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有村架純が押井守を絶賛しまくる映画『花束みたいな恋をした』 ネタバレ解説

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花束みたいな恋をした

花束みたいな恋をした


どうも、管理人のタイプ・あ~るです。

さて皆さんは『花束みたいな恋をした』という映画をご存知でしょうか?

菅田将暉さんと有村架純さん主演の恋愛映画で、今年の1月に公開されるや全国で大ヒットを記録し、なんと4週連続で観客動員数1位を達成!

さらに興行収入は38億円を叩き出し、2021年に公開された邦画の実写映画の中では第3位となる好成績を収めました。

ざっくりあらすじを言うと、大学生の山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)が出会って恋をして別れるまでの5年間を描いたラブストーリーなんですが、この映画のポイントは二人の”趣味”なんですよ。

「お互いに好きなものが共通している」という点で意気投合するんですけど、その趣味がちょっとマニアックというか、二人とも所謂「サブカルチャーに詳しい人」なんですね。

それを最も顕著に表しているのが押井守を目撃するシーン」です。

物語の序盤、終電を逃した山音麦(菅田将暉)が途方に暮れていると、同じく終電を逃した八谷絹(有村架純)と目が合い、たまたま近くにいた見知らぬ男女と一緒に夜間営業している居酒屋へ行くことになりました。

すると、偶然その店でアニメーション監督の”押井守”を目撃するわけです(本人が本人の役で出演している)。

花束みたいな恋をした

花束みたいな恋をした

ここで麦が興奮しながら、小声で「あっちの席に神がいます!」って言うんですが、一般人の男女2人は「神?え?誰?」「有名な人なの?」みたいなリアクション。

麦が続けて「犬が好きな人ですよ。あと、立ち食いソバも…」と追加情報を教えるものの、当然ながら2人は全く意味が分かりません(そりゃそうだw)。

一応、男性の方は「オレ、割と映画は観てるよ」とかアピールしてるんですけど、多少映画に詳しくても押井守の顔や趣味・嗜好まで知っている人はそれほど多くないでしょう。

これが宮崎駿新海誠、あるいは庵野秀明ぐらいだったら「ああ~、知ってる!」となるかもしれませんが、敢えて”押井守”を出すことでオタクと一般人の差を見せるという絶妙なチョイスがいいですねぇ(笑)。

しかも主人公は「犬好き」とか「立ち食いソバ」などの情報を(彼にとっては分かりやすいヒントとして)当たり前のように提示してるんですが、普通はそんなの分かるわけがありません。

さらに、女性の方が最近見た映画として魔女の宅急便を挙げた際、主人公は当然ジブリを連想しますが、「朝ドラの子役が出てた」という発言に「え?実写版?」と驚いたり、こういう部分にも2者の対比がユーモラスに描かれていて面白かったですね(まぁ、キャラ的にはどちらもカリカチュアライズされてますがw)。

その後、店を出た主人公は家に向かって歩き出し、追いかけて来た八谷絹(有村架純)に「さっき押井守いましたね!」と話しかけられます。

どうやら絹ちゃんも押井守に気付いて興奮していたらしく、押井守を認知していることは広く一般常識であるべきです!」と力強く断言(そんな無茶なw)。

花束みたいな恋をした

花束みたいな恋をした

つまり、このヒロインは自分がちょっと世間の主流から外れていることを自覚していて、それでもブレることなく自分の趣味を貫いてきたんだけれど、ある日、ついに理解してくれる人に出会った、その喜びを表現してるんですね。

こうして本作は、「きっかけは押井守だった」という主人公の言葉通り、押井守をきっかけとして2人の恋物語がスタートするわけですが、「そんな重要な役を押井守に担わせるなんて、なんて凄いラブストーリーなんだ!」と驚愕しましたよ(笑)。

あと、この映画は「世間一般における押井守のポジション」みたいなものが提示されたという意味でも画期的です。

今、日本で一番有名なアニメーション映画監督といえば間違いなく宮崎駿でしょう。その次に有名な監督は、おそらく新海誠細田守庵野秀明あたりかな~と。

では、押井守は?というと、残念ながらアニメファンや映画ファン以外にはほとんど知られていないと思います。

アニメファンなら「『攻殻機動隊』がビルボード誌の全米セルビデオチャートで第1位を獲得した」などの情報は当然知っているでしょうけど、一般の人は『攻殻機動隊』の存在すら知らないかもしれません。

押井監督によると「僕の映画で一番ヒットしたのは『ビューティフル・ドリーマー』で、80万人の観客を動員した」「『攻殻機動隊』は10万人もいってない。ただ海外で売れただけ」とのことで、本人も「日本での知名度は低い」と述べています。

そんな押井守のポジションをここまで的確に表現した映画は過去に例がなく、恐らく前代未聞にして空前絶後でしょう(笑)。

というわけで、押井守ファンは一度観てみるのもいいんじゃないでしょうか(※なお、押井監督の登場シーンは序盤のわずか一瞬だけなのでお見逃しなくw)。

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