どうも、管理人のタイプ・あ~るです。
昨日、金曜ロードSHOW!で『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』が地上波初放送されました。これは、現在公開中の続編『IT/イット THE END ”それ”が見えたら、終わり。』の前編に当たる物語で、登場人物7人の子供時代を描いています。
1989年のアメリカを舞台にした1作目の『IT/イット』は、ビル、ベン、リッチー、スタンリー、マイク、エディ、ベバリーたち「負け犬(LOSERS)クラブ」のメンバーが、力を合わせて不気味なピエロ:ペニーワイズに立ち向かう…というあらすじで、日本を含め世界中で大ヒットを記録しました。
そして、続編となる『IT/イット THE END ”それ”が見えたら、終わり。』の公開に合わせて前作をTVで放送しよう!となったわけですが、問題は、本作が「R15指定のホラー映画」という点なのですよ。
かつて『日曜洋画劇場』や『水曜ロードショー』などの映画番組が栄えていた頃は、『エクソシスト』、『オーメン』、『13日の金曜日』、『バタリアン』など、数々のホラー映画がゴールデンタイムに堂々と放送されていました。
しかし、地上波の放送コードが厳格になるに従い、そういった「残虐シーン」や「エロ・グロ描写」が含まれる映像はオンエアし辛くなり、いつしかホラー映画はテレビから消えていったのです。
そんな規制の厳しい現代にR15指定のホラー映画を放送するとは、「金曜ロードショー勇気あるなあ!」と驚いたんですが、当然ながらノーカットではありません。「TV用に編集したバージョンをお送りします」と事前にアナウンスされました(まあ当たり前ですよねw)。
ではいったい、R15指定のホラー映画を地上波でオンエアする場合、どのような表現が放送コードに引っ掛かるのでしょうか?本日はその辺をじっくり検証してみましたよ。
※以下、ネタバレしてます
●ジョージとペニーワイズの会話シーン
まず最初は冒頭の二人の会話シーン。劇場版はもっと長く、途中で近所のオバサンが出て来る場面などもあったのですが、TV版では短くカットされていました(ただし、問題になりそうな要素も特にないため、恐らく放送時間の都合と思われます)。
●ジョージが腕を食いちぎられるシーン
ペニーワイズが腕に噛み付くところまでは映っていましたが、その後、右腕を失ったジョージが道路に倒れて必死に逃げようとしているシーンがカット。さすがにこれは残酷すぎてオンエア出来なかったんでしょうね。
●マイクが羊を殺そうとしているシーン
『IT/イット』のタイトルが出た後、マイクが祖父から羊を殺すように命じられ、屠畜銃(キャプティブボルト)を構えるものの実行できない…というシーンがあったのですが、TV版では祖父との会話も含めて丸ごとカットされていました(祖父が羊を殺しているので、それが引っ掛かったのかも?)。
●バワーズがベンのお腹にナイフで傷をつけるシーン
いじめっ子のヘンリー・バワーズたちに捕まったベンが、お腹にヘンリーの「H」という文字を彫られるシーンは、なぜか「H」の映像だけカットされていました。「直接体を傷つける」という描写がマズかったのでしょうか?
●ベバリーの下着姿をみんなで見ているシーン
劇場版では、皆で湖に泳ぎに行って楽しんだ後、日光浴をしているシーンがあったのですが全面的にカット(「下着姿の少年少女」というシチュエーションがダメだったのだろうか?)。個人的には「思春期の男子特有のドギマギした感じ」が面白くて好きなんですけどね(笑)。
●排水溝から血が噴き出すシーン
TV版では、洗面台を覗き込んだベバリーに髪の毛が絡みつき、悲鳴を上げたところでCM → 父親がバスルームに入って来ると血で真っ赤に…となっていましたが、映画では大量の血が排水溝から噴き出すシーンがあったのです(これがカットされたということは、『シャイニング』のエレベーターのシーンとかもNGなのかなあ?)。
●仲間割れのその後のシーン
廃屋でペニーワイズに襲われた後、「もうこんな怖い目にあうのはイヤだ!」と仲間割れし、みんなバラバラになってしまいます。その後、TV版ではCMが明けるとベバリーが家を出て行こうとしているシーンになっていましたが、実はその途中に色んなことが起きていたのですよ。
まず、7人それぞれが家庭でどのように過ごしているかが映し出され、エディが薬局へ薬を買いに行くと店員の女性から「あんたの薬はニセモノよ」と告げられる。そして骨折しているギプスに「LOSER」と書かれます(後に自分で「LOVER」に書き直す)。
さらに、バワーズが親父にこっぴどく怒られ、落ち込んでいると、郵便受けに赤い風船が引っ掛かっているのを発見。中を見ると無くしたナイフが!そのナイフを持って寝ている父親に近づき、殺してしまうのです(非常に重要なシーンですがTV版では全カット)。
●エディが母親とケンカするシーン
ベバリーがいなくなった後、電話で知らせを受けたエディは「わかった、すぐ行く」と言って仲間と合流しますが、劇場版では電話を切った直後に母親に見つかり「外出なんてダメよ!」と止められます。
しかしエディは自分の飲んでいた薬がニセモノと知っているため、「ママは嘘つきだ!」「僕を守ってくれるのは友達だ!」と言い放ち、母親の制止を振り切ってみんなのところへ向かうのです。「少年が親の加護を離れて自分の意志で行動する姿」を描いたいいシーンなんですが、残念ながらTV版ではカットされていました。
●バワーズが襲ってくるシーン
廃屋に入り、井戸の底へと下りていくビリーたち。そこに突然バワーズが現れ、マイクに襲い掛かる!しかし、間一髪で逆転し、バワーズは井戸へ落下…というのが劇場版の展開ですが、なんとTV版では「父親殺し」のシーンに加えてこのシーンまでもが全てカット。つまり、「前半に出ていたいじめっ子がいつの間にかいなくなる」という奇妙な話になっているのですよ。初めて本作を観た人は「あれ?アイツどこいった?」と思ったんじゃないかなあ(笑)。
●スタンリーが顔面を丸かじりされてるシーン
地下をウロウロ歩いていると、突然スタンリーが襲われて顔に噛み付かれるという、まあまあエグいシーンがあったのですが、TV版では地下を歩くシーン自体が短くカットされているため、このシーンも出て来ません(そのせいでエディの顔にいきなり傷ができてるんだけどw)。
●ベバリーの父親に変身するシーン
クライマックスの戦闘は全員がペニーワイズをボコボコに殴りまくり、ダメージを受けたペニーワイズがベバリーの父親に変身する…などのシーンもあったのですが、TV版では短くカット(ただ、カットされていることがほとんど気にならないレベルです)。
というわけで、金曜ロードショーで放送された『IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。』と劇場公開版を比べてみた結果、放送コードに引っ掛かったと思われるシーンが7~8カ所、その他放送時間の都合でカットされたシーンと合わせて12カ所ほどカットされていました(細かい部分も入れればもっとあるかも)。
しかしながら、後半は腕の取れたジョージ(ペニーワイズの変身した姿)がしっかり映っていたり、割とグロいシーンもカットされずに残っていたので、意外とホラー映画ってオンエアできるんじゃね?と思ったり。これをきっかけに『ヘレディタリー 継承』とか『ゲット・アウト』とか、話題になったホラー映画も放送してくれないかなあ(^.^)