どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。
1月22日、米国の女性作家アーシュラ・K・ル・グウィンさんがオレゴン州ポートランドの自宅で死去したことを、ル・グウィンさんの家族がツイッターで公表したそうです(享年88歳)。
1962年に小説家としてデビューしたル・グウィンさんは、SF長編『闇の左手』や、ファンタジー作品『ゲド戦記』などで広く知られるようになりました。
特に『ゲド戦記』は世界中に大勢のファンがいるほどの人気作で、過去に宮崎駿さんがアニメ化を申し出たものの断られ、数年後に息子の宮崎吾朗さんの手によって映画化されています。
※詳しい経緯はコチラの記事をどうぞ→『ゲド戦記』製作秘話
そんなアニメ版『ゲド戦記』ですが、実は原作者のアーシュラ・K・ル・グウィンさんはあまり良く思っていなかった…というより、「かなり否定的」だったらしいのですよ。
映画が完成した際、ル・グウィンさんは日本に来られなかったので、宮崎吾朗監督がル・グウィンさんの地元まで行って特別に試写会を開きました。
そして、上映終了後に吾朗監督から感想を聞かれたル・グウィンさんは「いい映画ですね」と簡単にコメントしたのですが、それを吾朗監督が自分のブログに書いたことで事態はややこしくなったらしい。
ル・グウィンさんの感想は「It is not my book.It is your film.It is a good film.」という短いもので、「私の本ではなく、あなたの映画です。いい映画ですね」みたいな意味ですが、吾朗監督はこれを肯定的に受け止めてしまったのです。
そのことを知ったル・グウィンさんは、「あのコメントはあくまでも宮崎吾朗監督だけに申し上げたもの。個人的質問に対する個人的返答を公にして欲しくなかった」と不快感をあらわにし、なんとアニメ版『ゲド戦記』に対する彼女の”本音”を公式サイトに公開したのです。
これを読むと、「全体としては美しいが、急いで作られたこのアニメでは多くの細部がカットされ、『トトロ』の緻密な正確さもなければ、『千と千尋』の素晴らしく豊かなディテールも斬新さもない」など、かなり厳しい意見が並んでいます。
しかも、相当な長文で書かれていることから、「言いたいことがたくさんあったんだろうな…」という心情も推測できますね(言葉は丁寧だけど、かなり細かくダメ出ししているのでw)。
まあ、人気小説が映画化されても、必ずしも全ての原作者が満足しているとは限りません。中には「原作者の意向にそぐわないパターン」もあるわけで、そういう意味では「当然の反応」なのかも(笑)。
ちなみに「原作者が激怒した映画」として有名なのは、やはりスティーブン・キング原作、スタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』でしょう。
普通、自分の小説が映画化されたら、多少気に入らない部分があったとしても気を遣って発言するものですが、スティーブン・キングは「美しいけれどエンジンがない車のようだ」「思い違いだらけで腹立たしい期待はずれの映画」などと『シャイニング』に不満を爆発させているのです。よっぽど頭に来たんだろうなあ(^_^;)