どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。
本日、「金曜ロードSHOW!」でSFアクション超大作『バトルシップ』が放送されます。実はこの映画、アメリカでは大コケしてわずか6500万ドルの興行収入しか稼げず、ロッテントマトの支持率も34%と全く振るわなかった問題作なんですよね。
しかも第33回ゴールデンラズベリー賞で最低作品賞、最低監督賞、最低脚本賞、最低助演男優賞(リーアム・ニーソン)、最低助演女優賞(リアーナ、ブルックリン・デッカー)、最低スクリーンアンサンブル賞の計6部門にノミネートされるなど、客観的に見てもかなりの低評価であることは否めません。
ところが、どういうわけか日本での評価は異様に高く、2015年に「日曜洋画劇場」で放送された際は、実況や感想が続々とツイッターに投稿され、一時はトレンドワードの半分が『バトルシップ』関連で占められるなど、大変な盛り上がりを見せたのですよ。
そして、今回の金ロー版でも大変な事件が起きました。本来『バトルシップ』は6月23日に放送される予定だったのに、急遽中止になったんですね。そしたら、我慢できないファンたちが放送開始時間の23日21時に動画配信サービスやDVD等を再生して、なんと勝手に実況中継をやり始めたんです!
そのせいで、映画の進行とともに「チキンブリトー!」とか「みょうこう!」とか「戦艦が簡単に沈むか!」など、熱い実況ツイートが続々と投稿され、映画が放送されていないにもかかわらず、ツイッターのトレンドワード1位に「バトルシップ」が表示されるという前代未聞の珍事が勃発したのですよ。皆どんだけ好きやねんw
ちなみにこの時、事情を知らない人たちがツイッターを見て勘違いし、「あれ?たしか米海軍のイージス駆逐艦が衝突したせいで放送中止になったと思ってたんだけど…」「金ローの『バトルシップ』って今日だったっけ?」「だが今日じゃない!」など、大混乱が巻き起こっていたようです(笑)。
※なお、『バトルシップ』の素晴らしさについてはこちらの記事に詳しく書きましたので、興味がある方はぜひご覧ください。↓
さて、そんな感じで『バトルシップ』は非常に面白い映画なんですが、僕はこういう作品を「バカ映画」と呼んでいます。いや、こんなことを言うと「『バトルシップ』はバカな映画じゃないぞ!」とファンの人から怒られそうですけど、決して「バカバカしい」とか「くだらない」という意味ではありません。
じゃあ「バカ映画」の定義って何なの?といえば、「作り手側が本気で作ろうとしたものの、キャラの言動が暴走しすぎて結果的に状況がバカっぽく見えてしまう映画」のことを「バカ映画」と捉えています。従って、最初から「バカな映画にしよう」というコンセプトで作られた作品は含まれません。
例えば、『少林サッカー』などは非常にバカバカしくて面白い映画だと思いますが、あれは明らかに「観客を笑わせよう」という意図が見受けられるため、僕の考える「バカ映画」の定義には当てはまらないのです(わざとバカに見せているから)。
そうではなく、「製作者が想定したもの以上の可笑しさがあるか無いか?」が重要なのであって、本来は真面目なシーンなのに、あまりにもリアリティを逸脱しすぎて「なんでやねん!」と突っ込まざるを得ない、それがバカ映画の醍醐味なのですよ。
というわけで、本日はそんな素晴らしいバカ映画の数々をご紹介します(^_^)
●『バトルシップ』
まずは、みんな大好き『バトルシップ』!アメリカでラジー賞を総ナメした大コケ映画が、なぜ日本でこんなに受け入れられたのかよく分かりませんけど、同作のファンが「バトルシッパー」と呼ばれるほど圧倒的な人気を獲得したのは凄いことですね。
実際、宇宙人が攻めて来てからのあり得ない展開はまさに「そんなバカな!」の連続です(笑)。しかし映画を観ているうちに、ぶっ飛びまくりのストーリーが徐々に快感へと変わっていき、「だが今日じゃない!」などの名セリフが飛び出すクライマックス付近でその興奮と感動は頂点に!
残念ながら、海外ではあまりにも荒唐無稽な脚本が受け入れられずブーイングを食らったようですが、日本ではむしろ、その常軌を逸したデタラメぶりが評価され、大勢の人が盛り上がる要因になったのでしょう。ぜひチキンブリトーを食べながらご覧ください(^_^)
●『インデペンデンス・デイ』
これまた「誉れ高いバカ映画」としてすでに不動の地位を確立しているSF超大作です。「何だか良く分からないけどスケールだけは無駄にでかい」というローランド・エメリッヒ監督の特性が存分に発揮された奇跡の作品で、巨大な宇宙船が初めて現れる場面は今観ても迫力満点!
