■あらすじ『1996年に勃発したエイリアンの地球侵略から約20年。この死闘で勝利を得た人類はエイリアンの船の残骸から彼らの技術を解析し、それらを元に大幅な文明の進歩を遂げた。その後、月をはじめとする太陽系の各惑星に前線基地を設営し、さらに次世代兵器の開発と量産を推し進めていった。そんな中、アフリカ大陸に落ちていたエイリアンの艦が突然起動。科学者のデイヴィッド(ジェフ・ゴールドブラム)たちが調査したところ、この船から宇宙に向けてある信号が発信されていたことを突き止める。それと同時期に、エリア51に監禁されていたエイリアンの生き残りたちが騒ぎ始め、エイリアン軍の本隊が地球に接近している事実が明らかとなった。世界滅亡のカウントダウンが迫り来るなか、人類はいかなる反撃に打って出るのか?ディザスター・ムービーの巨匠:ローランド・エメリッヒ監督が、過去最大の圧倒的スケールで贈るSFスペクタクル超大作!』
※以下の記事はネタバレしています。まだ映画を観てない人はご注意ください。
どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。昨日から三連休という人も多いと思われますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?僕は早速、ローランド・エメリッヒ監督の最新作『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』を観て来ましたよ。
世界中で大ヒットを記録したSFパニック超大作の20年ぶりの続編ということで、公開規模はなんと全国963スクリーン、初日の2日間で動員38万1521人、興収5億7022万5600円を稼ぎ、初登場第1位を獲得したそうです。20年経っても凄い人気ですね〜。
さて、この映画を語る前にまず確認しておかねばならない「重要事項」がありまして…。それは「前作をどのように評価しているか?」ということです。もし、前作を観て「全然面白くない!」と感じた人は、恐らく本作も全く楽しめない可能性が高いので、潔くスルーした方がいいでしょう(笑)。
というのも、前作から20年経っているにもかかわらず、内容はあまり変わってないからです。相変わらず、「宇宙からでっかい宇宙船が攻めて来て地球が大ピンチだー!」「何とかしろー!」「宇宙人の弱点を見つけたー!」「よっしゃー!俺がやるー!後のことは頼んだぞー!」「ドッカーン!」という感じの映画なんですよ(笑)。正直、全く何も変わってません(^_^;)
強いて変化したところを挙げるなら、「宇宙船のサイズがでかくなった」とか、それぐらいですね。とにかく、ストーリーはもれなく酷いです(笑)。前作も突っ込みどころ満載だったんですが(というよりエメリッヒ監督の映画はだいたいそんな感じですが)、今回は酷さにブーストがかかっているというか、最後まで観たら確実にIQが下がりそうな映画でしたねえ(^_^;)
だがしかし!
そういう評価はあくまでも「前作が全然面白くなかった」と感じた人だけであり、「いや、前作面白かったよ!」という人は、また違った評価になるんじゃないでしょうか?何を隠そう、僕は前作を結構楽しんだんですよね。いや、ストーリーは確かに酷いんですよ。そこは間違いありません(笑)。
ただ、前作の何が良かったかというと、「複数の家族の物語を同時並行的に描き、それぞれのドラマを綺麗に昇華させている」という点が素晴らしかったんです。全世界的規模の大災害が起きている中で、「戦闘機パイロットの家族」、「大統領の家族」、「技術者の家族」、「酔っ払い親父の家族」など、色んなドラマを実に丁寧に見せていました。
だからこそ、映画を観ている観客はそれぞれのキャラクターに感情移入でき、その結果、「大統領の演説シーン」や「酔っ払い親父の特攻シーン」など、「SF映画史に残る名場面」と呼んでも過言ではないほどの感動シーンが生まれたのです。
もちろん「ご都合主義だ!」と批判されるようなシーンも少なくありませんが(というより、ほぼ全編そんなシーンばっかりですがw)、これだけ大勢の登場人物にきちんと見せ場を作り、全部のキャラに感情移入させ、最後は一つに収斂させるという離れ業をやってのけた群像ドラマって、なかなか無いんじゃないかと。
そういう意味で、前作『インデペンデンス・デイ』は非常に良く出来たディザスター・ムービーだと思ったわけです。では、その続編となる『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』はどうだったのか?と言うと…。
まず、前作の主人公だったスティーブン・ヒラー大尉(ウィル・スミス)がいきなり死んでて衝撃を受けました。それもテスト飛行中の事故で死亡したって…。噂によると、ウィル・スミスが高額のギャラを要求したせいで監督が怒ったとか、スケジュールが合わなくて出演できなかったとか、色々言われているようですが、ウィル・スミス本人は「出たかったのにとても残念だ」とコメントしています。
その代わり、今回はスティーブン・ヒラーの息子のディラン・ヒラー(ジェシー・アッシャー)が新登場。前作では小さな子供だった彼が、父の後を継いで立派なパイロットになり、人類の存亡をかけてエイリアン軍団と戦います。なかなか”燃える展開”と言えるでしょう。それはいいんですが、どうもイマイチ存在感が薄いような…。
というのもディランの場合、父親がすでに死んでいて、母親も物語の途中で死亡し、一人も家族がいなくなってしまうのです。にもかかわらず、彼のことを優しく愛してくれるようなキャラクターが出て来ないのですよ。これは、いくらなんでも可哀想すぎるのでは…?
