■あらすじ『世界の危機を何度も救ってきたスーパーヒーロー・チーム“アベンジャーズ”。しかし、その強大すぎる力は一般市民にも甚大な被害を及ぼし、彼らを国連の監視下に置くことが議論され始めた。これに対し、アイアンマンは「皆を守るためには受け入れざるを得ない」との考えを示す。一方、キャプテン・アメリカは己の信念を貫き強く反対。そんな中、ウィーンで新たなテロ事件が発生し、キャプテン・アメリカの旧友バッキーが容疑者として指名手配されてしまった。アイアンマンとの対立が深まる中、重い決断を迫られるキャプテン・アメリカ。彼らが最後に下した結論とは…!最強チーム“アベンジャーズ”が意見の対立から2つに分裂、それぞれが信じる正義を胸に秘め、敵と味方に別れて壮絶な戦いを繰り広げるさまを描いたアメコミ・アクション超大作!』
公開からかなり時間が経ってしまいましたが、ようやく『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を観て来ました。いや〜、相変わらず派手で楽しい映画でしたねえ。本作は、『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』に続くシリーズ第3弾ということで、一応”キャプテン・アメリカを主人公とした物語”の続編という位置付けです。
ところが、実際に映画を観てみると、『キャプテン・アメリカ』の続きというより、むしろ『アベンジャーズ』のパート3では?と思うぐらい、登場キャラクターが多いんですよ。人数だけじゃなくて、ストーリーの方も『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』と直接繋がっているため、全体に漂う”アベンジャーズ感”がハンパない(笑)。まあ、非常にゴージャスな映画になっていました(^_^)
ただ……『アベンジャーズ』の良さっていうのは、普段は滅多に見ることができない「ヒーローたちが一堂に集結する姿」を楽しめる、という部分が最大の特徴であり、言うなればファンにとっての「お祭り映画」なわけですよね?それを単体のヒーロー映画でやっちゃったら、せっかくの”スペシャルな感じ”が薄れてしまうというか、”ありがたみ”が無くなるような気がするんだけど…
いや、もちろん映画のスケールが大きくなるのはいいことだと思います。が、キャプテン・アメリカのシリーズの中では、前作の『ウィンター・ソルジャー』が大好きな自分としては、「今回は色んなやつが出すぎてて、ちょっとゴチャゴチャしてるなあ」という感じは否めませんでした(それでも、しっかり”キャプテン・アメリカの映画”として成立しているのが素晴らしい)。
一方、内容の方は「ヒーローたちの戦いのとばっちりを食らって、一般市民に多大な犠牲者が出る」という、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』で描かれていた状況と同じ理由で責められるアベンジャーズの中で、事態を解決したいアイアンマンは国連の管理下に収まることを了承し、これに異を唱えるキャプテン・アメリカたちと対立する…という物語です
要するに「正義のヒーロー同士の内輪もめ」なわけですが、バットマンとスーパーマンが「なんじゃそりゃ?」と思うような理由で戦っていたのとは対照的に、キャップとアイアンマンは”戦う動機”に説得力がある。ここが大きな違いでしょう。
アイアンマンは「かつての自分は間違った判断をしていた。そのために多くの人を傷つけてしまった。だから、第3者の公正な判断が必要なんだ」と考え、自由の象徴でもあるキャプテン・アメリカは、前作で組織から裏切られた経験を踏まえ、「たとえ国連といえども万全とは限らない。自分たちの意思で決断し、行動すべきだ」と考えています。
これは「どちらの主張が正しいか?」という問題ではなく、どちらの言い分も正しいわけで、だからこそ両者は対立せざるを得ない、という流れへ自然に持っていってる。そのドラマ構成が上手いな〜と感じました。ぶっちゃけ、『バットマン vs スーパーマン』も少しは見習って欲しいぐらいですよ(笑)。
さらに、キャプテン・アメリカには「親友のバッキー・バーンズを助けたい」という思いが、そしてアイアンマンにも「自分の両親を殺したのは実は○○○○だった!」という事情がそれぞれあって、「戦うしかない」という状況をきちんと作り上げています。これなら観客も納得できるでしょう。
そして何よりも驚いたのは「決着の付け方」ですね。普通、有名なヒーロー同士が戦う場合、「どちらかが勝って終わり」というわけにはいきません(両方とも正義の味方だから)。なので、「争っていたヒーローたちの前に”共通の敵”が現れ、両者が手を組んで相手をやっつける」という共闘オチが、まあ観ている人も安心できる「お約束の展開」なわけです。