また、アメリカ大統領(ビル・プルマン)、戦闘機パイロット(ウィル・スミス)、天才エンジニア(ジェフ・ゴールドブラム)など、それぞれのキャラクターの”家族愛”を丁寧に描いている点も素晴らしく、特にラストの「酔っ払い親父特攻シーン」は何度観ても涙が溢れて止まりません。
同時に、凄まじい勢いで繰り出される”突っ込みポイント”の数々も特筆すべきで、「大統領が自ら戦闘機に乗り込んで宇宙人と戦う」とか、「コンピューターウィルスで宇宙船のシステムを麻痺させる」とか、SF映画とは思えぬ科学考証のユルさも本作の見どころでしょう(笑)。
●『アルマゲドン』
『バトルシップ』『インデペンデンス・デイ』と合わせて「世界三大バカ映画」の栄誉(?)を勝ち取った本作は、最初から最後までアクセル全開で突っ走り、観客に飽きる暇を与えません。エアロスミスの主題歌も最高にカッコいい!小惑星に重力が発生していたり、真空の宇宙で炎が上がったり、変なシーンはいっぱい出て来ますが、感動的なドラマの前では取るに足らない問題です。なお、本作の膨大な科学考証ミスを指摘されたマイケル・ベイ監督は、「俺だって宇宙で火が燃えないことぐらい知ってるよ!」と逆ギレしたそうです(笑)。
●『パシフィック・リム』
「巨大ロボット vs 巨大怪獣」というシンプルかつマニアックな基本コンセプトだけで全国のボンクラたちのハートを鷲掴みにした『パシフィック・リム』は、オタク監督ギレルモ・デル・トロの夢と妄想が目一杯つまった最高のバカ映画です。
子供の頃から日本のアニメやマンガを見て育ったデル・トロ監督は、大好きなロボットアニメを実写で完全再現することに挑戦。巨大ロボが巨大なパンチで怪獣をぶん殴るその姿は、まさに実写版マジンガーZ!こんなもん、盛り上がるに決まってるやろ!
●『トルク』
大勢の若者がカッコいいバイクに乗ってひたすら爆走する映画。ただそれだけなのに、この突っ込みどころの多さは何なのか?破天荒にも程があるバイクアクションが次々と飛び出し、最終的にはなんとヘリコプター用のガスタービンエンジンを搭載した化け物バイクが登場!
「最高時速400キロ」という、もはやバイクの概念を超越したスーパーマシンに主人公が飛び乗り、衝撃波を発生させながら街中を疾走するシーンのバカバカしさたるや、映画史に残る面白映像と評しても全く過言ではないでしょう。まさに”レジェンド級のバカ映画”です(笑)。
●『コマンドー』
これまた『バトルシップ』と同じく、TV放送されたら確実に実況が盛り上がりそうな傑作アクションですね。「お前は最後に殺すと約束したな?あれはウソだ」「来いよベネット、怖いのか?」「野郎!ぶっ殺してやる!」などなど、マネしたくなる名台詞も満載ですよ。
●『スターシップ・トゥルーパーズ』
ロバート・A・ハインラインの名作SF小説をポール・バーホーベン監督が撮ったら、肝心のパワードスーツが一切登場せず、ファンの大ヒンシュクを買った問題作。それもそのはず、なんと監督はハインラインの原作を読まずに撮影していたらしく、その結果、生身の兵士が大量の巨大昆虫軍団に延々とブチ殺される阿鼻叫喚の地獄絵図が完成!本格SF超大作を観に来たファンをドン引きさせたそうです(笑)。
●『貞子vs伽椰子』
今やジャパニーズ・ホラーの代名詞となった『リング』シリーズの貞子と、インパク抜群の外見や不条理な恐ろしさで貞子と双璧を成す『呪怨』シリーズの伽椰子。その2つがコラボレーションしたら…という冗談みたいな企画がまさかの実現!
ホラー映画だからもちろん怖いです。怖いんですが、「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!」というヤケクソ気味なセリフが飛び出す辺りから事態は一変。「お前ら正気か!?」と突っ込まざるを得ない展開の連続に驚愕間違いなし!