例えば、ディランのライバル的な役割のジェイク・モリソン(リアム・ヘムズワース)の場合は、ホイットモア元大統領(ビル・プルマン)の娘・パトリシア・ホイットモア(マイカ・モンロー)という恋人がいるし、デイヴィッド・レヴィンソン(ジェフ・ゴールドブラム)にもDr.キャサリン(シャルロット・ゲンズブール)というパートナーがいます。
さらにジェイクの友人のチャーリーでさえ、中国人枠のレイン・ラオ中尉(アンジェラベイビー)にアプローチをかけまくって、最後は何となくいい感じになっていました。それなのに、ディランだけ一人ぼっちって…。こんなに寂しそうな主人公、初めて観ましたよ(-_-;)
また、ディラン以外の新キャラたちも、活躍シーンが多い割には印象に残るような場面が少なくてガッカリしました。というより、この映画で目立っているのは、ブラキッシュ・オーキン博士(ブレント・スパイナー)やデイヴィッドのお父さんのジュリアス・レヴィンソン(ジャド・ハーシュ)など、主に前作で活躍したキャラクターたちなんですよね。
新登場のキャラに関してはあまり魅力的に見えないというか、物語序盤から登場している会計監査係のメガネ男なんて、大して役にも立たないくせに出番だけが妙に多いという謎の構成にイライラしましたよ。あいつの登場シーンを全部カットして、主人公たちのバックボーンをもっと丁寧に描いて欲しかったなあ。
そんな中でも、旧キャラと新キャラのリンクが割と上手くいっていたのは、ホイットモア元大統領とパトリシアのエピソードでしょうね。「我が娘のことを想いながら敵の母船に新型戦闘機で突っ込む」という展開は、前作の「飲んだくれ親父(ラッセル・ケイス)が家族のことを想いながらF/A-18戦闘機で突っ込む」という展開とほぼ同じでワクワクしました。
ただ、本来なら感動的なシーンになるはずだったのに、残念ながら本作では、この特攻が決定打にならないんですよねえ。「やっつけたか?」と思ったら、実はクイーン・エイリアンが生きていて、デイヴィッドたちが乗っているバスに襲いかかるという、「まだ終わってませんよ」的な展開にションボリ。
どうせ特攻するなら、「クイーン・エイリアンが出て来た後」の方が良かったんじゃないですかね?娘のパトリシアが地面に不時着すると、突然クイーン・エイリアンが現れて襲いかかって来た!と。このままではやられてしまう!その時、全弾を撃ち尽くした元大統領が、娘を救うために戦闘機ごとクイーン・エイリアンに突っ込む!パトリシアは助かり、地球の危機も回避された!と。
こういう展開なら、命懸けの特攻も無駄にならずに済むし、「父と娘のドラマ」もしっかり描けたんじゃないでしょうか?今回残念だったのは、各キャラクターの活躍がバラバラで、感動的な場面を形成するためのリンクが有効に機能していない、という点なのです。もう少しその辺に気を遣ってもらえたらなあ…。
もちろん映像的には、前作から20年も経ってるわけですから、技術の進歩に伴って凄まじいビジュアルが炸裂していました。でも、ストーリーは相変わらずグダグダで、突っ込みどころは前作よりも多くなり、しかも「前作のような感動的な名場面が見当たらない」となれば、「単なる大味なSF超大作」と判断せざるを得ません。
別に、エメリッヒ監督の映画に何かを期待してたわけじゃないんですが、「前作みたいな群像ドラマが今回も観られるかな〜?」と、そこだけは多少楽しみにしてたんですけどね。まあ、そこが気にならない人にとっては可もなく不可もなく、「いつも通りのエメリッヒ映画」です(笑)。最新VFXの限りを尽くしたド派手な戦闘シーンや巨大宇宙船を、ぜひ劇場の大画面でお楽しみ下さい(^_^)
ちなみに、終わり方が続編を匂わせるようなラストになってて、その辺も気になりました(「恒星間航行が可能になるぞ!」とか何とか)。元々、この映画は前後編2部作で製作される予定だったらしいのですが、色々な事情で「とりあえず前編だけ作ろう」となったみたいですね。
なので恐らく、次回作では地球人側が巨大な宇宙戦艦を作って、ワープ航法か何かで敵の惑星に殴り込みをかける「宇宙戦争映画」になるのではないかと。宇宙から飛んで来た”白い巨大な玉”の中にはエイリアンに対抗できる未知のテクノロジーがいっぱい詰まっているみたいなので、きっと波動エンジンの作り方も載っているのでしょう。いや〜、楽しみだな〜(ウソ)
※ローランド・エメリッヒ監督の映画を観たことがない人は、以下の作品のどれかを観れば、だいたい傾向が分かると思います(^_^)
ゴジラファンの間では評判の悪い通称”エメゴジ”。ただ「ゴジラと思わなければ意外とイケる」という本末転倒な意見もあり。
「世界中の気温が下がって人類が大ピンチだー!」という映画。エメリッヒ作品の中では意外と評価が高い。
「大地震や巨大津波で地球が大ピンチだー!」という映画。相変わらず突っ込みどころしか無いストーリーだが、娯楽作品としてはまあまあ良く出来ている。
「ホワイトハウスが占拠されて大統領が大ピンチだー!」という映画。エメリッヒ監督が『ダイ・ハード』を撮るとこうなる。