いよいよ2018年も残すところ後2週間ほどになりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
さて、毎年この時期になるとワッシュさん(ブログ「男の魂に火をつけろ!」の管理人様)が「好きな映画ベストテンを選ぶ企画」というのを主催していて僕も数年前から参加してるんですが、今年も参加させていただきますよ。
で、今回のテーマは「映画映画ベストテン」になったようです。ん?いつもは「戦争映画」とか「SF映画」なんですが、はて「映画映画」とはいったい…?
これは、映画そのものをテーマにした映画や、映画俳優・監督・スタッフ・映画ファンが主人公の映画、映画製作にまつわるドキュメンタリーやメイキングなど、「映画について扱っている映画」という意味だそうです。
例えば、今年は『カメラを止めるな!』が大ヒットしましたが、あれも「ゾンビ映画を撮影中の俳優やスタッフたちが本物のゾンビに襲われる」という内容だったり(本当はもうちょっと入り組んでるんですけど)、要はそういう”メタ的な視点”を持っている映画ということですね。
ただ、『カメラを止めるな!』があまりにも面白すぎて、「これがたぶん1位じゃないかな〜」という気持ちが否めない(総合的な面でもダントツに面白いと思う)ので、今回は敢えて『カメラを止めるな!』を外してみました。というわけで、僕のベストテンは以下のような感じになってます。
1.アルゴ
「6人のアメリカ人をイランから脱出させるためにCIAが架空のSF映画をでっちあげる」という、どう考えてもフィクションとしか思えない実話を映画化した本作。
『アルゴ』というのはつまり、”存在しないSF映画のタイトル”なんですが、普通に考えればコメディになりそうな設定を、スリリングなサスペンス映画に仕上げたところが面白い。
内容的にも非常にクオリティが高く、第85回アカデミー賞にて作品賞、脚色賞、編集賞を受賞しました。監督はあのベン・アフレックなんですが、俳優よりもこっちの方が向いてるんじゃないの?と思ったり(笑)。
2.マルホランド・ドライブ
巨匠デヴィッド・リンチ監督が「ハリウッドのダークサイドを描きたい」と取り組んだ本作ですが、正直言ってストーリーはよくわかりません(笑)。
しかし、「よくわからない」ということ自体が本作の面白さでもあるわけで、何回観ても「あれはどういう意味なんだろう?」と疑問が尽きない映画っていうのは、ある意味「何度でも楽しめるお得な映画」と言えるんじゃないかな〜と思います(^.^)
3.地獄でなぜ悪い
本作は、園子温監督が自主製作映画を撮っていた時代の自らのエピソードを映画化したという点において「極めて私的な映画」であると同時に、「映画青年の映画愛を描いた青春ドラマ」という点においても画期的だと思います。
「映画を撮影中に小学生にバカにされた」とか、「女の子の誘いに乗ったら実はヤクザの娘で、事務所に連れて行かれて殺されそうになった」という破天荒なシチュエーションも全部監督の実体験らしい(^^;)
長谷川博己、星野源、二階堂ふみ、國村隼、堤真一、坂口拓、友近、 成海璃子、でんでん、岩井志麻子、水道橋博士、ミッキー・カーチス、江波杏子、板尾創路など、参加した面子もすごい。
4.ロスト・イン・ラ・マンチャ
テリー・ギリアム監督といえば、『未来世紀ブラジル』ではストーリーの結末をめぐって映画会社と対立したり、『バロン』では予算が超過しすぎて完成が危ぶまれたり、毎回色んなトラブルに振り回されているイメージですが、本作は「そのトラブル自体を映画化したドキュメンタリー」なのですよ。
ギリアムは1998年頃からドンキホーテを主人公にしたファンタジー映画を撮りたいと企画を練り、2000年にようやくクランクインしたものの、撮影初日から次々とアクシデントが勃発し、とうとう制作中止の決断を余儀なくされました。
本作では、その間のテリー・ギリアム監督の苦悩や焦燥や絶望を余すことなく描いており、「映画の制作がダメになっていく過程」を観ることが出来るという点においても貴重な資料と言えるでしょう。
