どうも、管理人のタイプ・あ~るです。
さて本日、金曜ロードショーで『バック・トゥ・ザ・フューチャー:パート2』が放送されます。大ヒットした前作から4年後の1989年に公開された本作は、「パート3も同時撮影」という当時としては画期的な手法も話題となり、世界中で大ヒットを記録しました。
というわけで先週に引き続き、今回は『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』に隠された様々な小ネタやトリビア、撮影裏話などをストーリーの時系列に沿ってご紹介しますよ。
●続編は決まったけれど…
1作目が大ヒットしたことで、ユニバーサルスタジオではすぐに続編の話が持ち上がりました。しかし、ロバート・ゼメキス監督と脚本家のボブ・ゲイルは困惑したらしい。ボブ・ゲイルによると「”マーティたちが未来へ行く”というラストシーンは単なるジョークで、続編を作るつもりなんて全く無かった」とのこと。
そこでゼメキス監督たちは続編の打合せを始めるのですが、その際、パート2の契約しか結ばなかったそうです。通常、パート1からパート2、そしてパート2からパート3へとシリーズが続く場合は、出演者や監督のギャラが上がっていくという業界の”慣例”がありました。
ところが、ユニバーサルはパート3の報酬アップを拒否したのです。パート2のギャラはパート1より上がったものの、パート3に関しては「パート2と同じだ」と。それを聞いて代理人は監督に「こちらの要求が通るまで撮影には顔を出すな」と忠告。ロケハン中だったゼメキスも「仕事は中止だ!」と帰ってしまいました。
するとユニバーサルの会長から電話がかかってきたそうです。当時の会長は、シカゴのギャングとの関係も噂されるような”伝説の男”でした。会長からの電話がどういう内容だったのか、ゼメキスは明らかにしていません。しかしボブ・ゲイル曰く、「僕らは全員パート2と同じ条件でパート3の契約書にサインし、仕事に戻った。”彼に逆らうな”という教訓を学んだよ」とのこと。恐ろしいですねえ(苦笑)。
●ヒロインが邪魔だった
さて、ようやく続編のシナリオに着手したものの、元々パート2のことなんか考えていなかったため、脚本作りは非常に苦労したそうです。特に頭を悩ませたのが、ヒロインであるジェニファーの扱いでした。以下、ボブ・ゲイルのコメントより。
続編の制作においてはジェニファーの存在がとにかく重荷だった。もし続編を作ることが事前に分かっていたら、ジェニファーをデロリアンに乗せなかったよ。彼女が未来に行っても特にやることがないからね。色々考えてみたがどうしようもなかった。だから、ほぼ全編で気を失ってるんだよ(笑)。
ええ~?ジェニファーがずっと気絶してるのは、そういう理由だったのか(苦笑)。
●ジェニファーが別人に!?
そんなジェニファーをよく見ると…アレ?顔が違うぞ!?『BTTF2』の冒頭シーンは前作と全く同じ映像に見えますが、実は新たに撮影し直していたのです。なぜなら、ジェニファー役の女優が交代したから。
なんと1作目でジェニファーを演じたクローディア・ウェルズが、病気の母親を看病するために女優業から引退していたのですよ(後に復帰)。そこで『ベストキッド』や『カクテル』などのエリザベス・シューが代役を務めることになったのです。
しかし、前作から数年後とか数カ月後ならともかく、『BTTF2』の場合は1作目のラストからタイムラグなしで直接ストーリーが繋がっているため、両方の場面を見比べると一目瞭然なんですよねえ(苦笑)。
●ナイキの自動シューズ
マーティが2015年の未来(もう過ぎてますがw)で履く”自動ヒモ調整シューズ”。スイッチを押すだけで足にピッタリフィット!…してるように見えますが、実際は地面の下からワイヤーを引っ張ってヒモを締めていたらしい。
なお、この”自動ヒモ調整シューズ”は2015年に実際にナイキ社から「Power Lace」という新技術を搭載したモデルとして発表、2016年春にオークション形式で販売されました(一般販売は今のところない)。
●ベトナムでサーフィン
壁をよく見ると「ベトナムでサーフィンを」というポスターが貼ってありますが、これは『地獄の黙示録』のオマージュ。
マイケル・ジャクソンは本作の大ファンで、パート2にも協力的だったそうです。「Cafe 80's」では店内のビデオモニターの中にウェイターとして登場(CGではなく、メイクを施した”そっくりさん”が演じている)。また店内にはBGMとして「Beat It」が流れており、楽曲の使用も喜んで許可したらしい。
●イライジャ・ウッドの映画デビュー
「Cafe 80's」のアーケードゲームで遊んでいる2人の子供。そのうちの一人が、後に『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで主役を演じるイライジャ・ウッドです。7歳の頃から子役としてCMやPVに出演しており、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』が映画デビューだったらしい。
●「腰抜け(チキン)」の設定
マーティが「腰抜け(チキン)!」と言われてブチ切れる場面が本作には3回も登場しますが…あれ?マーティってこんなキャラだっけ?実はこの設定、1作目の時にはありませんでした。以下、ボブ・ゲイルのコメントより。
最初から続編の話が決まっていたら、第1作でも「腰抜け(チキン)」の設定を使っていたよ。それが出来なかったのでパート2でこの場面を用意したんだ。パート3でも重要なシーンで出て来る。
なんと、「腰抜け(チキン)」の設定はパート2から追加されたものだったんですね。突然マーティがキレやすいキャラになっていたので、最初に観た時は「一体どうしたんだ?」とビックリしましたよ(笑)。
●ホバーボードで事故
ホバーボードに乗っていたビフと手下たちが吹っ飛び、建物に突っ込むシーンの撮影中、スタントウーマンが柱にぶつかるアクシデントが発生。彼女は重傷を負って2週間も入院したそうです。ロバート・ゼメキス監督によると「リハーサルではうまくいったのに、なぜか本番でタイミングがズレた」とのこと。危ないですね~!
