※以下、『僕のヤバイ妻』と『ゴーンガール』のネタバレがあります。
昨夜、フジテレビで『僕のヤバイ妻』という新ドラマが放送されたんだけど、「デヴィッド・フィンチャー監督のサスペンス映画『ゴーンガール』に良く似てるなあ」、「つーかソックリじゃん!」、「パクリじゃないの?」などと話題になっているそうだ。実際にテレビを視聴した人たちも、あまりの激似ぶりに驚いている様子。
『僕のヤバイ妻』、完全にゴーンガールなんだけど、本当にヤバイ
— 森もり子 (@mori_MORIKO_) 2016年4月19日
ゴーンガールを意識したドラマ、初回二時間なの?二時間費やすなら本家のゴーンガールを見たほうがいいのでは…
— バシルーーラ (@shinbashist) 2016年4月19日
僕のヤバい妻はいまのところ浅香航大きゅんがかわいいこととイッセー高橋と結婚したいこと以外は全部ゴーンガールやな
— ケント・モウリ (@pppppptter) 2016年4月19日
このゴーンガールそのまんまなプロットのドラマをオリジナルだといって放送するフジテレビと制作した関テレよりも正真正銘のゴーンガールを今日放送するWOWOWがすごい
— Kooota (@Kooota) 2016年4月19日
放送中のドラマがゴーンガールに似てると話題ですが
— SINBA (@sinbaboss) 2016年4月19日
ここで過去に日本で公開された映画を見てみましょう pic.twitter.com/P5ydNhddqY
デヴィッド・フィンチャー監督の『ゴーンガール』は、作家ギリアン・フリンのミステリー小説を原作に、ベン・アフレックとロザムンド・パイクの主演映画として2014年に公開されている。内容は「一見、幸福そうに見える夫婦だったが、夫のニック(ベン・アフレック)は妻エイミー(ロザムンド・パイク)との結婚生活に疲れ、若い愛人(エミリー・ラタコウスキー)と浮気を繰り返していた。そんなある日、突然エイミーが失踪する。しかし警察が捜索を続ける中、次々とニックに不利な証拠が見つかり、とうとう事件の容疑者にされてしまった」
「さらに愛人の存在もバレて、世間から批判が殺到。ニックの家には連日大勢のマスコミが押し寄せ、全国に”妻殺しの夫”と報道されてしまう。ところが、この事件は全てエイミーが仕組んだ狂言であることが判明!夫の浮気を知った妻が計画した”自作自演の失踪劇”だったのだ…」という物語である。
一方、フジテレビの『僕のヤバイ妻』は、「一見、幸福そうに見える夫婦だったが、夫の望月幸平(伊藤英明)は妻の真理亜(木村佳乃)との結婚生活に疲れ、若い愛人(相武紗季)と浮気を繰り返していた。そんなある日、突然真理亜が誘拐される。しかし警察が捜索を続ける中、次々と幸平に不利な証拠が見つかり、とうとう事件の容疑者にされてしまった」
「さらに愛人の存在もバレて、世間から批判が殺到。幸平の家には連日大勢のマスコミが押し寄せ、全国に”不倫夫”と報道されてしまう。ところが、この事件は全て真理亜が仕組んだ狂言であることが判明!夫の浮気を知った妻が計画した”自作自演の失踪劇”だったのだ…」という物語である。
一応、ドラマの第1話では真理亜の狂言かどうかは明らかにされておらず、無事に発見された真理亜が「ニヤリ」と笑うシーンで終わるのみ。しかし、身代金の2億円を手に入れ、「これを預かっておいて下さい」という手紙と共に共犯者と思われる男(佐々木蔵之介)に渡す場面があることから、彼女の計画と見てまず間違いないだろう。
というわけで、2つのドラマを比較してみると、設定やストーリーがほぼ同じ構成だとわかって驚いた。あまりにも似ているため、「もしかして『僕のヤバイ妻』の原作が『ゴーンガール』なのでは?」と思って調べてみたが、どうも”完全オリジナル”のストーリーらしい。
脚本を書いた黒岩勉という人は、過去に『ストロベリーナイト』や『謎解きはディナーのあとで』や『LIAR GAME』などの有名ドラマを手掛けており、自分で小説も書いている。主にミステリーや心理サスペンス系が得意なようで、本作でも緊迫感溢れるシーンが印象に残った。
まあ、現段階では『僕のヤバイ妻』が『ゴーンガール』のパクリなのか、それとも偶然似ているだけなのか判断できかねるが、どちらにしてもシナリオが上がってきた時点で「これ『ゴーンガール』に似てないっすか?」と指摘するスタッフが一人ぐらいいなかったのかなと。そこが気になるんだよねえ。
ちなみに僕の個人的な感想を述べると、「確かに『ゴーンガール』にそっくりだが、これはこれで面白い」という感じである。特に終盤の「主人公が身代金を持ってあちこち走り回る場面」は『ゴーンガール』には無い独自のスリルを生み出していて、『ゴーンガール』を連続ドラマにしたらこういう雰囲気になるのかも…と感心させられた。
また、キャスティングも絶妙で、「妻を裏切り殺人を企てようとするものの、逆に警察から疑われてアタフタする主人公」を演じる伊藤英明が『ゴーンガール』のベン・アフレックを彷彿させる。そして何より凄いのが、木村佳乃の存在感だ。
世間の人には「夫に尽くす貞淑な妻」と思わせ、しかし裏では恐るべき計画を着実に実行するという『ゴーンガール』のロザムンド・パイクと、イメージが実に良く似ているのだ。日本でロザムンド・パイクの役をやれる女優といえば、「木村佳乃しかいないだろう」と思わせるに十分なインパクトを放っている。
なお、『僕のヤバイ妻』の第1話は木村佳乃が発見されるシーンで終わっており、『ゴーンガール』で言えばほぼ終盤に当たる。ここから2話以降のストーリーをどのように展開させるのか、非常に気になるところだ。もしかすると『ゴーンガール』とは全然違う物語になる可能性もあるので、ぜひ続きも見てみたい。
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