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『ブラックパンサー』はなぜ成功したのか?

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ブラックパンサー

映画『ブラックパンサー』より

先日、アカデミー賞のノミネート作品が発表され、『ブラックパンサー』が作品賞候補に選ばれました。アメコミ作品としては史上初の快挙で、非常に話題になっているようです。

映画『ブラックパンサー』は2018年2月に全米公開されるやいなや、ぶっちぎりのランキングトップを獲得し、歴代5位のオープニング成績を記録。

その後も5週連続で首位を独走し、北米での興行収入は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』と『アバター』に続く歴代3位の大記録を達成したのですよ。

さらに全世界の興行収入は『美女と野獣』や『アナと雪の女王』すら上回る13億ドル以上を叩き出し、歴代9位という凄まじい成績を樹立しました。

ただ、公開前の反応は微妙で、主役のブラックパンサーことティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンは、『42 〜世界を変えた男〜』で注目されていたものの、決して知名度が高いわけではありません。

 

 

また、コミックでブラックパンサーが初登場した1962年頃、米国では黒人の人権を訴えたマルコムXの影響を受けて「ブラックパンサー党」が結成されました。

しかし、彼らはアフリカ系の人たちを白人の暴力から守ろうと銃で武装したため、警察に殺される事件が多発したのです。

そういうことがあったせいで、長い間「ブラックパンサー」という名前にはある種の”タブー感”が纏わり付き、マーベル作品の中でもブラックパンサーを取り上げるのは難しいんじゃないか?という雰囲気があったらしい。

しかし、アメリカでトランプ大統領が誕生して以降、差別主義的な風潮に反発するムードが高まり、「抑圧されたマイノリティーたちの姿に焦点を当てた作品」がヒットし始めました。

そんなタイミングで公開された本作は、反トランプを掲げる人々から圧倒的に支持され、黒人が共感できるのはもちろん、白人が観ても楽しめる普遍的なエンタメ作品として受け入れられたのだと思います。

若きワカンダ国王のブラックパンサーと、王の座を狙うエリック・キルモンガーの戦いも迫力満点で、娯楽性とメッセージ性を高いレベルで両立させた作劇が素晴らしい。おそらく観客もブラックパンサーのようなヒーローを求めていたのでしょう。

ちなみに、キルモンガーを演じたマイケル・B・ジョーダンシルベスター・スタローンの『クリード チャンプを継ぐ男』では主役のクリードを演じていて、こちらも高評価されています。

 

 

さらに『ブラックパンサー』と『クリード』の監督もライアン・クーグラーというアフリカ系の若手監督なんですが、黒人のヒーローが活躍する物語を当事者目線で描き切ったことが成功した要因の一つなのかもしれません。

 

 


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