ところが!『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』はそんな『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』みたいな安易な終わり方じゃないんですよ。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、「えええ!?そんな結末なの!?」という、”ヒーロー映画”のお約束を根底から覆すような、とんでもないラストになってるんです。いや〜、『キャプテン・アメリカ』のシリーズはこれで完結なのに、まさかこんな終わり方になるとは想定外でした(^_^;)
※以下、細かい部分について羅列しますが、ネタバレなので映画を観てない人はご注意ください
●結局のところ、本作は「バッキーのことが大好きなキャプテン・アメリカが、ひたすらバッキーを守り抜く」という映画なんですね(笑)。前作の時点ですでに”バッキー・ラブ”が全開だったキャップですが、本作では彼への愛がますます加速し、クライマックスの「2人で盾をキャッチし合いながらアイアンマンをボコボコにしばき倒す」というコンビネーションプレイで頂点に達します。
「バッキーと人類を天秤にかけたら、キャップはどっちを助けるんだろう?」と不安になるほど”バッキー・ラブ”が炸裂してますよ(笑)。そんなバッキーも「もうこれ以上、皆に迷惑をかけたくないンゴ…」と言い残し(そんなセリフはありませんがw)、冷凍カプセルに入って退場。さらにキャップも主力装備の盾を捨ててしまいました。2018年に公開される『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』では、果たしてどんな展開になるのでしょうか?
●冒頭シーンで”トニー・スタークの若い頃の姿”が出てきます。あまりにも自然なので「ロバート・ダウニー・Jrに良く似た人だなあ」と思ったら本人だったという(笑)。役者の見た目を若くするCG技術は『 ベンジャミン・バトン 数奇な人生』ですでに使われていましたが、本作ではさらに完成度が上がって、もはや実写映像と区別がつかないレベルに達していましたよ。
当然、このシーンを担当したVFXスタッフは大変な苦労を強いられ、ロバート・ダウニーJr.が若い頃に出演していた作品(『レス・ザン・ゼロ』等)を参考にしながら、トニー・スタークが登場する約4000フレームの映像を1コマずつ修正していったとか。う〜ん、気が遠くなりそう(^_^;)
●本作ではトニー・スタークの腕時計が一瞬で手の部分を覆うアーマーに変形し、リパルサーレイを発射するというシーンが出て来ます。これが非常にカッコいい!『アイアンマン3』でもリパルサーレイを発射する手袋を作ってましたが、そのうち腕時計が丸ごとアイアンマン・スーツに変形するようなアイテムを作りそうですね(ちなみに原作コミックでは、すでに腕時計だけでアイアンマンに変身しているらしい)。
●今回、初登場の新キャラ:ブラックパンサーは、見た目もアクションもカッコ良くて大満足なんですけど、何の前触れもなくいきなり変身しててちょっとびっくりしました。あのスーツはいつの間に開発したんでしょうか?もしかして、昼間はアフリカで「殿下」の仕事をやりながら、夜は私財を投じて作り上げた特殊スーツを着て街の平和を守るという、バットマンみたいな生活をしてたのかなあ?
●アントマンも今回アベンジャーズに初参戦したキャラですが、まさかあんなことになるとは…。そう、巨大化ですよ!原作コミックでも、初代アントマンのハンク・ピムが巨大化して「ジャイアントマン」になっていましたが、実写で見ると迫力が凄い。というか、完全に東映ヒーローの「巨大ロボ」的なノリじゃないですか!足元ではスパイダーマンとかが戦ってるし(笑)。もう、いっそのことレオパルドンも出しちゃってください(^_^;)
●本作で、ついにスパイダーマンがアベンジャーズに合流!ピーター・パーカー役は歴代スパイダーマンで最も若いトム・ホランド、さらにメイおばさんも歴代メイおばさん中、最も若いマリサ・トメイになったことでファンがザワついているそうです(笑)。つーか、なんでこんなに美人になってんの?
なお、この映画のエンディングで、スパイダーマンの新シリーズとなる『ホームカミング』の宣伝(?)もチラッとやってるんですよね。まさかディズニー映画でソニー・ピクチャーズの新作をプッシュするとは…。しかも、『ホームカミング』にはアイアンマンも登場するらしいし、いよいよ映画会社の垣根を越えたマーベル・ヒーローのクロスオーバーが始まりそうな予感。ぜひ『X-MEN』の本格参戦もお願いします!