中でも見どころは、イケメン霊媒師の常盤経蔵(安藤政信)と盲目の霊感少女:珠緒(菊地麻衣)の奇妙な二人組。「面白コンビ」としてのキャラが立ちすぎて、もう完全にマンガの世界ですよ(笑)。このコンビが活躍するスピンオフを作って欲しいなあw
ちなみに、本作を撮った白石晃士監督は往年の東宝特撮怪獣映画(『モスラ対ゴジラ』など)を意識していたそうです。曰く、「『モスゴジ』の詳細を覚えているわけではないんですけど、たしかに怪獣映画のつもりで臨みました。”対決”っていったら怪獣だし。人間サイズですが怪獣対決映画なんですよ、とスタッフに言ったことがあります」とのこと。これって怪獣映画だったのかよw
●『HiGH&LOW THE MOVIE』
いや〜、初めてこの映画を観た時は本当にビックリしましたねえ。「いったい何だこれは!?」と。世界観はハチャメチャでストーリーの整合性も皆無。しかしテンションだけは異様に高い。そして日本映画とは思えぬ破格のアクションとスケールのでかさ!まさに何もかもが規格外の映画だったんです。
後に、この映画に関わった某脚本家が「EXILEのメンバーは『ヤバいっすね!』とか『テンション高めで行きましょう!』みたいなことしか言わないので全く打ち合わせにならなかった」と企画会議の様子を暴露してたんですけど、それを知って「やっぱりな」と思いました(笑)。※詳細はこちら↓
・EXILE軍団の不毛すぎる会議内容に脚本家がブチギレ!「まるでサークル」「もうごめんです」
通常の映画制作の場合、まず「ストーリー作り」から始めるんですが、『HiGH&LOW』の場合はEXILEのメンバーがそれぞれ「オレ、こういう役やりたい!」と自分の要望を出して、そのキャラクターがどうすればカッコ良く見えるかを考え、それに従ってストーリーを組み立てていくのだそうです。
つまり、『HiGH&LOW』は「まずキャラクターありき」で作られた作品で、最も重視された点は「カッコいいキャラクターが、カッコいいセリフを喋り、カッコいい音楽をバックに流しながら、カッコいいアクションを決める」こと。そして、いかにそれを実現するかが最大の目的であり、本作の主題なんですよ。
こんな映画、普通の発想では作れません。「シナリオがおかしい」とか「アクションシーンが多すぎる」等、必ずどこかで修正されて全然違う映画になってしまうか、そもそも企画自体が通らないでしょう。しかし、EXILEはそんな映画業界の常識に抗い、独自のやり方で『HiGH&LOW』を作り上げたのです。
これって、規模的には「超大作商業映画」なんですが、作り方としてはむしろ「インディーズ」に近いんですよね。志を共有する仲間が集まり、自分たちの大好きな要素だけを限界までブチ込んで映画を撮る。完全に自主制作映画のノリなんですよ。
その結果、EXILEにしか作れない、いやEXILEだからこそ作れた唯一無二の快作が生み出され、「邦画」という枠内ではカテゴライズ不能な、もはや”HiGH&LOW”としか形容できない独自のジャンルと化したのです。全編を貫く「俺たちはコレがやりたかったんだよ!文句あるか!?」という揺るぎない姿勢が圧倒的に素晴らしい!続編の『END OF SKY』も最高です!
●『超強台風』
さて、最後は中国映画の『超強台風』をご紹介。観た人はあまりいないでしょうけど、個人的には「史上最強のバカ映画」だと思っています(笑)。舞台は中国沿岸部の地方都市、そこに超大型台風が襲来して…という「ディザスター・ムービー」なんですが、最大の特徴は「主人公が市長」という点。
この市長が物凄く責任感の強い人で、「絶対に市民の命を守ってみせる!」という熱意が暴走し過ぎて、巨大台風が接近する中、市長自ら現場へ出向き、「皆さん、すぐに避難して下さいッ!」と土下座するなど、常軌を逸した行動をとりまくるんですよ。
作品全体のトーンは真面目でシリアスなのに、キャラクターの言動が誇張し過ぎなせいで、結果的に笑ってしまうという、まさに理想的なバカ映画に仕上がっているのです(笑)。この感覚は、日本版の予告編を観てもらえば分かりやすいでしょう。
おそらく、中国ではこういう予告編じゃなかったと思うんですよ。それを、わざわざナレーションに「藤岡弘、」を起用し、絶妙にふざけた感じで編集し直したところにスタッフの悪意を感じますね(笑)。
映画自体は終始「リアルな災害パニック映画の雰囲気」を真剣に描いていて、意図した笑いは一切ありません。なのになぜか笑ってしまう、それこそがまさしく”バカ映画の真髄”と言えるでしょう(^_^)
※なお、『超強台風』については以下の記事で詳しく解説していますので、興味がある方はぜひどうぞ↓