●奇妙なスポーツ年鑑
本作の重要なアイテム「スポーツ年鑑」には奇妙な点があるそうです。以下、ボブ・ゲイルのコメントより。
あのスポーツ年鑑は薄すぎる。全スポーツの過去50年分の記録が掲載されているなら、どう考えてもあの50倍は分厚い本になるはずだ。誰も指摘しなかったけどね。きっと、もの凄く小さい文字で書かれてるんだろう(笑)。
実はこれ、ビフの尻のポケットに入るサイズで設定したらあの厚さになったのだそうです。分厚い本を持ち歩くのは不自然だから、映画制作側の判断としては正しいと思いますが、確かに膨大な情報が載っている本にしては薄すぎますよね(笑)。
●ジョージ役も降板
本作ではジェニファー役だけでなく、前作でジョージ・マクフライ役を演じたクリスピン・グローバーも降板しています。その理由についてボブ・ゲイルは以下のように説明してるんですけど…
クリスピン・グローバーはマイケル・J・フォックスと同じ額のギャラを要求してきたんだ。いやそれ以上だった。「バカげてる!彼を説得してくれ!」と代理人に言ったが、「残念ながら答えは同じだ」と言われた。だから、続編ではジョージの出番を削ったんだ。そのためロレインやビフは健在だが、ジョージは死んだという設定になったんだよ。
ところがボブ・ゲイルのこの主張に対し、クリスピン・グローバーは真っ向から反論しています。
ボブ・ゲイルの話は全くのデタラメだ。パート2の時、僕は他のメインキャストに比べて半分以下の出演料しか提示されなかった。とても悔しかったよ。僕は求められていないと感じたんだ。それで、適正なギャラを要求したらクビになった。酷い話さ。ボブ・ゲイルは自分の違法行為を正当化しようとしてるんだ。
さらにパート2が公開された後、クリスピンは「パート1の映像(ジョージが映っているシーン)を無断で流用し、肖像権を侵害された」としてロバート・ゼメキスとボブ・ゲイルを相手取り訴訟を起こしたのです(示談の末、クリスピンの主張が全面的に認められ、76万5000ドルを受け取った)。
この騒動の後、クリスピンとゼメキス監督は和解して『ベオウルフ』で一緒に仕事をしていますが、ボブ・ゲイルとは仲が悪いままらしい。
●3人のマイケル
3人のマイケルが一つの画面に登場するシーンは撮影に2~3日かかり、合成作業に数ヵ月も費やした力作ですが、ゼメキス監督の期待通りの効果が得られなかったため短縮されてしまいました。しかし、「カットする」と言われた特殊効果担当のケン・ラルストンはショックのあまり心臓発作を起こしかけたそうです。そりゃあ苦労して作ったシーンをカットされたらねえ…(^^;)
●優しい暴走族
荒廃したヒルバレーに登場する大勢の暴走族は、なんと本物の暴走族!あまりにも見た目が怖いため、撮影スタッフは現場でビビッていましたが、実際にはみんな優しい人たちだったらしい。
●ドクのシャツ
パート2でドクが着ているシャツをよく見ると、”蒸気機関車”と”馬に乗っている人”が描かれています。これはパート3のストーリーを暗示していて、衣装担当のジョアンナ・ジョンストンが作ったもの。ジョアンナは雑誌でこの生地を見つけて「絶対に使いたい!」と考えましたが、高額な使用料を支払うはめになったそうです(でもこれ、気付いてない人が多そうw)。
●謎の文字
デロリアンに雷が直撃!その瞬間、デロリアンの姿は消えて、空中に数字の”99”を逆にしたような奇妙な文字が浮かびました。あの文字はどういう意味なのでしょうか?
ボブ・ゲイルによると、「デロリアンは時速140キロで走行すると時空を超える設定だが、あのシーンでは空中で宙返りした瞬間に140キロを超えたんだ。車が回転したから火の跡が直線ではなく、渦を巻いて”99”のように見えたんだ」とのこと。なるほど、数字でも文字でもなかったのか!
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