながら会話するシーンが楽しすぎて、何度でもリピートしたいぐらい面白かったです。
その後、ゾーフィが出て来た時も「あっ!ゾフィーだ!…いや、なんかちょっと違うような…。え?もしかして宇宙人ゾーフィ?そんなマニアックなネタ、ガチのファンしか分からんやろ!?」と驚いたり、色んな場面で楽しめましたよ。
…と、この辺ぐらいまでは割と満足だったんですけど、最後のゼットン戦がちょっと物足りないというか、バトルシーンも含め「え?これで終わり?」みたいな展開でややガッカリ(「予算が尽きたのか?」と思うぐらいアクションが緩いし、ラストもエピローグ的な映像すらなく、あっさり終わってるし…)。
よく考えたらこの映画って、TV版の第3話「科特隊出撃せよ」、第9話「電光石火作戦」、第18話「遊星から来た兄弟」、第33話「禁じられた言葉」、第39話「さらばウルトラマン」を1本の映画に構成し直しているわけで、1つ1つのエピソードが短いんですよね。
そのため、盛り上がるはずのクライマックスも駆け足すぎて「天体制圧用最終兵器ゼットンが配備された!地球はもうお終いだあああ!」という絶望感を味わっている暇がほぼありません(一応、滝くんは絶望してますがw)。
あと多くの人が指摘しているように、「神永と浅見がバディを組んで何かを解決する」という描写や禍特対の活躍シーンが不足しているため互いの関係性が見えにくく、一人一人のキャラにあまり魅力を感じられない点も残念でした(特に田村班長の印象が薄いんだよねぇ…)。
とはいえ、「過去にTVで観ていたあの『ウルトラマン』を現代の映像技術で忠実に映画化したらこうなる」という作品には仕上がっているので、そういう意味ではファンの満足度も高いのではないでしょうか。
なお、樋口監督は今回の映画について「オリジナルのファンに対するサービスはほとんどやってない」「そういうことばかりやっているから面白いでしょうという作品にはしたくなかった」などと語っていますが、「これだけ大量のオマージュをブッ込んでおいてそれはないでしょ!?」と突っ込みたくなりました(笑)。