5.ファンボーイズ
余命3か月の宣告をされたスター・ウォーズファンの友人のために、スカイウォーカーランチに侵入して公開前の『エピソード1』を見せようと奮闘するオタクたちの姿を描いたコメディ映画です。
『エピソード1』が公開される直前の盛り上がりたるや、それはもう本当に凄まじく、「『エピソード1』を観るまで死ねない!」と思っていたファンも実際にいたでしょうけど、いざ公開されたら微妙なリアクションに…という部分も含めて楽しめる作品ですよ(^^;)
6.キャノンフィルムズ爆走風雲録
チャック・ノリスの『地獄のコマンド』、チャールズ・ブロンソンの『スーパー・マグナム』、ジャン=クロード・ヴァンダムの『キックボクサー』、シルヴェスター・スタローンの『コブラ』や『オーバー・ザ・トップ』など、80年代にこういう映画ばっかり量産していた「キャノンフィルムズ」という映画会社のドキュメンタリーです。
イスラエルの小さな田舎町で映画を作っていたメナヘム・ゴーランと、同じく映画が大好きな従弟のヨーラム・グローバスは、夢を求めてハリウッドへ進出すると次々とヒット作を生み出し、50万ドルで設立した会社の時価総額をたったの7年で10億ドルにまで高めました。
しかし、やがて映画の製作費がどんどん高騰し始め、逆に興行成績はどんどん下がっていくという悪循環に…。このドキュメンタリーはそんな紆余曲折を描きつつ、メナヘム・ゴーランとヨーラム・グローバスの絆も描写しているところが良かったです。
7.桐島、部活やめるってよ
第36回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀編集賞の3部門を受賞した傑作青春映画。ポイントは主人公たちで劇中で撮っている自主制作映画『生徒会・オブ・ザ・デッド』で、「やはり自主制作映画といえばゾンビだよなあ」と(笑)。
8.SUPER8/スーパーエイト
製作:スティーブン・スピルバーグ、監督:J.J.エイブラムスの最強コンビが作ったSF映画で、全体に漂う『E.T.』っぽい作風など、エイブラムス監督の「スピルバーグ・リスペクト」が目一杯詰まってますよ。なお、本作も主人公たちは自主制作ゾンビ映画を撮っています(笑)。
9.ホドロフスキーのDUNE
フランク・ハーバートのSF小説『DUNE』を映画化するために、錚々たるキャストとスタッフを集め、莫大な予算と数年に及ぶ準備を費やした挙句、とうとう企画がポシャってしまったアレハンドロ・ホドロフスキー監督の『DUNE』。
本作は、そんな実現しなかったホドロフスキー版『DUNE』について、関係者の証言や”幻の絵コンテ”などの貴重な資料を公開しつつ、「もし映画が完成していたら…」と妄想を膨らませる、笑いと感動のドキュメンタリーなのです。
10.イン・ザ・ヒーロー
映画界で活躍するスタントマンの姿を描いた作品。正直、ストーリー的には「ん?」と思うような部分もありますが、アクションの裏側を垣間見れる点が良かったですね。
というわけで、僕のベスト10はこのような感じになりました。「映画について描いた映画」といえば、僕はメイキングが好きなのでドキュメンタリー作品がやや多くなってるんですけど、まあこんなものかなと(^.^)
1.アルゴ(2012年 ベン・アフレック)
2.マルホランド・ドライブ(2001年 デヴィッド・リンチ)
3.地獄でなぜ悪い(2013年 園子温)
4.ロスト・イン・ラマンチャ(2002年 テリー・ギリアム)
5.ファンボーイズ(2008年 カイル・ニューマン)
6.キャノンフィルムズ爆走風雲録(2014年 ヒラ・メダリア)
7.桐島、部活やめるってよ(2012年 吉田大八)
8.SUPER8/スーパーエイト(2011年 J.J.エイブラムス)
9.ホドロフスキーのDUNE(2013年 フランク・パヴィッチ)
10.イン・ザ・ヒーロー(2014年 武正晴)
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